ガンバライダーロード   作:覇王ライダー

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闇と閉ざされた少女

ソルジャーネーム-スタンス-

そう名乗り男は刃をノヴェムに向けた。

「それ答えになってないんだよね・・・。」

ノヴェムもガンバソードを召喚しスタンスへと刃を向けた。

「ファルファラさんは他の階の捜索を。」

「ファルファラは頷くと銃を腰にしまい、そのまま階段へと走っていく。

「っ!!」

スタンスが走り剣を突き出した先にはノヴェムのガンバソードがあった。スタンスの無言で突き立てた剣が刺さりガンバソードが欠けていく。

「なっ・・・!?」

ガンバソードは少しずつ粒子となって消滅していく。ノヴェムは空かさず剣を離して後ろへ下がった。

ノヴェムはデンガッシャーとバッシャーマグナムを同時に召喚し何発もの弾丸を放った。

「これで・・・」

"Full charge"

"バッシャーフィーバー"

「トドメだ!!」

ワイルドショットとエンペラーアクアトルネードを同時に放ち、稲妻と海の力を込めた一撃は回避すらしなかったスタンスへと直撃した。

「やったか・・・!?」

煙の中から一瞬にしてノヴェムへと近づき、デンガッシャーとバッシャーマグナムは粒子となって消えた。

「なっ・・・!?」

「・・・。」

無言で近づいた機械兵はそのままノヴェムを蹴飛ばして後ろへ退かせた。

「どういうことだ?」

「貴様らの武器やアーマーを生成するRZ粒子を分解することなど俺の剣には容易いことだ。」

-RZ粒子-

ガンバライダーやガンバソードといったガンバライダーの全てを生成する上で必要な粒子である。これを分解するということは彼らへの武器の生成、そしてアーマーを無効化することに等しい。

厄介な奴を敵に回したな・・・。ノヴェムは後退りしていく。しかし、後ろの階段には上がっていくファルファラもいる。

剣を突き立ててスタンスは一歩、また一歩と近づき、彼へのトドメの瞬間を狙った。

その時だった。ヴィンセントたちがいる場所、ロードたちが戦っているところから花火が上がった。これが第二陣の動く時だということは二人は容易に察した。

「時間か・・・。」

「待て!!」

ノヴェムの呼び声も虚しくスタンスはガラスを割って去っていく。

「九重くん!!」

ファルファラは急いで降りてきてノヴェムへと呼びかけた。

ノヴェムから声は聞こえなかった。

「・・・どうしたの?」

「・・・いえ、何でも。」

何かがおかしい。これだけ機密を律するガンバライジング社がガンバライダーの主成分を解読されるなど本来あってはならない筈なのだがそれがされている。

それにあのスタンスという男は花火の音と共に去っていった。だがRZ粒子の分解なども考えると恐らくヴィンセントの差し金という考え方も低いだろう。

上がる花火の音は虚しくノヴェムの耳元から小さく去っていった。

「・・・早く向かいましょう。」

「ですね。」

今は考えながら前に進むべきだ。ノヴェムもファルファラの言葉に頷いてロードたちのいるカジノへと足を進めた。

 

-GRZ社-

そこには社長である檀を含んだ何百という人がロード一行を監視していた。

勿論ガンバソードやデンガッシャー、バッシャーマグナムを分解したスタンスの姿もそこには映っていた。

「どういうことだ・・・?」

機密にしてあるはずのRZ粒子が分解されるなど誰も想像しておらず、モニターを見た全員が騒然とした。

「一体誰が流出など・・・。」

辺りを見ても全員責任は取るまいと誰も檀と目を合わそうともしなかった。

そんな時、研究員たちのPCにはEnemyの文字が出てきた。

この期に及んで敵とは・・・。と思っていた檀へと最悪の知らせが届いた。

「社長!財団Xの反応がありました!」

「財団X!?」

何をしでかすか分からない集団であり、かつてのライダーたちが戦ってきた悪の組織。それは檀も十二分に理解していた。

想定外のことにそちらもモニターが開かれて研究所内は何が何やらの状態だった。

「社長、恐らくこれ以上の増員は不可能かと。」

最初にこの世界に飛ばす際に起こった謎のエラー。それについても解明されていないため増員を送るなど以ての外である。

しかし、恐らくロードたちにこれ以上任せて財団Xを野放しにすればこの会社の信用問題に関わってくる。

「っ・・・対策は」

そう考えていた時だった。ドアから銃声がなり、穴が開いたドアは打ち抜かれてそのまま倒れ込んだ。

彼らの前に姿を現したのは漆黒の鎧を纏い、橙色の複眼をしたガンバライダーだった。

「久しぶりだな、七光りさんよ・・・。」

「あぁ、久々だね"ブリッツ"。いや、恵田 光助くん。」

ブリッツは檀へと持っていたガンガンキャッチャーを向けた。彼の手は既に引き金を引こうとする寸前だった。

いいところに来た。彼を利用すればこの状況を打開できるかもしれない。不意に出た不敵な笑みを電撃の名を冠したガンバライダーは一ミリも逃さなかった。

 

花火が上がり第一陣、そして第二陣が迫ってくる中ブラッドはたった一人での戦闘を強いられていた。

「っそ!!もう第二陣かよ!!」

敵が減らない中で恐らく数で圧倒しようという考えなのだろう。そんな中でロードも戻らず一人で戦わされるなど鬼畜以外の何者でもない。

「せっかく教えてやったのに何だこの仕打ちは!!あのバカ許さねえからな!!」

「誰がバカだって?」

突然ブラッドの首根っこが掴まれてブラッドは空へと運ばれていく。

首を持った先には純白の鎧を纏ったロードの姿があった。ロードは足につけた光の羽で飛翔していく。

「お前!!」

「遅くなって悪いな。第二陣が来るまでには間に合うと思ったんだが。」

「まさかスターライトブレイカーにあんな使い方があるなんてね。」

ブラッドは少し黙ると思いついたようにチヒロに聞く。

「まさかさっきの花火って!!?」

「そう、俺が魔力を使って打ち上げたものだ。」

スターライトブレイカーに搭載されていた花火モード、チヒロ曰くはなのはに教えてもらったものらしい。尤も本人が使った際は結界を張っていなかった所為で軽い問題になったらしいが・・・。

「まさか魔力も持っていないときのことが役に立つとは思ってもみなかったがな。」

「で、どうすんだ!?」

チヒロたちが下を見るとそこには幾万もの軍勢が彼らに集っていた。

「あぁ、吹っ飛ばすさ。」

ロードへと人格が変わり、レオンユニゾンへと姿を変える。

彼を纏った銀色の鎧と獅子のような輝く目は正しくレオンミシェリ・ガレット・デ・ロワそのものを表すものだった。

「じゃあ行こうか・・・。」

「いくってどこに?」

ロードの周囲へと紋章砲が開かれて周囲に炎を纏った。

「あっつ!!お前何する気で・・・」

「獅子王炎陣大爆破!!」

周囲に爆破は広がり、ブラッドの司会から煙が消えた時にはカジノごと吹き飛び下にいた雑兵は全員倒れこみ、起き上がって来るものなど誰もいなかった。

「おい待て誰がここまでしろって」

「さあいくぞ!!」

「話聞けええええええ!!?」

ロードたちがそのまま飛翔してカジノのあった場所へと突撃しようとした瞬間だった。

「危ない!!」

「ぐっ!!」

ロードへと向けられた刃はロードのギリギリを通り、その危機を悟りロードはブラッドを投げ飛ばした。

「ってぇ・・・。」

ブラッドが目を向けた先には黒く、影に包まれたような物体が立っていた。無論人型ではあるがそれを人とするには少し無理があるほどだった。

「何だあのバケモン・・・。」

ブラッドがロードに目を向けると、彼は膝を落として影へと悲しみに近いような視線を向けた。

「嘘だ・・・。」

チヒロたちは整理がつかなかった。何故こうなってしまったのか、何故こうなる前に止められなかったのか。さまざまな思考が交錯してぐちゃぐちゃになっていった。

「どうして・・・お前が」

黒い影を纏った闇。それは彼らが救おうとしたものであり彼らとこの世界を共に歩いた-ティナ-その人だった。


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