真っ暗な闇。その中で少女は問いかける。
「母上は・・・?」
何も見えない暗闇の中、少女は必死に手探りを入れる。しかしそこには闇しかなく、もがいても何も生まれることすらない。
その度に浮かぶあの記憶が少女を壊していく。母の死に様の前に立ち、剣を振るい自分だけを助けたあの女性の顔である。
「親方・・・様。」
ビスコッティを覆う闇。それはチヒロたちが近づくたびに大きくなっていく。
「キリがねぇぞコレ。」
「そんなこと言ったって・・・」
チヒロに対してシンクは言葉を返した。無数に広がる闇。それはユニゾンして力をつけたロードですら撃ち抜けるものではなかった。
「どうやって切り抜ける?」
無数の光弾を弾き返しながらロードは思いついたようににやけた。
「無茶していいかな?」
「あぁ結構だ!やるぜ!」
ロードへと人格が変わり、シンクへと指示を出した。
「紋章法で大きなバリアを張って!」
「はい!」
シンクとミルヒオーレは言われたとおり、自らの体より何十倍も大きなバリアを作り出した。
「よし。」
ロードはレイジングハートを構え、そのままバリアへと砲撃を放った。
「おい!」
「でも・・・!」
バリアは押し出されるように先へ先へ進んでいく」
「あれにくっついて行こう!」
ロードは砲撃を続けながら前へと進んでいく。そしてシンクもそれに続くように飛んだ。
「ロードさん。先に向かってください!」
そう言ったのはシンクだった。
「何でだよ!」
チヒロの問いかけにシンクは答える。
「今、ユキを止められるのはあなた達だけです。」
チヒロはハッとして目の前を見た。ここの世界でしてきたこと。思い出が目の前に広がる感覚。
「さあ行って!ここは僕たちでなんとかします!」
彼はシンクの言葉に頷き、空高くへと勢いを進めた。
「勇者様・・・。」
「大丈夫だよミルヒ。あの人たちだって同じ「勇者」なんだから。」
不安そうに見つめるミルヒオーレにシンクはそう返したのだった。
ノヴェムとダルキアンはアクートと激しい攻防を繰り広げていた。
「やるな・・・」
アクートは仮面ライダー龍騎の武器であるドラグセイバーを、ノヴェムは仮面ライダーキバの武器であるガルルセイバーを手に取り、激しい剣戟を広げた。
「研究者の君だったら知っているのだろう?我が友の末路を。」
「あぁ、可能性の一部はな!」
ノヴェムが突き飛ばすと、ダルキアンがその隙にと紋章法を放った。
「くっ・・・。」
紋章法はアクートへと直撃し、彼を仰け反らせた。
「ただ、それは一部の結末に過ぎない。僕らが未来を変えることだってできるんだよ!」
「九重殿・・・。」
ノヴェムの言葉にアクートは高笑いする。
「不可能なことをほざかない方がいい。無駄な夢だ。」
アクートは再びノヴェムへと走った。それと同時にノヴェムも走り出した。
「はあああああああああ!!」
ノヴェムは声を荒げるように叫んだ。未来は変えられる。そう。きっと・・・。
チヒロ達はシンク達と離れ、闇の根源。つまりユキカゼの元へと到達した。
「いくぞ・・・。」
「あぁ。」
チヒロ達は奥へと進んでいく。闇は迎えているのかそれとももっと違う理由なのか先ほどのような攻撃の嵐がない。
「いた!」
深い闇の奥、そこにユキカゼは眠るように横たわっていた。
「ユキ!」
チヒロが近づくとユキカゼは少しずつ目を開けた。
「チヒロ・・・殿。」
「大丈夫か?」
チヒロの問いかけにユキカゼは首を横に振った。
「この傷が広まってきてるでござる・・・。心身に毒が回ってきてることが感じられる程に。」
「大丈夫だ!助けられる!」
「僕の考えていた方法が使えないまでに回ってるかもしれない。」
ロードの言葉にチヒロは驚きを隠せなかった。ここまできてそんなことがあり得るのだろうかと。
「故に拙者を断ち切る以外の方法は今の所無さそうでござる・・・。」
「なっ・・・。」
ユキカゼは傷を隠すように立ち、話を始めた。
「母上様が魔物として斬られてから後はずっと親方様に育てられてきました。きっと親方様は罪滅ぼしの気持ちもあったのでしょう。でも、それでも嬉しかったのでござるよ。」
「だったら・・・」
ロードが入ろうとすると、ユキカゼはそれを制した。
「でも、もう良いのでござるよ。あの方の罪も辛さも全部消してあげらる。それで本望でござるよ。だから・・・」
「勝手なことばっかり言ってんじゃねぇぞ・・・!!」
チヒロはユキカゼの背中へと拳を当てた。彼女の傷の部分から大きな光が生まれていく。
「あの人はお前を家族のように大切で大好きなんだ。罪のためにお前が存在したわけでもねぇ!!」
「チヒロ殿・・・。」
彼女の光は徐々に強まっていく。
「だから、死ぬなんて言うな!!お前には生きて幸せになる義務がある!!」
「チヒロ!無茶だ!!」
チヒロは体の中から埋め込まれたリンゴロックシードを取り出した。
「上手くいってくれよ・・・!!」
「チヒロ殿・・・?」
彼女の中から光がどんどん消えていく。その光はリンゴロックシードへと注がれていった。
「このままだと僕らがインベスになりかねない!!」
「上等だ。バケモンにでも何にでもなってやるさ!!」
光が全てロックシードへと向かうと、チヒロは再度それを体の中に埋め込んだ。
「うっ・・・。」
「チヒロさん!!」
シンク達が到達した時、チヒロからはエメラルドのような綺麗な緑の光が漏れていた。しかし、チヒロはすぐに立ち上がった。
「さぁて、この闇ともおさらばだ。」
チヒロ達は闇のコアに突き刺さった魔剣へと聖剣を向けた。
「ホーリー・・・カリバー!!」
聖剣から放たれた光は剣の闇を消し飛ばし、闇の空間そのものを撃ち払った。
「ここももう崩れる!行こう。」
ロードの言葉に全員が頷き、撃ち払った闇を背景に勇者達は大地へと向かっていった。
作;いやぁ久久に更新できたわ。
エ;何ヶ月ぶりなんだこれ
作;何ヶ月ぶりなんだろう・・・。4ヶ月くらい?
ユ;随分と置いてたでござるなぁ
エ;ユキ。来てたのか!
作;絶望展開で4ヶ月も置いててすまんねぇ
ユ;まぁ忙しかったのでござろう。許す!
作;あぁ、どっかの誰かさんとは大きな違い・・・
エ;置いてたお前が悪いだろ!
作;ごめんごめん。これからは割とペースあげますよーっと(今年中にこの賞は終わらせる予定)
リ;では!次回もお楽しみにであります!