街の明かりが少しずつ消えていく夜。そんな夜の中をチヒロとティナは裏路地に入りながら少しずつ前に進んでいた。
「どこに繋がってんだこれ?」
「分かんないよ!」
チヒロとティナは見たこともない街で地図もなく、ただ街灯の光に寄っていくように走っていた。恐らく敵も追ってきている。彼らの焦りは高まる一方だった。
「ねえ?これおかしくない?」
ロードの声にチヒロは疑問符を浮かべた。時計を見ると七時を指していた。
「僕らが降りてきたのは夜だった。つまり朝になってもおかしくないんじゃ・・・?」
チヒロは足を止め思考回路を回した。しかし、問いに対する答えなど出るはずもなかった。
「どうしたの?」
ティナの問いかけにチヒロはあぁ。とだけ空返事を返した。ティナはチヒロへと鋭い目を向けた。
「何か隠してるなら何か言って!じゃなきゃ分かんないよ!」
ティナの強い声にチヒロは後ずさりをしたような気分だった。チヒロは一息ついて話を始めた。
「この場所がまだ夜の理由ってお前にわかったりするか?」
ティナはうーん。と考え込む。そこへ聞き覚えのある声が答えを出した。
「この世界そのものが夜しかないとしたら?」
「!?」
聞き覚えのある声だった。何度も戦い、怒りをもぶつける存在。
「アクート・・・。」
ティナの疑問符は更に多くなった。彼女の前にはもう一人の鎧をまとった戦士がいた。
「またお前の仕業ってわけか・・・。」
アクートは首を横に振った。
「今回のゲームは私が仕組んだものではないのだ。」
「何?」
アクートの不満気な声にロードは少しの動揺を見せた。
「じゃあ誰がこの戦いを仕組んでるんだよ!?」
ロードの問いにアクートが答えることはなかった。そして去ろうとしたその時、彼はロードたちに聞こえるように伝えた。
「君たちは仕組まれて別の道へと落とされた。それは理解しておいたほうがいい。」
「待て!それどういう・・・!」
咄嗟に出たチヒロの声も虚しく、アクートは次元の壁へと消えていった。毎度のごとくその後に出てくるような敵がいることもなかった。
「どうやら本当に今回は彼が仕組んだものではなさそうだね。」
ロードは消えていった次元の壁の先を見つめた。ティナは呆然とそれを見つめた。
「・・・ねぇ?」
絞り出すような声でティナはロードへと顔を向けた。ロードもその声を聞き取りティナの方を向いた。
「その「もう一人」の人を探してみない?答えがあるかもしれないし。」
ロードは考え込むように顔を上に向け、少し経ってから顔を縦に頷いた。
「んじゃあ、決まりだな。」
チヒロとティナはまた暗い街路の中を走っていくのだった。
九重は後ろにファルファラを乗せてバイクを飛ばしていた。速度制限のないこの場所で普通の何百倍ものスピードを出せるライダーのバイクはどんどん車たちを抜かしていく。
「ねえ、これ危ないんじゃないかしら!」
「大丈夫ですよ!腕はありますから!」
風に飛ばされないよう必死なファルファラをよそに、バイクはどんどんスピードを上げていく。
「着きましたよ!」
「もう・・・、刺激が強すぎるんじゃないかしら?」
そして風のようなスピードで行き着いた先は一つのカジノだった。そこで文句たらたらなファルファラを降ろした。
「じゃあ、ライブ頑張ってください!」
「ありがとね。九重くん。」
ファルファラはそのままカジノへと入っていく。聞くところによると彼女はここらで有名な歌手らしい。そしてこの場所に呼ばれることも多いらしい。
「ここも儲かってんだろうな。」
九重はその大きな施設に背を向けバイクを走らせようとすると、後ろから男に掴まれる感覚がした。後ろを見ると、大柄な男が筒を持って彼を睨んでいた。
「・・・なんの用事ですかねぇ?」
「お前、そのベルトどこで手に入れた?」
男が指差していたのはガンバドライバーだった。九重は頭を掻きむしって頭の思考回路を回した。
「・・・答える気がねえんなら!!」
男は九重を投げ飛ばし、九重は叩きつけられるように地面に倒れた。その瞬間に彼もガンバドライバーを装填した。
"Ganba driver stand by ready."
「変身!」
ノヴェムへと変身し、即座に仮面ライダーファイズの武器である「ファイズブラスター」を召喚した。
「やっぱてめえも奴と同じか。」
「奴ってまさか・・・!!」
男は筒状のマシンガンをノヴェムへと放った。落ちていく薬莢はその弾数の多さを示した。
「っ!!」
ノヴェムはそれを防ぐようにファイズブラスターを盾にするも、攻撃が鳴り止むことはなかった。
「てめえの仲間の場所を教えろ!さもなくば・・・」
「教えて欲しいのはこっちだっつうの!!」
"Faiz pointer xceed charge"
鳴り止まない弾雨の中ファイズブラスターを構え、一撃のレーザーが彼の弾を消し去り、彼の横を通り過ぎた。そしてノヴェムは男の胸ぐらを掴んだ。
「君たち人間に危害を加えるつもりはない。だから戦いを・・・」
「ブラッド!」
周囲から兵士が集まってきた。おそらく先程のレーザーで勘付かれたのだろう。
「てめえら・・・何もんだ?」
「僕たちはガンバライダーだ。よく覚えておけ!」
ノヴェムは突き放し、自分のバイクへと跨った。そして瞬く間に走り去っていった。
「待て・・・」
「よせ!お前らで勝てる相手じゃない・・・。」
ブラッドは追おうとする兵士たちを制した。
「ガンバライダー・・・か。厄介なことになったな。」
ブラッドは走り去っていくガンバライダーの背を見つめるのだった。