10×40   作:作者B

6 / 17
新たな運命へ

――デンライナー車内――

テディが子供達を誘導し、映司は幸太郎の肩を借りながら、客席のソファーに座る。

 

「ありがとう。助かったよ」

「礼には及ばない。……でも、君が見た通り歴史は大きく変わってしまった」

「あのトサカ野郎のせいだよ」

 

幸太郎の表情は暗く、それを見たモモタロスは不機嫌そうに呟く。

 

「……一体、何が起こったの?」

 

映司は幸太郎達へ素直に疑問をぶつける。

 

「オーナーの話によれば40年前、ショッカーは独自に手に入れたコアメダルを改造し、ショッカーメダルを作った」

「コアメダルを?」

「ああ。しかし、それだけでは何も起きないはずだった」

「お前らがセルメダルを落とすまではな」

 

テディの説明の途中で、今の今までデンライナーに我が物顔で乗車していた士が口を挟む。

 

「コアメダルとセルメダル。この2つがあって始めてグリードは誕生する」

「そう。そして、ショッカー戦闘員の手によりセルメダルは首領の本へ渡り、コアメダルと融合して、究極の怪人"ショッカーグリード"が誕生した」

 

ショッカーグリード。本来生まれるはずのない怪人が生まれ、それによって歴史は大きく捻じ曲がってしまった。

 

「そして、その圧倒的なパワーの前に1号、2号は倒され、洗脳h手術により悪の怪人となってしまった。それから40年もの間、ショッカーによる支配が続いている。当然、新たなライダーも生まれることはなかった」

 

始まりのライダーが居なくなれば、当然後に続く者も生まれない。1号2号の敗北は、すなわちライダーの消滅、ショッカーの繁栄を意味する。

 

「……全部、俺とアンクのせいだったんだな」

「お前のせいじゃねぇよ、トサカ野郎だよトサカ野郎!一発ガツンと言っとけ!」

「とにかく、俺は今から40年前に飛んで時間を修復してくる」

「!それなら、俺も行くよ!」

 

余程、今回の件に負い目を感じているのか、幸太郎の言葉に映司が食い付く。

 

「いや、それは出来ない。歴史を修復出来るのは電王だけなんだ」

 

しかし、幸太郎は映司の申し出を断る。

 

「幸太郎は特異点といって、歴史の介入による影響を受けない」

「オーズが存在出来ているのも、俺と一緒に居るからだ。大丈夫、俺達に任せとけって」

「そ、そうなのか……」

 

気落ちする映司に、幸太郎は大丈夫だ、と自信に満ちた言葉を掛ける。

 

「……なあ、歴史が戻ったらショッカーは居なくなるのか?」

 

すると、今まで大人しく話を聞いていたミツルがテディに話しかける。

 

「ああ。正しい歴史では、仮面ライダーがショッカーを倒しているからな」

 

テディのその言葉を聞いたミツルとナオキは、お互いの顔を見て何か決心したように頷く。

 

「そういう訳だから、夏美ちゃん達も子供達と一緒に降りてね」

「あ、はい。分かりました。」

「……」

 

ウラタロスの言葉に夏美は返事をする。しかし、士はそっぽを向き、無言のまま何か考えるようにデンライナーの窓の外を見ていた。

 

 

 

 

 

――現代――

デンライナーから降りた映司達は、子供たちが拠点としている第2アジトの近くに居た。

 

「シゲル君!」

 

すると、向こうからシゲルを呼ぶ女性の声が聞こえてきた。

 

「あ、比奈さん!」

 

シゲルが走っていく先を見ると、そこにはアンクが借りている身体の持ち主の妹、比奈が居た。

 

「比奈ちゃん!?」

「え?どうして私の名前を?」

「?……あっ、もしかして歴史が変わったせいで、俺と比奈ちゃんは会ってないことに……」

 

歴史改変の影響か、比奈と映司は出会っていないことになっているようだ。

 

「比奈さんは、このアジトで俺達の世話をしてくれてるんだ」

「私、光夏美と言います。よろしくお願いします」

「あっ、これはご丁寧に……」

 

呆ける映司をよそに、自己紹介をする夏美達。

 

「あっ!ショッカーの飛行船だ!」

 

すると、比奈と一緒にアジトから出てきた子供の1人が、飛んできた飛行船を指差す。

 

『我々は遂に立ち上がった。全世界に派遣されたショッカーの、平和を乱す愚かな人間どもを根刮ぎ排除する―――』

「もうすぐ嵐がくる。頼んだぞ、幸太郎」

 

ショッカーの放送を聞いて、映司は今その場に居ない仲間に望みを託す。

 

「シゲル君、ミツル君達は?」

「あれ?一緒に降りたはずなんだけど……」

「あ!士君もいません!」

「まさか……」

 

 

 

 

 

――デンライナー車内――

「あーっ!さっきのガキどもだッ!」

 

モモタロスが、さっきまで子供達が座っていたソファーの方を見て叫ぶと、皆一斉に駆け寄る。すると、机の下から隠れていたであろうナオキとミツルが出てきた。

 

「俺達にも手伝わせてよ!」

「俺の父ちゃんはショッカーに拐われたんだ!父ちゃんを拐った憎いショッカーに復讐してやりたいんだ!」

「お前ぇ……馬鹿言ってんじゃねぇ!」

 

ナオキとミツルの言葉を聞き、モモタロスはそんな2人を怒鳴り散らす。

 

「あーっ!手のお化けはっけーん!」

 

そんな中、リュウタロスがソファーの後ろにあったものを掴み上げる。

 

『おいっコラ!離せ!』

「うわっ!」

 

リュウタロスに掴まれていた右手だけの(・・・・・)アンクが、リュウタロスの手を振り払った。

 

「あっ!てめぇ!」

『俺はメダルの持ち主だ。メダルは返してもらおうか』

「もとはと言えばお前のせいやで!」

「言葉の裏には針千本。君には、何か他の目的があるんじゃない?」

 

イマジンの皆が文句を言うな中、ウラタロスが探るようにアンクに問いかける。

 

『無い。俺を信じろ』

 

しかし、アンクは何の迷いも無く言い切った。

 

「今さら信じられるか!」

 

そう言うと、モモタロスはアンクに飛びかかる。

 

『ふんっ』

「ぬぉっ!」

 

だが、アンクは余裕な様子でかわす。

 

「いてて……野郎ども、やっちまえ!」

『ちっ』

 

モモタロスの言葉に他のメンバーも反応し、アンクを捕らえにかかる。流石のアンクもこのままではまずいと、一旦ドアの方へ飛んでいく。

 

「いけませんねぇ」

 

すると、ドアの向こうからオーナーが入ってきた。

 

「では、こうしましょう」

『なぁっ!』

 

オーナーは目にも止まらぬ早業で、持ってきた鎖付きの手錠でアンクを拘束する。

 

「モモタロス君が、アンク君のお目付け役となるのです」

 

そして、オーナーはモモタロスに鎖を渡す。

 

『くっ!俺を犬扱いするつもりか!?」

「はい。君はまた、40年前に戻ってメダルを探すつもりだったんですよねぇ?」

『はっ、悪いか!』

 

オーナーの核心を突いた言葉に、アンクは悪びれもなく自白した。

 

「よ~し、俺は犬は苦手だけどお前なら大丈夫なんだよ。よしお手だ!お手!」

『ふんっ』

「いでっ!……てめぇ、それがご主人様に対する態度か!?コラァ!」

 

生意気な態度をとるアンクに腹を立てたモモタロスは、そのままアンクに掴みかかり取っ組み合いを始める。

 

「まったく、少しは静かにしろ」

「うるせぇ!……って、ん?」

 

アンクとの格闘中に空気の読めない言葉を掛けられ、モモタロスはイライラしながら振り返る。すると、そこにはまた1人、不正乗車犯がいた。

 

「あーっ!てめぇまだ乗ってたのか!」

 

その声の主は、客席にふんぞり返っている士だった。

 

「俺も手伝ってやる。頭数は多い方が良いからな」

「余計なお世話だ!大体、特異点でもねぇお前がそんなこと出来る訳ねぇだろ!」

「お前こそ忘れたのか?電王の世界に行った時、一緒に過去に戻ってイマジンを倒しただろ」

「……あり?そうだっけ?」

 

そう。士は以前電王の世界で敵と戦った際に、自前のパスを使って過去に飛び、イマジンを倒したのだ。

 

「だが今回はメダルの回収だ。我々だけでも十分だと思うのだが……」

「さて、どうかな」

「?」

 

士は意味深な返事をすると、再び沈黙してしまった。

 

「それでは、最初に行った40年前の更に1分前に、レッツゴー」

 

話が一段落したのを確認し、オーナーの指示により、デンライナーは再び40年前を目指して走り出した。

 

 

 

 

 

――1971年11月11日――

「幸太郎、見つけたぞ」

「ああ」

 

幸太郎とテディは、モールイマジンとそれを倒した過去の自分達を見つけた。

 

『うわぁぁぁッ!』

 

すると、過去のアンクと映司が吹き飛ばされ、アンクがメダルを落とした。

 

「あれだな」

 

幸太郎は過去の自分達に見つからないように、メダルを回収する。

 

「よし、これで一件落着だな」

「ああ」

 

そして2人はデンライナーに戻っていった。

 

 

 

――――――

――――

――

 

 

 

 

――デンライナー車内――

帰ってきた幸太郎達はカウンターに腰掛ける。

 

「しっかし、メダル1枚のせいでこんなことになるなんてな」

 

幸太郎はメダルを眺めながら呟く。

 

『俺のメダルだ!返せ!』

「うおっ!」

 

その光景を見たアンクが、メダルを取り返そうと暴れ出す。急にアンクが動き出した為、モモタロスが持っていた手錠が引っ張られ、手錠が外れてしまった。

 

「うわっ!」

 

アンクが飛び込んできたせいで、幸太郎が持っていたメダルは弾かれ、宙を舞う。

 

『よし!もらった!』

「させるかよ!」

「くそっ!」

 

我先にとアンク、モモタロス、幸太郎がメダルに手を伸ばす。

 

『取った!』

 

そして、そのメダルを手にしたのはアンクだった。

 

「てめぇ、この野郎!そいつをよこせ!」

 

しかし、モモタロスは再びアンクを捕まえる。

 

『離せ!』

「暴れんな!コラ!」

 

アンクはモモタロスから逃れようと、上下左右に激しく動きだす。

 

『おらっ!』

「うぉっ!?」

 

力いっぱい暴れたせいで、アンクはデンライナーの窓ガラスにぶつかり、ガラスが割れてしまった。

 

『ぐっ!』

「あぁーっ!メダルがぁーっ!」

 

そして、ぶつかった衝撃でアンクは再びメダルを落としてしまった。

 

『俺のメダル!』

「おい!ちょっと待てギャーッ!」

 

アンクはメダルを追いかけて客車の出口から外へ飛び出す。アンクを掴んでいたモモタロスも、つられて一緒に飛び降りてしまった。

 

「メダルが!」

「行くぞ!幸太郎!」

「ああ!」

 

2人の後を追って幸太郎とテディが飛び降りる。

 

「……ナオキ」

「うん」

 

それを見て、ナオキ達も外へ飛び出した。

 

「……嫌な予感がするな。俺も行くか」

 

そして、最後に士もその後を追うのだった。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。