10×40   作:作者B

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今更ながら、ディケイド再登場記念。
以前書いた短編を投稿します。



ディケイドの時系列は本作のエピローグ終了後、次回作予告前

フォーゼの時系列はMOVIE大戦MEGAMAXあたりです。


フォーゼの世界

 

 

 

 

 

「学園祭キターッ!」

 

 

 

 

 

天ノ川学園高校のとある教室で、学園指定の制服とは違う黒い学ランを着たリーゼントヘアの男子生徒『如月弦太郎』が、朝からハイテンションに叫んでいた。

 

「うるさいぞ、弦太郎」

 

その近くの席に座っている真面目そうな男子生徒『歌星賢吾』が、煩わしそうな目で見ながら弦太郎を諭す。

 

「うおっ、わりぃわりぃ。でも考えてみろよ!もうすぐ学園祭だぜ?テンション抑えろって方が無理な話だ!」

「まったく、お前という奴は……」

「でも、弦ちゃんの気持ちも分かるなぁ。学園祭っていえば、高校生活きっての大イベントだからね」

 

すると、隣に座っていた、天真爛漫という言葉を体現したような女子生徒『城島ユウキ』が弦太郎に同意した。

 

「そうだろそうだろ!?やっぱりここは、仮面ライダー部も学園祭で何かするしかねぇ!」

「おぉっ!それいいね!」

「だろ?ユウキもやっぱりそう思うよな!」

「お前ら……いい加減先生が来るぞ」

「あっ、そっか。……でも園田先生遅いね。どうしたんだろう?」

 

弦太郎たちが談笑している現在、本来はHRが始まる時間のはずなのだが、担任である『園田紗理奈』がまだ来ていない。そのため、クラスでは生徒たちが雑談に花を咲かせている状況だ。

すると、噂をして影がさしたのか、教室の外から廊下を走る音が聞こえてきた。

 

「ごめんね遅くなって!」

 

ガラガラガラッと教室の扉を開け、先程弦太郎たちの話題に出ていた園田先生が息を切らしながら入ってくる。それと同時に、生徒たちは私語を止めて各々の席に着く。

 

「えー、さっそくHRを始めたいのですが、その前に転校生を紹介します」

「「「「「転校生!?」」」」」

 

先生の言葉を聞き、教室の中がどよめく。

 

「この学校、転校生が多いな」

「お前が言うな。転校生一号」

「どんな人かなぁ?」

 

突然の知らせに、クラスは瞬く間に先ほど以上の喧騒に包まれた。

 

「はい皆静かに!それじゃあ門矢君、入って来ていいわよ」

 

クラスを静めた園田先生は、廊下に待機させていたのであろう転校生を呼ぶ。その言葉が聞こえると、教室の扉が再び開けられて外から一人の男子生徒が現れた。

 

「……」

 

その転校生は無言のままチョークを手に取り、黒板に自分の名前を書き始める。

 

『門矢士』

 

書き終わると、転校生は反転してクラスメートの方へ振り返る。

 

「俺の名前は門矢士。例え制服でも完璧に着こなす男だ。よろしくたのむ」

「「「……」」」

 

その瞬間、転校生『門矢士』のよく分からない自己紹介のせいか、はたまた、その発言から読み取れる不遜とも尊大ともいえる態度のせいか、クラスが沈黙に包まれた。

 

「え、えっと、門矢君の席は一番後ろに用意しておいたから」

 

しかし何となく二番煎じ感が強かったせいか、いち早く我に帰った園田先生がその場を収め、士を席へと誘導した。

 

「ではHRを始めます。今日の予定は―――」

 

 

 

 

 

時は変わって、今は昼休み。弦太郎、賢吾、ユウキの三人は中庭を歩いていた。

 

「しかし、お前みたいなとんちんかんな自己紹介をする奴が他にもいたとはな」

「どういう意味だそりゃ!」

「まあまあ、落ち着いて」

 

賢吾は、始めて弦太郎を見たときのことを思い出しながら、皮肉混じりに転校生のことを話し始めた。

 

「まあいい。アイツともいずれダチになれるしな」

「その根拠はなんだ?」

「勘だ!」

 

まったくこいつは……と賢吾が呆れていると、ユウキが今朝の話題を振ってきた。

 

「そういえば弦ちゃん。学園祭に仮面ライダー部が参加するって言ってたけど、何をやるの?」

「おぉっ、すっかり忘れてたぜ」

 

そう言うと、弦太郎は懐か、一枚の紙を取り出す。

 

「見て驚くなよ……これだ!」

「……伝説の仮面ライダー?」

 

弦太郎が取り出した紙には、ネットに転がっていたであろうまとめ記事が印刷されていた。

 

「そうだ!フォーゼ以外の仮面ライダーについて調査する。これ以上に仮面ライダー部の発表に相応しいものはないだろ!」

「おぉー!すごいよ弦ちゃん!」

 

弦太郎とユウキはハイタッチしながら二人揃って舞い上がる。

 

「まったく……この間パソコンと睨めっこしていたのは、この事だったのか」

 

賢吾は溜め息混じりに、弦太郎の持ってきた資料を見る。

 

「まあまあ、いいじゃねぇか。それでどうだ?俺のアイディアは!」

 

そんな賢吾のことなどお構い無しと言わんばかりに、弦太郎は胸を張ってどや顔で賢吾を見る。

 

「はぁ……大体お前に―――」

『うわぁーっ!怪物だぁっ!』

「「「ッ!?」」」

 

賢吾の言葉は生徒の悲鳴によって遮られた。

 

「今の声は……」

「こっちだ!行くぞ!」

 

弦太郎が急いで先行し、残りの二人がその後を追う。

そして現場に着くと、そこには不良らしき生徒と、彼に襲い掛かっている黒い鳥を模したような怪人がいた。

 

「やはりゾディアーツか!」

「ッ!ねぇ、あれ!」

 

何かに気付いたユウキが指を差す。すると、その先に居たのは、怪人に向かって走って行っている転校生の士の姿だった。

 

「はぁっ!」

『うわッ!』

 

士は怪人『ゾディアーツ』に突進して隙を作る。

 

「おいお前、早く逃げろ!」

「は、はいぃぃぃ!」

 

士の言葉を聞いた不良は、腰を抜かしながらも一目散にその場を離れた。

 

『僕の邪魔をするな!』

「ッ!ぐッ!」

 

すると、突き飛ばされたゾディアーツは、獲物を取られた腹いせとばかりに士に襲いかかった。

 

「ッ!?危ねぇ!」

「弦太郎!」

「わかってる!」

 

士の危機に、弦太郎はフォーゼドライバーを腰に巻き、変身しようとポーズを取る。

しかし―――

 

「……ん?」

 

弦太郎は起き上がろうとしている士を見て、その動きを止めた。

 

「まったく……こういう話題に事欠かないな。俺の周りは」

 

立ち上がった士の腰には、いつの間にかベルトのようなものが取り付けられていた。

 

『むっ、何なんだお前は』

 

ゾディアーツが士に問いただす。

 

「俺は……通りすがりの仮面ライダーだ。変身ッ!」

 

【kamen rider Decade】

 

電子音が鳴ると、士の周りに十体の人型のビジョンが出現する。そしてそれが士に重なり、一人の戦士が姿を現した。

 

「何ッ!?」

「仮面ライダーだと?」

「フォーゼ以外の仮面ライダー……」

 

突如として現れた仮面ライダー『ディケイド』を見て、弦太郎たちは三者三様の反応を示す。

 

「行くぞ。はぁっ!」

 

ディケイドはライドブッカーを手に持ち、ゾディアーツへ向かっていく。

 

「おっと、こうしちゃいられねぇ!」

 

我に帰った弦太郎は、腰に装着したフォーゼドライバーの4つスイッチを入れ、ベルトの右サイドにあるレバーに手を掛ける。

 

【three】

【two】

【one】

 

「変身ッ!」

 

レバーを引くと、身体が光に包まれ、弦太郎は仮面ライダーフォーゼへと変身する。

 

「宇宙キターッ!」

 

フォーゼは握りしめた両手を空高く突き上げ、高らかと叫ぶ。

 

「仮面ライダーフォーゼ、タイマン張らせてもらうぜ!」

 

そしてフォーゼはゾディアーツへ向かって走り出した。

 

 

 

 

 

「はあぁっ!」

「おりゃあっ!」

 

ディケイドとフォーゼが交互に攻撃を繰り出し、ゾディアーツを翻弄させていく。

 

「へへっ、中々やるな」

「お前もな」

 

お互いに称え合う二人。その一方で、ユウキと賢吾は戦いの解析に努めていた。

 

「賢吾君、どう?何か分かった?」

「あのゾディアーツは恐らくカラス座だ。だがあの仮面ライダーは……」

「分からないの?」

「ああ。フォーゼと全く別のシステムを使っているとしか……」

 

賢吾は手に持っている解析機を睨みつける。どうやら、数々のゾディアーツを解析してきた賢吾を持ってしても、ディケイドの詳細な力を把握するには至らなかったようだ。

 

『調子に乗るな!ふんっ!』

 

すると、ろくに攻撃出来ずに怒りを増したゾディアーツは、腕と一体化した翼から、散弾のように羽根を飛ばす。

 

「何ッ!?」

「うぉッ!」

 

突然の攻撃に二人は避けられず、そのまま散弾の餌食となってしまった。

 

「痛てて、くっそぉ~……」

「弦太郎!シールドを使え」

「お、おう!わかった!」

 

フォーゼはフォーゼドライバーの左から二番目のアストロスイッチを変え、新たにスイッチを押す。

 

【Shield-ON】

 

すると、フォーゼの左腕に白い盾が現れる。

 

「よっしゃ!これでもう怖くないぜ!」

 

フォーゼは盾を前面に出して防御しながら、再びゾディアーツへ向かっていった。

 

「だったら、俺はこいつだ」

 

【kamen rider Agito】

 

ディケイドはベルト『ディケイドライバー』にカードを入れる。すると、その身体が光に包まれ、ディケイドは黄金の戦士『仮面ライダーアギト』へと変身した。

 

「ッ!馬鹿な!」

 

その様子を見ていた賢吾が思わず声を張り上げる。

 

「ど、どうしたの賢吾君?確かに姿が変わったのは驚きだけど……」

「変わったのは姿だけじゃない。エネルギーの波長が全く違う。今の姿はさっきのと全く別系統の力だ」

「どういうこと?」

「あの謎の仮面ライダーは技術やエネルギー、起源の異なる力を使えるということだ。それも、恐らくいくつも」

 

正体不明の力を目の当たりにして驚きを隠せない賢吾。そんな彼を余所に、ディケイドは再びカードを取り出し、ベルトに挿入する。

 

【form ride Agito Trinity】

 

すると、アギトとなったディケイドは赤くなった右腕で剣を握り、青くなった左腕で杖を握る、金・赤・青のボディの三位一体の戦士(トリニティフォーム)にフォームチェンジした。

 

「行くぞ!はあぁぁぁっ!」

 

ディケイドは左手のストームハルバードを回転させ、羽根を弾きながら進む。

 

「たあぁっ!」

 

そして、先行していたフォーゼが敵の攻撃をガードしている隙に、右手に持つフレイムセイバーで相手を斬り伏せた。

 

『ぐぁッ!』

 

ゾディアーツは切口から火を上げ、よろめきながら後退する。

 

「おお、助かった―――って誰だお前!?」

「誰って……さっきまで一緒に戦ってただろ」

「さっき?あぁ、あのピンクの仮面ライダーか!」

「マゼンダだ!」

 

先程の姿とのあまりの変わり様に大声を上げるフォーゼと、微妙に怒るところが違うディケイド。

 

『くそっ!何故何時も邪魔ばかり入るんだ……』

 

そんな中、ゾディアーツはぶつぶつと呟きながら立ち上がった。

 

『はっ!』

「うおッ!」

 

そして、ゾディアーツが腕の羽を振るうと、ゾディアーツを囲うように強い風が竜巻となって吹き荒れる。

 

「……くそっ、逃げられたか」

 

そして風が止むと、既に2人の前からゾディアーツの姿は消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

ところかわり、士を含む弦太郎一行は月面にある秘密基地『ラビットハッチ』に来ていた。

 

「俺の名前は如月弦太郎。天ノ川学園高校の全員と友達になる男だ!宜しくな!」

 

士をここまで連れてきた弦太郎が、大きな声で自己紹介を始める。

 

「私は城島ユウキ。それでこっちが歌星賢吾君」

「ああ。宜しく頼む」

 

弦太郎を見習い、ユウキも名前を名乗る。

 

「次は私ね。私は風城美羽。この仮面ライダー部の部長よ」

「俺は大文字隼。主に力仕事の担当だな」

 

椅子に腰掛けていた茶髪のショートヘアの女子生徒と、筋トレをしていたジャージ姿の男子生徒が続いて自己紹介する。

 

「…………私は野座間友子」

「そんでもって、俺はJK(ジェイク)っす。何か知りたいことがあれば、何でも聞いてくれていいっすよ」

 

最後に、目の下の黒メイクが特徴的な女子生徒と見た目通り軽そうな性格をしている男子生徒が自己紹介をした。

 

「それで……貴方が弦太郎の言っていた仮面ライダーなの?」

「ああ。俺は門矢士。幾つもの世界を旅してまわっている」

「幾つもの、世界?」

 

美羽の疑問を聞いて、士は説明を始める。

 

「訪れた世界でライダー達と出会い、その世界でのやるべき事をやり、そして次の世界へと旅立つ。俺はずっとそうやって旅をしてきた」

「凄いわね……異世界を旅するなんて」

「成る程な。見たことも無い技術が使われていると思ったら、そういうことだったのか」

 

士の話を聞き、驚愕の表情を浮かべる美羽と、納得の表情を浮かべる賢吾。すると、弦太郎が身体を乗り出して話に加わる。

 

「なあなあ!他の仮面ライダーにも会ったことあるんだよな?なら、これ知ってるか!?」

 

そう言って弦太郎が見せたのは、昼休みに賢吾達に見せていたプリントだった。

 

「……伝説の仮面ライダー?この七人なら会ったことがあるぞ」

「おお!マジか!?やったぞユウキ!これで学園祭は俺達仮面ライダー部の勝利だ!」

「やったね弦ちゃん!何に勝つのかよく分からないけど!」

 

士の言葉を聞いて、弦太郎とユウキが舞い上がる。

 

「学園祭?」

「何の話だ?俺達は聞いてないが……」

 

二人の反応を見て、初耳だとばかりに美羽と隼が疑問の声を上げた。

 

「おお、そうだった。実は、今度の学園祭で俺達仮面ライダー部も何か出し物をやろうと思ってな」

 

そう言うと、弦太郎は今度は二人に見えるようにプリントを前に突き出す。

 

「それでこの『伝説の仮面ライダー』について調査しようって訳だ!士にも協力して貰えば、もう他の出し物なんて目じゃ無いぜ!」

「へぇ、良いんじゃない?」

「確かに面白そうっすね」

「そうだろそうだろ?」

 

好感触な部員の反応を見てテンションが上がる弦太郎。

 

「盛り上がるのは結構だが、その前にあのゾディアーツはいいのか?」

「あっ、そうだった」

 

そんな弦太郎達に、士が横槍を入れる。

 

「そういえば、ここ数日で学校の不良達が何人も襲われて病院送りになってるそうっすよ」

「戦っていた最中の奴の言動から察するに、動機は恐らく復讐といったところか」

 

JKの情報を元に賢吾が推測する。

 

「よし!こうなりゃ片っ端から聞き込みだ!行くぞ、士!ユウキ!」

「はあ?何で俺が―――って引っ張るな、離せ!」

「あっ、待ってよ弦ちゃん!」

 

弦太郎は士を強引に引っ張り、ユウキと共に出ていってしまった。

 

「おい待て!……はぁ、まあいい。俺は今のうちにあのゾディアーツの解析をしておくか」

「…………何だか弦太郎さん、何時もよりテンションが高い」

「あいつは今朝からあんな感じだ。まったく、学園祭もまだ先の話だっていうのに……」

 

愚痴を溢しながらも賢吾はバガミールで記録した映像の解析を始めた。

 

 

 

―――――――――――――――

 

――――――――――

 

―――――

 

 

 

――とある部屋の一室――

 

 

 

窓一つ無い薄暗い部屋には、椅子に座る男と、その男に頭《こうべ》をたれる若い男が居た。

 

「スイッチャーの調子はどうだい?リブラ」

「今のところ順調です、理事長。しかし……」

 

リブラと呼ばれた男は言葉を濁す。

 

「"未知の力を使う者"。君が心配するのはこれだね?」

「はい……」

 

リブラの反応を見て、理事長と呼ばれた男は椅子に深々と腰掛け、不適な笑みを浮かべる。

 

「狼狽する必要は無い。この広い宇宙において、我々の予測を上回る事態が起こることなど日常茶飯事だ」

「しかし理事長。彼の者を放置して置くのは些か不安です」

「ならば……その判断は君に任せるとしよう。期待しているよ、リブラ」

「了解しました。理事長」

 

その言葉と共に、リブラと呼ばれた男は手に持つスイッチでリブラゾディアーツへと変身し、その場を後にした。

 

 

 

―――――――――――――――

 

――――――――――

 

―――――

 

 

 

――中庭――

 

 

 

「さっぱり進展しねえなぁ……」

「やっぱり、宛ても無しじゃ無謀だったんじゃない?」

 

ラビットハッチを飛び出した弦太郎たちは、一連の事件の情報収集に当たっていた。しかし、中々思うように情報が集まらずに途方にくれるのだった。

 

「おい、一旦さっきの場所に戻った方が―――」

『―い!――せ―前が―――んだ―!』

「―――ん?何だ?」

 

士が帰るように諭そうとした時、遠くから数人の怒声が聞こえてきた。

 

「喧嘩?……行ってみるか」

「ん?あっ、おい士!待てって!」

 

声が聞こえてきた方向へ一人で走っていく士。そんな彼を追いかけるべく、弦太郎とユウキも続けて走り出した。

 

「お前だろ!?あの怪物に近藤(こんどう)さんや篠木(ささき)さんを襲わせたのは!」

 

そこには、腰が抜けたのか地面にへたり込んで後退りしている眼鏡を掛けた男子生徒と、彼に問い詰めている三人の不良らしき男子生徒たちが居た。

 

「大人しく白状しろ!」

「ち、違う!僕じゃない!」

「てめぇ……」

「おい!お前ら、何やってんだ!」

 

目の前の騒ぎを放っておけなかったのか、弦太郎は仲裁をしようと眼鏡の生徒と不良の間に割って入る。

 

「うるせぇ!関係ない奴は引っ込んでろ!」

「そうはいかねぇ。寄って囲ってひとりを脅してるような奴は特にな」

「はんっ!そいつが恩を仇で返すのがいけねぇんだ!」

「……何?」

 

恩を仇で、そんなただの脅しにはおおよそ無縁であろう単語が出て来たせいで、頭の上に疑問譜が浮かぶ弦太郎。そんな弦太郎の疑問に答えるように、不良の一人が続ける。

 

「そいつ、前に近藤さんに助けて貰った癖にあの怪物を使って襲わせたんだ」

「違う!僕はそんなことやってない!」

「嘘つけ!それに―――」

「どっちも落ち着け」

 

不良と眼鏡の生徒の言い争いに発展しようかというところで、見兼ねた士が止めに入った。

 

「大体、その話はどっから仕入れたんだ?ちゃんと確かな情報なんだろうな?」

「当たり前だろ!?それに、ここにいる前田《まえだ》が見たって言ってるんだぞ!」

 

話していた不良が後ろにいた二人の内の一人を指さすと、指名された不良『前田』が頷き、1歩前に出る。

 

「ああ。一週間前の昼休み、こいつが校舎の裏で怪物と何か話しているのを見た」

「近藤さんが襲われたのも一週間前。確かその日、お前用事があるとかで来なかったよな?」

「そ、それは先生に頼まれて授業に使う道具を倉庫から出してくるように言われて……」

「じゃあそれを証明出来る奴は居るのかよ!」

「それは……」

「お前達!こんなところで何をしている!」

 

眼鏡の生徒が言葉に詰まっていると、騒ぎに気がついたのか、向こうから先生が駆けつけてきた。

 

「やべぇ!先公だ!」

「ちっ、覚えてろよ!」

 

不良は捨て台詞を吐くと、そのまま一目散に逃げ出す。

 

「俺達も逃げた方が良いじゃないか?」

「そうだな。士、ユウキ、逃げるぞ!」

「うん!ほら、君も!」

「え?ち、ちょっと!」

 

眼鏡の生徒と共に、弦太郎達は急いでその場を離れた。

 

 

 

 

 

「……ふう、何とか撒いたか」

 

先生から無事に逃げ切れた弦太郎達は一息ついた。

 

「はぁ……はぁ……君、大丈夫だった?」

「え?あっ、はい。体力は人並みにはあるので」

 

ユウキの言葉に、眼鏡の生徒は大して息切れした様子も無く答える。

 

「助けてくれてありがとうございます。僕は飯塚(いいづか)勇斗(はやと)っていいます」

「おう、俺は如月弦太郎だ。それにしても災難だったな。妙な疑いを掛けられて」

「……」

 

弦太郎の言葉を聞いて表情が暗くなる勇斗。

 

「近藤、だったか?お前と面識があるみたいなことをあいつらが言っていたが、なんでお前みたいな真面目君が不良とつるんでたんだ?」

 

不良と内気な生徒。あまり見ないような組み合わせに疑問を持った士が、勇斗に問いかける。

 

「……前に僕が他校の生徒に絡まれていた時に、近藤さんが助けてくれたことがあったんです」

 

士の疑問に答えるように、勇斗はその表情にやや影が射しながらも語り始めた。

 

「近藤さんは不良だけど情の厚い人で、でも結局口論だけじゃ収まらず、喧嘩にまで発展しちゃって。それで近藤さん、このせいで数日の謹慎処分を受けてしまったんです。なんで見ず知らずの他人にそこまでするのかって聞いたら、『困っている奴は助ける。当たり前だろ』って言っていました」

 

だから―――と勇斗は続ける。

 

「僕は近藤さんみたいに、強くて優しい人になりたいって思ったんです」

「~~~ッ、いい話だぁ!」

 

勇斗の話を聞いて、弦太郎は感動のあまり漢泣きをしていた。

 

「でも例の怪物事件で近藤さんが怪我をした時、一番怪しい僕が疑われて。そんな時、近藤さんと古くからの知り合いの篠木さんが『俺がお前の潔白を証明してやる』って出ていって……」

「そいつもやられたってわけか」

「はい……」

 

士はどうしたものかと考えていると、飯塚のポケットから何か零れ落ちるのが見えた。

 

「?何か落ちたぞ」

 

そう言って士が拾い上げようとした、その時―――

 

ガサガサッ!

 

「!?」

 

近くの林から物音が聞こえてきた。

 

「何モンだ!」

 

弦太郎の声を聞き、草むらからひとつの人影が現れた。

 

「お前は、さっきのゾティアーツ!」

 

そう、そこに立っていたのは、昼休みに不良を襲っていたクロウゾティアーツだった。

 

『酷いじゃないか。僕一人に罪を擦り付けようだなんて』

「な、なんだお前!僕はお前なんか知らないぞ!」

『ふふふ、どうせフォーゼに僕のことを始末させて口封じをするつもりだったんだろ?』

「ち、違う!」

「いい加減にしろよ、お前」

 

勇斗とゾティアーツが言い合っているところを、弦太郎が割り込む。

 

「まずはお前の化けの皮を剥いでやる。行くぞ士!」

 

弦太郎はそう言い、士が居る方へ振り向く。しかし―――

 

「……あれ?居ねぇ?」

 

いつの間にか、士の姿は消えていた。

 

『おや?助っ人が居ないと不安かな?』

「うるせぇ!こうなりゃ一人でも―――」

 

弦太郎は腰にフォーゼドライバーを巻き付け、4つのスイッチをONにする。

 

【three】

【two】

【one】

 

「変身ッ!」

 

掛け声と共にベルトのレバーを引き、弦太郎は仮面ライダーフォーゼへと変身した。

 

「宇宙キターーーッ!」

 

フォーゼは叫びながら両腕を空に突き上げる。

 

「仮面ライダーフォーゼ、タイマン張らせて貰うぜ!」

 

 

 

 

 

 

「ここは……」

 

一方の士はというと、突然銀色のオーロラに身体が包まれ、気が付けば見知らぬ場所に立っていた。

 

「こんな真似をするのは……出てこい!鳴滝!」

 

士が後ろを振り向くと、予想通り其処には、士をいつも付け狙う『鳴滝』が立っていた。

 

「やはりか。今度は何なんだ」

 

「ディケイド。君を倒すのに相応しいライダーを用意した」

 

鳴滝がそう言うと、その後方に再び銀色のオーロラが現れ、その向こう側から一人の仮面ライダーが現れた。

 

「終わりだ!貴様は此処で朽ち果てるがいい!」

 

そして、入れ換わるように鳴滝がオーロラの向こうへと消えていった。

 

「お前は一体……」

 

士が呟くように訪ねると、相手は人差し指を立ててチッチッチッと横に振る。

 

「お前も俺も、何者であろうと関係ない。お前の運命(さだめ)は、俺が決める」

「ふんっ、面白い。変身ッ!」

 

【kamen rider Decade】

 

士はベルトにカードを差し込み、ディケイドへと変身した。

 

 

 

 

 

「はあぁっ!」

「ッ!くそっ!」

 

フォーゼは転がりながらも、なんとかクロウゾティアーツの散弾攻撃を回避し続けていた。

 

(くそっ!シールドを使ったとしても防御が手いっぱいで攻撃出来なくなるし、一体どうすりゃいい……)

『ちっ!猪口才な!くらえっ!』

「ぐッ!ああくそっ!こうなったらこいつだ」

 

痺れを切らした弦太郎はスイッチを二つ取りだし、ベルトにセットする。

 

「これでどうだ!」

 

【Luncher-ON】

【Gatling-ON】

 

フォーゼは右足にランチャー、左足にガトリングを装着した。

 

「うりゃりゃりゃりゃあぁぁぁぁっ!」

『何!?』

「きゃっ!」

「うわっ!」

 

フォーゼの両足から放たれた弾丸の雨は、敵の羽根の散弾諸共辺り一帯を吹き飛ばした。

 

「もう!危ないよ弦ちゃん!」

「わりぃわりぃ。後はこいつで止めだ」

 

フォーゼはリミットブレイクを使うべく、再びスイッチを取り出す。

 

『くそッ……はぁっ!』

「うおっ!」

 

しかしクロウゾティアーツは羽根を一枚放ち、フォーゼの手に持つスイッチを弾いた。

 

『今だ!ふんっ!』

「ッ!?くそっ!またこれか!」

 

フォーゼの隙を作ったゾティアーツは、再び強風を自身の周りに発生させる。そして―――

 

「……また逃げられた」

 

風が止んだ頃には、ゾティアーツの姿は消えていた。

 

 

 

 

 

「ホワァチァーッ!」

「チッ!」

 

一方の士も、謎の仮面ライダー相手に苦戦していた。

 

「……ふん、こんなものか」

「なんだと?」

 

相手は士を見下すような発言をすると、右腕に装着しているガントレットの三つのレバーの一つを引く。

 

【Jupiter ready?】

 

そしてガントレットに指を翳《かざ》し、指紋認証を行う。

 

【OK!Jupiter!】

 

電子音が鳴り響くと、右手を覆うように木星を模した巨大な球体が現れる。

 

「ホワァチャアッ!」

「ッ!?くそっ!」

 

ディケイドは敵のその攻撃を間一髪で(かわ)す。そして、敵の拳はそのままディケイドの背後にあった岩に当たり、岩は粉々に砕かれてしまった。

 

「……なんつう威力だ」

「避けたか……まあいい。次でお前の運命が決まる」

 

謎のライダーは、ベルトに差し込んであったスイッチを取りだして腕のガントレットに挿入する。

 

【limit break!】

 

そして、謎のライダーは再びガントレットに指を翳して指紋認証を行う。

 

【OK!】

 

ガントレットから認証完了の音声が流れると、ガントレットの周りを青いエネルギーが纏いはじめる。

 

「ハァァァァァ……」

「だったらこっちは―――」

 

今にも技を発動せんとする相手に対し、ディケイドは一枚のカードを取り出す。

 

「ホワァァァァァッ!」

【form ride Kabuto masked】

 

敵の拳が当たる寸前に、ディケイドは【カブト・マスクドフォーム】に変身した。

 

「ホワァタァッ!」

「ぐッ!」

 

攻撃をまともに食らい後ろに飛ばされたディケイド。だが、後ろに転がりながらも、ディケイドは敵の必殺技を耐えきった。

 

「何だと!?」

 

耐えられたことに驚きを隠せない謎のライダー。そんな相手を余所に、ディケイドは1枚のカードを取り出しながら立ち上がる。

 

「次はこっちの番だ」

 

【attack ride cast-off】

 

電子音と共にディケイドが纏ってした鈍重な装甲が弾け飛び、ディケイドは【カブト・ライダーフォーム】へと変身した。

 

「装甲を捨てた?なら―――」

 

【Saturn ready?―――OK!Saturn!】

 

謎のライダーは再びガントレットのレバーを引き、今度は土星を模したものが右手に現れる。

 

「ホワァチャアッ!」

 

謎のライダーはカッターのように右手から無数の土星の輪を飛ばす。その土星の輪は、ディケイドの逃げ道を塞ぐように囲いながら襲いかかる。

しかし―――

 

【attack ride clock-up】

 

ディケイドは高速移動で敵の包囲網から抜け出した。そして、即座に相手の背後に回り込んだ。

 

「ッ!?消え―――」

 

【final attack ride Ka Ka Ka Kabuto】

 

「はあぁぁぁっ!」

 

ディケイドはそのまま、敵に回し蹴り(ライダーキック)を放った。

 

「ぐはぁッ!」

 

咄嗟の事態に反応出来ず、攻撃を(もろ)に受けてしまった謎のライダーは、そのまま地面を転がった。

 

「……はあ……はあ……どうやら、此処までのようだな」

 

弱々しくも方膝をついて起き上がった謎のライダーは、再び銀のオーロラの向こうに消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

――ラビットハッチ――

 

 

 

「弦太郎の話から察するに、復讐という線は薄いな」

 

帰ってきた弦太郎達を出迎えて大体の事情を聞いた後、賢吾が話を切り出した。

 

「え?何でだよ」

「もし復讐が目的だというのなら、正体を隠したりせずに相手に自分の存在を誇示するはずだ。そうでなければ、相手に対して"自分が復讐した"という事実を突き付けられない」

「確かに。今までのゾディアーツ化した生徒の中にも、そんな感じの人は居たわね」

 

賢吾の推測に美羽が肯定の意を示す。

 

「じゃあ、目的は別にあるってことか?」

「ああ。それなら、関係ない生徒に罪を擦りつけようとするのにも説明がいく」

「何なんだ?その目的ってのは」

 

弦太郎が賢吾に問いかける。

 

「さあな。そこまでは分からない」

「分からないって……はぁ。士もどっか行っちまったし、八方塞がりかぁ……」

 

結局話が振り出しに戻り、思わずため息がでる弦太郎。

 

「いや、そうでもないぞ」

「え?」

「居るだろ?お前が言っていた人物の中で一人、唯一誰にも疑われずに飯塚に罪を押し付けられる奴が」

「…………ッ!前田か!」

 

弦太郎は大声を上げて立ち上がる。

 

「よし!そうと決まれば前田の奴をとっちめて来るぜ!」

「あっ!弦ちゃん待ってぇ!」

 

弦太郎は駆け足でラビットハッチを飛び出して行く。ユウキも慌てて後を追った。

 

「おい弦太郎!……まったく、まだ確証は無いっていうのに」

「まあ、いいんじゃない?それより私達はゾディアーツの解析を続けましょう」

 

本日二度目の光景を見て思わず呆れる隼を促し、美羽はゾディアーツの映像に目を移す。

 

「しかし、これと言って目新しい情報は無いと思うが」

 

賢吾はそう言いながら映像を見る。

 

「………………」

「?どうした野座間」

「……このゾディアーツ、何か変」

「何だと?」

 

 

 

 

 

「さてと……此処か。被害者が入院してる病院は」

 

一方の士は、弦太郎達とは合流せずに独自に事件の調査を行っており、今は不良達が入院しているという病院に来ていた。

 

「ちょっといいか?」

「?はい、何でしょうか」

 

士は通路を歩いていた看護婦を呼び止める。

 

「天ノ川学園高校の近藤と篠木って奴の病室を知らないか?見舞いに来たんだが」

「近藤様と篠木様ですね?かしこまりました。少々お待ち下さい」

 

そう言うと看護婦は受付へ行き、確認を取る。そして、病室が分かったのか士の下へ戻って来た。

 

「申し訳ございません。近藤様は確かに居りますが、篠木という方はこの病院には入院されておりませんよ」

「何?」

 

 

 

 

 

「やはりこそこそと嗅ぎまわっているようだな。目障りな」

 

士の居る病院から少し離れた所で、士の様子をリブラゾディアーツが見ていた。

 

「勘も中々に鋭いようだ。せっかくの素材をこのまま台無しにされても困る。今の内に排除しておくか」

 

そしてリブラは持っていた杖を構え―――

 

「ッ!?くッ!」

 

突如、銃撃に襲われた。

 

「何者だ!?」

 

リブラは怒鳴り声をあげながら狙撃者が居るであろう方向を睨み付ける。

 

「やれやれ。そう怒鳴らないでくれるかな」

 

そう言いながら物陰から出てきたのは、その手に銃『ディエンドライバー』を握っていた『海東大樹』だった。

 

「貴様……何のつもりだ。奴の仲間か?」

「僕の目的はただ一つ。君達十二使徒(ホロスコープス)だけが持つとされる特別なスイッチ、それが欲しいだけさ」

 

『kamen rider―――』

 

大樹がディエンドライバーにカードを差し込み、そのまま銃口を真上に向ける。

 

「変身ッ」

 

『―――Diend』

 

大樹が引き金を引くと三体の人型のホログラムが現れる。そしてその三体は大樹の身体に重なり、大樹は『仮面ライダーディエンド』へと変身した。

 

「チッ!」

 

リブラは杖を振りかざし、目の前に複数の『星屑忍者ダスタード』を呼び出す。

 

「成る程。それならこちらも……」

 

ディエンドはカードを二枚取りだし、ディエンドライバーに挿入する。

 

『kamen rider Garren

 kamen rider Zolda』

 

ディエンドが再び引き金を引くと、ディエンドとダスタードの間に『仮面ライダーギャレン』と『仮面ライダーゾルダ』が現れた。

 

「更に―――」

 

『attack ride cross attack』

 

電子音が鳴り響くと、ゾルダの前に契約モンスター『マグナギガ』が出現する。ゾルダはマグナギガの背中に己の銃口をセットすると、マグナギガの胸部が開き、全身からミサイルや銃口が剥き出しの状態になった。

そしてゾルダが引き金を引くと、マグナギガから大量のミサイルとレーザーが放たれ辺り一帯に降り注ぐ。

 

「な、何!?―――ぐッ!」

 

ゾルダの攻撃により、リブラが呼び出したダスタードは跡形もなく消滅した。

 

「くっ、馬鹿な……」

 

辺りに煙がたちこむ中、リブラは見失うまいと必死に敵の影を追う。

するとその時、煙の中から上空へ跳び上がる一つの影が現れた。

 

「そこか!はぁっ!」

 

切りもみ回転をしながら跳んでいる影、ギャレンに向かって、リブラは手に持っていた杖を槍投げのように飛ばす。

しかし、杖が当たる直前に、ギャレンは左右に分裂して躱《かわ》した。

 

「何だと!?」

「はあぁぁぁぁぁっ!」

 

そしてギャレンは、そのままリブラに向かって『バーニングディバイド』を放った。

 

「ぐあぁぁぁッ!」

 

ギャレンの攻撃をもろに食らったリブラ。しかし、よろめきながらもなんとか持ちこたえた。

 

「くっ……覚えていろ……」

 

リブラはそう言い放つと、自分の足元に火花を散らし姿を眩ました。

 

「……逃げられたか。まあ良い、僕の本命は別にある」

 

『attack ride invisible』

 

大樹はそう言い残すと、インビジブルのカードを使いその場から姿を消した。

 

 

 

 

 

「中々見つからないな。飯塚の姿も見えないし」

 

一方、ラビットハッチから意気揚々と出てきた弦太郎だったが、探し人が見つからずに途方に暮れていた。

 

「もしかしたら、もう校内に居ないかもしれないね」

 

弦太郎と一緒に探していたユウキがポツリと呟く。

 

「かもな~」

 

弦太郎も頭をぽりぽりと掻きながら同意する。

 

「お?お前達、まだ帰ってなかったのか」

 

すると、弦太郎達に一人の教師『大杉忠太』が声を掛けた。

 

「あっ、先生。ちょうど良かった。前田って奴、何処に居るか知らないか?」

「前田ぁ?ああ、アイツか。それなら確か、飯塚を連れて校門を出てったぞ」

「!それだ!行くぞユウキ!」

「うん!」

 

大杉の言葉を聞くや否や、弦太郎とユウキは校門の方へ駆け出した。

 

「……?何だったんだアイツら」

 

大杉の疑問に答える者は誰も居なかった。

 

 

 

 

 

その頃士は、話を聞く為に近藤の病室を訪ねていた。

 

「つまり、お前を襲った犯人は前田だったってわけか」

 

士は今まで近藤から聞いていた話をまとめ、再度近藤に尋ねる。

 

「ああ。襲ってきた黒っぽい奴が俺の目の前で変身を解いたんだ。それがまさか前田だったなんて……今でも信じられない」

「……そうか」

 

士は近藤の話を、訝りながら聞いていた。

 

(前田は何故、近藤に正体を曝したんだ?それじゃあ、飯塚に罪を着せても意味が無い……ん?)

 

すると士は、近藤の後頭部に何かが付いているのに気付く。

 

「何だ?これは……」

 

士は近藤にくっついていたものを取る。すると―――

 

「がッ!」

「ッ!?どうした!」

 

近藤が急に頭を抱えて(うずくま)った。

 

「ぐッ……あッ……」

「待ってろ!すぐ医者を―――」

「まっ……待てッ!」

 

急いで病室から出ようとしていた士を近藤が引き留める。

 

「はぁ……はぁ……思い出した……犯人は、前田じゃ……ない……」

「……何?」

 

 

 

 

 

 

 

「いい加減にしろよな!」

「ひぃぃぃっ!」

 

とある廃れた工場の一角。其処には怯えきっている飯塚と、彼に掴みかかっている前田が居た。

 

「た、助けて……」

 

飯塚は後退りながら弱々しく呟く。

 

「お前……この()に及んで―――」

「待て!」

 

今にも前田が拳を振り上げようとした時、二人の場所を突き止めてやって来た弦太郎が制止の声を上げる。

 

「前田!口封じなんて馬鹿な真似は止めろ!そんなことしたって何にもならないぞ!」

「はぁ?何言ってるんだ?いいか!そいつは―――」

『そいつは僕に不良を襲わせた、とでも言う気か?』

「ッ!?」

 

突然聞こえた声の方向に弦太郎達が振り向くと、其処にはクロウゾディアーツが立っていた。

 

「何!?ゾディアーツは前田じゃなかったのか!?」

『そうだ。そして其所に居る前田をゾディアーツに仕立て上げれば、僕は晴れて自由の身だ』

「て、てめぇ!」

 

挑発するようなクロウゾディアーツの態度に対し、怒り心頭の弦太郎。

 

「ユウキ、二人を連れて下がってろ」

「うん!」

 

弦太郎は三人を避難させると、ベルトを腰に装着する。

 

『three』

 

飯塚と一緒に下がったユウキが後ろから見守る。

 

『two』

 

クロウゾディアーツが不敵な笑みを浮かべながら近付いて来る。

 

『one』

 

弦太郎はそれを向かい討つべく、手に力を入れる。

 

「変身ッ!」

 

ベルトの右脇のレバーを引き、弦太郎は仮面ライダーフォーゼへと変身した。

 

「宇宙キターッ!」

 

フォーゼは両手を上へ突き上げる。

 

『ふんっ!今度こそ仕留めてやる』

「そうはいかねぇぜ!」

 

『Eleci-ON』

 

フォーゼはエレキスイッチの力を使い、エレキステイツに変身する。そしてビリーザロッドを右手に持ち、クロウゾディアーツの方へと走っていった。

 

「うりゃあっ!」

 

フォーゼはビリーザロッドでクロウゾディアーツに切かかる。

 

『ふん、学習能力のない奴だ!はぁっ!』

「うわっ!」

 

しかし、クロウゾディアーツの羽根の散弾により、フォーゼは行く手を阻まれてしまった。

 

「くそっ、こうなったらリミットブレイクで一気に……」

 

フォーゼはビリーザロッドのプラグを付け替え、再びベルトに手をかける。

 

「弦太郎!」

「ッ!士!?」

 

いざ必殺技を放とうとしたその時、何処からともなく士が姿を現した。

 

「士、お前今まで何処に―――」

「弦太郎!奴の後頭部を狙え!」

「後頭部!?よく分からねぇけど……」

 

『Ereci limit break』

 

「どりゃぁぁぁっ!」

 

リミットブレイクを発動させたフォーゼは、そのまま背中の噴射口を利用し、クロウゾディアーツを飛び越えて後ろに回り込む。

 

「ライダー100億ボルトシュート!」

 

フォーゼは振り向き様に、ビリーザロッドに纏った電気を、雷の刃にしてクロウゾディアーツへ飛ばした。

 

『何ッ!?―――ぐぁぁぁぁッ!』

 

避けることが叶わなかったクロウゾディアーツは、後方から直撃を食らい、そのまま爆発した。

 

「よし!さぁて、正体は一体誰だったんだ?」

 

弦太郎は変身を解き、ゾディアーツの正体であろう倒れている人物に近づく。

 

「おい、大丈夫か?」

 

弦太郎は声を掛けながら、俯せで倒れている男を起こした。すると、その顔を見た途端、前田の目が大きく見開いた。

 

「篠木さん!?」

「ッ!?何だと!?」

 

前田の言葉を聞いて弦太郎が驚きの声を上げる。

 

「そんな……篠木さんが犯人だったなんて……」

「飯塚君……」

 

自分に優しくしてくれた人物が自分を陥れようとしていたことを知って、気を落とす飯塚。近くに居たユウキは、飯塚を慰めるように側に寄り添った。

 

「篠木が犯人だったのか……。士、お前篠木が犯人だってよく分かったな」

 

弦太郎は、さっきの意味深な発言も踏まえて士に訪ねる。

 

「ああ。さっきまで近藤の居る病院で話を聞いていたからな。そこで知った。そして―――」

 

士は一呼吸置く。

 

 

 

 

 

「真犯人は別に居るってこともな!」

 

 

 

 

 

「「「ッ!?」」」

 

その瞬間、衝撃的な事実を言い放った士の言葉を聞いて、その場に居た人間は例外なく息を飲んだ。

 

「ど、どういうことだよ士!こいつの他に黒幕が居るってことか!?」

 

弦太郎が士を問いただす。

 

「ああ、そうだ。更に言うなら、篠木はスイッチャーじゃない」

「えぇ!?」

 

篠木が犯人どころかスイッチャーですらないと言われ、ますます混乱する弦太郎。するとそんな中、おそらく走ってきたのであろう、息を荒くした賢吾が工場に入ってきた。

 

「賢吾!」

「弦太郎!あの黒いゾディアーツは偽物だ!おそらく本体が別の場所から操っている!」

「っ!偽物!?」

「ああ、そうだ!」

 

士と賢吾の言葉を聞いてますます訳が分からなくなる弦太郎。それを感じ取ったのか、賢吾は肩で息をしながらも話を続けた。

 

「野座間がゾディアーツに違和感があると言ってな。詳しく調べてみたら、今までのゾディアーツよりもエネルギーの反応が極端に弱いことが分かった。それの証拠に……弦太郎、お前と戦った時も攻撃らしい攻撃をしなかっただろ」

「た、確かに。言われてみれば、あいつは羽根を飛ばすぐらいしかしてなかったな」

 

弦太郎はゾディアーツと対峙しているときのことを思い出しながら肯定する。それを横目で見つつ、賢吾は倒れている篠木に目をやりながら話を続けた。

 

「思えば最初に気付くべきだった。クロウゾディアーツのモデルであるカラス座は、かつてその身体を白い羽毛で覆っていた。身体が黒に染まったのは、太陽神アポロンに嘘をついたがために呪いをかけられたからだといわれている。つまり、黒いクロウゾディアーツは……」

「嘘……偽物ってわけか」

 

賢吾の言葉を繋ぐように弦太郎が答えた。

 

「ああ。だから早いところ真犯人を探さないと―――」

「その必要はないぜ」

 

すると、いままで黙っていた士が賢吾の言葉を遮った。

 

「必要ない?どういうことだ」

「そのままの意味だ。もう本体はわかっている」

「何!?」

 

賢吾が驚くのを余所に、士は手を挙げ、人差し指を立てる。

 

「犯人は……」

 

士はその人差し指で、ある方向指さした。そこには―――

 

「お前だ、飯塚」

 

ユウキに寄り添われている飯塚がいた。

 

「「「ッ!?」」」

「ま、どういうことだよ!士」

「ああ。思い返してみればお前の行動には違和感があった。ユウキに手を引かれて先生から逃げていたとき、お前は息ひとつ乱さなかった。いくら体力が人並みにあるとはいっても、あれだけ走って息を乱さない奴を人並みとは言わない」

 

いじめられてたわりにずいぶん鍛えてたんだな、と飯塚に皮肉を言う士。

 

「それに、あのゾディアーツもだ。不良でもなく、かといって正体を知っているわけでもないお前を執拗に狙っていた。まるで自分は飯塚の敵だ、自分は被害者だと弦太郎に印象付けているみたいにな」

 

さらに、と士は懐からあるものを取り出す。

 

「これは、お前が弦太郎と一緒に不良から逃げているとき、お前のポケットから落ちたものだ。どうせまだ持っているんだろう?この……カラスの羽根を」

 

士がそこまで言うと、さっきまでおとなしく話を聞いていた飯塚が不意に顔を俯かせた。

 

「い、飯塚君?」

 

顔を伏せた飯塚をみて不安になり、ユウキが声をかける。

 

「……ク……クク……ク……ククク……」

 

すると突然、飯塚は肩を小刻みに震えさせながら笑いをこぼし始めた。

 

「なんかヤバそうだ……離れてろ、ユウキ!」

「う、うん」

 

弦太郎はユウキを挙動のおかしい飯塚の傍から離れさせる。一方の飯塚は、依然と笑いをなだらその場に立ち上がった。

 

「よくわかったね。そうさ!僕が黒幕さ!」

 

飯塚は突然大きな声を上げ、あっさりと自白した。

 

「ずいぶんと潔いんだな。無駄な足掻きでもするかとおもったが」

「羽根の秘密に気付いたってことは、近藤の催眠を解いたんだろ?それなら白を切る意味もないもんな!」

 

士の皮肉交じりの言葉に対し、さっきとは打って変わって饒舌になる飯塚。すると、今度は弦太郎が大声を上げる。

 

「なんでだ飯塚!なんでこんなことをしたんだ!お前、近藤に恩があるんじゃなかったのかよ!」

 

そんな訴えかけるような弦太郎の言葉に対し、飯塚は嘲笑しながら答える。

 

「はっ、恩だって?あんなの、僕が近藤に近付くための芝居に決まってるだろ!」

「ッ!?」

 

すべて仕組んでいたこと、そんな発言に動揺を隠し切れない弦太郎を尻目に、飯塚は次々と話し出す。

 

「ああ、そうさ!思えばあいつは最初から勘の障る奴だった!困ってる人は放って置けない?弱い人を守る?つまはじき者の癖に薄汚い偽善を振り撒きやがって!」

 

飯塚の感情を剥き出しにした言葉には、並々ならぬ怨み辛みが込められているように感じられた。

 

「何故そこまで近藤を恨むんだ?特別、奴に怨みがあるわけでもないんだろ?」

 

弦太郎とは打って変わって平静さを保っている士が、飯塚に問い掛ける。

 

「ああ?別にあいつ個人のことはどうでもいいんだよ。ただ、ああいう奴を見ていると昔のことを思い出して無性にイライラするんだよ」

「昔?」

「そうだ!あれは中学の頃、ある性根の腐った女にずっとこき使われてたことがあってな。ある日、あいつは僕の財布を奪って金を取りやがった。流石に僕はその時、無理矢理にでも取り返そうとした。そこまでは別にいい。相手は所詮女、取り返せる自信はあった。だがな……そこであの野郎が邪魔をしやがった!」

 

飯塚は憎悪の感情を隠そうともせず、まくし立てるように話し続けた。

 

「あの野郎だ!あの偽善野郎!あいつはあろうことか、女の方を庇いやがった!女は周りには猫を被っていたから、端から見れば僕が恐喝しているように見えたのかもな。だが、真実は違う!それなのに野郎は!野郎が信じて疑わない『正義』とかいうもののせいで俺は犯人に仕立て上げられたんだ!」

 

段々と口調が荒くなっていく飯塚。

 

「野郎はすぐに教師にチクりやがった。教師どもは俺を犯人だと疑わなかった。野郎は普段から素行がよく、あの糞女も上面だけはよかったし、対して俺はただの平々凡々な学生。どっちを信じるか、言うまでもなかった。噂はあっという間に学校中、それに俺の家にも広がり、俺は自宅でも学校でも孤立した」

「それでお人よしが嫌いってわけか。それなら何故、女の方を恨まない?そもそもの原因はそいつだろ?」

 

飯塚の今までの話を聞いた士は、率直な疑問を投げ掛ける。

 

「ああ!?そんなもん糞女も憎いに決まってるだろうが!だがな、あの偽善野郎がしゃしゃり出て来なければあそこまで大事にならなかったんだ!あいつは俺が糞女から財布を奪い返そうとしたとき、俺を殴って止めやがった!こっちは今まで糞女に手も触れてねぇにもかかわらずだ!あいつは他人よりも強い腕っ節を使って自分が悪と決めた奴を弾圧する、ただの独善者なんだよ!」

 

飯塚はそこまで言うと、今度は弦太郎の方を向いて喋りだす。

 

「お前もだ、如月弦太郎!お前、いままでその力を使って俺みたいな生徒を倒してきたんだろう?どうだ?自分の正義を押し付るのはさぞ気持ちよかっただろうな」

「違う!俺は……」

「だがそれも今日までだ。ここからは俺が正義となって、お前らを粛正してやる!」

 

『last one』

 

飯塚はそこまで言うと、ラストワンとなったスイッチを押し、クロウゾディアーツへとその姿を変えた。その近くには、全身を糸で巻かれたような飯塚の身体が横たわる。

 

「まずい。だいぶ精神が侵食されているな。弦太郎!」

『そうはさせねぇ!』

 

賢吾の言葉を遮るようにクロウゾディアーツは、まだ変身していない弦太郎と士に向かって羽根の散弾を飛ばした。

 

「ぐぁぁぁぁッ!」

「弦太郎!―――がぁッ!」

「弦ちゃん!士くん!」

 

クロウゾディアーツの容赦の無い攻撃が二人を襲う。

 

『どうだ!圧倒的な力に蹂躙される気分は!』

 

しばらく続いた羽根の散弾攻撃が止むと、そこには地に伏せる弦太郎と士の姿があった。

 

『所詮、力あるものが絶対なんだよ!お前の言う友達や友情なんてのは必要ない。必要なのは、支配する側とされる側の関係だけだ!』

「……そいつは、違う……」

『―――何?』

 

クロウゾディアーツの言葉に反応するように弦太郎が立ち上がる。

 

「……確かにお前が言う通り、俺がいままでやってきたことは全て正しいとは限らないし、だからといって自分を曲げて、近藤や佐々木や他の不良を襲ったお前を正しいとは認めることは出来ねぇ。だがな、飯塚。俺はお前とダチになりたいと思ってる」

『……何だと?』

「俺はお前の抱え込んでいるものごと全部、お前を受け入れる。それが、ダチってもんだからな」

 

弦太郎はふらつきながらも立ち上がると、しっかりとその両目で飯塚、クロウゾディアーツを見据えていた。

 

『ふ、ふざけるな!この期に及んでまだそんな冗談を!』

「冗談なんかじゃない」

 

弦太郎の思いもよらない言葉に動揺するクロウゾディアーツ。そんな相手の反応を見て、今度は士が立ち上がる。

 

「こいつは友達(ダチ)を思いやり、友達(ダチ)のために戦える男だ。そして、お前のような力でねじふせるような奴でさえ、こいつは受け入れ、友達(ダチ)になろうとする。友達(ダチ)が道を間違えれば自分が正し、自分が間違えれば友達(ダチ)が正してくれる。それこそが友情であり、お前のような仮染めで不安定なものじゃない、こいつの確固たる真の力だ!」

 

そう言い終わると士は、弦太郎と並ぶように立つ。

 

『くっそ、お前は……そういうお前は何者なんだ!』

 

クロウゾディアーツの言葉に答えるように、弦太郎はフォーゼドライバーを装着し、四つのレバーをオンにする。

 

「俺は……通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ!」

 

『three』

 

士がディケイドライバーを装着する。

 

『two』

 

そして、ライドブッカーから一枚のカードを取り出す。

 

『one』

 

士はカードを右手で持ち、前に掲げる。そして―――

 

「「変身!」」

 

『kamen rider Decade』

 

二種類の電子音が流れ、士は仮面ライダーディケイドに、弦太郎は仮面ライダーフォーゼへと変身した。

 

「宇宙キターーーーーッ!」

 

フォーゼは空高く両拳を突き上げた。

 

『くそッ!僕は認めない……認めないぞ!』

 

激昂したクロウゾディアーツが二人に向かって走り出す。

 

「いいぜ。俺らが相手になってやる!」

「ああ」

 

そして、二人の言葉に呼応するかのように、ライドブッカーから三枚の絵が描かれていないカードが飛び出す。ディケイドがそれを受け取ると、三枚のカードからそれぞれフォーゼの絵が浮かび上がった。

ディケイドはその内の一枚を、ベルトに挿入する。

 

『final form ride F F F Fourze』

 

すると、フォーゼの背中と両手両足にオレンジ色のパーツが装着された。

 

「うぉっ!何だこれ!?」

『食らえ!』

「ッ!?危ねッ!?」

 

クロウゾディアーツの攻撃を、フォーゼは装着されたオレンジのパーツで咄嗟に守る。

 

「弦太郎。ちょっとくすぐったいぞ」

 

ディケイドは、敵の攻撃を防いでいるフォーゼの背中を軽く叩く。すると、背中のパーツが頭に覆い被さり、両手足が折り畳まれ、身体全体を囲うようにオレンジのパーツが展開する。最後に、脚部分からロケットエンジンノズルが現れ、フォーゼは【フォーゼロケット】へとファイナルフォームライドした。

 

「げ、弦太郎が……」

「変形したーーー!?」

 

まるで、弦太郎が愛用するロケットスイッチのロケットに酷似した姿になったフォーゼを見て、賢吾とユウキは度胆を抜かれた。

 

『な、なんだそれは!』

『士!こいつは……』

「そうだ。これが、俺とお前の力だ」

 

ディケイドがフォーゼロケットの背中にある取っ手を掴む。すると、下のノズルから推進剤が噴射される。

 

「はぁっ!」

『なッ―――ぐあッ!』

 

ディケイドはロケットの推進力を利用して敵に突っ込むと、そのまま敵諸とも工場の天井を突き抜け、空へと飛翔する。

そして、ディケイドはカードを一枚取り出し、再びベルトに挿入する。

 

『final attack ride F F F Fourze』

 

ディケイドは敵を振り下ろすと上空で旋回し、今度は敵の方へと向かっていく。そして、ロケットの推進方向へ右足を突き出す。

 

「はあぁぁぁっ!」

『行くぜ!ディケイド・ロケットキィィィック!』

 

ディケイドとフォーゼの必殺技が、空中で身動きの取れないクロウゾディアーツへと炸裂する。

 

『うわぁぁぁっ!』

 

必殺技が直撃したクロウゾディアーツは、そのまま爆散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天ノ川学園高校の校門前。そこで、私服に着替えた士がバイクのエンジンをかけていた。

 

「もう行っちまうのか?士」

 

その校門には、士を見送りに来た弦太郎、ユウキ、賢吾が立っていた。

 

「ああ。この世界での、俺の役割は終わったみたいだからな」

「そっか。寂しくなるね」

「心配ねえさ。例えば離れてたって、俺達はずっとダチだからな」

「まったく、お前はいつも変わらないな」

 

少し悲しそうなユウキ、満面の笑みを浮かべて見送る弦太郎、皮肉混じりにだけど優しく微笑む賢吾。三人の表情が士の心に刻まれる。

 

「じゃあな」

「おう!また会おうな!」

 

最後の別れを軽く済ますと、士はバイクに跨がり学園を後にするのだった。

 

「行っちまったな」

「ああ」

「そういえば弦ちゃん。士くん帰っちゃったけど、学園祭の出し物はどうするの?」

「……あ」

「お前、気がつかなかったのか?」

「全然考えてなかった!あぁーもう!こうなったら俺達だけでやるしかねぇ!」

「おぉ!その意気だよ、弦ちゃん!」

「まったく、また暫くは騒がしくなりそうだな」

 

 

 

 








「帰ったぞ」
「士君!一体今まで何処に行ってたんですか!?心配したんですよ!」
「おーい、コーヒーくれ」
「ちょっと!ちゃんと聞いて下さい!」
「まあまあ、落ち着いて夏美ちゃん」
「はい、士君。コーヒー……っと、おおっとっとっと!」
「お、おじいちゃん!?危ない!」
「―――ふう。なんとかコーヒーは零れずに済ん「貰うぞ」だって士!取って貰ってそりゃないだろ」
「痛たたた……あれ?また新しい幕が」
「これは……赤い魔法陣?」
『Connect』
「ん?」
『please』
「うぉっ!」
「つ、士君!?」
「士が突然空中に現れた魔法陣の中に引きずり込まれた!?」
「そんな説明口調で話してる場合じゃないです!また士君が何処か行っちゃいました!」
「これが……魔法。いや~長生きはしてみるものだなぁ」
「おじいちゃんも関心してないで、士君を探して下さい」
「わ、わかったよ!」



仮面ライダーディケイド
―――その瞳に何を見る
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