-烈火が来た時には遅かった-
彼女が来た時には既に爆散した建物の瓦礫と折られ潰れた木々が彼女の前に倒れていた。
「これは・・・?」
何かがおかしい。ブリッツが編成した部隊がここに来ていたとしても範囲が広すぎる。ガンバライダーの力といえど不自然にもほどがある。
烈火のような高い適合率を誇るガンバライダーであれば可能かもしれないがそんな情報は彼女の耳に入っていない。
「っ!?」
瞬間的に起こった爆破にブレイズは身構えた。強い爆風と炎が辺りへ巻き起こる。
「・・・誰だ?」
その影は間違いなくガンバライダーではない。恐らくこの木々を折ったのもコイツの仕業だろう。
白と黒を纏った戦士はハハッ。と軽く笑った。
「今俺が誰か。なんて気にする必要があるのか?」
刹那、烈火はガンバソードを生成し一気に踏み込んだ。正面から剣を振りかざして相手へと振り下ろした。
戦士はそれを止めて軽くいなした。流された烈火はそのまま後ろへとふらつく。
「お前・・・只者じゃない。」
戦士は笑いながらゆっくり烈火の方を向いた。そのゲスな笑みはマスク越しからでも伝わってくる。きっと無機質で感情のないような笑顔だ。
「そんなに知りたいなら教えてやるよ。俺の名は-エボルト-。仮面ライダーエボルだ。」
エボルは烈火へと襲いかかった。エボルの攻撃を避けるがエボルはそれを逃さない。
「逃すか!」
"アイススチーム"
エボルが一気に射撃して烈火を吹き飛ばした。
凍てついた炎と氷の爆風が一気に巻き起こった。これで終わっただろうとエボルが思ったその時だった。
エボルの目の前には赤いガンバライダーが煙を払った。エボルは煙を払いながら軽く鼻で笑った。
ガンバライダーとは珍しい遺産を見たものだ。エボルとガンバライダーが向き合うと、お互いに剣を抜いた。
「お前の名も聞こうか。」
「俺の名はガンバライダーブレイズ。」
ブレイズは一気に剣をエボルへと叩きつけるが、それを間一髪エボルは回避する。
「俺とお前では相手にはならないな!」
エボルはそうブレイズを鼻で笑うと自らの残像を生み出して一気に駆けていく。
「なっ!?」
ブレイズの攻撃を回避したエボルが一気に踏み込むとブレイズを叩き斬ってダメージを与えていく。一発、二発と見えないスピードで攻撃するがエボルは途中で気づく。
「何かがおかしい。」
何発もの連続攻撃を黙って受けている。しかも動きもしないのだ。
「どういうつも」
「いってえからやめてくんねえかな。」
エボルの振るった剣をブレイズが持っていた。
「衝撃くらいは受けるんだ。ちょっとくらいこっちの痛覚に気を使ってもらわねえと。」
エボルが衝撃を隠す間もなくブレイズは次の一手に出た。
「じゃあ、反撃開始だ!」
エボルの持っていた剣を叩き折って地面に叩きつけた。そして隠せない動揺を見せたエボルを殴り飛ばした。
エボルは殴り飛ばされた後そのまま顔を拭いながら立ち上がった。
「なかなかやるようだな・・・。」
ブレイズは殴り飛ばしたその手を握りなおしてもう一度攻撃しようとした時だった。待て待てとエボルはこちらに手を掌を見せた。
「ちょっと待て。お前が探している奴は恐らく下にいる。お前はそっちを優先するべきじゃないか?」
エボルの言葉にブレイズは少し躊躇いを見せた。しかし彼の言うことも確かである。
自分の来た理由は何だ。九重に任された命を優先するべきなのではないのか?檀が自分に任せたことはこんな事なのか?
ブレイズが考えてる間に時間は経っていく。エボルは退屈そうに下を向く。
まるで早く行かねえのかな。みたいな仕草がどうもブレイズの癪に触る。
「お前が行かないのは勝手だ。だがそうなった場合」
「黙ってろ。」
ブレイズはエボルの横を通りすがった。これ以上癪に触るとブレイズの怒りを爆発させてしまいそうだからだ。
エボルの横を通りすがって行くとエボルは行ったな。と安堵の息を漏らす。
あのまま恐らく自分と戦っていれば死んでいただろう。言葉で煽ることしか出来たのが唯一の救いだろうか。
エボルは空の黒い塊を見た。自分たちがここにいるとこれ以上はマズイ。
「立ち去るかな・・・。」
エボルはゆっくりと歩き出していく。ここに居座る理由がないことも自分がここにいてどれだけ危険ということも重々承知しているからだ。
烈火が来る数分前のことだった。空へ放たれた虹色の光は三人の仮面ライダーを召喚した。
五人のガンバライダーが構えると、各々の仮面ライダーは溜息をつくような態度をとった。舐められたものだ。態度を見るにそう言いたいのだろう。
白と赤のガンバライダーは敵へと剣を振りかざすがそれは呆気なく避けられていく。二度三度と同じ手を加えるが相手は効かぬ。と言わんばかりに全てを回避する。
「もう何個かねえのかよ!」
「やってるでしょ!?」
二人は斬撃を加えながら自分たちの当たらぬ攻撃に対して苛立ちを募らせていく。緑と黒の戦士は二人が振りかざしたガンバソードを受け止めた。
「君たちでは私には勝てない。」
そう粘着した口調で煽ると、二人の剣を弾いてそのまま後ろ回し蹴りを見舞いした。その蹴りを受けて二人は鈍い声を上げてそのまま吹き飛ばされた。
地面へと倒れ込んだ赤と白のガンバライダー は態勢を立て直して立ち上がった。
「同時に攻撃するぞ!」
「仕方ないわね。」
そう言い白と赤のガンバライダーは緑と黒の仮面ライダーへと攻撃を仕掛ける。だが
"Pause"
その瞬間、時は止まり二人のガンバライダーの動きは止まった。
止まった時の中で仮面ライダーは動き出した。腰に巻いたマントが動くたびに揺らめく。
男は少し笑うと小さく呟いた。
「止まった時の中で永遠に眠るといい。」
"決め技 クリティカルクルセイド"
一回転して放たれた一撃の蹴りはガンバライダー達を吹き飛ばした。
"Re start"
吹き飛んだガンバライダーは爆散して大きな煙を上げた。
仮面ライダーは振り向いて爆破した煙へと餞別の手を振る。
「私の名は仮面ライダークロノス、よく覚えておきたまえ。」
クロノスはそのまま歩き出して森の陰へと去って行った。
青と緑のガンバライダーは黒に銀の鎧を纏った仮面ライダーを挟むような形で一歩、また一歩と回るように歩いていた。
二人のガンバライダーは彼の顔に書いてある文字をそっと読んだ。
「カメン・・・。」
「ライダー・・・。」
そう書いてあった。彼らにとっては相手のデータも面識もないが彼の顔には紛れもなく「仮面ライダー」の名が刻まれていた。
銀の仮面ライダーは手元で銃を三回ほど回転させると青いガンバライダーへと銃口を向けた。
「お前たちが来ないのならこちらからいくぞ。」
そう言い勢い良く一回転しながら発砲された弾丸は地面で火花へと変わり二人の前で激しく飛び散った。二人は自分を守るような動きを取りながら後ろへと引き下がる。
緑のガンバライダーは腰元にあったガンバブラスターをゆっくりと抜き出した。青いガンバライダーがそれを見ると同じく腰元のガンバブラスターを抜き出した。
「なんだこいつ・・・。」
緑のガンバライダーは呟く。これだけの強さを持っている仮面ライダーならこちらが認知していてもおかしくはないはずだ。考えられるのは二つ
一つは仮面ライダーを名乗った紛い物のバケモノ。恐らくこちらであれば自分たちが知らない方が自然だろう。彼が恐れたのは過ぎった二つ目の可能性である。
「まさか未来の仮面ライダー・・・?」
緑のガンバライダーが口にした予感に戦士は彼をバカにするように鼻で笑った。彼の反応を見ただけでは正解か不正解、その二つの判断を見極めるのは非常に難解である。
青のガンバライダーはガンバブラスターを向けて銀の仮面ライダーへと問う。
「あなたは何者なの?」
仮面ライダーはベルトを一回転させて一気に攻勢の構えを取った。
"タイムブレーク!!"
二人がトリガーを引いて撃ち抜こうとした時には遅かった。銀の仮面ライダーが放った蹴りと衝撃波は二人のガンバドライバーを粉砕し変身を解除させた。
戦士は破壊された鉄くずを踏みしめながらゆっくりと前へと進む。
「我が名は-ジオウ-覇道を突き進む者だ。」
ジオウは灰色のオーロラを呼び出してオーロラが生み出す水面へと姿を消した。
ブリッツは赤と青の仮面ライダーを前に銃を向ける。赤と青に身を纏った仮面ライダーは軽く笑う。
「お前一人で俺に勝てるなら、俺はもう既にここにいないと思うんだがなぁ?」
「黙れ!!!」
ブリッツの放った弾丸は光とともに仮面ライダーの前で光った。戦士は手で取った弾丸をゆっくりとブリッツに見せてそのまま手元から落とした。
ブリッツは相手の強力な力、そして未知数な悪魔の力に戦慄した。こんな奴に勝てるのか。こんな奴にどう勝てば良いのか・・・?
「こんなバケモンに・・・。」
「こんなバケモンとはなんだ?俺は仮面ライダーエボルって名前があるんだが?」
エボルはそう名乗り、自分のベルトを軽く撫でた
「やはりエボルドライバーに勝てる奴は異世界にもいないようだな。」
エボルの言葉を聞きブリッツの思考回路は完全にショートした。幾つか手段を思い付いたが、彼を消滅させることはおろかダメージを与えられる可能性も低い。
エボルドライバーとやらを破壊すれば勝てるのかもしれないが恐らくあの強さでは勝てない。寧ろ自分がダメージを与えるのも不可能だろう。
「ならば・・・。」
ブリッツは銃を捨てて一目散に走り出した。何かの策なのかそれとも逃げ出したのか。
どちらにせよエボルは特に彼を追う理由も見つからず追うことをやめた。
「あんな奴より取り敢えずあれだな。」
エボルは空にある黒い渦を見上げた。
黒い渦は少しずつ動いていてこちらへと少しずつではあるが進んできている。
「アレをなんとかしなきゃなぁ。」
自分たちがここに呼ばれたことには何か意味がある気がする。エボルも幾度となく世界の危機を見てきたがこれは想定外であり予想外である。
エボルが推定するに世界を消滅させるブラックホールではなく、自分たちのような別世界を呼び寄せる「異空間」といったところか。
彼らが呼ばれた意味、そしてこの世界の物質をもっと調べてみる必要があるようだ。
財団X研究所
ここにはもう人もおらず、ただ瓦礫と灰だけが取り残されていた。
そんな灰の中赤いガンバライダー が歩いてくる。-ブレイズ-だ。ブレイズは任されたロードの救出のためにここに来たのだが・・・。
「広すぎて分かんねえなコレ。」
財団Xが持つ広大な土地を一人で探索するには無理がある。GRZ社でもそこそこ広大な土地だとは思っていたが更に広い土地まであるだろう。
こんなところから一人の人を探すなんてことが出来るのか?いや寝言も言ってられないとブレイズは再び探し始める。
「ッ・・・。」
「ん?」
ブレイズが後ろを向くと、そこには倒れた男の姿があった。あれがロードなのか。それとも研究員なのか。だが私服でこんな研究室を歩き回るか?
そんなことを考えてる場合ではない。まず目の前の人を助けることを優先しよう。
近づいて立ち上がらせようとした時だった。
男はゆっくりと自力で立ち上がり、その二つの足で立ち上がった。
「おい!あんたがロードか?」
「ん?そうだけど?」
ロードは飄々とした声で答える。その穏やかな表情と声は彼女が聞いていた情報とは違うが彼がロードであることは間違いなさそうだ。
ブレイズは更に話を続けようとしたその時、ロードは動き出した。
「クリスタル!!」
ロードの人格がチヒロに変わり走り出してクリスタルの元へと走り出した。ブレイズもそれについて行くように歩いていく。
後ろで倒れ込んだクリスタルは瓦礫にもたれるように眠っていた。恐らくロードたちが放った力によって吹き飛ばされたのだろう。
ブレイズはねぇ。と問いかける。
「もしかしてロードって二重人格だったりする?」
「え?」
チヒロは少し腑抜けた声を出すとブレイズは納得したように頷く。
「やっぱり。君の声と表情の変化で同じ人には見えなかったもんだからさ。」
コイツ何もんなんだよ・・・。チヒロの目には驚きを隠すことができなかった。
ブレイズはチヒロの表情の変化を見て少したじろいだ。
「あー、そうだよな。これに関しては職業病みたいなところもあるから気にしないでくれ。」
ますます何もんだよこの人。ロードはそう思いながらもその気持ちをぐっと抑えて頷いた。
「・・・あぁ、俺たちは二重人格。二人で一つの体をシェアしてるってところだ。」
ブレイズは変身を解除してゆっくりクリスタルへと近づいた。
チヒロたちは解除した烈火の姿に唖然とした。
「あ・・・あんた女だったのか。」
「え?そうだよ?何で?」
烈火は何食わぬ顔でチヒロへと返した。唖然としたロードを無視して烈火はそっとクリスタルに触れる。
「脈はあるから生きてるか・・・。でもこのままだと命が危ないな。」
チヒロからロードへと人格に変化してクリスタルへとガンバドライバーを向けた。
烈火はそれを不思議そうに横で見ていた。無論、ここから何をするかなんて知ったもんじゃない。
「何するつもり?」
「ガンバドライバーには世界移転の能力があるようで、これで彼女をいるべき世界へと送り返します。」
烈火は硬直した。はて?そんな能力あっただろうか。そんな能力があったらガンバライダーの世界移転能力もGRZ社のレイシフトも要らないんじゃないの?
そう思いながらロードのその移転とやらを後ろで見ていた。
クリスタルは周囲に風船のような青いフィールドに包まれてそのまま空へと飛んで行った。
案外あっさりしたもんだなと烈火はがロードの方を見ると、ロードは膝から崩れ落ちて泣き叫んだ。
「うわああああああああああああああ!!!」
何も守れなかった。自分が救おうとしたものも自分が守りたかったものも何もかも。崩れ落ちて泣き叫んだ。何度も何度も喉の底から泣き叫んだ。
「・・・なぁ。守れなかったものの痛みは分かるよ。でもな、ここで泣いてたってアンタは何も変わらない。アンタが助けたあの女の子に報いるためにも立ち上がんなきゃいけないんじゃないか?」
ブレイズは崩れ落ちたロードの横に座り込んでゆっくりと後ろから肩を撫でた。自分の感情の暴走を止めてくれるようだった。
ついに三章終了…どうも覇王ライダーです
ツイッターでは何度かお知らせさせていただいたのですが、この話を機に一度ガンバライダーロードの連載を休止させていただきます
こんな終わり方…と思われる方も多いでしょうが続きますので安心してくださいw
私自身もここからロードがどういう成長を遂げてどういう想いを背負うのかまだ分かりません
しかし、これからも彼は大きく羽ばたくガンバライダー となることは間違いないと思っています
他の連載は続きますのでそちらの応援もしていただけると幸いです。
長話が続きましたが、暫くの休載をお許しください。では皆様とまた会える日まで…