ロードは少女を背負いながら、夜の道を駆けていた。
「ったく・・・、どこに行き着けば良いんだ?」
裏道を抜けて行き着いた先は、大きな広場だった。そこには多くの人と何やら物騒な動物がうろついていた。
「何だここ・・・。」
チヒロが辺りを見渡した時、背負っていた少女が目を覚ました。
「ん・・・?」
「あぁ、起きたか?」
少女は驚き、大きな声を出した。
「あんた誰よ!?」
ロードに人格が変わり、話を進めた。
「君はどこかわかんないところに閉じ込められてたんだ。そこから僕らが偶然いて・・・」
少女は声を荒げて怒りを露わにした。
「あんたらの助けなんて呼んでないわよ!私は行くからね!」
「ちょっ・・・」
チヒロに性格が変わり、声を荒げた。
「お前どこに行くんだよ!一人じゃ危ねえぞ!!?」
少女は留まり言葉を放った。
「私は私の目的を果たすだけよ。だから私は行くの!」
チヒロは呆れの息を漏らした。
「じゃあ、いけよ。目的のためなら仕方ない。」
「ちょっ!?チヒロ!?」
少女とチヒロは別々の道へと歩いて行った。チヒロは街へ、少女は細い裏道へと入っていった。
九重はファルファラと共に小さな廃墟に身を寄せていた。
「ここはどこなんですか?」
九重の質問にファルファラは得意げに答える。
「ここは私の基地。みたいなものかしら?ここで私は生活しているの。」
九重は外を見た。外には警察らしき人たちが辺りを走っていた。
「ここは一体どういう世界なんですか?」
「ここは百億ドルの世界。この世界は百億ドルで作られた偽りの世界よ。この豪勢な街もね?」
寂しげな表情を浮かべて、九重は外を見つめる。
「寂しそうね?」
ファルファラは隣に座った。彼女は心配そうに九重を見つめた。
「大切な友人が・・・、どこかにいるはずなんです。何をしているかもまだ分からないです・・・。」
そう。とファルファラも心配そうに外を見つめた。
「きっと生きてるわ・・・。この世界のどこかで。」
二人はネオンの光る街をただただ見つめるのだった。
ネオンの街へが光る街。その中心部であるカジノの奥では、傭兵のブラッドと、その兄であるヴィンセントが話をしていた。
「すまねぇ兄貴・・・。俺が不甲斐ないばかりに・・・。」
ヴィンセントはブラッドを蹴飛ばした。その目の圧力は金髪で大きな体のブラッドすら目を背けるほどだった。
「じゃあさ〜、お前は早く追おうともしないわけ?軍がないと動けないわけ?」
ブラッドは目を背け続ける。ヴィンセントはそれを見かねたように胸ぐらをつかんだ。
「てめえ一人じゃ何も出来ねえのかって聞いてんだ!!?追うことぐらい容易いだろうがこのポンコツ!!」
ブラッドを壁に打ち付けると、ヴィンセントは息を整え言葉を交えた。
「軍を貸してやる・・・。これで失敗するようならてめえはただのポンコツだ!よく覚えとけ!!」
「・・・あぁ。ありがとう。」
ブラッドはその場においた身の丈よりも大きいガトリングを背負い、彼の元を去った。
「ったく・・・。」
ヴィンセントはいかにも高そうなソファに腰がけ、書類を見た。
「誰にも・・・、渡すわけにゃあいかねえんだよ・・・。」
その書類には逃げ出した少女「ティナ」についての情報が書かれていた。
少女は裏道を抜けて外へと歩いて行った。
「何でこんな目に遭ってるの・・・?どうなってるのかしら・・・?」
少女は歩き回り、行き着いた先には多くの男がいた。
「あなたたちは!?」
男たちは少女を囲む。大きな身体は小さな少女を囲む。
「ヴィンセント様のご命令だ・・・。悪く思うな?」
男たちが寄り掛かろうとしたその時だった。
「待てよ。」
そう声が聞こえる。そこにいたのはチヒロだった。彼は少し荒れた髪を撫でて彼らへと歩いて行く。
「何だお前は?」
少女も驚いた目で見つめた。チヒロはガンバドライバーを装填した。
「さあな。」
チヒロは小さく「変身」と呟き、男たちへと走って行った。
「やれ。」
男たちはロードたちへと走って行った。ロードは仮面ライダーアギトの武器である「シャイニングカリバー」を召喚し、男たちを薙ぎ払っていく。そして、少女を背に置いた。
「ほおっておいて・・・。って言ったのに。」
軽く笑い、少女を見つめた。
「お前がオッケーでも俺がダメだった。ただそれだけの話だ。」
ロードは二対の剣で敵を振り払っていく。その剣は残像で何本の剣にさえ見えた。
「こいつ・・・!!」
その途端、大男は合図を出した。彼らの後ろには不穏な影が近づいていた。
「なっ!!?」
チヒロが気づき、剣を振るったのも遅かった。獣が飛びかかり、彼へと飛び込もうとしていた。
「しまっ・・・」
しかし、彼らへと飛び込む前に獣は肉片へと姿を変えた。ロードたちが見ると、少女の手には二つの剣が宿っていた。
「私だって戦えないことはないんだよ?」
少女の自慢げな姿にチヒロは少し笑みを浮かべ、再び大男たちへと剣を向けた。
「さあ、大将を呼んでくるなら今のうちだぞ?」
チヒロはシャイニングカリバーを大男たちに向けた。忽ち大男たちは逃げ去って行った。
「・・・ふぅ。終わったか。」
少女は倒れ込んだ足を無理矢理あげるように立った。
「ありがとね。あと・・・ごめん。」
ロードへと人格が変わり、少女の頭を撫でた。
「心配することはないよ。追っ手が来ても僕らで何とかする。」
少女は小さく頷き声を出した。
「・・・ティナ。」
「ん?」
ロードが首をかしげたので、もう少し大きな声を出した。
「ティナ。それが私の名前。」
ロードはにこやかに彼女の手を取った。
「じゃあ行こうか。ティナ。」
ティナとロードはあまりにも感情に合わないほど明るいネオンの街へと歩いて行ったのだった。