龍の転生者と魔物達の転生記 決闘符禄   作:龍牙

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TURN-06『悪魔の宴、立ち塞がる魔界七将』

「良し」

 

今回は今までのデュエルとは違い、どんな相手にも対応出来る様に六色のデッキの調整を終え、布団や鞄などを使ってベッドで寝ていると言う偽造を完了する。

 

呼び出されたデュエルでは愛用品の赤のデッキを使う心算(つもり)だが、相手が総麻の元から奪われた魔龍帝ジークフリードや魔龍帝騎ダーク・クリムゾンのカードを所持しているとなると、攻撃に重点を置いた愛用品でもある赤のデッキでは危険な可能性も有るので、念の為に残りの五色のデッキも調整してある。

最も、赤のデッキ以外に使うとすれば白のデッキの方が高いだろうが。

 

魔龍帝の方は元々自分のカードだ。そのステータスと効果はよく知っている。そして、魔龍帝騎の方はもう一つの効果よりも、運が悪ければ召喚された瞬間にほぼ敗北が決定する様な召喚時に発動するモンスター効果の方が脅威だろう。

…そう、否融合のE・HEROの中で最大の攻撃力2600の数値を持ったエッジマンを召喚したと言う優位な状況で、たった一体のモンスターの召喚だけであの十代がその瞬間に逆転され敗北した事からも理解できる。

 

まあ、攻撃を防ぐ為の伏せカードも無い状況で、召喚条件を無視して最大三体の強力モンスターを一斉に召喚する効果を持ったモンスターの召喚など、許してしまった瞬間に敗北するのは当然の事なのだが…。

 

(…そろそろ行くか…)

 

そんな事を思いながらデッキから一枚のカードを抜き出す。それはあの直後に『自分をデッキに入れろ』とでも言う様に、バトスピのカードからデュエルモンスターズのカードへと姿を変えていながら、未だに白紙のままのカード。

 

(…『使え』…そう思って良いのか?)

 

相手は間違いなく強敵、対抗する為には切り札は一つでも多い方が良いに決まっている。赤のデッキにこのカードは入れておくべきだろう。

 

不確定要素では有るそれを赤のデッキに納めると、総麻は与えられた《魔人》達の能力の中…某骨董品屋の《忍者》の能力を利用して寮長である大徳寺の目を盗んでレッド寮から出る。

 

前もって廃療の場所は確認してあるので、何者にも気付かれずに向かう事が出来る。元々夜に呼び出されたのだから、安心と言えば安心なのだが、用心するに越した事は無い。

 

「ふぅ…」

 

気配を消しながらレッド寮から離れると、そこで一度警戒を解く。流石に長時間気を張り詰め続けていると流石に疲れる。その精神的な疲労が寮で待っているデュエルに影響すると言うのは避けたい。

 

廃寮への道を暫く進んでいると、誰かの後姿を見かける。

 

(…拙いな…)

 

服装から考えて教師ではなく、女子生徒だろうが、下手に見つかりたくは無い。それでも、廃寮に向かう訳は無いだろうと考えていたが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…おいおい…何の用だよ…廃療(ここ)に?)

 

何の目的も無く態々立ち入り禁止の廃寮まで進んでいくのは明らかに不自然だろう。可能性としては、総麻を此処に呼び出した敵と考えられるが、

 

「…おい…」

 

「わっ!」

 

気配を消しながら後ろに立って声をかけると、目の前の少女は驚く声を挙げて尻餅をついてしまう。

 

「あー…悪い」

 

驚かせてしまった事に謝りながら、立ち上がるために手を差し出す。

 

一度は敵かとも思ったが、先ほどの反応から考えても魔龍帝に関わっている相手とは考えられない。

 

「あ、あの、貴方はなんでこんな所に居るんですか!?」

 

「それはこっちのセリフだけどな…。強いて言うなら、丁度行方不明の生徒の内の三人と友達なんだけど、昨日ここで肝試しをするって言っていたから気になって来て見たんだ。それで、君は何でこんな所に?」

 

総麻の手をとって立ち上がる女生徒の質問に答える。月が雲で隠れていて顔がよく見えない為に誰なのかは分からないが…もっとも、接点が無い生徒の事など知っている訳も無いだろう。

 

もっとも、総麻の言葉は全部が全部真実ではない。確信を持った上で呼び出されて此処にきたのだから。

 

「……昨日、高町さん達が森の中に入って行く所を見たんです。それで、心配になって…」

 

丁度彼女が昨日見たと言う、入って行った森の先に有ったのが廃寮と言う訳だ。

 

「だったら君は早く帰って、先生達にでも報告した方が良いだろうな」

 

「貴方はどうするんですか?」

 

「………。オレは中で十代達が怪我しているかも知れないからな。念の為、この中に入って探してくる。」

 

そう言って女生徒に手を振りながら、誰も入れない様に張られている針金を潜って廃寮の扉へと近づいていく。

 

「あ、あの!」

 

「流石に二次災害のリスクは出来るだけ避けたいから、君は…っ!?」

 

止めようとする女生徒の声にそう答えながら扉に手を触れた瞬間、妙な気配と共に独りでに扉が開いていく。

 

(拙い、やっぱり罠が!?)「おい、ここは危険だ、早く…」

 

総麻が慌てて警告しようとした時は既に遅く、闇の中から伸びる何かによって女生徒ととも廃寮の中に引きずり込まれていく。

 

(っ!? こいつは…)

 

微かに廃寮の奥に見えた影、それは…。

 

(ジークヴルム…いや、違う…あれは…)

 

紫の体色を持った苦しげな瞳に染まったドラゴンの悲鳴にも聞こえる鳴き声、その姿には見覚えがあった。

 

(…ジークヴルム…ヴェガ…?)

 

自身の切り札である雷皇龍(ジークヴルム)に似た姿のドラゴンの石像、それを見る。嘆きの様にも聞こえるその龍の声に答える様に手を伸ばすと、総麻の手の中に一枚のカードが握られた。

 

『DT蝕星龍ジークヴルム・ヴェガ』

 

と、そのモンスターの名前だけが記されたカードが総麻の手の中に納まった瞬間、そのカードは白紙に変わり、彼の意識は闇の中に飲み込まれていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っう…」

 

一枚のカードを握り締めながら目を覚ますと周囲の景色を眺める。

 

(…ここは廃寮の地下…か?)「ったく、ゲストに移動の手間はかけさせない…か。だったら、態々呼び出さないで貰いたいな…」

 

頭を押さえながら握っていたカードへと視線を向ける。

 

「…このカードは…?」

 

効果の分からない白紙のカード…それをポケットの中に入れ、改めて周囲を見回す…。光源となる蝋燭と、足元に書かれている魔法陣らしき物、だが、そこには他に誰かの気配は…。

 

「おーい、起きろー」(彼女…何処かで見たような気が…)

 

「ん?」

 

肩を揺すりながら一緒に此処に運ばれたであろう女生徒を起こす。

 

「ここは…」

 

「気絶している間に運ばれたらしい…。所で、名前を聞いて無かったけど…オレは天凪総麻、君は?」

 

「あ、はい! 私は『ギンガ・ナカジマ』と言います」

 

「っ!? (いやいやいや、なのはの登場人物でも高町達より年下…まあ、深く考えないでおこう)そうか。で、隠れてないで出て来たらどうだ?」

 

彼女の名乗った名前と、彼女の容姿に対して思わず驚きを露にしそうになるが、それを踏みとどまり、ゆっくりと総麻はその部屋の中を指差して宣言する。

 

その総麻の言葉に答える様に部屋の影から一人の黒い服に仮面をつけた大男が現われる。…その姿は、確かに外見はデーモンデッキを使う自称闇のデュエリストの『タイタン』だ。だが…。

 

「よく来たな、アマナギソウマ。我が名は「お前…何者だ?」…ふふふふっ…。」

 

自分の名を名乗ろうとしたタイタン(?)の言葉を遮る様に総麻の言葉が響くと、急にタイタン(?)の声が変わる。

 

「我が名はダーク・クリムゾン。この名と、このカードを見れば我が何者か、お前になら分かるだろう?」

 

そう言ってみせるカードと名乗った名前に総麻は思わず驚愕を浮かべる。

 

「ダーク・クリムゾン…まさか…。お前…オレから魔龍帝のカードを盗んだのは…?」

 

「いや、あれは別の人間だ。残念ながらお前の張った結界には、我々カードの精霊では手が出せなかった。だが、その者のお蔭で我が僕(しもべ)をこうして手にする事が出来た。その事に関しては感謝しなければな」

 

そう言ってタイタンを操っているダーク・クリムゾンの精霊は自らのデッキを取り出し、デュエルディスクにセットする。

 

「…最後に一つだけ聞かせろ…お前に負けた十代達は…どうなった?」

 

「ああ、我がデッキと僕のテストに相応しいデュエリスト…だったか、此方でのカードバトラーを指す言葉は? まあ、魔龍帝の最初の生贄として相応しい強者だった」

 

「貴様!!!」

 

思わずダーク・クリムゾンの言葉に対して怒りを露にする総麻だが、ダーク・クリムゾンは『まあ、待て』と言う様に手を翳し、

 

「寧ろ、感謝して貰いたい所だな。あのデュエリストと闇のデュエルに巻き込まれた小娘達は我が闇に飲まれない様に防いで居てやっているのだからな」

 

「なに!?」

 

「安心しろ…お前が勝てば、返してやろう。だが…お前が負ければ…支えている我が手を離しただけで…奴等は闇の生贄となる。其処まで言えば分かるだろう?」

 

「ちょっと待て下さい! なんですか、さっきから闇とか生贄とかって…」

 

「…あー…。巻き込んでしまったみたいで悪いけど…後で説明するから…今は黙っていてくれ」

 

ギンガの言葉にそう答えて総麻もデュエルディスクに赤のデッキをセットする。

 

 

「「デュエル!!!」」

 

 

総麻 LP4000

ダーク・クリムゾン LP4000

 

「我の先行、ドロー。我はデーモンソルジャーを攻撃表示で召喚し、ターンエンド」

 

デーモンソルジャー 攻撃力1900

 

ダーク・クリムゾンのフィールドに召喚されるのは武装した悪魔が現われ、ターンが総麻へと移る。

 

「オレのターン、ドロー! オレはアンキラーザウルスを攻撃表示で召喚!」

 

 

アンキラーザウルス

☆4

属性:炎

攻撃力1500/守備力1200

恐竜族

効果

自分フィールド上に炎属性のドラゴン族が存在する時攻撃力は300ポイントアップする。

 

 

「そして、バトル!」

 

総麻のフィールドに尻尾がドリル状になった赤いアンキロサウルスが現われると、尻尾のドリルを回転させながらデーモンソルジャーへと向かう。

 

「手札から速攻魔法『突進』を発動! これで攻撃力は700ポイントアップ」

 

 

アンキラーザウルス 攻撃力1500→2200

 

 

突進するアンキラーザウルスのスピードが増して尻尾のドリルでデーモンソルジャーを粉砕する。

 

 

ダーク・クリムゾン LP4000→3700

 

 

「カードを一枚場に伏せ、ターンエンドだ!」

 

総麻のフィールドに伏せカードが現われ、ターンがダーク・クリムゾンへと移る。

 

「ふっ。挨拶代わりだったが…そろそろ遊ばせてもらうとしよう。我は『骸騎士(がいきし)ヴェリアム』を攻撃表示で召喚し、カードを伏せてターンエンドだ」

 

ダーク・クリムゾンのフィールドに召喚される新たなモンスター…骸骨の様な騎士の姿のモンスターが現われる。

 

「っ!?」(予想通り、バトスピのカードを)

 

 

骸騎士ヴェリアム

☆4

属性:闇

攻撃力1600/守備力1200

悪魔族

効果

自分フィールド上の闇属性モンスターが破壊された時カードを一枚ドローする。

 

 

「オレのターン! ドロー。」

 

伏せられたカードも気になる所だが…。手札には…。

 

(行くぜ、ジークヴルム!)「オレはアンキラーザウルスを生贄に…雷よ、天を裂け! 雷皇龍ジークヴルム…攻撃表示で召喚!!!」

 

アンキラーザウルスが消えて現われたルビーを砕きながら、ジークヴルムが召喚される。

 

「その瞬間、罠カード発動! 隠れ兵! 手札の『冥闘士バラム』を特殊召喚!」

 

 

冥闘士バラム

☆4

属性:闇

攻撃力1600/守備力1200

悪魔族

効果

このモンスターを戦闘で破壊したモンスターはバトル終了時、破壊される。

 

 

「バラム…だって!?」

 

ダーク・クリムゾンのフィールドに召喚された新たなモンスターに思わず顔を歪めてしまう。そのモンスターの効果は総麻もよく知っている。

 

「その通りだ。貴様も使っている紫の…いや、此方では闇属性モンスターだったな…」

 

「だけど、ヴェリアムは無防備だ! ジークヴルム、ヴェリアムを攻撃しろ!」

 

総麻の指示に従い、ジークヴルムは天井擦れ擦れに飛び上がり、雷光を纏ってヴェリアムへと突進する。

 

ジークヴルムでバラムを破壊するのは効果を考えると完全に自殺行為だ。だが、ヴェリアムの方は倒しやすいモンスターでしかない。

 

「ぐ…。」

 

 

ダーク・クリムゾン LP3700→3200

 

 

「更にジークヴルムの効果ダメージを受けろ!」

 

総麻の指示に従うジークヴルムの突進は、前回のフェイトとのデュエル以上にスピードを増している。ダーク・クリムゾンへのジークヴルムの精霊の怒りからなのだろう。

 

「ぬぅ!!! 忠告しておこう…怒りは身を滅ぼすぞ。ジークヴルムのバーン効果発動に対して手札のモンスター効果を発動する」

 

 

ダーク・クリムゾン LP3200→1600

 

 

「ちっ、ダメージに反応す…ガハァ!!!」

 

 

総麻 LP4000→2000

 

 

何かが総麻の体を切り裂く。そのダメージはソリットビジョンの物じゃない。切り裂かれた所からは鮮血が舞い、慌てて手札とデュエルディスクを避けた事でカードに血がかかる事は避けたが…。

 

「ええ!? ど、どうして、ソリッドビジョンで怪我を!? それに、何で行き成りライフが半分に…」

 

「はぁ…はぁ…。ダメージがあったのは、そいつのモンスター効果か?」

 

「その通りだ。我は手札の『魔界七将ベルドゴール』のモンスター効果を発動させた」

 

 

魔界七将ベルドゴール 攻撃力2000

 

 

ダーク・クリムゾンのフィールドに現われたのは一体のモンスター。総麻の体を切り裂いたナイフから滴る鮮血を舐める頭巾を被った悪魔の姿をした暗殺者と言うべき、魔界七将の一角にして、紫のXレア…。

 

「魔界七将ベルドゴールはダメージを受けた時に手札から特殊召喚できる効果を持つ。さらに効果ダメージで特殊召喚された時に、我が受けたダメージに400ポイントプラスして相手に効果ダメージを与える。そして、もう一枚…」

 

更にダーク・クリムゾンのフィールドに紫の体と鎌を持った禍々しい悪魔が召喚される。その姿には総麻には見覚えがあった。

 

「今度はパンデミウムか…?」

 

「その通り…我は『魔界七将パンデミウム』を特殊召喚。このカードは同一ターンの間に互いのライフが半分以上減った時は手札から特殊召喚できる」

 

 

魔界七将パンデミウム 攻撃力2200

 

 

「ぐ…。」

 

タイタンのフィールドに現われた新たな魔界七将の威圧に彼のターンだと言うのに…いや、彼のターンだからこそなのか、膝を折りそうになる。

 

「魔界七将を二体も…オレのターンに召喚するだと…」

 

「ふふふ…。ゲームは此処からだぞ、アマナギソウマ。この程度の絶望は乗り越えてもらわなければ、お前はあの御方に相応しくない…」

 

魔界七将2体を率いながらダーク・クリムゾンのターンエンドの宣言が響く。

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