10×40   作:作者B

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カルテット・心の声を聞け

都内の広場は今、たくさんの人で溢れかえっていた。人々が見ているのは十字架に張り付けられている幸太郎、映司、アンク、そしてそれを囲むように立っているショッカーの幹部と怪人達だ。

 

『なんだなんだ?』

『何事だ?』

 

観衆はざわつきながら、その様子を見ていた。

 

「ぐっ!ぬっ!」

 

映司達は必死で抜け出そうとしているが、両手足が頑丈に固定されている為か、全く外れる様子がない。

 

「幸太郎……テンドンのことだけどよぉ……」

 

モモタロスが言いにくそうに、幸太郎にテディのことを伝えようと口を開く。

 

「…………わかってる」

「え?」

 

しかし、幸太郎はモモタロスの態度で、いや、あの別れの時から察しがついていたのか、モモタロスの言葉を遮った。

 

「……何があろうと、俺とあいつの絆は切れない。今までも……これからもずっと……」

「幸太郎……」

 

そして、時が来たのか、ジェネラルシャドウが口を開く。

 

「愚かな人間どもよ、よく聞け!貴様らが最後の希望と称する仮面ライダーは、これにて完全に消滅するッ!」

『なんだって!?』

『どういうことだ!』

 

ジェネラルシャドウの言葉に、観衆が一斉に騒ぎ出した。

その頃、民衆の後方では白いシャツに赤いネクタイを着た子供達が集まっていた。

 

(……やるぞ)

(((応っ)))

 

手を合わせた子供達はそれぞれ四方に散らばった。

 

「構えよ!」

「「「「「「イーッ!」」」」」

 

合図と共に、戦闘員達が映司達に銃口を向ける。民衆はその光景を見て息を飲み、辺りは途端に静寂に包まれた。

 

「……」

 

そして広場の物陰には、ベルトを持った先程の子供が様子を伺っていた。

 

「……現れたな、ネズミが。"トランプショット"!」

 

それを察知したジェネラルシャドウは、子供が隠れている物陰に攻撃した。

 

「うわぁっ!」

 

辺りに火花が散り、子供は転んでしまう。そして、思わずベルトを離してしまった。すると、すかさず観衆の中からもう1人子供が出てきてそのベルトを拾う。

 

「あの子は!?」

「俺達は、少年仮面ライダー隊だッ!」

『なんだ!?』

『少年仮面ライダー隊だって!?』

 

子供が声を大きくして名乗りあげると、また辺りが再び喧騒に包まれる。

 

「捕らえよ!」

「「「イーッ!」」」

 

ジェネラルシャドウの合図で、戦闘員がその子供に襲い掛かる。

 

「このっ!」

「イィーッ!」

「くそっ!シゲル!」

 

戦闘員に捕まってしまった子供は、観衆の居る方へベルトを投げる。

 

「任せろ!」

 

人混みの中からまた1人、子供が出てきてベルトを受け取り、再び人混みの中に消える。

 

「イーッ!」

 

戦闘員もその後を追って人混みに入る。

 

『ベルトよ!』

『仮面ライダーのベルトだ!』

 

やがて、別の子供がまた人混みから出てくる。

 

「ミツル君!?」

 

ミツルは戦闘員をかわし、映司まであと数メートルというところまで行く。

しかし―――

 

「ショーッカー!」

「!?」

 

空より飛翔してきたショッカーグリードに行く手を阻まれてしまった。

 

「くそっ!うわッ!」

「捕まえたぞ」

「は、離せ!」

 

ショッカーグリードによって捕らえられてしまったミツル。必死に振り払うがびくともしない。

 

「フッフッフッ、これで終わりだな」

「くそぉ……」

 

不敵に笑うショッカーグリード。

 

「待てぃ!」

「!?」

 

しかし、それは叫び声によって掻き消された。

 

「「とうっ!」」

 

掛け声と共に跳んで現れたのは、洗脳されてショッカーの怪人と化している1号、2号だった。

 

「1号、2号……」

「ここは俺達に任せろ」

「ふん。では見せて貰おう。ショッカー最強の怪人が、如何にしてそのガキを始末するのかを」

 

ジェネラルシャドウの笑い声が辺りに響く。

 

「仮面ライダーッ!」

 

そんな中、ミツルが1号と2号に向かって叫ぶ。

 

「ナオキからのメッセージを聞いて!」

「「……」」

 

ミツルの言葉を聞き、1号と2号は無言のままミツルを見つめる。

 

「"僕達が、未来に伝えたい想いはただ1つ"!」

 

ミツルは息を荒くしながら続ける。

 

「"仮面ライダーは、正義の味方"!」

 

感極まって涙が流れ始めるミツル。

 

「俺もそう信じてるよ!"仮面ライダー"ッ!」

「「……」」

 

ミツルの言葉を、1号と2号は最後まで聞き続けた。しかし、二人は微動だにしない。

 

「仮面ライダー……」

「馬鹿め。どんな悪でも勝てば正義だ!オーズと電王を処刑し、ショッカーが正義となるのだ!」

 

ショッカーグリードは悪の、ショッカーの勝利を声高らかに宣言するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「…………ふははははは。はははははは!」」

 

突然、1号と2号が笑い出す。

 

「何のつもりだ?」

「ショッカーに、正義などあるものかッ!」

「この世の悪は、全て俺達が砕くッ!」

 

その言葉に、怪人達だけでなく、観衆やモモタロス達でさえも呆気に取られた。

 

「貴様ら……裏切るつもりか?」

 

ショッカーグリードが声を低くして二人に問う。

 

「私達は始めから、ショッカーに忠誠など誓ってはいない!」

「仮面ライダーを愛する者の想いを、甘く見ていたな。心あるショッカーの科学者が、俺達の洗脳を解いてくれたのだ!」

「何だと!?」

「私達は洗脳されている振りをして、貴様が現れるのを待っていたッ!」

「じっと悪の汚名に、耐えながらなッ!」

 

 

 

ワアァァァァァァァ!!!

 

 

 

1号、2号の言葉に観衆が沸き立つ。

 

『いいぞ、ライダー!』

『頑張って!』

 

その様子を見て、ミツルの顔から笑みが零れる。

 

「ええい!黙れッ!」

 

ショッカーグリードの言葉は届かず、辺りは一層歓喜の声に包まれる。

 

「行くぞ!」

「応!」

 

観衆の声援を背に、1号と2号は怪人達に向かって走り出す。

 

「てりゃあっ!」

「はあっ!」

「イーッ!」

 

1号と2号は怒濤の勢いで戦闘員達を凪ぎ払う。

 

「「はあぁぁぁっ!」」

「ぐッ!」

 

そして、2人の同時攻撃がショッカーグリードに直撃し、ミツルを救出した。

 

「早く逃げるんだ!」

「うんっ!」

 

ミツルは手に持つベルトを持って、映司の元へと走り出す。

 

「させるか!ベルトをよこせ!」

 

しかし、再び他の怪人の手によって捕らえられてしまった。

 

「ライダーに……ライダーに届けて!」

 

ミツルは自らの想いを込めて、大衆が集まる方へベルトを投げる。

 

「よこせ!」

 

ミツルを捕らえたのとは別の怪人が、ベルトが落ちた方へ歩いていく。そして、地面に落ちていたベルトを拾おうとした寸前、誰かに横からベルトを奪われた。

 

「何!?」

「ライダーに届けて!」

 

ベルトを拾ったのはたまたま近くに居た一般人の女性だった。女性はまた別の方向へベルトを投げる。

 

「このっ……!」

『行かせるか!』

『皆!やっちまえ!』

「ぬぉっ!?」

 

周りにいた観衆が怪人達を取り囲む。

 

『皆、仮面ライダーを助けるんだ!』

 

先程の女性の行動を皮切りに、大衆が怪人達の居る方へ走り出した。

 

 

 

 

 

 

士―――

 

(……なんだ?)

 

士―――

 

(……この声は)

 

起きるんだ、士―――

 

(俺は……この声を……知っている……?)

 

ピトッ

 

「うわっ!」

『ははは。相変わらずナマコが苦手なようだね』

 

気絶していた士は、突然ナマコを顔に当てられ、慌てて飛び起きた。

 

「此処は……」

 

士が目覚めた場所、そこは塵ひとつ無い、影と光だけの真っ白な空間だった。

 

『こっちだよ、士』

 

声の聞こえた方へ顔を向けると、そこには1人の男が立っていた。しかし、逆光のせいか顔がよく見えない。

 

「……あんたは一体――」

 

 

 

――戦う事が罪なら……俺が背負ってやる!――

――こんなことで分かり合えないなんて、悲し過ぎるから――

 

 

 

士の言葉が、誰かの声によって遮られる。

 

「これは……」

 

 

 

――おばあちゃんが言っていた。人が歩むのは人の道。その道を拓くのは天の道――

――どうやら切り札は、常に俺のところに来るようだぜ――

 

 

 

『これは、ライダー達の声だよ』

「ライダー達の?」

『ああ』

 

男は話を続ける。

 

『此処に居ると、色々な声が聞けるんだ。ライダー達に限らず、その周りの声もね』

 

 

 

――お前は、人間達の中で生き続けろ――

――そうだよ。だからこそ現実にしたいじゃない――

 

 

 

「どういうことだ?ライダーは消えたんじゃあ……」

『人の想いがある限り、ライダーは消えない。それを証拠に、ほら―――』

 

 

 

――仮面ライダーは正義の味方!――

――仮面ライダーを助けるんだ!――

 

 

 

「ミツル!それに……」

 

聞こえたのは、ミツル、そして大勢の人のライダーを望む声だった。

それを聞いた士は、無言でその場に立ち上がる。

 

『行くのかい?』

「ああ。此処は、俺の来るべき世界じゃ無いみたいだからな」

『そうか……』

 

そう言うと、士は男に背を向け歩き出した。

 

『そうそう。愛用してくれるのは嬉しいんだけど……僕が渡したカメラ、次は壊さないようにしてくれよ』

「!あんた、まさか―――」

 

士が振り返ろうとした瞬間、辺りが眩いばかりの光に包まれた。

 

 

 

 

 

【final kamen rider Decade】

 

突然聞こえた電子音に白き闇が振り返ると、そこには先程まで死に体だったはずのディケイドが、コンプリートフォームとなって立っていた。

 

「へぇ、まだ動けたんだ」

 

そう言うと、白き闇はディケイドに再び殴り掛かる。

 

「ッ!?」

 

しかし、ディケイドはそれを片手で受けとめた。

 

「…………っふふふふふ、あははははははははは!」

 

それを見た白き闇は、ショックを受けるどころか逆に嬉しそうに笑い出した。

 

「そうだよっ、それだよ。もっと強くなって、もっと僕を笑顔にしてよ」

 

そうして再び白き闇はディケイドにパンチを繰り出す。それを左腕でガードし、今度はディケイドが攻撃する。その応酬は、さっきまでのがまるで嘘のように、ほぼ互角の戦いとなっていた。

 

「あはははは、あははははは!」

 

殴られても尚、白き闇は笑うのを止めない。それどころか、どんどん殴る力が強くなっていく。

 

「……悪いが、お前の遊戯(ゲゲル)に付き合っている暇は無い」

 

【Kuuga kamen rider Ultimate】

 

一旦距離を空けたディケイドは、ケータッチのボタンを押す。するとディケイドの呼び掛けに応じ、クウガ・アルティメットフォームが姿を現した。

 

【final attack ride K K K Kuuga】

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「あははははは、はぁーーーーーっ!」

 

片腕に炎を灯したディケイドとクウガ、白き闇は同時に攻撃を放った。

 

 

 

 

 

一瞬の静寂が、その場を支配する。

 

白き闇の放った狂気の一撃は、ディケイドとクウガの間を抜けて空を切る。

 

ディケイドの放った破壊の一撃は相手の胸元に、クウガの放った封印の一撃は腰のベルトに入っていた。

 

「がっ……はっ……」

 

白き闇は仰向けになりながら、その場に倒れた。クウガも、その役目を終え姿を消した。

 

「……」

 

ディケイドは無言のまま、白き闇に背を向ける。

 

「……行くのかい?」

 

その時、白き闇の身体には、既に胸とベルトの2箇所にクウガの刻印が浮き上がっていた。

 

「ああ。俺を……仮面ライダーを待っている奴らが居るんでな」

 

ディケイドは振り返らずに答えた。

 

「そうか…………っははははは、あはははははははははは―――」

 

白き闇は最後まで笑いながら、その場で爆発した。

 

 

 

 

 




※補足説明※


白い空間に居た男

オリキャラです。モデルは"仮面ライダーディケイド"OPの、士にカメラを渡して居た人。ディケイド最終話直後の映画嘘(?)予告でもしかしたら語られたかもしれない、士の過去を知る人。
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