「ここよ」
僕達がこの館に入って数十分が経過した。
ここの館は見た目よりも広く、咲夜さんについて行かなければ確実に迷う、と思えるぐらいだ。
そして遂に、この館の主がいるであろう部屋の扉の目の前までやって来た。流石にかなりの上位の妖怪がこの扉の先にいると思うと、疲れていたとしても、気を緩む事は出来ない。
「レミリア様、お客様です」
「入ってもいいわよ」
館の主、レミリアの許可を取り、遂にご対面する時が来た。
「改めて、申し上げるわ。ようこそ紅魔館へ」
そこには、青みがかった銀髪のウェーブに真紅の瞳を持ち、ナイトキャップらしきものを被っていおり、コウモリの翼が背中に付いている少女がいた。
遂に会えたのだ。紅魔館の主、レミリア.スカーレットに。
割と少し時間が掛かって辿り着いたので会えて、少し嬉しいのだが気を抜いてはいけない。
「どうも虹村京次と申します。そしてこちらの方は虹村千男。私の弟でございます。」
どんな時にも挨拶は大事だ。ましてや相手はあのレミリア.スカーレットとなると尚更だ。
でも兄さんが敬語を使ってる姿は目慣れないので、少し違和感を覚える。
兄さんが僕の名前も紹介されたとは言え、僕からも改めて自己紹介しなければ礼儀がならないと思い、僕も自己紹介をする。
「どうも、改めてまして、虹村京次の弟、虹村千男です。」
「そこに座って頂戴。」
言われるままに指定されたソファに座る。
レミリアも指定されたソファの前にあったソファに座った。
生でレミリア.スカーレットを見たのはいいが、一つだけ思わず居られない事があった。
(小さい...)
そう身長である。吸血鬼としての迫力を見せつけられながらも、人間で言えば10歳にも満たないような背の高さしかないレミリアを見て、そう思わずにはいられなかった。
そんな事考えている内に、兄とレミリアは談笑をしていた。
「私の頼んだカップケーキは?」
「こちらに」
そういえば、あの兄さんが持っていた紙袋は、レミリアの頼んだカップケーキだったんだなと確認しつつも、レミリアは一度も店に来てないのに何故僕達の店のメニューを知っているのは何故かと疑問を覚えたが、咲夜にでも教えて貰ったのだろうと思い気にしなかった。
「レミリア様、口元にチョコが...」
しばらく雑談をしていたのだが、レミリアの顔を見てみると口元にチョコが付いているという、レミリアの見た目年齢相応の事が起きていて僕はレミリアに対してそこを指摘した。
微笑ましい光景だが、この後、僕にどんでもない目に会う
「あらそう、ふいて頂戴」
「...え?」
少女の口元を僕がふく。
これを何も知らない人が見れば単に、「口元を汚した妹の口元を兄がふく」の様に見えるだろう。だが実際には「吸血鬼の口元を貧弱な人間がふく」という、恐ろしい事が此処で起こってた。
そんなに恐ろしくなさそうに見えるが、相手は誇り高き吸血鬼、ちょっとでも無礼を働けば首が胴体とかけ離れるのは間違いないだろう。
だが、此処で何もしなかったらそれこそ無礼だと思い、紙袋の中に入っていたナプキンをレミリアの口元に運び、拭いた。
「...ありがと」
「いえいえ」
何とかこの試練を乗り越える事ができた。
流石に生唾ゴクリもんの恐怖だったので心の中でホッと安心する。
「あ、このカップケーキ美味しかったわよ。これは、咲夜でも作れなさそうに無いわね」
「ありがたきお言葉です」
店のカップケーキは好評だったのか、とても嬉しそうな表情をしていた。心なしか、コウモリの翼も嬉しそうに揺れている様な...
「それでは、夜もいのでそろそろお暇させてもらいます」
「あらそう、とても美味しいお菓子を作ったお菓子職人を帰らすのは気が引けるわね。」
「申し訳ありません」
レミリアは僕達が帰る事に対して渋るが、僕達は明日も仕事がある身。もう大分話していたのでそろそろ帰って寝なければいけない。
「まぁいいわ、また今度お菓子を頼むわね」
「気に入られて恐縮です」
そして、お互い別れの言葉を言い、咲夜の案内の元、僕達は紅魔館の門へと向かった。
次の投稿は申し訳ありませんが遅れます。
ただし、一ヶ月以内には投稿させてもらいます。