チヒロと九重はエクレールと共に少しばかり自分たちの現状、そしてエクレールたちの現状を確認していた。
「なるほど。つまりお前らも異世界から来て奴を追い、その最中でダルキアン卿とユキに会ったわけだな。」
チヒロは素直に頷き話をしようとした。しかし、九重はその口を止めるように話しだした。
「えっ?待って?今「も」って……。」
「そうか。まだ話されてなかったのか。」
エクレールは少し考え込むように呟き、疑問符を浮かべる九重やチヒロに話を進めた。
「さっきの金髪。奴は「シンク・イズミ」地球から来た勇者だ。」
チヒロからロードへと人格が変わり、話を続けた。
「つまりは彼も地球から使命を持ってここに来た……と?」
エクレールは頷く。そして彼女はまた話を続けた。
「そして今、このビスコッティにも危機が迫っている。」
彼女は神妙な面持ちで二人を見た。二人の少し呑気そうな顔を見てふと神妙な面持ちが崩れた。
「どうした?」
「ん?」
エクレールは自分で気付かなかった。自分がふと見せた笑顔。そして、彼女の尻尾が少し振り幅を大きくしていたことを。
「んで、使命ってなんだ?」
チヒロへと人格が変わり話し出すと、エクレールは面持ちを変えて話し出した。
「今、この世界の魔物が暴走している。なぜかは分からない。」
九重とチヒロは少し思い当たりがあり、目を合わせる。
「さっきのあの戦士が原因となるなら、話は早いが…。」
「待ってください。」
エクレールの話の途中に九重が入り込む。
「奴の攻撃は僕らはおろか、他の攻撃すら受け付ける様子がなかった。」
「そうだな。俺たちで戦って様子を見させてくれ。」
エクレールはその案に少し考え込み、
「わかった。ただし、傷だけは負わないでくれ。奴は強い。」
エクレールのその言葉に返すように二人は笑みを浮かべ、打ち上がる花火の方へと歩いて行った。
「どう思いますか?姫様。」
少し物陰に隠れていたミルフィオーレはエクレールの質問に答えた。
「彼らならやってくれる。そう思います。」
姫であるミルフィオーレが見込んだのだ。きっと間違いない。きっと……。
合流したユキカゼとダルキアンは彼女たちの見たもの。悍ましい影の姿の話をしていた。
「お館様が見た影はここで消えた……と?」
ダルキアンは頷くと、少しばかり考え込んで話を進めた。
「もしや、ロード殿たちが追っている「アクート」とやらと因果がありそうでござるな。」
「もしそうだとしたら……。」
ユキカゼは少し近寄り鼻をすする。しかし、臭いもしなければそのような跡すら見当たらない。
「まあ、アクートとはまた因果で巡り会う。その時に解決しよう。」
ダルキアンはユキカゼに背を向け歩いて行った。それに付いていくようにユキカゼもまた歩き出した。彼女たちの眼の前には赤い花火が何本も打ち上がっていた。
シンクは誰もいないたった一人で花火を呆然と見つめていた。
「あの敵……。」
彼が昔見ていたヒーロー。そう「仮面ライダー」の姿に酷似しているように見えた。そして助けられた二人の戦士もまた仮面ライダーのようにシンクは見えた。
「仮面ライダーは正義じゃないのか……。」
シンクは少し俯いていると、後ろから肩を叩かれ見ると二人の青年が居座っていた。
「どうした?勇者さん?」
「君たちは……!」
彼の聞き覚えのある声。そう、先ほどシンクとガウルを助けた戦士だった。彼らは横に座り込みしょげたシンクの顔を窺った。
「どうしたの?」
シンクに九重が問いかけると、シンクは心を決めたように話し出した。
「あなたたちは「仮面ライダー」ですか?」
九重とチヒロが何も言い返す間もなくシンクは話を続けた。
「僕の知ってる仮面ライダーは、人を守り自由や平和を愛する。そうだと思ってました。だけど、ライダーは僕やガウルに攻撃を向けた。これって…」
「もし、俺たちが「擬似の」仮面ライダーだとしたら?」
話し続けようとしたシンクに入り込むようにチヒロが話し出した。九重はそれを止めずに話を聞いた。
「俺たちは「擬似」で造られたモノだ。俺たちだって大元がどんなのかは知らない。」
「チヒロ!」
ロードがチヒロを脳内で静止させようとするも彼はそれを聞くことなく話を続けた。
「ニセモンで弱っちいのが俺たちだ。人も平和も守れてないかもしれない。それでもライダーだ。だから戦う。」
シンクは少し顔色を変えてその話を聞いていた。気付いたのだ。彼らに失礼だった。護ってくれた人に言うことではなかった。と。
「お二人共。すいませんでした。」
シンクは深々と頭を下げようとしたら、二人は土下座で彼の下へと這った。
「こちらこそごめんなさい!君のヒーロー像を壊してしまって!」
「本当に悪い!ただの俺の価値観だ!流してくれ!」
慌てふためく三人の姿をこっそりとリコッタは見ていた。
「三人共、良いヒーローになりそうでありますな。」
リコッタは自分で開発した新武器を持ちながら、そう言った。
ガウルはレオンミシェルから遠吠えのような説教を受けていた。
「何故あんなバカをした!異形の者を城内に入れよって!」
「いや…姉上それは…」
「閣下と呼べ!!」
レオンの大声にガウルは身震いしながら耳を塞いだ。王であるレオンミシェルからの承認なく兵を動かしたのだ。無理もないといえば無理もない。
「しかし、あの敵。どこかで会ったような気がするな。」
ガウルはレオンミシェルの呟きに疑問符を浮かべた。彼らを見たのは初のはずだし、自分にも身に覚えがない。
「まあ、良い。次からは承諾なく兵を使うな!分かったな!」
「はい……。」
ガウルは凹んだような声を出すと、レオンミシェルはよし。と彼を部屋へと帰らせた。
「閣下…あれは…。」
「主もそう思うか?ビオレ。」
レオンミシェルの側近であるビオレに彼女は問いかけた。確かに似ているのだ。かつて この世界を救ったある戦士に…。
「名をなんと申したか?」
「彼の残した言葉には「アーマードライダー」と申されたとか。」
「アーマードライダー……か。」
レオンミシェルは笑みを浮かべた。もしそうだとするなら…、彼らが同じだとするならこの世界は……。