ブラッド・スタークと名乗った戦士は中央に立ち剣を構える。機械のようなアーマーと赤いボディは怪人とライダーを混ぜたような容姿である。唖然とした全員をよそに動き出したのはブレイズでアームドセイバーを構えてその剣に炎を灯す。スタークは信用なさげなブレイズを見て信用ないねぇと笑いながらぼやく。
「まぁ仲良くしようや。」
「お断りだ。」
ブレイズに拒否されて先を越されたスタークはやれやれと次いで走りだす。仕方ないなぁと走って追いかけて更に敵を追いかけていく。ブレイズはアームドセイバーを召喚して一気に切り込んでいく。アナザークロノスは何発も光の玉を放つが炎の灯った剣は強力な一撃さえも凌いでしまう。そのまま振りぬかれた刀はアナザークロノスに直撃、一気に吹き飛ばした。その一瞬の隙でルビーとサファイアの方を見る。ルビーはともかく走り抜けてきたサファイアの体力は限界であることが遠くから見たブレイズでもうかがえた。床が焦げるほどの一撃をふるいさすがにダメージは大きいはず。剣を構えなおしてさっさと追撃しようとしたその時だ。
”クリティカルクルセイド”
「!?」
ブレイズは衝撃に吹き飛ばされて地に膝をつける。彼女の視線の先に敵はいない。どこだと辺りを見渡し後ろを向いた時だ。
「当たりだ。」
顔面を蹴飛ばされて転がり込む。その一撃はブレイズに対して大きなダメージを与えたのか先ほどよりもゆっくり立ち上がる。その後も見えない動きに翻弄されて何発も何発も攻撃を一方的に受け続けるブレイズをスタークは戦いのさなか見ていた。
「ありゃまずいな・・・。」
ブレイズが自分の攻撃を耐えるほどの防御力があるのは承知ではあるが恐らく体力が持たないと判断して向かおうとするがアナザーエボルはその進行をふさぐ。スタークは氷を放って動きを止めようとするがそれもまたブラックホールへと吸い込まれた。
「・・・さっすが俺と同じ力を使っているだけあるな。」
自分の力の強さをよく知っているだけにこいつの厄介さも自らが一番理解している。無論、その力と自分の力では大きな差があることも。
「降参するなら見逃してあげますよ?」
俺を煽るとはなんだこいつ。スタークの琴線に触れてしまったのか突然放たれた衝撃波を回避できずそのままアナザーエボルを吹き飛ばす。そしてそのままブレイズを攻撃しようとしたアナザークロノスを斬撃で薙ぎ払った。間一髪で救われたブレイズは緊張を解かずスタークに問う。
「・・・どういうつもりだ?」
「決まっているだろう?お前の強さなら俺の細胞を使いこなせるはずだ。」
どういうことだというブレイズの言葉を最後まで聞かずにブレイズの体内へと赤いスライムのようなものが入り込む。それがスタークであることは周囲の人間もよくわかっている。一瞬苦しむようなそぶりは見えたがその後、ブレイズから放たれるオーラは変化した。立ち振る舞いも変わり腰に手を当ててまるで挑発するかのような動きを見せる。
「お前たちが俺を本気にさせたことは褒めてやるよ。」
エメラルドとデボン・コーポレーションの通達があってから一時間、各所は大慌てでホウエン地方を守るために動き出していた。それはここにいる二人も同じだった。
「まさかこんな形で再会するとはね。」
「まったくだ。もう少しましな再会にしたかったものだ。」
元チャンピオンである「ミクリ」とヒワマキシティのジムリーダー「ナギ」はそうぼやきながらポケモンと共に空を飛んでいた。二人とも現在はとある調査に向かっていたのだがミクリの弟子であるルビー、ナギと親交も深いサファイアにも危機が迫っていると聞いてしまうといてもたってもいられなくなるのは当然と言えば当然・・・なのだが。
「べ・・・別にミクリとおなじ方向なだけだからでサファイアを気遣ってのことだからな!」
「承知の上さ。頼りにしているよナギ。」
この上からな感じと言い鈍感さと言いここの師弟は似た者同士か!ナギは心の中でそう大きく叫ぶ。ミクリは恐らく何も考えていないであろう顔で前を見つめる。ホントそういうところだぞと思い一緒に飛んでいたポケモンであるチルタリスを見た。その顔はまさに「しょうがないなぁ」って顔だった。しょうがないのか
・・・しょうがないのか!?
ブレイズと一体化したスタークは衝撃波を周囲に放ち赤い光を纏う。アナザークロノス、アナザーエボルはその圧倒的な力に恐れながらも一気に飛び掛かる。
「これだから人間は愚かだなぁ。」
その攻撃をブレイズは一蹴、先ほどと比べ物にならない強さに二人は圧倒される。力を得たはずのアオギリ、マツブサでさえもおぞましさを感じていた。
アナザークロノスは一気に光弾を放ちブレイズに攻撃するがエボルトの力を得たブレイズの前には無力も当然だった。アナザークロノスは先ほどの瞬間移動で動き一気に攻撃を与えた。ブレイズは受け身をとって倒れ込んだがすぐに立ち上がり銃を構える。ルビーは銃撃しようとするブレイズへと叫ぶ。
「そいつの能力は瞬間移動じゃない!時を止めて動いているんだ!」
「ルビー何言っとるん!?」
「・・・ほお、そういうことか。」
ルビーの一言を聞いたブレイズは銃を投げ捨てて足にエネルギーを集中させた。アナザークロノスは嘲笑いもう一度時を止めた。
”Pause”
「さてそろそろトドメといこうじゃねぇか。」
ルビーは止めに行こうとするが力さえもない。周囲を見渡すと先ほどブレイズが投げた銃が転がっていた。
「・・・。」
今は迷っている暇なんてないと銃をゆっくり持ち上げてアナザークロノスに向ける。一撃を外せば恐らくこの戦いに勝利はないだろう、緊張と恐怖が胸に刺さる。だが、
「ボクは逆境の方が燃えるタイプなんだ。」
放った光弾はアナザークロノスのベルトに直撃、終了の合図が鳴る。
”Re start”
再び動き始めた時を見計らったかのようにブレイズは回し蹴りでアナザークロノスの脳天に一撃、そのまま倒れ込ませた。
「坊主、やはりお前は俺の思惑通りに動いてくれた。」
ルビーは首を横に振って鼻で笑う。
「あんな誰でも思いつくような考えでやらないでもらいたいね。さあ、さっさと烈火さんを返してもらおうか?」
生意気ではあるがまぁコイツに免じてかえしてやるか。ブレイズの体を離れてもう一度スタークとして姿を現した。
「ったく、人使いが荒すぎるだろ!!」
「まぁまぁの居心地だったからまたよろしく頼むよ。」
そうこう話しているうちにアナザークロノスが立ちあがり光を放とうとしていた。回避は不可能な距離で二人が防ごうとしたその時だ。
「チルタリス、りゅうのいぶき」
「スターミー、ミラーコート」
アナザークロノスの攻撃は一筋の光に阻まれ、暴発して放った一撃はブレイズたちの前に展開された鏡によって反射されてアナザークロノスに直撃した。誰だと空を見上げると二人の男女がポケモンに乗っていた。ルビーとサファイアはその二人を知っていた。
「ナギさん!」
「師匠!」
二人は降りてきてルビーとサファイアと会釈を交わす。今は談笑している暇もないようで向こうはどうにも勝負を決めに大技といった感じだろう。それを察したブレイズとスターク、他のポケモントレーナーたちは一撃を放つためにエネルギーを集中させる。
「奴の攻撃はブラックホール、すべてを無効化するほどの力だ。」
「知ったこっちゃないな。こっちにもそういうのはあるんだ。」
それは楽しみだとスタークは銃にボトルを差し込み敵に向ける。
「ちゃも!ブラストバーン!」
「ZUZU!ハイドロカノン!」
「チルタリス!はかいこうせん!」
「ミロカロス!ハイドロポンプ!」
”デビルスチーム”
「ふん!お前らの力で勝てると思うな!」
”ブラックホールフィニッシュ”
”クリティカルクルセイド”
屋上で起きた爆発の中、ブラックホールフィニッシュはまっすぐブレイズへと飛んでいく。スタークは勝利を確信したように呟く。
「お前が決めろ。」
”ファイナルアタックライド ディディディケイド”
「強化ディメンションキック!!」
二つの究極奥義が激突、周囲は大きな爆発を生んだ。爆発の中立っていたのは紅い鎧を纏ったガンバライダーだった。
「・・・ふぅ。」
煙が晴れると皆は良かったとブレイズに駆け寄る。どうやら衝突時に起きた煙を使ってアオギリ、マツブサは逃げたようだ。そこにはスタークの姿もなく逃げられたと考えるのが妥当だろう。
「烈火さん!」
「君がルビーたちを守ってくれたこと、私たちからも礼を言わせてくれ。」
そんな大したことしてないよと烈火は首を横に振る。変身を解除すると、ボロボロになった烈火が周囲と談笑する。
「でも何でミクリさんたちがここに?」
「あぁ、それはエメラルド君から君たちが戦っているということを聞いて全国のジムリーダー、四天王、フロンティアブレーンが動き出しているよ。」
ナギの説明にルビーたちは彼らの安全であること、そして世界が動き出していることに安堵する。ナギに続いてミクリが続けて話を続ける。
「それにカイナシティでなにか事件も起きていたらしいからね。それについても現在調査を進めているところだ。」
ロード達が巻き込まれた事件、そしてトウカの森で襲い掛かってきた仮面ライダーエターナル、そして今回の事件。すべてが同じ組織の犯行であってもおかしくはないが気がかりなことも沢山ある。アオギリ、マツブサと名乗る男たちが変身したあの力は恐らく怪人だけでなく仮面ライダーの力も加わっている。まだGRZ社が知らない技術だとしたら恐らく生け捕りにして来いとでも言われそうなくらいには珍妙な技術だ。
周囲が談笑を交わす中ブレイズは周囲を見渡す。
「・・・エボルト。」
アナザークロノス、アナザーエボル。この二人にもかかわっていて何か知っていそうなエボルトという存在、もっと調べる必要がありそうだ