アクートのあの戦闘から一週間が経ち、シンクとチヒロは特訓へと励んでいた。
「やるな!」
「そっちこそ……ねぇ!」
ロードはシンクへと蹴りを入れこもうとするもシンクはパラティオンで弾き返し、更にはロードに追い打ちをかけるように紋章砲を放った。
「ぐっ……!!」
「待って!?」
シンクはロードへと駆け寄り、彼の腹部を見た。
「この傷……。」
彼を削るヘルヘイムの傷。それをみたときシンクは何とも言えない恐怖に襲いかかられた。
チヒロはシンクの肩を借り、小さく呟いた。
「この傷のことは言うなよ?」
チヒロは傷を庇うように立ち上がると直様シンクの元を去って行った。
「あれ!?ここにいたのは勇者様だけでありますか?」
「!!?」
シンクは驚くように後ろを見た。そこにはかなり上機嫌なリコッタがちょこんと座り込んでいた。彼女の手には小さな宝石のようなものがあった。
「リコ、それは?」
「これは、あの異国の者に渡そうと思ってたのでありますが……。」
シンクは背筋が凍った。もしさっきの傷をリコッタが見ていたら……。
「い…今は彼も忙しいからねぇ。はははは」
リコッタは沈んでいた尻尾が更に沈み話し始めた。
「あの「チヒロ」という方にこれをお渡ししたかったのであります。」
シンクはそっとリコッタの手を握った。
「僕が渡しておく。だから安心して。」
「わかったであります…。」
リコッタはその小さな手に握っていた宝石をシンクに託し、そのまま歩き去っていっていった。
「チヒロさん…、ロードさん。」
シンクは先ほどの傷の色だけが浮かび、空すら歪んで見えた。
ロードはチヒロから無理やり人格を変え、少し歩みを止めた。
「何すんだよ!」
「冷静に考えろ!君の体ではアクートはおろか、他の敵と戦えるかすら危ういんだぞ!?」
チヒロはロードの言葉に口を閉ざす。彼の言ってることがわからなくはない。だが…、
「じゃあ黙って指くわえて見てるか?」
「!!」
それがチヒロの決心のようにロードは聞こえた。彼の戦う意思、そして彼が人を守る唯一の理由のようにも。
「……そうだね。だが無茶はしないでね。」
「わかってら!無茶なんて毛頭する気はねえよ。」
二人は一つの体を使って歩き出した。彼らもまた戦うために。
九重はダルキアンと共に山へと向かっていた。
「ダルキアン卿、少しよろしいですか?」
「どうされた?九重殿。」
ダルキアンと九重は歩みを止め、九重は話し出した。
「この世界にもし、願いがあるとするなら何を望んでると思いますか?」
ダルキアンは不思議な顔をして九重を見た。九重は説明を足すように話した。
「もし、僕らが世界を壊すような真似をしているのであれば……」
ダルキアンは不安げになる九重の頭を撫でた。その手は温かく、優しさを感じた。
「もし九重殿たちが世界を壊す真似になろうとも…それが間違いでも、拙者は世界ではなく二人を信じるでござるよ。」
「ダルキアン卿……。」
九重は少し自信が持てた。自分を信じよう。それがロードやチヒロを、世界を壊すようなことになろうとしても……。
ビスコッティの奥底にある祠。そこにいたのはアクートだった。
「やっと見つけた……。」
アクートは青く光る宝石に手をかけ、それを握り潰した。
「次は聖獣ユニコーン。これでこの世界は終わる……!」
彼が去ろうとしたその刹那。唐突にアクートの後ろから殴りかかる戦士。アクートはそれを避け、その戦士と睨み合った。
「そろそろ君もしつこいなぁリョウヘイ。いや、「ガンバライダークロス」。」
「世界を壊されるのを黙って見てられるかよ…!」
クロスはガンバソードを召喚し、アクートはなのはの世界の力である「ナハト・ヴァール」を召喚し、ガンバソードを防いだ。
「いずれお前も我が友も滅びの道を行く。それが楽しみだよ。」
「待て!」
クロスは追おうとするも、ナハト・ヴァールの衝撃波により吹き飛ばされた。彼が見たときには既にその姿はなかった。
「このままじゃまずいな……。」
彼が考えを絞っていると、GRZ社からの通信が彼の耳をよぎった。
「こちらリョウヘイ。アクートは……えっ?」
リョウヘイはGRZ社からの言葉に先ほど考えていたことがすべてショートした。彼は通信を切りさらに考える。
「どういうことだ…。何でアクートが「何体も」いるんだよ…。」
リョウヘイは頭を抱え、ガンバライダーのレイシフトシステムでワープした。「別世界のアクート」を止めるために…。