ロードとアクートは管理局内を飛び出し、空中で戦闘を行っていた。
アクートとロードは高速移動を互いに使い、一進一退とも言える攻防を繰り広げていた。
「ほぉ…この高速移動についてくるとはな!」
ロードはアクートから放たれる光弾を次々にかわすも、無限に飛んでくる弾を避けるのにも限界があった。
アクートの表情は余裕そのものであり、まるで防戦に徹するロードたちの動きを楽しんでいるように見えた。
ロードはその光弾を一気に弾くと、その光弾は花火のように彼の後ろで爆発して散っていった。
「ちっ!」
「チヒロ!どうする!」
ロードの問いかけにチヒロは体を翻した。そしてバルディッシュをアクートに向けた。
「雷光一閃で一気に蹴ちらす。」
「!!?」
チヒロは身体中から流れる魔力をバルディッシュへと収束させた。しかし、雷光一閃はフェイトが持つ大技中の大技。ユニゾンしただけの彼らではその魔力は足りずなかなか発動状態までにいかない。
「ほぉ・・・。一撃必殺に賭けようと言うのか?」
「だったらなんだ・・・。テメエのその口も開けねえようにしてやるよ!!」
チヒロの周りにまとう雷は徐々に強まり、その雷は彼の魔法陣を中心に様々なところへと光り轟いた。
「バルディッシュ!俺たちに力を貸してくれ!」
「無茶だチヒロ!あれはフェイトさんの魔力だからこそ・・・」
「俺を信じろ!!」
チヒロのその言葉にロードは背筋を震わせた。そうだ。一心一体と言ったのは自分自身だった。
信じられないなど言ってられない。守りたいものがあることには変わらないことも彼は不思議とわかっていた。
それに目が覚めたのか、ロードは自らの精神をチヒロに委ねた。感じる。彼の祈りを。
「何ごちゃごちゃ話してんだ!」
アクートは魔力で強化したガンバライダーキックをロードへと放った。魔力に集中している彼らは避けることなどできなかった。
「チヒロ!!」
「ッ!!」
彼は目を伏せた。その攻撃を凌ごうとするかのように、バルディッシュを盾のように自らの前に立たせた。
しかしそこにいたのは青い魔法陣をかかげ、アクートの魔力を凍らせていた一人の少年だった。
「義妹の力を使ってもこんなものか?ロード。」
「クロノさん!?」
そう。そこにいたのはフェイトの義兄であるクロノ・ハラオウンだった。クロノは自分のデバイスである「デュランダル」でアクートを弾き飛ばし、ロードへ手を差しのばした。そしてロードもその無言の言葉に応えるように手をつかんだ。
「やはり高クラスの魔導師はそう簡単に死んではくれないか!」
アクートが剣を振りかざすとクロノはその剣先を避けてデュランダルで押し飛ばした。
腹を押されたアクートの剣はそのままアクートを連れて地上へと降りていった。
「凍れ!!」
放たれた氷の矢はアクートへと突き刺さり、彼の体を侵食するように凍りつきアクートの動きを止めた。
「よくあいつから生きてるもんだ。」
「俺もあんたらと思いは同じだからな。負けるわけにもいかねえだろ?」
クロノは頭を掻きむしって、ロードへと真剣な眼差しを向けた。
「君とフェイトが行ってくれた魔力地帯は奴の動力源になっていたんだ。」
「やっぱりか。」
「それで他の五人にはそれの破壊へと向かってもらってる。」
そしてクロノはモニターを開き、そちらの情報を確認した。そこにはおかしな光景が広がっていた。
「はや・・・て?」
そう。先ほど傷だらけになっていたはやてが今そこにいるのだ。そしてヴィータやシグナム、使い魔であるアルフ、ザフィーラが戦っていた。
「どうだ?はやて。そちらの状況は。」
「ちょっと待て!?じゃあさっきのは!?」
はやてはきょとんとした顔でチヒロたちを見つめた。
「さっきの?アクートが来た時にこっちには向かってたけど……?」
アクートは高笑いをして身体中に纏わり付いた氷を一気に砕いた。
砕いた氷は魔力の光となってアクートの周囲から消えていく。
「あんなの擬態に決まってるだろ?本気で信じるとはやっぱり君は面白い!」
からかうように高笑いを続けると、チヒロの目に火がつくように怒りが湧いてきた。
「てめぇ……。」
チヒロは魔法陣を解放し、クロノもそれを見計らったかのように同時に魔法陣を展開した。
「奴の足は僕が止まる。その間に君は一撃をぶつけろ。」
「オッケー!任せてくれ!」
そういいクロノはチヒロから離れて魔法陣を開く。彼の青い魔法陣が周囲へと冷気を飛ばした。
「凍てつけ!!」
「Eternal coffin」
その音と同時にデュランダルから氷が放たれ、アクートとその周囲は一気に氷で凍てついた。
「いけ!チヒロ!」
「雷光!一閃!プラズマザンバー!」
チヒロとバルディッシュの元には大きな稲妻が落ち、それが力を与えるようにみるみる光が強まっていく。
「ブレイカー!!!!」
チヒロとロードが同時に叫ぶと同時にバルディッシュを振りかざし、一筋の光線が一直線に凍ったアクートへと落ちていく。その光は爆発と大きな光を生んだ。
「やった・・・か?」
雷光の光が晴れると共に倒れるアクートが見えた。アクートはゆっくりと立ち上がって首を軽く回した。
あれだけの魔力を高めた攻撃ですら微々たるダメージしか受けていない。チヒロは一種の恐怖に戦慄した。
「今回は退いてやろう……。またいずれ再戦を。」
「待て!!」
次元の壁の向こうへ逃げたアクートを追おうとするチヒロをクロノが制した。
「君が今追う必要はないさ。今はこちらの協力に従ってくれ。」
クロノの言葉にチヒロは小さくうなずき、はやてたちのモニターを見ると、倒れる怪人たちが多数見えていた。
それとは逆にはやてたちは余裕の表情で怪人たちをなぎ払っていた。
戦場にいた全員の表情は余裕そのものであり、近づいてくる雑魚の首を次々に落としていく。
「こんなんに苦戦してんのかよ。お前。」
「ロードよ。まだ我ら守護騎士の足元にも及ばないようだな。」
はやてを守る騎士であるシグナムとヴィータにものすごい言いようを叩き込まれ、彼は頭を埋めるも更に悲劇は続いた。
「これじゃフェイトは預けらんないねぇ。」
「まったくだな。主すら預けられんな。」
少し意味深な発言にクロノはチヒロの方を向き、鋭い視線を浴びせた。
チヒロとロードにはわかる。どういうことだ?詳しく説明しろ。そう義兄の視線が恐ろしくこちらへと突き刺さってくる。
チヒロとロードは頭を下げた。もう必死だったのだ。色々と。
「まあ、お話はこれくらいにしといて、決めよか。皆。」
全員が頷くと全員はデバイスに魔力を集め魔力地帯の周辺へと散らばった。
「バリアァ!!ブレェイク!!」
「うおおおおおお!!」
アルフとザフィーラは二人で同時にそこにあった魔法陣へと鉄拳を浴びせた。
「轟天!爆砕!ギガントォ!!シュラァク!」
「出でよ!隼!」
「Sturmfalken」
ヴィータはハンマー型のデバイスである「グラーフ・アイゼン」を巨大化させ、大きな打撃を打ち込んだ。
一方でシグナムは剣型のデバイスである「レヴァンティン」を弓型である「ボーゲンフォーム」へと変形させ、そこから炎の鳥を放った。
みるみる破壊されていく魔法陣を見てはやては一息つかせ詠唱を唱えた
「響け!終焉の笛!ラグナロク!ブレイカー!!」
はやては大きな魔法陣を展開し、そこから大きなレーザーを放った。だが、
「まだ壊れへんのかいな……。」
「硬すぎんだろ。こいつ。」
そしてそこへともう一つの通信が流れる。
「こちら高町なのは。ロード君を連れてそちらへと向かいます!」