――ショッカー本部――
「ショッカーの唱える未来とは、優秀な人間を選び、動植物の特性を持った怪人に改造し、世界を支配することである。いかがかな?諸君」
赤いマントを羽織ったショッカー首領が、ショッカーの理念を活動指針として提案する。
「ゲドンは、ショッカーの考えに賛成だ」
「デルザー軍団も賛成しよう」
十面鬼ユム・キミルとジェネラルシャドウが同意する。
「クライシス帝国と暗黒結社ゴルゴムは反対する」
しかし、ジャーク将軍は立ち上がりながら首領に反対の意を示す。
「我々の目的は、全人類の抹殺だ!」
その言葉に大神官ダロムも頷き、周りもざわつき始める。
「ええい!今は争っている場合ではないのだ!」
その中、鶴の一声のようにアポロガイストの声が響く。
「アポロガイストの言う通りだ」
すると、アポロガイストの後ろで横たわっていたキングダークが引き継いで話を続ける。
「今我々がすべきことは、大組織同士が手を握ること。GODはショッカーに賛成する。」
「……」
考え込むジャーク将軍を見て、ショッカー首領は再び口を開く。
「いかがだろう。世界征服の後のことは、また我々だけで決めればいい」
「……ならば、今は我々も賛成しよう」
そして、ジャーク将軍と大神官ダロムも渋々ながら同意した。
「今ここに、全ての組織はショッカーに統合され、世界の平和を乱す愚かな人間どもを排除することが決定した!」
――Amigo――
『―――以上が国連での決定です。繰り返します―――』
「ふんっ。要するにショッカー以外の人間は全て殺すってことか」
「どうしてこんなことに……世界はどこで間違ってしまったんだ」
アンクはどこか気に入らなそうに、映司は愕然とした様子で呟く。
「そんなこと言う人初めてだよ。お兄ちゃん達、何なの?」
子供たちの一人、ナオキが問いかける。
「あ、ああ、実は俺た―――」
「大変だッ!」
映司が答えようとしたその時、外からシゲルが大声を上げて走ってきた。
「シゲル、どうした!?」
「ショッカーが……ショッカーの奴らが来る!」
「なんだって!?皆、隠れるんだ!」
その時、外から扉を蹴り飛ばしながらショッカーの怪人達が入ってきた。
「出てこい!不穏分子の一斉検挙だ、抵抗するな!」
そう言いながら続々と中に入ってくる。
「おい、ここで間違いないんだな」
「イーッ」
「そうか」
一歩、また一歩と奥へ歩いていく怪人達。店内は彼らの足音だけが響きわたる。
すると突然、奥から映司が消火器を手に持ち、怪人達の前に飛び出した。
「ッ!?」
「食らえ!このっ!」
映司が怪人達に向けて消火器を吹き付ける。
「うわっ!な、何だ!?」
突然視界が塞がれた怪人達は混乱し、その場から動けない。
「皆、第二アジトに集合だ!」
「わかった!」
「ほら、お兄ちゃんこっち!」
ナオキが映司に声をかけると同時に、皆は外へバラバラに散って走り出す。
「くそっ、追え!逃がすなッ!」
「「「イーッ!」」」
まだ視界が晴れない中で怪人の一人が声を上げると、戦闘員達が一斉に動き出した。
――――――
――――
――
「お兄ちゃん早く!」
映司はナオキに手を引かれ、ミツルと共に裏通りの一本道を走っていた。
「ここまで来れば、大丈夫かな?」
少しスピードを落としながら息を整える3人。
しかし、その見通しは甘かった。
「そこの3人、止まれ」
彼らの前方には、ショッカーの怪人と戦闘員が待ち構えていた。そして、その手中には……
「ッ!?シゲル!」
逃走の途中で捕まったであろう、シゲルが捕らえられていた。
「このガキの命が欲しくば、大人しく投降しろ」
「ミツル……助けて……」
「…………」
弱々しい声で助けを求めるシゲル。しかし、ミツルは無言のままその場に立ち、シゲルとショッカー達を交互に見る。
「……いくぞ」
小さな声でそう言うと、ミツルはそのまま後ろへ振り返る。
「助けないの!?」
映司は慌てて、その場を離れようとするミツルの腕を掴み、引き留める。
「ショッカーに歯向かっても、どうせ勝てない」
「でも仲間なんだろ!?」
「……捕まる奴が悪い。弱い奴は……見捨てるしかないんだ」
シゲルの方を再度見ながらそう呟いたミツル。映司は視線をミツルの顔から下ろすと、その手は、血が出るのではないかという程強く握られていた。
「ミツル……」
「俺達はそうやって生き残ってきた!そうだろ!?」
「それは……」
ミツルの言葉に、何も言い返せないナオキ。
「あんな悪い奴らの言いなりになってて良いの!?」
「いい分けないさッ!」
説得しようとした映司の腕を、ミツルは振り払って反論した。
「だから……いつか、あいつらよりも悪くなって、強くなって……復讐してやるよ」
そう言って、ショッカー達を睨み付けるミツル。その言葉には、強い憎しみと怒りが込められていた。
「ミツル君、そんなの間違ってるよ!」
「おい、何をしている。早くしろ!」
痺れを切らしたのか、大声を上げる怪人達。すると映司は、覚悟を決めたように怪人達の前に立ちはだかる。
「……俺は行く。2人は早く逃げるんだ」
そう言うと、映司はベルトを腰に装着し、赤、黄、緑の3色のメダルをベルトに差し込む。
「お兄ちゃん?」
そして、右腰に着いているオースキャナーを取り、ベルトに差し込んだメダルをスキャンした。
「変身ッ!」
【タカ!トラ!バッタ!―――タ・ト・バ タトバタ・ト・バ】
ベルトから流れる変身音と共に映司の身体は光に包まれ、その姿を変えた。
「お兄ちゃん、もしかして……」
ナオキの問いかけに、映司は背を向けたまま答える。
「俺はオーズ。仮面ライダー
そう言うと、映司――仮面ライダーオーズ――は怪人達に向かって走り出した。
「……どういうこと?仮面ライダーって、ショッカーの怪人の中で一番強い奴のことじゃないの?」
ミツルの質問に、誰も答える者は居ない。ナオキとミツルは、信じられないといった表情を浮かべながら、オーズの後ろ姿を見ていた。
「はぁっ!」
オーズは怪人達の攻撃を避けながらも攻撃を繰り出す。
「ていやぁっ!」
「イーッ!」
そして、シゲルを捕まえていた戦闘員を蹴り飛ばす。
「早く逃げるんだ!」
「うん!」
オーズに促され、シゲルはナオキ達の方へ走って行く。
「シゲル!」
「よし、行くぞ!」
合流した3人は一緒になって走りだす。しかしその時―――
ブルルルルルォォォン!
ブルルルルルォォォン!
3人の前方から、2つのバイクのエンジン音が聞こえてきた。
「あれは……」
「まずい、こっちだ!」
ナオキ達は慌てて建物の裏に隠れる。
ブルルルルルォォォン!
キキィィィッ!
バイクが怪人達の前で止まる。乗っていたのは、白い
「仮面ライダー、1号2号……」
その姿をみ見た子供たちが、そう呟いた。
「仮面ライダー?じゃあ味方なのか?」
白い手袋とブーツを着けた1号と、同じく赤いそれを着けた2号は、無言のままオーズに近づいていく。
そして―――
「はあぁっ!」
「ぐあぁッ!」
オーズに向かって攻撃を始めた。
「どうなっているんだ!?―――ぐはぁっ!」
状況が飲み込めないオーズは、なすがまま1号と2号の攻撃に曝される。
「このライダー達は、敵なのか!?うわっ!」
そこに怪人達も加わり、形勢は一気に逆転された。止まない攻撃の嵐に、オーズは為す術も無くやられていく。
「……ほらみろ。やっぱり悪の1号、2号のほうが強いんだ」
物影に隠れたミツルは、手も足も出ないオーズを見ながら呟く。
「でも、オーズはシゲルを助けてくれたよ。オーズは味方なんだよ!」
「俺もそう思う」
「……だったらどうするんだよ。俺達じゃ、どのみち足手まといだぞ」
「それは……」
ナオキは何もできない己の無力さを悔やみながら、再びオーズの方へ視線を向ける。
「こうなったら……」
一方のオーズは、状況を打開するためにコンボチェンジしようとメダルを取り出す。しかし―――
「させるかぁっ!」
「うわっ!」
怪人の攻撃によって、手に持っていたメダルが弾かれてしまった。
「め、メダルが―――ぐはぁ!」
メダルに気を取られていたオーズに2号のパンチが決まり、オーズはそのまま壁際に吹き飛ばされた。
「あっ!オーズが!」
その光景を見て、シゲルが思わず声を上げる。
「……」
そしてナオキは、何か決意を込めた目でオーズの倒れているところへ走り出した。
「あ、おい!ナオキ!」
そして、ナオキは近くに落ちていたメダルを拾い集める。
「オーズ!メダルだよ!」
ナオキはオーズに向かってメダルを投げる。それを見たオーズは、満身創痍ながらも脚に力を入れて立ち上がり、そして投げられたメダルを受け取る。
「あ、ありがとう!」
オーズは受け取ったメダルをベルトに差し換え、オースキャナーでスキャンした。
【ライオン!トラ!チーター!―――ラタ ラタ ラトラーター!】
3枚のメダルのコンボにより、オーズは獣型メダルによる『ラトラーターコンボへ』とコンボチェンジした。
「はあぁぁぁっ!」
辺り一帯に熱量のある光を放つ、ライオンヘッドの固有技"ライオディアス"により、怪人達は視界を奪われる。
突然の強い光で動きが止まる怪人達。その隙に、オーズはナオキ達のところへ向かう。
「皆逃げるよ!捕まって!」
「う、うん!」
そう言うと、オーズは3人を抱き抱えた。
「うおぉぉぉぉぉ!」
そしてチーターレッグが持つ俊足の力を使い、オーズ達はその場を離脱した。
――――――
――――
――
「……もう撒いたかな?」
オーズは再びタトバコンボへと戻り、辺りを見回していた。
「お兄ちゃん、前!」
「え?」
ナオキに言われて前を向く。すると、等身大もの大きさのトランプが回転しながらオーズの方へと飛んできた。
「ッ!?危ない―――ぐわっ!」
咄嗟にナオキ達を庇ったオーズはトランプに当たり、変身が解けてしまった。
「お兄ちゃん!」
ナオキ達はオーズに駆け寄る。
すると、飛んでいたトランプは地上に降り、その場で回転し始め、やがて人の形に変わった。
「お、お前は……」
映司が声を振り絞って、目の前の怪人に問いかける。
「我が名はジェネラルシャドウ」
「……ジェネラル、シャドウ?」
「まだこの世に仮面ライダーが居たとはな」
そう言うと、ジェネラルシャドウはゆっくりと映司達に近づいていく。映司は身体を引き摺りながら、3人を庇うように後ろへと下がる。
「……皆は逃げるんだ」
「もう無理だよ!」
「これ以上やったら、お兄ちゃんも死んじゃうよ!」
もはやボロボロの映司に、目の前には幹部クラスと思われる怪人。ナオキ達は弱気な声で逃げるように映司へ言う。
「……今、かなりドン底だけど、まだ終わりじゃない」
「お兄ちゃん……?」
「伸ばせる手を伸ばさなかったら、きっと死ぬほど後悔する。だから、最後まで諦めちゃ駄目だ!」
映司は正面に居るジェネラルシャドウを見据えながら、ナオキ達に向かって叫んだ。
「その威勢いつまでもつかな?」
ジェネラルシャドウがその右手を挙げる。すると、さっき撒いたはずの戦闘員達が続々と集まってきた。
「シャドウの生き甲斐は仮面ライダーの死。とどめだッ!やれッ!」
「「「イーッ!」」」
ジェネラルシャドウの合図で戦闘員達が一斉に映司達に襲いかかる……
その時―――
ファァァァァン!
汽笛と共に、空からデンライナーが現れた。
「あれは、デンライナー!?」
空を駆け抜けるデンライナーは、真っ直ぐと映司達の方へ向かって走ってくる。
「むっ!?させるか!"トランプショット"!」
増援を危惧したジェネラルシャドウが攻撃を繰り出す。だが、走ってきたデンライナーが映司達の前を走って壁となり、弾かれてしまった。
そしてデンライナーが通り過ぎると、辺りには誰も居なくなっていた。
「……逃げられたか」
そう呟くと、ジェネラルシャドウは戦闘員と共にその場から去っていった。