「くそっ!あの鳥、後で覚えてろ!」
「でも、ここは一体何処なんでしょう?」
士と夏美は街の外れにあるアリーナの近くを歩いていた。何故そんな所に居るかというと、それは数分前に遡る。
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――――
――――――
『おい、家臣その6。さっさと茶を用意しろ』
『誰がやるかっ!』
『士君落ち着いて下さ―――え?地震!?』
『何だ!?この揺れは何事か!?』
『おい、落ち着け!』
『ジーク、そんなに暴れると危ないですよ!』
『うるさい!家臣その6!さっさと揺れを収めてこい!』
『ちょっ、押すな―――うわっ!』
『つ、士君!?待ってください!』
――――――
――――
――
そうして士は写真館から追い出され、今に至るというわけである。
「それにしても士君。今回は服が変わりませんでしたね」
士の服装を見ながら夏美が呟く。行く先々で服装がコロコロ変わる士だが、今日は何時もの私服のままだった。
「ああ。まあ、当然といえば当然だな」
「え?それはどういう―――」
『キシャーッ!』
「「!」」
夏美の言葉は、明らかに人間の物ではない声によって遮られた。
「今のは……」
「士君!あっちです!」
夏美が声のした方を指さす。
するとそこには、カマキリを擬人化したような怪人と、黒をベースにした上から赤黄緑の3色の配色が施された戦士が戦っていた。
「あれは一体……」
「あいつは、"仮面ライダー
「オーズ?」
「ああ。欲望の結晶"コアメダル"を駆使して戦うライダー。上下3枚のメダルを組み合わせることで、あらゆる状況に対応することが出来る」
士はポラロイドカメラで戦いの様子を撮りながら、夏美の疑問に答えた。
「オーズ……つまり、ここはオーズの世界なんですね?」
「いや、違う」
「?どういうことですか?」
夏美の疑問に、士はカメラから出てきた写真を眺めながら答える。
「ここは仮面ライダーの世界。あらゆるライダーの物語が重なり合う場所だ。ほら、見てみろ」
「え?……あっ、士君の写真が!」
渡された写真には、今戦っているオーズの姿が
「ここは俺の世界とも重なっている。だから写真もちゃんと写る」
【トリプル スキャニングチャージ】
『セイヤーッ!』
「おっと、向こうも終わったみたいだ」
再び視線を戻すと、オーズが先ほどのカマキリ怪人"ヤミー"を倒していた。
「さて……とりあえず会って話を聞いてみるか」
「そうですね」
状況確認のため、二人はオーズに向かって歩きだす。すると……
「おいお前ら、何をやっている」
金髪に白いシャツ、赤いジャケットを羽織った男に呼び止められた。
「え?あっ、あの、私達は―――」
「お前……グリードか」
「!」
士の言葉を聞いた途端、男は目を細め、警戒をあらわにした。
「グリード?」
「ああ。数枚のコアメダルと無数のセルメダルでできている怪人だ。見たところ、どうやらオーズとは協力関係にあるようだか……」
そこまで言うと、男は威嚇するような眼で士を睨む。
「貴様……一体何者―――」
『ぐぁっ!』
「「「!」」」
オーズの悲鳴を聞いて3人が振り返ると、そこには先ほどのヤミーとはまた別の、3体のモグラの怪人にオーズが襲われていた。
「何やってんだ、映司!」
『アンク!何かこいつら変なんだ!メダルを出さない!』
「なんだと?」
アンクと呼ばれた男と映司"仮面ライダーオーズ"には、見覚えの無い怪人。しかし士と夏美は、それをよく知っていた。
「あれはイマジン?まだ居たのか」
「士君!」
「ああ」
士はベルト"ディケイドライバー"を腰に装着し、ライドブッカーからカードを取り出す。
「変身!」
【kamen rider Decade】
カードをベルトに入れると、電子音と共に士は仮面ライダーディケイドへ変身する。
「お前、一体……」
アンクの呟きに答えることもなく、ディケイドはオーズのところへ向かう。
「くそっ、このままじゃあ……」
オーズはヤミーからの連戦に加え、3対1の状況に苦戦している。
すると、油断した隙を突かれ、オーズは2体のモールイマジンに捕まってしまった。
「うわっ!離せ!」
そして、残った3体目が、動けなくなったオーズに攻撃を仕掛けた。
「うわぁっ!」
避けることも叶わず、オーズはそのまま攻撃を食らってしまった。
「オオォー」
「く、くそ……」
地面を転がるオーズに、モールイマジン達はジリジリと距離を詰めていく。そして、とどめを刺そうと腕を振り上げた、その時―――
【attack ride blast】
銃撃音と共に弾丸が放たれ、モールイマジン達はそのまま後ろへと弾かれた。
「ッ!今のは!?」
突然の銃撃に、オーズは撃ち手がいるであろう方向へ振り向く。
するとそこには、ピンクと白のボディに十字のラインが入った仮面ライダー"ディケイド"が立っていた。
「貴方は一体……」
「通りすがりの仮面ライダーだ」
「仮面、ライダー?」
突然のディケイドの登場に動揺しながらもオーズは立ち上がると、イマジン達も立ち上がり再び戦闘体勢に入る。
「いくぞ」
【attack ride slash】
今度はライドブッカーが銃から剣へと変形し、ディケイドはそのままイマジンに向かって走り出した。
「はあっ!」
ディケイドが、向かってくる2体のイマジンを同時に切りつける。イマジンも反撃しようとするが全て躱され、あるいはガードされて攻撃が通らない。
「すごい……」
オーズの口から思わずそんな言葉が漏れた。今まで多くのヤミーと戦ってきたオーズだが、そのオーズから見ても、ディケイドはそれを上回る程に戦い慣れしている。
【final attack ride D D D Decade】
ディケイドライバーにカードを挿入すると、ディケイドはイマジンの方へジャンプする。すると、ディケイドとイマジンとの間に10枚の等身大のカードが並ぶ。ディケイドは現れた10枚のカードを通過し、イマジンに向かってディメンションキックを放った。
「はあぁぁぁっ!」
「オオォーッ!」
そして、その攻撃はイマジンの1体に当たり、その場で爆発する。
「オォー!?」
「オオォー!」
それを見た残りの2体は、これ以上は危険だと判断したのか逃走を謀った。
「あっ!待て!」
ディケイドの戦いを呆然と眺めていたオーズは我に返り、逃げたイマジンを追った。
「あいつら、何処行ったんだ?」
イマジンを見失ったオーズは、辺りを見回す。
「うわぁぁ!」
すると突然、子どもの悲鳴が聞こえた。
「あっちか!」
オーズは悲鳴の聞こえた方へ走り出す。するとそこには、自転車に乗った1人の少年と、彼に襲い掛かっているイマジン達が居た。
「危ない!」
しかし、オーズの呼びかけも虚しく、突然少年の身体から裂け目が生まれ、イマジン達はその中へ入っていってしまった。そして、少年は崩れるようにその場に倒れてしまった。
「あっ!君、大丈夫!?」
少年の身を案じたオーズが、すぐさま駆け寄ろうとした、そのとき―――
『ファァァン!』
汽笛と共に空から電車が走ってきた。
「な、何だ!?空から電車!?」
空からレールに乗って現れた電車はやがてオーズに沿うように停車した。すると、その中から1人の少年が降りてきた。
「君は……一体……?」
青と銀のボディに鋭い赤色の目、その名も"仮面ライダーNEW電王"。時の規律を正すライダーである。
少年にパスを翳すと、イマジンが飛んだ過去の時間が表れる。
「1971年11月11日か。今から40年前だな」
「こんな子どもが、何故40年前の記憶を?」
NEW電王の変身を解除した"野上幸太郎"と相棒のイマジン"テディ"が少年を介抱しながら話し合う。
「あの……」
そこに変身を解除した火野映司が話し掛ける。幸太郎とテディも映司に気が付いたのか、彼の方へ振り返る。
「君達は、一体?」
「あんた……誰だ?」
「おい、それはこっちの台詞だ!」
鸚鵡返しのように質問をした幸太郎に対し、苛ついたような口調で合流したアンクが返す。
「そいつは仮面ライダーオーズ。ここを守っているライダーだ。それと……お供のグリード、アンク」
すると、映司達の元に後ろから士が歩いてきた。
「お前は、さっきの……って誰がお供だ誰が!」
「またあんたか。今度は何の用だ?ディケイド」
「そう言うな。それに、今回は俺が先客だ」
士の顔を訝しげな表情で見る幸太郎。
そう。士は以前に電王の世界を旅したとき、迷い込んできたジークを返しに行った際、一度幸太郎と接触しているのだ。
「ディケイド?」
「ああ。俺は門矢士―――仮面ライダーディケイドだ」
映司の疑問に対し、士は自己紹介も兼ねて答える。
「じゃあ、そっちの君は?」
「野上幸太郎、仮面ライダー電王。俺もライダーだ。あんたと同じな」
「ディケイドに、電王……」
短時間で色々なことが起こったせいで、映司は状況を掴み切れずにいた。
「まあ、安心してよ。イマジンは俺達が責任をもって始末する」
「後ろの奴も言ってたが、そのイマジンってのは何だ?」
「それは私が説明しよう」
アンクの質問に対し、テディがそれを引き継いで答える。
「イマジンは契約者の記憶を辿って過去へ飛び、自分達の都合の良いように歴史を変える」
「で、俺達がこのデンライナーに乗って時間を飛んで、イマジンを始末するってわけ。それじゃ、俺達はこれで」
そう言って別れを告げると、幸太郎とテディは電車"デンライナー"に乗り込んだ。
「……おい、映司。俺たちも行くぞ」
「え?ってちょっと待てって!」
何やら思案顔をしていたアンクは、二人が乗ったのを見計らってデンライナーへと入って行く。その様子を見た映司は、慌ててアンクの後を追った。
「電王の世界の旅は終わったんだが……一応乗ってみるか」
そうて、士もちゃっかりデンライナーに乗り込むのだった。
※補足説明※
仮面ライダーの世界
"仮面ライダーディケイド"の世界観ではライダーの世界はそれぞれが独立している。しかし今回の"レッツゴー仮面ライダー"では、1号、2号……オーズまで全て同じ世界の物語となっているため、『ライダーの物語が重なる世界』=『仮面ライダーの世界』とした。(ただのこじつけです)