ガンバライダーロード   作:覇王ライダー

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VS ユム・キミル

すてられぶね

ホウエン地方の南側に位置するこの船は一見ただのおんぼろな沈没船だが、かつてここには探知機が埋められており、アクア団とマグマ団という二つの組織が探知機をめぐる攻防を繰り広げていた。

海底洞窟を示すそのアイテムは奪取されてアクア団とマグマ団が復活させた伝説ポケモンをよみがえらせる結果となったため、この世界の命運をかける戦いの重要な局面になったそうだ。

元マグマ団に所属していたその女性はかつて探知機をその手で奪取したその場所に足を踏み入れた。その当時とは違う服装で面影もないがその記憶には刻み付けられている。

「ここか・・・?」

そこに入ってきたのは一人の男だ。男はその女性より背が高く服装も恐らくこのホウエン地方では買えないようなものだ。男は女性に話しかける。

「誰だアンタ?」

女性は男に近づいてその高い視線を見上げた。

「ガンバライダーロード、コードネーム-ロード-。GRZ社から派遣された二重人格で相棒のブレイズと行動を共にしている・・・。ってとこでアンタの紹介はいいかい?」

ロードへと人格が変わると、ロードは落ち着いた口調で女性へと話しかける。

「隠す必要がないなら有難い。あなたのことを教えていただけないですか?」

女性は頷いてロードの持っていたベルトを手に取った。

「私はカガリ、ルビーから聞いていた通りの協力者さ。」

カガリはロードにそう自己紹介すると、ベルトを触りながら辺りを見渡す。カガリが歩く板はミシミシと音を立てて沈みそうな形を保っていた。

「ここに何があるか教えてもらえませんか?」

ロードはカガリにそう聞く。カガリは向けていた背から振り向いてロードへと近づいた。

「カガリでいいよ。ここにはかつて探知機っていうヤバいもののキーがあってね・・・それが今回も何かに関わってるんじゃないかって読みなんじゃないかい?」

どうやらカガリも詳しいことを聞かされてないようだ。話を聞く限りはその探知機とやらについて調べるのが早そうだと判断できた。

「んじゃあその本を探しに・・・おっと。」

書庫を探そうとロードが動こうとした瞬間、カガリがその首根っこを掴んだ。ロードはその勢いの反動で軸がよろめく。間一髪で立ち直ったロードはカガリの方を見る。

「カガリ?」

「下見なよ下。」

ロードはふと下を見た。そこは浸水していて開けた瞬間水が溢れ出しそうだった。

「ははは・・・助かります。」

「これはヤバかったな・・・。」

苦笑いを浮かべたチヒロとロードは冷や汗をかきながらカガリに陳謝する。これはどうやら彼女に付いていった方がよさそうだ。

 

烈火とルビー、サファイアはサファイアのポケモンであるトロピウスのとろろに乗ってホウエン地方の北側に位置する天気研究所へと辿り着いた。この場所は既に衰退した研究所ではあるが、ルビーにとっては思い入れのある場所だった。

「ここで僕と父さんは戦い僕は負けた。それと同時に父さんが僕を認めてくれたところでもあるんだ。」

あれだけ強いと言っていたセンリに挑んだルビーもすごいのだが、彼を認められなかったことに不思議に感じる。厳格な父であることはよくわかったが彼らの中にはもっと深い因縁があるようだ。

天気研究所に入ると、廃墟のような汚れた足場が続き、薄暗くなけなしの電灯が三人を照らしていた。

「にしてもこんなところに何があるってんだ?」

烈火はそう言うとある階に着く。サファイアはPCを開いて大きなモニターにホウエンの地図を映し出した。衰退した研究所にしては電力とか通りすぎだろという烈火の疑問をすっ飛ばしてサファイアは話を続ける。

「見てほしいったい。今このホウエン地方で起きているのはこことここの環境変化。ポケモンの生息地が変わっていることと同時に温度の変化が起きてるばい。」

「そして各地の天候も変化している。この時間を遡ってみれば原因が」

その瞬間だ。烈火たちの後ろから大きな音が鳴る。砂煙が三人を巻き込んで散らかっっていく。嫌な予感がしたのか二人を庇うように烈火が前に出る。

砂煙が晴れると、潰れたドアの破片を蹴り飛ばして男二人が入り込んだ。烈火は眉を細めて男を睨む。サファイアは驚きを隠せない表情で男たちを指さした。

「アオギリにマツブサ!!?」

「お久しぶりですねぇ・・・醜い子供たち。」

アオギリとマツブサは得意げな顔で三人を見た。その表情は余裕そのものと言っても過言ではないだろう。その余裕に警戒する烈火とサファイア、しかし烈火がふと後ろを見るとルビーだけが眉間にしわを寄せてアオギリたちを睨みつけていた。

「お前たち、僕の服を汚したな・・・。」

センリとルビーの確執、もしかしたらここなのかもしれない。

 

書庫を探すべくすてられふねの内部を散策する二人は一つ一つドアを開けてここは違う、ここも違うとしらみつぶしに探す。すでに十は開けたであろう扉を探しても書庫へは辿り着けない。

「見つからないね・・・。」

あまりにも多い部屋数に参ったのかロードは少ししょげたように呟く。見る限り廊下はさらに長く続いており、この探索が終わる気配を見せてくれない。そんな滅入ったロードを見かねてかカガリは手を引いてロードを引っ張った。

「ちょっカガリ!!?」

「なにしょげてんのさ。絶対見つかるんだから私たちが頑張るしかないよ。」

そうだね、とロードは返す。カガリはそのロードの様子を見て安堵したのか笑顔で笑ってみせた。

さらに部屋を進めていき、二十、三十、四十と扉を開けるがやはり書庫らしい部屋が見つかる気配がない。そんな単純な作業の中四十九番目の部屋を開けた時だった。

「・・・何か音しなかった?」

「え?」

ロードの言葉にカガリは驚く。耳を澄ますと人々の呻きのような音、ある時は木々が軋む奇怪な音がカガリとロードの耳に流れる。そこは何もない部屋のはずだが、確実に何かがいる音がそこにするのだ。

足がすくみ退くカガリに対してロードは一歩前に出る。

「カガリはここで待ってて、僕がこの場所を探索してみる。」

ロードはそう言って前へと進む。部屋に踏み込んだその時だ。ロードの耳には激しい雑音と幻影が目の前の景色をかき消した。目の前にはノイズのような霧が立ち込めて周囲から意識を消し去っていく。

「僕は・・・一体。」

「っ!!」

これはまずいとチヒロはすぐに人格を押しのけて前に出る。チヒロもまた同じく激しいノイズと幻覚に見舞われる。そこに見えるノイズの世界はまるで死の世界だ。

「なんだ・・・ここ?」

後ろをふと見るとドアが消え、暗い闇へと形を変えていた。チヒロは腰元のガンバドライバーを取り出そうとしたその時だ。

「・・・あれ?」

腰元に入れていたガンバドライバーがないのだ。ポケットなどを探すがどこにもない。これも幻覚なのか・・・?狂いそうなノイズと視覚が脳を襲い動くことすらままならない。

一方で待つカガリは不安そうにドアの先を見つめていた。

「あのノイズ・・・。」

あれは明らかに自然に鳴る音ではなく人為的なものだ。しかしいったい誰が?何のために?彼女の思考では追い付かない。考えているその時だった。

「おやおや・・・お困りのようですね?」

カガリが声の方を向くとそこには明らかに人ではないものがそこに立っていた。カガリがポケモンを腰元から出そうとして手元にモンスターボールを持った。

「遅いですね。」

カガリはその金色の腕によって壁へと叩きつけられた。倒れ込むカガリだったが、その叩きつけた音は内部にも響いていた。

その音はけたたましく響き、チヒロの脳へと音を叩きつけた。

「次は何だ!!」

チヒロは周囲を見渡していると埃が舞っているのが見えた。

「・・・そうか。」

チヒロはそう呟くと、突然足踏みを何度も何度もし始めた。足を叩きつける音は響き渡り、無論チヒロの脳にも響いた。だがそれを気にせず無我夢中で足踏みを続けた。

「ョ~ーーーン。」

その奇妙な音と同時に結界は消え、目の前には書庫が姿を現した。

「よし!!」

そう喜んでいるのも束の間、チヒロたちの後ろのドアが打ち抜かれる音がした。後ろを見ると、そこには金色の怪人と胸ぐらをつかまれるカガリの姿があった。

「よくもやってくれたな!!」

チヒロは手に持っていたガンバドライバーを腰に装着してICカードを装填した。

「変身!!」

ロードへと変身すると、その赤いアーマーは黄金の怪人を殴り飛ばしてカガリを手放させた。

「カガリ!!」

カガリは目を開けてロードの手を握った。

「私は大丈夫だから気にしないでくれ。」

見る限り戦っていたにも関わらず傷が殆どない。もし全て受け流していたのなら相当の手練れだ。

ロードが怪人の方を見ると怪人は立ち上がり、首を回しながらこちらへと向かう。

「十面鬼ユム・キミルにダメージを与えるとはなかなかですね・・・。しかしこの程度では私を倒せない。」

ロードはドラゴンロッドとストームハルバードを召喚してユム・キミルへと斬りかかる。ユム・キミルはそれを回避もせず喰らい、ほくそ笑みながら後ろへのけぞった。

「クウガ返し、アギト返し。」

「なっ!!?」

放たれた水流は直撃してロードを吹き飛ばした。立ち上がるロードへと更に追撃を加える。

「残念ですねぇ・・・私はライダーの力を跳ね返す。勿論、ゴーストなどの力もすべて。」

そう言ってロードの腹へと蹴りを入れる。その一撃に反吐を吐きながらロードは倒れ込む。

「くそ・・・っ。」

ロードは立ち上がりユニゾンブレスに手を当てる。

「お前がライダーの力を返すなら俺はそれ以外の力を使うだけだ!」

ブラッドユニゾンへと姿を変えて巨大な砲身から無数の弾丸を放つ。ユム・キミルの姿は煙の中へと消えていく。煙が晴れた先には余裕そのもののユム・キミルの姿があった。

「最強のギギの腕輪とガガの腕輪をつけた私がその程度で敗れるとお思いか?」

加速をつけたユム・キミルは一気にロードを殴り飛ばす。ロードにもう一撃加えようとしたその時だ。

「ョーーーーン。」

「何だ貴様?」

ロード達の前に現れたのは桃色の煙を身にまとったような不思議な生き物だ。煙の下には小さな石のようなものがついている。

「お前は・・・。」

困惑するロードだったがそれを見たカガリも驚愕する。

「何だあのポケモン、見たことも聞いたこともないぞ!」

謎のポケモンは闇の波動を何発も放ちユム・キミルへと応戦するがその攻撃が全く聞いている様子はない。

「愚かなポケモンです・・・確かデータには”ミカルゲ”とか言いましたっけ?」

ロードはミカルゲの攻撃をくぐりながらユム・キミルへと突撃する。ユム・キミルへと拳を何発もぶつける。

「無駄ですよ。あなたの攻撃は最強の私には通じない!!」

「それでもおまえを倒す!俺はお前らみたいに支配する奴らを放っておくわけにはいかない!支配されないために俺は戦う・・・勝ってみせる!」

"Ganba rider Lord Rerize"

ツインバーストしたロードは同時に拳をぶつける。しかしその一撃はユム・キミルへは届かない。

「無駄ですよ無駄無駄!!」

ユム・キミルがそう言っていると、彼の後ろに炎が放たれて一撃を喰らう。その瞬間にロードとチヒロは一気にユム・キミルを蹴り飛ばす。

「な・・・何が?」

後ろを見るとカガリの後ろには九尾の尾をばたつかせたポケモンが口の中にもう一撃と炎を溜めていた。そのポケモンの鋭い目つきは敵を威嚇する。

「私のキュウコンのダメージは喰らうみたいだね。」

よろめくユム・キミルへと二人のガンバライダーが猛追する。

「バーニングライダーパンチ!」

"ヒッサーツ マックスフレア"

「フレアストラップ!」

二人の炎の一撃はユム・キミルへと届くがその手には炎が宿された。

「アギト返し ドライブ返し!」

ロードとチヒロはそれを回避する。直撃させようとした時、ユム・キミルは異変に気付く。

「炎が・・・!!?」

手に灯った炎は流れるように消えていき、その行先はキュウコンへと渡った。

「キュウコンのもらいび、この特性は炎を無効化して自分の力へと変えるのさ。」

ロード達はさらに手に炎を灯して攻撃する

"チョーイイネ スペシャル"

"ストライクベント"

ドラゴンブレスとドラググローファイアを使い何発も放つ炎はユム・キミルを追い詰める。そしてこぼれた炎はキュウコンがすべて吸収していった。

「これでお前は攻撃を返せない!」

「なめるな!!」

ロード達の攻撃を受けながら二人の首を掴む。その力は強く振り払おうにも振り払えない。

「我々財団Xが新たな世界を作る・・・そのために」

「お話はそこまでかい?」

ユム・キミルをが後ろを振り向くとそこには掴んでいた筈のロード達の姿があった。ロードはリボルケイン、チヒロはライドルスティックを構えていた。

「今のはミカルゲのあやしいひかり、君にそういう幻覚を見せていたわけだ。」

ユム・キミルが逃げようとするがもう遅い。二人はとびかかって攻撃を仕掛けた。

「リボルクラッシュ!!」

「Xキック!!」

二人の同時攻撃はユム・キミルを怯ませる。ダメージを受けたユム・キミルは立ち上がることすらままならない。

「今だ!!」

キュウコンから放たれた炎は一帯を燃やし尽くして、ユム・キミルごと消し飛ばした。消え去ったその跡からは炎の火柱が立っていた。

 

炎が消えてからしばらく経って二人は書庫の本を読み漁っていた。

「・・・。」

二人の間に無言の時間が過ぎていく。それを傍からミカルゲがつまらなさそうに見ていた。

「ねぇ・・・カガリ。」

「何だい?」

「カガリはどうして僕らのことを知ってたんだい?」

「教えてやってもいいけどもう少し秘密にしておくよ。」

お互い顔も見ずそっけなく話が進む。ミカルゲは痺れを切らしたのか真ん中にそっと寄って立ち止まった。

「ョーーーーーン!!!!!」

「うわっ!痛ぇ!!」

驚いて腰を抜かした二人はそのまま後ろに退く。ロードはその時に上から落ちてきた本が直撃、脳に激痛が走った。

「・・・フッ。」

「今笑ったでしょ!」

「そんな顔真っ赤にしなくても・・・フフフ・・・。」

カガリは抑えられず口を押えていた。ロードも恥ずかしくなったのか落ちてきた本と手に取った。そこにはこう書いてある。

 

"財団X、奴らはかつてこの街を救ったヒーローを殺した。私が言うのだから間違いない・・・奴らは必ず裁きを受け"

手紙は途切れていて、その先を読むことはできなかった。

 

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