ベイカンパニーが本を回収してから三日がたった。実をいうと魔理沙が後に訪問してきて、あたしの借りた本を返せ!と怒って来たのだ。流石に筋違いということで兄さんが見事に撃退したが。ああいう人はまた懲りずにやって来そうなので怖い。...店の警備を厳重にしよう。
そう心に誓いながら仕事をしているともう既に五時であった。もうすぐ店を閉めようかと考えていると、兄さんが複数の紙袋を持って何処か向かおうとしていた。
「...何してるの?」
「何って、配達だよ」
配達ぅ?そんなことうちの店でやってたっけ?いや、やってないな。明らかに兄さんが勝手に始めようとしている。流石に配達まではうちの店でやってたら過労死してしまう。早く止めようと思い、話そうとするがある事に気づいた。
「待って、今?」
そう、今である。今、この時間である。
普通、幻想卿という場所は妖怪がいるのが、周知の事である。妖怪という生物は夜に動きが活発になるため、日が沈む頃には、人里にいるのが常識である。-人里に妖怪が人を襲うことを目的に入る事は協定によって禁じられている-
いくら人里でも人里外の近くに行くことにあれば、協定を理解できない低レベルの妖怪が入って襲う可能性もある。
兄さんならなんとかなりそうだが、万が一もある。一緒についていった方いいと考え、僕も行くことを提案する。
「待って、僕も行くよ。行き先はどこ?」
「いや、大丈夫だ。もこたんが付き添ってくれるしな。」
もこたん。藤原さんのことだろうか。確かにあの人なら相応の実力者...
「え、待ってそれ、人里外に行く事になるんじゃあ?」
「いや、行くとこ紅魔館だから。結局出ることになるし」
なーるほど紅魔館ね。そりゃ人里外よなぁ...
まてまてまてまてまてまて
紅魔館?
紅魔館?
こ・う・ま・か・ん?
「つぅ訳で、行ってくる...」
「まてぇぇぇぇダボがぁ!」
紅魔館だとぉ!?噂に聞くあのレミリア·スカーレットが住むと言われるあの紅魔館かぁ!??
これは非常に不味い...レミリア・スカーレットは吸血鬼であるがために、気位が高いと耳にしたことがある...もし!超がつくほどのフランクな兄さんがいったら...
考えるのも恐ろしい...今!ここで!止めなければ!
「兄さん!僕は...」
「安心しろよ...千男...ちゃんと咲夜に言ってるから大丈夫だ。もこたんも強いしな。」
「え?」
咲夜と言えば紅魔館に住む従者、十六夜咲夜のことだろうか。あれ?恐らく紅魔館に初めて行くと思われる兄さんがなぜ咲夜さんのことを知っているのだろうか。聞いてみたところ。
「咲夜と八百屋で会ってさ、ひょんな事で色々と意気投合しちゃってねぇ。紅魔館におよばれしちゃったんだ」
「...」
正直言うとここまで来ると兄さんを尊敬したくなるぐらいのレベルである。兄さんならどんなとこにでも入れそうだ。そんなこと考えていると何だが安心してきたと思ったら、重要なことを思い出した。
「って、違う!僕が指摘したいのはそのフランクな感じでいったら戻って来れないかもしれない危険性を指摘してるんだよ!」
「なっ!この俺がちゃんとした感じでいかいないと思ったがマヌケェ!」
「兄さんならやりかねない」
ホントに兄さんならやりかねない。実際やらかしてないのが、せめてもの救いである。
でもこのままじゃ話が平行線だ。どうすれば...
「あ」
僕は今まで自分は「行かない」という選択を自然と取っていた。だがそれは間違いだったんだ。逆に考えるんだ。行っちゃてもいいさと、考えるんだ。
「分かった。じゃあ兄さんがフランクな感じになりかけたら止めに入る感じで僕も行くから。それでいい?」
「なんだお前も来るのか。別にかわまんよ。それで」
とりあえずこれで話はついた。その代わり紅魔館にいかなければならなくしまったがいいだろう。僕は諦めながらそう思った。