風月庵に帰ってきた一匹の部下が持っていたのはフロニャルドの国である「ビスコッティ」からの援軍要請だった。
「なんと……!!」
ダルキアンはその手紙の内容を把握すると、直様ユキカゼ、ロード、九重を呼び集めた。そして事情を説明していった。
「なるほど…。つまり一国の姫がさらわれたため、僕たちに援軍の要請が来た…と。」
ロードの言葉にダルキアンは頷く。ビスコッティの姫「ミルフィオーレ・F・ビスコッティ」が敵国である「ガレット」に攫われ、現在はビスコッティ勇者と騎士団が救出作戦へと向かっている。というものだった。
「だったら、行こうぜ?その姫とやらのところに。」
チヒロがそう言うと、ダルキアンは渋い顔をしていた。
「恐らく…アクートも混乱に乗じる可能性が…」
「んなもん、俺と九重がいりゃ充分だ。あんたらは勇者の援軍を頼むぜ。」
ダルキアンは不安そうに九重の方を向くと、彼は小さくサムズアップしてみせた。その立てた親指は不安ながらも信頼を表すようにも見えた。
「これで決まりでござるな。」
ユキカゼがゆっくりと腰をあげると、それにつられるように全員が腰をあげた。そして各々がそれぞれのことを始めた。久々の「戦」のために。
その一方でビスコッティの勇者「シンク・イズミ」とビスコッティの騎士団長である「エクレール・マルティノッジ」は姫のミルフィオーレを助けるためにガレットへと向かっていた。
「エクレ、もっとスピードあげられないの?」
「これがこいつらのトップスピードだ。これで向かうしかない!」
シンクの不満そうな顔にエクレールは鋭い睨みを付けた。その途端にそれを察したのか。シンクは別の方向を向いて気を逸らそうとした。それでも彼らが乗る動物である「セルクル」というダチョウに似た鳥はずっと走り続ける。
知っているのだ。女性。いや、エクレールを怒らせるとえらい目に遭うことくらい。
一方ガレットでは来るであろう勇者たちを迎え撃つべく、兵たちの準備が進められていた。
「よし、姉上が帰ってくる前にことを済ませるぞお前ら!」
ガレットの王子である「ガウル・ガレット・ト・ロワ」は姉である「レオンミシェリ・ガレット・ト・ロワ」が外出中の今、彼の指示により全てが進められていた。
「王子、よろしいのですか?」
「これやったら怒られそうやけどなぁ。」
「まあ、いっても無駄でしょうけど。」
「ノワール・ヴィノカカオ」が率いるジェノワーズはガウルに疑問を問うも、ガウルは少し希望を持った目で彼女たちを見た。
「あの勇者、俺の相手には相応そうだからな!相手にするのが楽しみだ!!」
全員がダメだこりゃ。と言わんばかりに呆れた顔を浮かべた。彼女たちが恐れているのがそこではないことを、ガウルはよく耳に届いていないようだ。
ガレットに着いたシンクたちはその兵の数に圧倒されていた。
「くそっ……!!このままじゃ!」
「姫様の元には……!」
そこへとシンクたちへ大きな鉄球が放たれた。ガレットの将である「ゴドウィン・ドリュール」からのものだった。
「行かせるわけにはいきませんなぁ!」
立ちふさがる巨漢と鉄球に二人が呆気に取られていたその時だった。二つの剣が周囲の兵を薙ぎ払った。エクレールにはその剣さばきが誰のものかははっきりと分かっていた。
「ダルキアン卿……!!」
そこにいたのはダルキアンとノヴェムだった。ノヴェムは無双セイバーを片手に次々に敵を薙ぎ払っていく。
「早くあなたたちは勇者の元へ!」
ノヴェムの声掛けにシンクとエクレールは目を合わせ、一斉に走り出した。
「待てぇぇい!!」
ゴドウィンが攻撃を仕掛けるも、ダルキアンによってその鉄球は弾き返された。
「九重殿、ここは拙者に任せてチヒロ殿のところへ!」
「はい!」
ノヴェムは無双セイバーに「イチゴロックシード」を装填し、空中にエネルギーを放ち、そこからクナイを大量に出した。そのクナイに当たった兵は次々にやられていった。
「では!」
ノヴェムは兵の頭を踏みながら次々に先へと進んでいった。
ゴドウィンとダルキアンはお互いの武器を向け、同時に走り出した。そこからの火花は測り知れるものではなかった。
先に進んでいたエクレールとシンクはその場にある状況を飲み込むことができなかった。
「三馬鹿!?どうしたんだ!」
「三馬鹿って扱いなの…?ってそうじゃない!大丈夫!?」
その会話をしていた刹那、後ろから忍び寄る影がシンクたちを襲った。アクートが仮面ライダー鎧武の世界のオーバーロードの一人である「デェムシュ」の紅蓮の剣を振りかざすも、二人に攻撃が届くことはなかった。二人は後ろの鉄の当たる音を見ると、そこには剣を止めるロードの姿があった。
「君は……?」
シンクの問いかけにロードは首を縦に振り、アクートの剣を弾き返した。
「アクート……お前は俺が潰す!」
ロードは紋章砲を解放し、力を纏った火縄大橙DJ銃はその大剣でアクートを壁へと吹き飛ばした。
「あんた…勇者なんだろ?さっさと行きな!」
チヒロの言葉にシンクは走り出した。エクレールも三人を庇うように静かに後ろへと去った。
「まだ前の世界を根に持つとは…やはり我が友だ!」
「黙れ!」
アクートは仮面ライダーWの世界のガイアメモリの一つである「トライアル」を、ロードはフェイトユニゾンへと姿を変えて、目にも留まらぬ速さで剣を交えた。
「やはり面白い!!」
「……ちっ!」
ロードは砲撃魔法を何発も放つも、その攻撃は高速で動くアクートには直撃せず、アクートはその隙に近づき、腹に一撃を決めてみせた。だが、その時だった。
「チェーン…バインド!!」
「何っ!?」
アクートの周囲をチェーンのようなものが巻きついて、完全に動きを止めてみせた。そのタイミングでノヴェムがロードの元へと来た。
「いいタイミングみたいだね。」
「あぁ。一気に決めるぜ!」
ロードとノヴェムは同時に紋章砲を解放し、二人はガンバドライバーから自らの「ICカード」を取り出した。
「バーストチェンジ!」
二人の呼吸に答えるように、彼らの姿が変わっていく。ノヴェムは足に牙のような刃がつき、ロードは身体中を炎で纏わせた。
「これで終わりだ!」
二人は同時にアクートへと近づき、ノヴェムは仮面ライダーWの技である「ファングストライザー」と仮面ライダーカブトの技である「ライダーキック」を融合させた技を、ロードは仮面ライダーアクセルの技である「アクセルグランツァー」に魔力を与えた攻撃をアクートに与えた。チェーンごと吹き飛ばした彼らの攻撃はアクートを地面に叩きつけ、彼をほぼ戦闘不能に追い込んだ。
「これでとどめ……」
ロードが攻撃を仕掛けようとしたその瞬間、アクートは真紅の剣でロードを斬りつけ、ロードの傷からは多量の緑色の光が飛び散っていた。
「があああああああ!!!」
「チヒロ!」
ロードは倒れ込み、その瞬間に変身が解けた。ノヴェムはロードへと近づき、その抑止力として「リンゴ」のロックシードを彼に埋め込んだ。みるみるうちに彼の緑の光は収まり、彼は倒れこんだ。
「危なかった。危うく彼がインベスに……。」
ノヴェムはわかっていた。彼に危険なものを埋め込んだこと。だが、そうするしかなかったことも。
作:今回ちょっと?長くなりましたが、更新できましたぞい!
エ:やっと私たちの出番か。
リ:これ見る限り1期の4話辺りでありますな。
作:そうだね。ただ……ロードくん。
エ:リンゴロックシード。危険なものなのか?
リ:詳しくは仮面ライダー鎧武外伝!バロン編と斬月編を見るでありますよ!エクレ!
エ:催促するな!
作:まあ……、そこそこ危険なもんですわ()
エ:そんなものを何故……?
作:というわけで今日はここまで!さよなら〜!
エ:……。