-ビスコッティを包む闇-
それは魔物とインベスが融合したユキカゼ・パネトーネが起こしたものだった。チヒロたちはただただ空を見上げる。
「手段が全く見つからないぞ……。」
「皆さん!」
焦るノヴェムたちの元に来たのはシンクだった。彼は飛行機のようなものに変身させたパラディオンを元に戻し、ダルキアンへと駆け寄った。
「ダルキアン卿……これは一体?」
シンクの質問にダルキアンは震えた手を止めるように小さく話し始めた。
「ユキの大元はこの地を守る土地神「ユニコーン」の子だった。」
震えが止まったダルキアンはゆっくりと立ち上がった。
「だが、ユニコーンはかつて拙者が魔物として断ち切り、彼女の肉親を奪う形となってしまった…。」
ノヴェムはダルキアンの手を取った。彼の手は傷だらけのはずなのに温かく、優しく感じた。
「過去は過去です。僕らに今できることをしましょう。」
「九重殿……。」
ロードは脳内でチヒロへと話しかける。
「チヒロ、僕に提案がある。聞いてくれるかい?」
「今の話を聞いた上で言ってるのか?」
ロードは小さくうなずき話を続ける。
「シンク……君の力も必要だ。やれるね?」
シンクもまた頷きパラディオンを剣へと形を変えた。
「私も行きます!」
「あんたは……!」
そこにいたのはビスコッティの王妃。ミルヒオーレだった。彼女は片手に剣を持ちそう言った。
「この剣は聖剣エクセリード。これなら闇を打ち払えます。」
それを聞いて思い出したようにシンクはポケットから緋色の石を取り出した。
「これはリコが作ってくれた武器なんです。チヒロさんたちに。って。」
チヒロたちはそれを受け取り、その石に光を宿した。
「これは……?」
ミルヒオーレの持つエクセリードの色を反転させたような青色の剣が彼の手へと残った。
「聖剣…アロンダイト。エクセリードの兄弟剣です。」
「アロンダイト……。兄弟剣ならこれも闇を打ち払えるってことか!」
チヒロがそう言うとミルヒオーレは頷いた。シンクはパラディオンを先ほどの飛行機へと、ロードはフェイトユニゾンへと姿を変え、ミルヒオーレはシンクの飛行機の上へと乗った。
「んじゃあ行くか!」
彼らが向かおうとしたその時だった。
「行かせると思うかぁ!!?」
アクートは大量のシャドウライダーを召喚し、チヒロたちを取り囲んだ。
「真上に飛ぶぞ!」
「あぁ!」
チヒロたちは真上へと飛翔し、ユキカゼの元へと向かった。しかし、シャドウライダーたちはそれを追うように射撃を始めた。
「これじゃ不安定に……!」
ミルヒオーレを抱きかかえるような体勢のシンクには安定などするはずはなかった。
「ここは俺たちに任せろ!」
地上の声。それはガウルからのものだった。ガウルは爪を研ぎ澄ましシャドウライダーを切り裂いていく。
「お前たちはユキを頼む!」
地上ではエクレール、ジェノワーズ、レオンミシェリがシャドウライダーを一斉に切り刻んでいく。
「ああ!任せた!」
チヒロとシンクは更に高度とスピードを上げていく。そして近づいていく。闇の大元。魔物の側へと。
地上ではエクレールを筆頭にガウル、レオンミシェリ、ジェノワーズが戦闘を繰り広げていた。
「さっさと片付けるぞ!」
「分かってるよ!」
背中を合わせてガウルはエクレールの指示に反応する。
ジェノワーズはレオンミシェリを筆頭に彼女の背後を守るように戦っていた。
「戦い。終わらせようね。」
ノワールからの言葉に少しベールとジョーヌは笑みをこぼす。
「どうしたの?」
「いや、なんでも?」
ベールは弓を放ち、ジョーヌは自らの斧を振り回して敵を一掃していく。
「……変なの?」
ノワールは迅速な動きで次々に敵を薙ぎ払っていく。
「こんな時でもお前らは呑気でええの!」
レオンミシェリは自らの神具である「魔戦斧グランヴェール」を使用し次々に敵を薙ぎ倒していく。
「話にならんな!」
「ならばこれでどうだ!」
レオンミシェリが見上げると、アクートは仮面ライダー剣の世界の武器である「キングラウザー」を振りかざしレオンミシェリへと振るった。
「だからどうした!」
レオンミシェリはキングラウザーをグランヴェールで止めた後、アクートを弾き飛ばした。
「くっ!!」
そこへと向かってきたのはノヴェムとダルキアンだった。
「レオ閣下。あとはお任せを。」
レオンミシェリは心配そうにダルキアンを見つめる。
「やれるのか?」
ダルキアンは笑顔で振り向いてみせた。
「きっと……ユキもこうすることを望んだでござろう?」
「いきましょう!」
ノヴェムは仮面ライダーBLACK RXの世界の武器である「リボルケイン」を召喚し、アクートへと走って行った。
「よし、任せるぞ!」
ダルキアンはレオの言葉に首を頷かせ、アクートへと走って行った。
「雑魚どもが……以前の借り、返させてもらうぞ!」
アクートもまた仮面ライダーBLACKの世界の武器である「サタンサーベル」を召喚し、ノヴェムへと走り出した。
「待っていてくれ…ユキ!」
ダルキアンは小さく呟いた。自分のために。皆のために。