ロードはユキカゼと共に特訓へと励んでいた。
「くっ!当たらない。」
「それくらいなら避けられるでござるよ!」
ユキカゼは紋章砲を使い、ロードの火縄大橙DJ銃から放たれた光弾を次々に避けていく。その火花の隙を見たからか、ユキカゼは光のごとくロードへと迫る。
「それでは一手を取られるでござるよ?」
ユキカゼはロードへと小刀を向けた。ロードは降参を表すように両手を上に挙げた。それを見てユキカゼも小刀をゆっくりと下ろした。
「俺の感覚が追いつかなかったばっかりだ。悪い。」
「チヒロが謝る必要はないよ。むしろ僕に難がある。」
ユキカゼは責め合うように話す二人を制した。そして声色を変えて話を始めた。
「今の二人ではアクートには間違いなく勝てないでござる。その傷があれば尚更。」
チヒロとロードは傷を見つめた。アクートに斬り込まれた傷。それは日とともに大きさを増していく。
「俺たちには何が必要なんだ?ユキ。」
チヒロの言葉にユキカゼが答える。
「二人の呼吸を合わせることでござる。まだ二人は一つになれていないでござるよ。」
チヒロとロードはお互いが目を瞑った。チヒロは自らの感覚に、ロードは自らの思考に頼り過ぎた。
「その二つが兼ね備えられた時に二人はもっと強くなれるでござるよ!」
ユキカゼは先ほどの鋭い眼はどこへやら、笑顔でチヒロたちにそう言ってみせた。
「ありがとう。ユキ。」
チヒロはユキカゼにそういうとユキカゼもまたそれを頷き返した。
「二人とも!」
二人の元へと走ってきたのはシンクだった。これまで以上に彼は顔色すらも変えてこちらへと走ってくる。
「どうした!?」
二人が駆け寄るとシンクは倒れこむように二人の手を借りた。
「大変なんだ……。ビスコッティが…!」
二人はシンクを連れ走り出した。この先の危機。悲劇へと。
ビスコッティでは仮面ライダー鎧武の世界のモンスターである「インベス」が大量発生し、人々を襲っていた。
「何が起こってるんだよ!」
ノヴェムは仮面ライダー龍騎の世界の能力である「アクセルベント」を駆使し、次々にインベスを倒していく。しかしその数は止まることを知らずに、むしろ増えているようにも感じる。
「九重殿!」
ダルキアンの声が聞こえノヴェムもそちらへと首を向ける。ダルキアンも紋章砲を駆使して次々に倒していく。
「これは一体……?」
ノヴェムは顔を渋らせて持っていた端末を開いた。しかし、そこから何のデータも映っていなかった。
「おかしい……。」
ノヴェムは頭を掻き毟るもどこにもデータがない。そこへとロードたちが向かってきた。
「九重!」
「チヒロ!」
ノヴェムを庇うようにロードは自らの武器である「ガンバソード」でインベスを斬りつけていく。
「クラックは!?」
「それが……ないんだ。」
「えっ?」
ロードとチヒロは驚愕の声を上げた。本来インベスが出現する際に必要となる穴「クラック」が必要となるのだが、それが見つからないというのだ。
「じゃあどこから湧いてんだよ!」
「まさか……!」
ロードは空中へと飛翔し、その影を探した。
「ここにアクートの気配はないでござる!」
ユキカゼはロードへとそう伝えるとユキカゼは紋章砲をロードは空中から銃撃を放ち、周囲を一網打尽した。
「じゃあ、誰が……!!」
チヒロのつぶやきと同時にノヴェムは紋章砲を放ち、遠くからの銃弾を防ぎきった。煙が晴れるとそこには一人のライダーがいた。
「お前……誰だ?」
チヒロがそう聞くもライダーは話を聞かず攻撃を続けた。
ユキカゼとダルキアンはその姿に驚きを隠せなかった。
「あなたは……!?」
そう、かつてこの国を救ったとされる「アーマードライダー」に酷似するものだった。
「俺の名は「新牙」。お前と同じ「兵器」だ。」
新牙はロードたちへと無双セイバーを向け走り出した。それと同時にチヒロたちも無双セイバーを持ち走り出した。
「君と今戦ってる場合じゃない!どいてくれ!」
新牙はノヴェムの無双セイバーを弾き飛ばし、彼を殴り飛ばした。
「九重!!」
「よそ見してる場合か?」
ロードを無双セイバーで斬りつけ、彼へと剣を向けた。
「何故兵器であるお前が人と関わり戦う?」
「何?」
ロードは向けられた刀を蹴り飛ばし、そのまま近づいた。しかし、
「甘い。」
「なっ!!?」
新牙は懐からもう一つの刀を取りチヒロを斬りつけた。その形は鎧武の世界の「大橙丸」に酷似していた。
「チヒロ!防御に回ろう!コイツの相手をしてる場合じゃ…。」
「でも戦わなきゃ一生攻撃してくるぞ!」
新牙はチヒロたちを睨みつけた。
「人間を守るなど愚かだ…!兵器のくせに…!」
彼の額からチヒロたちの持つ傷と同じ光をみせた。そしてユキカゼたちにさらに多数のインベスが押し寄せた。
「まさか……テメェ!」
チヒロは火縄大橙DJ銃を大剣モードへと形を変え走り出した。それに対抗するように新牙は剣を向け走り出した。
ダルキアンとユキカゼは増えていくインベスを倒していく。しかし、その数からか彼女たちの体力は消費されていく。
「親方……様。」
「ユキ…耐えるでござるよ!」
「しか……し。」
その時だった。背後にいたインベスの鋭利な爪ががユキカゼの体を貫いた。
「ユキ!!」
ダルキアンの声にチヒロはユキカゼの方向を向く。見るとユキカゼの腹には穴が開き、そこからチヒロたちと同じ光を飛ばしていた。
「ユキ!!」
走ろうとするチヒロの前に現れたのはアクートだった。
「友よ…更に俺が面白くしてやろう!」
アクートが放った黒い剣は光を放ったユキカゼへと突き刺さり、緑色と黒色の光が彼女を支配した。
「あああああああああああ!!!」
彼女の叫びを止めようと走るも、アクートはその先へ向かわせることを許さない。
「……潮時か。」
去ろうとする新牙をノヴェムが銃撃で足を止めた。
「何が目的だ……!」
新牙はその声を聞くことなく歩き、次元の壁の先へと消えていった。
「待て…!」
ユキカゼのを包んだ光はやがて闇へと変わり、周囲を取り込むかのごとくインベスを喰らい、大きくなっていく。
「……ユキ?」
ダルキアンは剣を落とし倒れこんだ。絶望しかなかった。彼女を取り込んだ闇はフロニャルドを包み込み、光は通らぬ漆黒へと姿を変えた。