マグマ団基地
かつて保護団体として動き、そのエゴが加速した結果世界を滅ぼしかねない力を得たマグマ団という組織は現在マツブサという主を失い解散している。エントツやま放っておかれた基地には様々な利点があることから現在は違う主を得て生存する形となった。
「・・・ふぅ。死ぬかと思いましたね。」
「失態だな。」
そうナイトメア・ドーパントに吐き捨てたのは仮面ライダーエターナル「右颯英司」だ。右颯は片手にどこかで拾ったの買ったのか肉をほおばりながらそう言う。ナイトメア・ドーパント「桐生哲夫」はそれを見て憤りを示す。
「敗北したあなたが言えたことか!?夢の中で無敵の私は負けてなど」
「インビジブルとゾーンの力を使って命からがら帰ってきたやつがよく言うよ。」
「お前も負けたけどな。」
仮面ライダーG4「神楽彪」はそう言って右颯の肉を奪う。豪快に一かぶりすると肉の底から骨が見えて口の周りは肉の油でベトベトになっていた。
「我々もGR粒子を得ているとはいえなかなかどうして厄介な存在だ。」
G4のデータは持ち帰っていたがセレジオンというデータの照合が合わない存在の登場を考えるとまだまだ隠し玉も多いだろう。そういう意味ではかなりデータが取れるかつ面白い相手と言える。
「だがあのアオギリとマツブサってやつら、俺たちにポケモンのデータなんて集めさせてどうするつもりなんだろうな?」
右颯がもう一つ気になるのが彼らが得たという力だ。アレは財団の技術なしに作り上げられた力であり野放しにするはずもないのだが、どうやら彼らがモルモットということではないらしい。それに財団からの依頼とはいえ右颯にとっては彼らの協力とデータの採取ということの接点がまるで見つからないのだ。大昔に住んでいた伝説の存在のデータを集めるより怪人を解き放って侵略した方が早いものを。右颯をよそに神楽は骨を片手でつぶしてそこらに捨てた。
「何があろうと関係あるまい。我々は財団のために動くだけだ。」
桐生はそれを聞いてほくそ笑む。そうだ、すべては財団と私の権力のために・・・。私のターンはまだ-終わり-ではない。
精神世界から帰ってきたロードはチヒロ、エメラルドと合流した。戻ってくる頃には消火活動していたのか火も消えていて煙も晴れていた。二人とも手ごたえがあまりなかったのか表情は晴れやかではなく寧ろ少し不満げなようだ。
「そんな顔されましてもね・・・。」
「まあ手ごたえがなかったのもあるけどどうも不穏でね・・・。」
エメラルドは少し癪なのかそう返す。ロードが見渡した時すぐにその疑問の意味を理解した。見渡す限りだが何故か住民が誰一人目を覚まさないのだ。瓦礫に埋まった人々やメモリブレイクされた住人も同じく誰一人立ち上がってはいないことを不思議に感じたロードは近くにいた男性を揺す振る。しかし全く反応がないどころか体が冷え切っているようにも感じる。
「・・・息がないかもしれない。」
ここで疑問なのは死体であることとそれと連鎖して脳が留止まっている可能性があることだ。夢を見るということは本来脳を使うはずなのだが動いていないとなると
「まさか死体の脳を操った・・・?」
しかし精神がない死体をどうやって?様々な疑問が残る中、一つのアラームがエメラルドから鳴る。すぐに持っていた端末を開いて通話を開く。
「ルビー!無事だったか!!」
「・・・あぁ、ボクとサファイアは何とかね。」
後ろからは爆音が鳴り、色々なものが倒れる音がする。ルビーの声色も少しずつ険しくなっていく。
「一緒に行動してるならロードさんたちに伝えてほしい。今烈火さんがバケモノと戦ってる。そっちの調査を取りやめてこちらに来てほしいと。」
「分かった!!すぐそっちに」
「ふーん。僕との遊びに付き合ってもらえないんだー。」
三人はその子供のような声に後ろを向く。そこには全身細長く腕は鋭利な刃、怪物というには少し遠いが明らかに人ならざるものだ。ロードは剣を構えて一気に振り抜く。それを鋭利な腕で弾いたとき異変が起こった。
「なっ・・・!!」
「ロード!!」
持っていたガンバソードは粒子となって粉々に消えてなくなる。その一瞬の動揺からか掠ったアーマーも粉々となった。
「まさか粒子を分解するような攻撃があるとはね・・・。」
「スタンスが戦ったガンバライダーより頭いいじゃーん。これは殺し甲斐があるね!」
スタンスだのなんだのはよく分からないがどうやらガンバライダーと戦ったことがあるのは確かなようだ。連戦に次ぐ連戦だがやるしかないとロードが構えた時、彼の後ろからセレジオンが歩いて横を通り過ぎる。
「お前じゃアイツには勝てないし変身する間を与えるのもよくないからな・・・ここは俺が引き受けた。」
鋭利な刃と大橙丸がぶつかり合う。お互い負けない強さで押し合っている。ロードはすぐに眠っているカガリを連れて後ろに下がった。
「来いジェットスライガー!!」
ロードは大型のバイク「ジェットスライガー」を呼び出すと隣にカガリを乗せた。
「エメラルドも乗って!」
ロードが手を伸ばすとエメラルドは街の外へと走りだす。
「俺は協力してもらえそうな人がいるから頼みに行ってみる。ここらは頼んだ!!」
各々が違う道へと走りだして残ったセレジオンと人ならざる者は剣を向けあう。
「お前、名前なんていうんだ?」
「僕の名はハッピーチャイルド、ソルジャーさ。」
ハッピーチャイルドはそう言って腕の刃をふるうがセレジオンによって躱される。
「ハッピーチャイルド、ここじゃバトルしにくいんでな・・・場所を変えようぜ。」
二人は走りだして戦いの場所を街から変えていった。
ジェットスライガーに乗って進むロードは天気研究所のあるヒワマキシティに向かっていた。空を駆けるバイクは野生のポケモンにぶつからぬよう群れを避けて通っていく。少し遠い場所にあるため一マッハで飛ぶジェットスライガーといえど時間はかかるし隣に一般人を乗せていることを考えて飛ぶとさらに時間がかかるのは明らかだ。
「・・・。」
一人になるのなんてとても久しい気がする。これまでは自分の中にもう一人いて九重やたくさんの人に囲まれて戦ってきたのだがもう何年も忘れていたような感覚だ。自分たちが違う世界を回っているから時間は止まって思うのだがこれが本当に何年もあったと思うと少しぞっとする部分もあるかもしれない。
「たった一人か・・・。」
「果たして一人かねぇ。」
いつ起きていたのかカガリは口に風船ガムを膨らませながらロードを見るが彼は少しこっちを見てから違う方を向いた。ロードの表情はどこか遠くを見ていて何か違うものを見ている。そんなところだろう。遠くを見ながら弱々しく話し出す。
「これまでは一人じゃなかったんだ・・・。誰かがいてその人たちと出会って戦って、それで別れがあった。でも一緒だった人もいたんだ。その人は今はいないからどっか一人なんじゃないかって。」
ふーん。とカガリは頷きながら空を眺める。そこには多くのポケモンが飛び交い仲間と共に高く羽ばたいている。
「ここに私がいるのに孤独だなんて寂しいこというんじゃないよ。私の闇も抱きしめてくれるんだろ?」
コイツ起きてたのか・・・!とたんに自分の言ったことがなんか恥ずかしくなりロードはマスク越しでも顔が赤くなり焦っているのが分かる。動揺しているロードを見てカガリは意地の悪そうな笑い声を出した。
「どうやって起きてたんだよアンタ!」
「フフフ・・・女って生き物は強いのさ。」
先程の孤独感はどこへやら、二人ははしゃぎながらヒワマキシティへとその足を走らせた。
カナズミシティ
ミシロタウンから北西に位置するこの街はデボン・コーポレーションという大企業があることから発展を続けていて、ポケモントレーナーの登竜門でもあるポケモンジムもあるという大きな街だ。エメラルドは足を走らせてこの場所へと来ている。
「よし!」
早速デボン・コーポレーションへと入り、向かう社長室一本道へ階段を上り続ける。階段を上がり切りデボン・コーポレーションの社長室へと入る。そこにはデボン・コーポレーションの社長であるツワブキ・ムクゲが椅子に座ってデスクワークをしていた。
「ん、エメラルドくんではないか。事件の話はセンリさんから聞いているよ。」
さすがセンリさん話が早いとエメラルドは話を続ける。
「そうなんだ!今ホウエン地方が危機に陥ってるんだ!だから社長さんに頼みが」
その時だ。壁にあった画面はニュースが読まれていて先ほどのカイナシティの一件のことが話されていた。後ろは先ほどと変わらず瓦礫が落ちていて施設もぐちゃぐちゃ。壊滅状態という言葉が相応しいだろう。そんな中でも先ほどそこにいたエメラルドにとっては信じられない光景が広がっていた。
”ロードとかいうやつがこの街を燃やしたんじゃ・・・あと紫の髪の女の子もキュウコンを連れて暴れまわっとった”
「どういう・・・ことだ?」
そこに映っていた老人は先ほどロードが揺す振っていた老人そっくりだ。血色が悪く死にかけだった老人が傷一つなく話しているのだ。ロードが街を壊すわけなんてない。あの化け物のはずなのに何がどうなっているんだ?混乱するエメラルドは頭を抱えて蹲る。
「なにがどうなってんだ・・・?あぁクソっ!!!!」
なにも飲み込めず錯乱しそうになったエメラルドにムクゲは声をかける。
「恐らく今回の一件と関係があるのだろう?詳しく話を聞かせてくれないか?」
エメラルドは項垂れるように首を縦に振って椅子に座る。信じてもらえるかは分からないがやるしかないのだろう。
天気研究所ではブレイズが孤軍奮闘してアナザーエボル、アナザークロノスに防戦一方を強いられていた。
「強いじゃねぇか・・・。」
ブレイズはアナザーエボルに二段蹴りを見舞いするが片手でいなされてそこからの連続攻撃も防がれてしまう。そこへ割って入るようにアナザークロノスがブレイズに裏拳、見事に直撃する。よろめいたブレイズに追撃を加えようと猛攻が走る。
「クリティカル・サクリファイス!」
肩から伸びる触手から放たれたアナザークロノスの一撃は炎と爆風を起こしてブレイズを吹き飛ばした。ブレイズは後ろに吹き飛ばされて倒れる。立ち上がった時、アナザーエボルの手から波動が放たれてさらにブレイズへと直撃する。壁へと叩きつけられた赤いガンバライダーは圧倒的な力の前にいよいよ追い詰められた気がした。
「やっばいな・・・。」
未知の敵との遭遇はガンバライダーを続けてきてこれまでにもあったがここまで強いとなるといくら防御に自信のある彼女でも太刀打ちのしようがない。もうここまでかと諦めかけたその時だ。
「ちゃも!ブラストバーンったい!!」
「ZUZU!!ハイドロカノンだ!!」
二匹のポケモンの攻撃はアナザーエボルとアナザークロノスに直撃、周囲は水しぶきと水蒸気に包まれた。奥義を放った二匹のポケモンは一撃使っただけでも満身創痍、少しでも休めないと動くのがやっとだろう。
「今のうちに逃げ」
「逃がすと思うなよ?」
サファイアが後ろを向くと扉の前にはアナザーエボルとアナザークロノスがいた。あの一瞬で彼らの背後に回ったというのか?逃げようとする二人を追う。
「おいおい威勢はどうしたクソガキども!」
「逃がしませんよ?」
ブレイズはボロボロの体を走らせてルビーとサファイアを追う。力いっぱい逃げる二人だったがとうとう追い詰められた二人は屋上の手すりに手をかける。
「やっと復讐を果たせるぜ・・・。」
「あの時の雪辱を忘れた日なんて一日もありませんからね・・・。」
二人から放たれた光は少年少女にまっすぐ飛んでいく。ブレイズのやめろという声も虚しく響き渡る。その光を見て二人はそのまぶしさに怯え目を瞑りお互いを庇いあう。遠くからはアオギリ、マツブサの高笑いが聞こえた
”デビル・スチーム”
少年少女の背後から放たれた一撃はアナザーエボルたちの攻撃を相殺して目の前で爆破した。後ろを見ると立っていた電柱からこちらを見る影、その姿は血のような赤色のボディと翡翠のような目だった。戦士は高く飛び、屋上の広間の中心で着地してゆっくりと立ち上がった。
「俺が暴れるための力を過剰に使われちゃあ価値が落ちちまうだろ?」
その声と立ち振る舞い、確かに容姿は違えどブレイズはその男に見覚えがあった。あの時ブレイズと互角に戦い決着に行きつかなかった戦士
「仮面ライダー・・・エボル。」
その名を呼ぶと否、とブレイズの言葉を否定した。そしてこう名乗る
”俺はブラッド・スタークだ”