ガンバライダーロード   作:覇王ライダー

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風・黒・動・世

財団Xの研究室へと辿り着いたチヒロたちはここまで誘導した研究員の男"カズ・ジュン"と名乗っていたか。

そのカズは殆ど無口で先々と歩いて行く。

こんな奴を信用していいものなのか。チヒロとロードは不安になりながらもカズへと付いて行った。

カズは目の前にあったセンサーに手をかざした。かざした手に反応して大きな扉が開いた。

「にしてもそんな簡単に俺たちを入れていいのか?」

「構いません。私、信用していますから。」

どこからコイツのこの揺るぎない自信が湧いてくるのか。

確かに人質を取られているのは事実ではあるが、その人質を犠牲にして彼らの研究室を破壊することはガンバライダーの力を使えば容易い。だが、それでも彼らがここまで呼び寄せるということは余程重要なことなのだろう。

ロードへと人格が変わり、研究室の椅子へ座り込んだ。

「カズ、少しだけ聞きたいことがあるんだけど。」

「・・・。」

こちらを向きはしたものの、その無機質な表情が変わることはなかった。そういう人間なのか聞いていないのか、そんなことは構わずロードは話を続ける。

「僕らを狙った理由はよく分かる。だがあの子供を狙った理由は何?」

カズは手元にあったデータを無言でロードに渡した。そこには-World Core-と書かれた研究書類が数十枚あった。

「つまり彼女がこのワールドコアに関係があると?」

「そういうことです。」

カズが口を開くと、モニターには沢山の地球の映像が映っていた。

その映像は同じ場所ではあるが、全くそこに住んでいる生き物の動きが違った。

「この世界には並行世界というものがあるのはあなたたちもご存じでしょう。」

ロードは首を縦に振った。彼らが辿ってきたミッドチルダ、そしてフロニャルドもココ百億ドルの街もまた並行世界の一つだからだ。

「その世界には幾人か世界を構成するコアが存在します。」

「それが彼女とどう関係があるんだ?」

カズはその質問に答えるように近づいて横に座った。彼の無機質な空気がロードにも伝わってくる。

「あの大きな穴を生み出したのが彼女たちワールドコアだとしたら?」

ロードはゆっくりカズの目を見た。彼の冷淡な表情が少しずつ歪曲した笑みにすら見えてきた。

「コア同士がぶつかってあの力を生み出したって言いたいのか?」

「そうなりますね。」

そう淡々と返すとカズは更に追い討ちをかけるように話し続ける。

「そしてあの大きな力とガンバドライバーの力、この二つの力が解明されれば我々の研究も大きな飛躍を遂げます。」

それで彼女たちを狙い、何らかの力でロードたちを呼び寄せて全ての利を得ようとしたというわけだ。

落ち着いて納得したロードは下がり、チヒロへと人格が変わる。

「なら俺からも質問していいか?」

「どうぞ。」

チヒロはカズへと少しずつ近づく。お互いの冷淡な目が睨み合うように視線を合わせる。

「あの子が発した声が聞こえて俺たちはあの場所がわかった。あの力は一体どういう仕組みだ?」

カズは後ろを向いて壁へ手をかけてチヒロたちに一言言った。

「分かりませんね。」

「はぁ!?」

企業秘密ではなく本当に分からないと言うのなら何が自分たちを呼び寄せたのか。チヒロは目を丸くしてカズへと近づく。

「わかんねえってどういうことだよ!お前らが発したものじゃないって言いたいのか!?」

「そうなりますね。」

彼の冷淡かつ平坦なトーンはチヒロを更に苛立たせる。

これではいけないとロードがすぐさま人格を変えて、カズから距離を置いた。

「つまり彼女のワールドコアの力の一部だってことでいいのかい?」

「そう考えるのが妥当でしょう。」

なるほど。とロードは頷いて椅子に再び腰掛けた。

「おいロード!」

「落ち着いてチヒロ。」

彼の気持ちが分からないわけじゃない。だが今自分たちがすることはそうじゃない。

これから知る必要がある。財団のこともワールドコアのことも。そして-自分自身-のことも。

 

GRZ社から少し離れた施設。そこに彼女たちはいた。

「お姉ちゃん」

「何だ?」

妹の篝が烈火へと話しかけた。

この姉妹-切風-姉妹はGRZ社の中でも風変わりな姉妹であり、組織に囚われずに動ける言わば… -一匹狼-な姉妹だ。

篝から呼ばれた烈火は腰掛けていた椅子から立ち上がって篝へと近づいた。

烈火妹「こっちにずっと電話鳴ってるんだけど?」

烈火「電話?何でまたここに?」

しかも見た所非通知での電話が鳴っていた。

彼女も誰なのか見当はついていた。ここに非通知でかけてくる人間などいたずら電話か見当がついているソイツしかいないのだ。

念のためにと烈火は近くに置いてあった変成器を取って受話器にあてた。

「俺だ。」

男の声がしたことに電話をかけてきた主は一瞬戸惑ったが、その後すぐに理解したのかすぐに返答した。

「私にまで変成器を使うことないんじゃないか?ブレイズ。」

やっぱりコイツか。烈火は呆れたような声でため息をついた。

GRZ社社長-檀 黎斗-

この施設"実験場-を用意してくれたのも無論彼である。彼には感謝も多いがやはり非通知でかけてくることはどうしても気に食わない。

そう思いながら、烈火は適当にそうだなと返した。

「で、要件は?」

あぁそうそうと檀も話を続ける。

「ある人の監視を頼みたくてね。君にしか出来ないことなんだ。」

「俺たちに頼むと高い借りと飯はいただくぞ?」

「分かっているよ。それほどこちらも急いでいるという話だ。」

そう冗談まじりで言った烈火に対して檀は落ち着いた真剣なトーンで返した。冗談がそれなりに通じる彼ですらこの態度、よほどお急ぎの事情なのだろうと烈火はすぐに察した。

「そんで対価は?」

「その者に働いている特殊な力が解析できれば、君を普通の人間に戻すことが可能かもしれない。」

烈火の言葉にそう返した。烈火は一瞬言葉に迷った。

-普通の人間-事情を知る彼だからこその言葉なのだろうが、烈火に複雑な気持ちを与えたのも事実だ。

「・・・乗った。ただしこちらの条件も呑んで貰う。」

「えっ!?良いのお姉ちゃん!!?」

烈火は少し苦そうな声で檀の策に乗ると伝えた。篝は横で驚くように烈火の持っていた受話器を握った。

離せ離すまいと二人は小さな攻防を続けた。

「構わないよ。君ほどの戦力が加わるならのちらも越したことはない。」

そう言って電話を切った。後は彼女たちが掌で転がってくれるだけだ。そう思うと少しずつ檀の表情に笑みが浮かんできた。

「私の掌でうまく転がってくれよ・・・ブレイズ。」

電話を切った烈火はそのまま椅子へ座り込んだ。

「ちょっと待ってよお姉ちゃん!!」

篝が止めると烈火がうるさいと止めた。

「何で行くの!?」

「仕事だよ仕事。」

適当に受け流す烈火の手を篝が握った。その手は強く、普通の人間なら折れていてもおかしくないくらいだ。

「バカ強いよ。」

手を振り払うとそのままドアの方に向かった。篝の言葉に振り向きもしなかった。

「大丈夫だ。仕事をこなしてくるだけさ。」

そう言ってドアを閉めて出て行った。

不安なのもわかってる。でも-今は-

 

しかし檀の策とは裏腹に恵田の計画は限りなく早く進んでいた。

恵田は何人もの部隊を組み、逃げたガンバライダーの殲滅作戦を行っていた。彼の伝手で何とか集めた掻き集めのガンバライダーの部隊だ。

彼としてそんな大した能力ではないがまだマシな部隊を組んだつもりである。

そして彼の後ろには集められた赤、青、緑、白のガンバライダーが並んでいた。

「隊長、どうなさいますか?」

赤いガンバライダーに聞かれると恵田は当たり前だ。と受け流す。

「ガンバライジング社の威厳においてガンバライダーの殲滅する。あんなものを置いておくわけにはいかんからな。」

そうですか。と青いガンバライダーは返す。

「しかし良いのですか?社長はこれを止めると思いますが?」

「構わん。檀の下にいつまでもついていては解決には至らない。」

ふーん。と緑と白のガンバライダーは頷く。

「まあ我々のやることは変わらんな。」

「だね。殲滅あるのみっと。」

五人のガンバライダーが歩き出そうとした瞬間、彼らの前に一台のバイクが通った。バイクは五人の前に止まり、ヘルメットを脱いだ。

「九重・・・一成。」

九重はヘルメットを置くと、恵田へと一歩二歩近づいていく。恵田へ向けられた視線は明らかに好意的なものではない。

「まだあの小僧を庇うのか?」

九重は無言でさらに一歩二歩歩み寄る。

「当たり前だ。僕はロードを今でも信じてるからね。」

檀はやはり人選をミスったな。と恵田は呆れた表情を浮かべた。本来彼がするべきはただ監視するだけ、それ以上の干渉など本来いらないのだ。しかし今はどうだろうか?彼の言葉に"信頼"などという言葉が出てくるのだ。

「・・・やはりお前を生かしておくのはミスだな。」

恵田がガンバドライバーを取り出すと腰に装填してICカードをドライバーへと挿入した。

そして九重もまた同じくドライバーを装填した。

「変身。」

変身したノヴェムと恵田のガンバライダー"ブリッツ"はお互いにガンバソードを召喚した。

「信頼なんて言葉がお前に必要だと思うか?」

「勿論だ。僕は彼を見守ることが役目だからね。」

後ろにいた四人のガンバライダーが動こうとした瞬間、恵田がそれを止めた。

「こいつは気に食わねえから俺が叩き潰す。」

四人が無言で頷いて下がったことを確認すると、恵田は召喚したガンバソードを手元でクルクルと回転させた。

九重は正眼に構え直してまっすぐに敵へと見つめた。

二人の剣はぶつかり合い、その場に大きな火花を散らせた。

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