ガンバライダーロード   作:覇王ライダー

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傀儡を持つ闇の正体

夜の街を疾走する二つのバイクが大きな音を立てる。

チヒロと九重はファルファラ、そしてティナを乗せてとある場所へと向かっていた。

「あんたの勘を信じて良いんだろうな?」

「えぇ。っていうか勘じゃなくて確信よ。」

ファルファラはチヒロへとそう告げる。

「本当にお前の言う組織がティナを狙ってるのか?」

「えぇ、あの男"ブラッド"が関係してるとしたらほぼ確信に等しいわ。」

ファルファラとチヒロの会話を九重は知らずばかりと後ろに乗せたティナを見た。

ティナは先ほどの不思議な力を使った後、ずっと眠っていてそのまま目を覚まさない。

「大丈夫なのか・・・?」

ティナの先ほどの力を見る限りただの弱い修復能力でないことは確かだ。そしてもう一つ

「あの時何故何も反応がなかった?」

彼のタブレットの分析でも解析されない力が働いていたのだ。しかもそれは解析されないのではない。"検出"されなかったのだ。

「どういうことだ・・・?」

そのことが頭の中で邪魔して何も思考が働かない。これが奴らが力を狙う理由だとするならば・・・

「九重!!」

チヒロの言葉にハッとして前を見る。目の前を見た瞬間車にぶつかりそうになり急ブレーキをかけた。

ギリギリに止まったバイクは大きな音を立ててタイヤを引きずった。

「どうした?らしくないぞ。」

「悪い・・・。」

チヒロはその横に止まり九重の肩を叩いた。九重のその申し訳なさそうな顔を見てファルファラはその間に顔を覗かせた。金色の髪が二人の間で靡いた。

「ねえねえ、休憩にしない?」

チヒロと九重は後ろのティナを見た。彼女についてお互いの情報を知る必要がある。

 

ブラッドがヴィンセントの元へと帰ると、そこには足を組んだヴィンセントの姿があった。

「失敗したのか。」

「・・・。」

ブラッドへとゆっくり近づき、ヴィンセントは首根っこを掴んだ。

「俺が言った言葉・・・覚えてねえわけじゃねえだろうな?」

「・・・。」

ブラッドは黙り続けた。ヴィンセントのその威圧感から声が出ないのだ。

ヴィンセントはその威圧感を保ったままブラッドを地面に叩きつけて、背を向けた。

「お前は今日でクビだ。」

「っ!!?」

ブラッドはその言葉に稲光を打たれたような衝撃が走った。

これまで自分を使役していた兄 ヴィンセントからはとても出るような言葉ではなかった。

「で・・・でも兄貴」

「テメエはクビだつった。どこにでも好きなところに行きな。」

ブラッドはその言葉に耐えられなかったのかそのまま走り出して部屋を立ち去った。

「・・・随分と大胆なリストラじゃねえか?」

「これはこれはミスター・コステロ。」

コステロと呼ばれた男は不敵な笑みを浮かべてヴィンセントの座椅子に座り込んだ。

「で、"プレシャス・チルドレン"は見つかりそうか?」

「えぇ。この島から逃げることは不可能ですので。」

ヴィンセントはその場にあったワイングラスを持ち、軽く回した。

今宵は一段といい月だ。そんな月を眺めて一杯、ワインを口へと運んだ。

 

近くにバイクを止めた四人はそのままティナをベンチに座らせて三人は立ちながら会話を続けた。

「つまり今回の首魁はアクートではなく、その組織に関わってる誰かである線が一番あると。」

チヒロと九重は背中合わせになり、周囲を見渡した。

こんな普通に話しているがここは敵の本拠地、油断など何処にも許されていない。

「そして、そのブラッドはその組織のドンにいる男の弟で傭兵として雇われている。ってわけか。」

九重はうーん。と首を傾げながらそっとチヒロを見た。横目に見えたファルファラは眠たそうな目をしていた。

「それにしてもその"アクート"って結局何者なのかしら?」

ファルファラの言葉に二人は疑問符を浮かべた。

「その人の目的が何なのか、そしてどんな人なのか。あなたたちはどこまで相手の情報を持っているのかしら?」

ファルファラの言葉に二人は黙り込む。そう言われてみれば彼らはアクートを追って相当の月日が経っているが、彼の情報など何も持っていなかった。

変身者は誰なのか、そして何の経緯があってガンバライジング社を脱退したのか。その全てが謎に包まれているのだ。

「そう言えばアイツのこと、何も知らないな。」

チヒロの言葉にロードと九重は何も言えなかった。

「んじゃあ、そのアクートの情報を集めるのも私たちの今回の目的に入れなきゃね。」

「その必要はない。」

全員は後ろを向く。そこにいたのは月明かりに照らされた黒い仮面ライダーだった。

「仮面ライダー・・・」

「新牙・・・。」

ロードと九重はガンバドライバーを装填し、ICカードを差し込んだ。

「変身!」

ロードとノヴェムへと変身した二人は同時に走り出して一撃の拳を振るった。新牙はその拳を弾き飛ばした。

「お前たちでは何も守れない。」

新牙の吐き捨てるようにそう言った。

「前の俺たちとは」

「ひと味もふた味も違う!!」

チヒロとノヴェムは同時に足刀で蹴りを放つが、新牙はそれを止めて一気に後ろへ払った。

「下がって!!」

払われた勢いで後ろへと下がるとファルファラが銃を構えて新牙へと向けた。

「取った!」

何発もの弾丸が新牙へと直撃する。煙を上げるその弾丸の奥には全くダメージを受けていない新牙の姿があった。

「これだけ食らっても生きてるなんて・・・。」

新牙は音を上げず一気に加速をつけるとファルファラへと一気に近づき首を締め上げた。

「っ!!?」

「どうした?その程度か。」

締め上げながらそのままの勢いで壁へと叩きつけた。

ファルファラの口からはツバの混じった血が飛び、そのまま息をしようと必死に口を開ける。

「テメェの相手は俺だ!!」

ロードはアップルリフレクターとソードブリンガーを召喚し、新牙の後ろから剣を振りかざした。

「邪魔だ・・・!!」

ファルファラから手を離すと、新牙はロードの出した武器に似たリンゴの剣と盾を召喚した。

「何・・・!?」

九重はそのデータを見て驚愕した。

まさかガンバライジング社ですら把握してない武器があるとは思ってもなかったし知ってすらなかった。

「ロード!!」

「来るな!!」

九重が助けに入ろうとした瞬間チヒロがそれを止めた。

二人の鍔迫り合いは火花を散らし、鈍い鉄の音が響き渡る。

「兵器の分際で・・・人を殺しておいてまだ命を守ろうとするか!」

新牙は一気に押し出すと、ロードはゆっくり立ち上がった。

その目は緑に変わり、ICカードを反転させてバーストチェンジした。

「君が何者かは知らない。だけど僕らを狙うことに理由があるなら教えてくれ。」

「教える義理など・・・」

「君になくても僕らにはある!!」

話を断ち切ろうとした新牙の言葉を切り裂いてロードは話を続ける。

「君は僕らが人殺しなんてした覚えはないんだ。だから誰が僕らの名前を使って人を殺めるようなことを行なったのか、僕らはそれを知る義務がある!」

「黙れ!!」

"ダークネススパーキング"

音声と共に新牙の足には大きなエネルギーが溜まっていくのが見えた。その力は闇そのものであり黒く、腐り果てたような色だった。

ロードは大きなため息をつくと、剣へとエネルギーを集中させた。

「僕は君から聞くよ。自分自身を傷つけてでも僕らを倒そうとする理由を。」

「はぁ!!」

新牙の放った蹴りはロードへと直撃し、そのまま硬直した。

「ロード!!」

「これで終わり・・・っ!!?」

チヒロとロードは少し笑うと、その足を片足で掴み、剣を地面へと突き刺した。

「・・・ゴールドチャージクラッシュ!!」

突き刺した剣から衝撃波を放ち、そのまま新牙を吹き飛ばした。それと同じくファルファラ、そしてダッシュしてティナを抱きかかえた九重も吹き飛ばされた。

「くっ・・・!!」

新牙は壁を通り抜けて道路へと飛び出した。

ロードは剣を抜くと、そのまま新牙へと近づいていく。

「さあ、僕らの質問に答えてくれ。君は何が目的・・・」

チヒロとロードは新牙の異変へと気づいた。新牙はゾンビのようにゆっくりと立ち上がり、首をゆっくりと上げた。

「私に刃向かうとはいい度胸だ・・・。」

新牙から聞こえていた声とは大きく違い、まるで大男のようなゆっくりとした喋り方だった。

「お前・・・何者だ?」

「私は・・・"新世界の神"だ。」

「神だぁ?」

チヒロの引くような声に神を名乗る男は背を向ける。そして、そのまま去るように歩いていく。

「君達に応えるようなことはない。それは私も龍も同じだ。」

「龍・・・それがそいつの名前か?」

それへと答えを出すこともなく、男は次元の壁を超えて去っていった。

「もしアイツが操ってるのだとしたら・・・。」

その瞬間、ロードとチヒロの思考には彼に対する不思議な感情が生まれた。

-救いたい。救わなければならない

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