ガンバライダーロード   作:覇王ライダー

49 / 56
VSナイトメア・ドーパント

セレジオンへと変身したチヒロは一歩、また一歩とナイトメアドーパントに歩いていく。赤い鎧は高貴さと美しさを放ち、額の水晶は美しく輝く。その両手にはアップルリフレクターとソードブリンガーを持ち、日の光に照らされて反射した剣は一層輝く。

”マスカレイド”

街の人々は姿を変えて怪人となる。その数は彼の見る限りでも百は足らないだろう。軍勢は大事な主に近づけまいとチヒロたちの前に立ち塞がり、それは彼らからナイトメア・ド―パントが見えなくなるまでになった。

「どうする?」

チヒロの言葉にロードは当たり前だと笑みをこぼす。

「百人切りに決まってるだろ!!」

一気に駆け抜けて一人ずつその剣で切り裂いていく。マスカレイド・ドーパントの拳をすり抜けた切っ先は体を真っ二つに割り断末魔とともに背後で爆散する。その手さばきはあまりにも早く、マスカレイド・ドーパントは残り十数体となる。それを見ていたナイトメア・ドーパントは痺れを切らしてセレジオンへと襲い掛かる。

「剣と盾など持って騎士にでもなったつもりかァ!!」

「背後からくるよ!」

「あいよ。」

ナイトメア・ド―パントの攻撃を盾で防ぎ、一回転して剣をふるう。ナイトメア・ドーパントはマスカレイド・ドーパントが持っていた剣を持ち、ソードブリンガーを弾く。短い剣ではあるがセレジオンの攻撃を受け流す。

「何故カイナ市長を狙った!?」

ナイトメア・ドーパントはセレジオンの言葉に笑いながら答える。

「理由?富と権力を持つものを殺して私が全てを手に入れる。そんな素晴らしいことに理由など必要か!?」

「そんなクソみたいな理由で!!」

「愚かな人類では我々の崇高な考えは理解できんよ!!」

二人の戦士の攻防は激しさを増してお互いに剣をふるう。しかしその圧倒的なセレジオンの力と剣捌きはナイトメア・ドーパントを退けて、ナイトメアドーパントは少しずつおびえるように後ずさりする。勝利を確信したセレジオンは一気にその剣をふるった。

「焼き尽くせ!!」

大声で叫んだ合図とともにセレジオンの後ろから炎が迫る。咄嗟に振り向いて盾を構える。アップルリフレクターで防がれた炎は彼の横を通り過ぎて火花が頬に当たる。街の潮風と共に吹き荒れた炎は止み、二人の間には焼き払われた黒い炭が道となる。煙の奥にはカガリとキュウコンがもう一撃と炎を蓄えていた。

「そうだった・・・。お前らも何とか止めないとな。」

恐らくはナイトメア・ドーパントの力で彼女を操り意のままにできるのだろう。夢の中に入り込む力があるとは聞いていたがこんなことも出来ようとは意外である。

「これはしてやられたね。」

鎧の奥に冷や汗が走る。状況は一転、防戦一方を強いられて挟まれたこの状況でやるしかないとセレジオンは構えをとって一気にナイトメア・ドーパントへと走る。

「忘れていないかい?」

「ッ!?」

瞬間、動きが何かに縛られたように動かなくなりセレジオンの体は止まる。勝利を確信したナイトメア・ドーパントは少しずつ離れて高笑いする。

「ご苦労だフーディン!さあカガリよ焼き払え!!!」

「・・・。」

黄金の体毛を持ったポケモンから放たれた炎は爆風を生み、焼き払われた周囲はたちまち煙と炎で包まれた。

 

GRZ社のモニタリングルームではロード、ブレイズの動きをモニタリングしてデータをとっている。勿論、炎に焼かれて倒れているロードの姿も映し出されていた。

「仮面ライダーセレジオン変身解除、まだ生存しています。ブレイズは精神、身体ともに安定していて問題はありません。」

檀はモニターを見ながら手元にあった水を一杯飲んだ。モニター越しにはナイトメア・ドーパントに蹴られて転がるロード、そして謎の敵を相手に奮闘するブレイズの姿、どちらも状況は良いものではなかった。

「これでは全滅もあり得るな・・・。」

考えたくはないがこの状況で二人が生き残れる保証はない故に普通なら増援を送るところだが今から増援を送ったとして彼らが生きているかどうかは定かではない。悩み考えているところに後ろから声が聞こえる。

「お困りみたいだな。」

後ろから現れたのは朱崎だ。彼の後ろには三人の男女が並んでいた。

「ったく・・・どこのどいつがこの世界を荒らそうってんだ?」

「ツルギだっけ?シマ荒らされてキレるのは分かるけどちと静かにしてもらえないかな?」

「そういう勇七さんも静かにな。」

ツルギと勇七の間に入ったのは柳だ。朱崎は後ろを見て小さくため息をついた後檀へと話を続ける。

「で、今回のミッションってのは後ろの人たちの増援か?」

檀は少し悩んでからいや、と否定して小さなモニターを朱崎に見せる。

「これは・・・!?」

想像を絶する光景に朱崎は絶句する。檀は頷いて朱崎の目を訴えるように見た。

「君が集めた最高のチームならきっとこの状況を打開できると信じているから頼んだよ。」

朱崎は不安そうに後ろを見る。いがみ合っている彼らを見るとさらに不安とこれから大変そうだと頭を抱えた。何もなければいいんだが・・・。

 

一方、目覚めたエメラルドは少しふらつきながらルビーの部屋へと向かう。しかしその部屋に誰かがいるはずもなく驚きを隠せないままリビングに戻る。

「アイツどこ行った!!?」

リビングに戻ると目につくところにあった書置きされている紙を見て彼らがすてられふねに行ったことはすぐに理解して、起きていることの整理と何か起きてないかとエメラルドは急いでニュースを開くとそこには恐ろしい光景が広がっていた。

「ただいまカイナシティ前です。周囲は炎に包まれており空中からでは何も確認できません。」

「何だよこれ・・・!!」

エメラルドはすぐに家を出ようとするが自分のモンスターボールをみて踏みとどまった。

「俺に何かできるのか・・・?」

先ほどのG4の戦闘では怯えて戦いにすらならなかった。もし彼がそこで戦っているのだとしたらまた足手まといになるんじゃないか。あんな見たこともない化け物に勝てる自信なんてない彼の脳裏にロードから言われた言葉が過る。

”お前の戦いを貫け!!”

今自分にできることは何か、ここで立ち止まるのが自分の戦いじゃない。見ているだけなど自分にはできない。

「そうだよな?」

彼とともに戦い続けたジュカイン、そして憧れたクリスタルもきっと答えは同じはずだ。すぐに走り出してカイナシティへとその足を急がせた。

 

変身解除され、煙の中胸ぐらをつかまれる。チヒロの目の前には高笑いするナイトメア・ドーパントの姿があった。

「いやぁ愉快ですよ。まさかここで邪魔者を排除できるとは思いもしませんでしたからね。」

「・・・。」

「あの少女は君を殺した後私がぼろ雑巾になるまで使ってあげますよ・・・たっぷり実験してあげないと。」

話しかけても何も返さない。恐らく失望や絶望、様々な念に囚われているのだろう。その表情を見てさらに男は嘲笑う。

「可哀想に・・・私がその愚かさからすぐに解放して」

「言いたいことはそれだけか!?」

首を絞めていた腕に足をクロスさせてそのまま回転、チヒロが捻った体ごとナイトメア・ドーパントは叩きつけられる。突然のことに戸惑う相手、チヒロはすぐに前転して距離をとった。

「あっぶねぇ・・・。」

「計算もしてなかっただけに賭けだったけどね。」

しかし今の状況を打開できたというだけで一転攻勢に出ることは不可能だ。変身解除までもっていくあの攻撃をもう一度受ければひとたまりもないだろう。煙の中ガンバライダーへと変身しようとした時だ。

「待て。」

そう待ったをかけたのはナイトメア・ドーパントだ。彼はカガリの首元に剣を向けて話を続ける。

「君が二つのベルトを捨てないのならこの子を永遠の夢へと眠らせる。もし君が捨てるのなら考えてやらんでもないがな!」

何を偉そうに。チヒロは変身しようとしたがロードが待てと止める。

「彼女の命が優先されるべきだろ!!」

「じゃあみすみすやられてカガリの命も捨てるのかよ!?」

いがみ合う二人、これは好機とナイトメア・ドーパントが動き出す。

「よしキュウコン!奴らを焼き払え!!」

ロードとチヒロはすぐにキュウコンへ目を向ける。打開策が何かあるはずだ。ロードはカイナシティに広がる海を見た。

「飛び込むよ!!」

「は?お前何言って」

すぐに人格は入れ替わり海へと一直線に飛び込んだ。キュウコンは追うように炎を放ち、その水蒸気は遥か高くまで舞い上がった。ナイトメア・ドーパントはしばらく海を見るが上がってくる様子もなく勝利を確信した。

「さあてあの世にいる彼らに彼女がボロ雑巾となるところを見せてあげないと。」

”オレンジスカッシュ・チェリーエナジー”

”トライアル”

「ッ!!」

二つの音速の動きはナイトメア・ドーパントを捉え猛攻を仕掛ける。その攻撃に翻弄されてその場で火花が散る。

「な・・・なんだ?」

そこには赤いガンバライダーと先程のセレジオンだが、アーマーも違えば二つのロックシードが付いている。

「貴様ら・・・何をしたァ!!」

 

これは先ほど海に飛び込んだ時のことだ。チヒロは突然のことに理解が進まずロードに説明を求めた。

「お前海に飛び込んでどうするつもりだよ!」

「ここなら人の目に付かず変身できるし油断もさせられる。ここでツインバーストして一気に叩き込むよ。」

そこまでは理解するにしてもどうやって人質のカガリを救うのか。夢というのは脳内のこと、逃げられれば一瞬で彼女を殺すことになる。二人が悩んでいるそんな時だ。

「よぉ、お困りみたいだな。」

「そうそうお困り・・・ってえっ!!?」

驚いて横を見ると明らかに怪しい男がこちらを見ていた。布で頭と首を覆い服は民族衣装のような装い、異国という言葉がまさにお似合いだろうか。男は驚くロードをよそに話を続ける。

「お前の持つリンゴロックシード、それは人間が神に近づくために作った紛い物の果実。人間の愚かさが生んだロックシードと言ってもいいだろう。しかしその力も正しく、いや「本来とは違い間違って」使えば人々の願い、善悪を正す知識の果実となるかもしれないな。」

「アンタはまず誰だ?あと」

男は聞く耳持たず話を続ける。

「お前はその果実に何を望む?愚かな争いのため、または人のため、自分のためでもいいだろう。」

そんなこと今更とロードは答える。

「誰かのためじゃなく自分のために戦う。僕が・・・俺が終わらせたい戦いのため、俺が守りたい人のため、これから出会う大切な人のためにこの力をふるう。」

信念のこもった言葉、きっと彼もそうだったのだろう。悩みながら答えを見つけ運命へとたどり着く。男は手から一つのアイテムを生成してロードへと託す。

「ゲネシスコア・・・?」

エナジーロックシードを装着する際に使用されるゲネシスコアだ。男は少しずつ彼の前から消えていく

「お前はまた運命を選ぶ時が来る。俺の名はヘルヘイム、お前がまた運命を選ぶとき俺は見届けよう!」

ガンバドライバーを装着、ロードへと変身した。ICカードを二枚装填して反転させた。

「ツインバースト!!」

分裂して二人となったロードはチヒロに戦極ドライバーを渡す。

「逃げられたその時は僕が彼女を救う。」

「勝手にしな。お前は止めても行くだろうしな。」

チヒロは戦極ドライバーへとベルトを変えてオレンジのロックシードを取り出す。ロードは手にチェリーエナジーロックシードを生成してチヒロへと渡した。

「変身!!」

”オレンジアームズ 花道オンステージ アールチェリー!イェッサー”

 

セレジオンとロードは一気にナイトメア・ドーパントへと襲い掛かる。二人のスピードは目にも止まらず、反撃の隙すら許さない。

「二人で一人を攻撃なんて卑怯じゃないか!!」

「二人で攻撃?笑わせんな!」

「僕らはいつだって一人で二人だ!!」

攻撃の手は緩まらず、一気に追い詰められていく。攻撃の中ナイトメア・ドーパントはキュウコンに叫ぶ。

「キュウコン!焼き払え!奴らを殺せェ!!」

二人は回避しようとナイトメア・ドーパントから離れるが何も来ない。見るとエメラルドと三匹のポケモンがキュウコンを追い詰めて後方へと退けていた。

「ふぅ・・・こいつどんな育て方したらこんな強くなるんだ?ウソッキーはいわなだれ!マンタインは水で炎をはねのけろ!

ジュカインはとどめまで後ろにいるんだ!!!!」

焦りに焦ったナイトメア・ドーパントはフーディンに指示を出そうとしたが、フーディンはミカルゲともう一匹いた単眼のポケモンの猛攻を受けて倒れていた。成す術がなくなったナイトメア・ドーパントはカガリの元に走り、どこかへ消え去った。

「手はあるんだろうな?」

「勿論さ。」

カガリの薬指に指輪を通しガンバドライバーへ手を当てる。

”エンゲージ プリーズ”

魔法陣へと飛び込んだロードの姿はなくなり、そこにはセレジオンただ一人が残る。

「さあて、お片付けと行くか!!」

セレジオンは一気に剣を数十体のマスカレイド・ドーパントにふるった。

 

辿り着いた場所は様々な記憶が宿る世界、脳にいるといっても過言ではないだろう。華々しい記憶や悲しい記憶、これが整理されて夢や想いへと繋がるのだろう。

ロードの目の前にはナイトメア・ドーパントがほくそ笑んで見ている。

「いやぁ心の中に入ることで夢の世界に入るとはなかなか大胆なやり方だ。」

「・・・能書きは飽きたんだ。さっさと決着に向かわせてもらう!」

一気に足を加速させてナイトメア・ドーパントへ駆けて剣を振りぬくがそれは不発に終わる。消滅したのだ。見渡すと彼の後ろに拘束されたカガリと共に姿を現した。

「見てくださいこの華々しい輝きとマグマ団の絶望・・・、彼女が何故こうなったのか考えるだけでもアドレナリンが出てしまう。」

「・・・。」

「あなたは罪人と共に明日を歩くというのですか?こんな悪人についたところで何の価値もない。栄光を捨て暴れたいからという理由で後悔して死んだんですよ。そんな女を庇う理由がどこにあるというのですか?」

ロードはべノバイザーを召喚してカードを装填する。

”コンファインベント”

その瞬間カガリを拘束していた鎖は解けて倒れた。ナイトメア・ドーパントはもう一度鎖をつけようとしたその時、飛んできたベノバイザーが脳天に直撃、痛みでふらついた。

「あぁ痛い!痛みを与えるあなたは絶対に許さない!!」

「闇があるならその闇も一緒に抱えて明日を切り開く。後悔があるなら一緒に泣いてでも進む。僕が持つ全ての力で闇を抱きしめる!」

”アクセル マキシマムドライブ”

「他人をあざ笑ったお前に待つゴールこそが絶望だ・・・!!」

炎の一撃は悪夢を打ち払い、救った烈火の戦士は現世へと戻っていった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。