ぼちぼちエンジン入れていきますねー。
赤黒い影が、ずるずると体を引きずって歩く。
彼は、████との戦いで酷く傷ついた体に鞭を打ち、ひたすら彼の地へと足を向かわせる。
其処は彼にとってかけがえのなかった人にとっての故郷。彼女と一度だけ挨拶に赴いたことのある、人里離れた集落だった。
「──こほっ」
ふらふらと歩き続けていたが、それも突然の小さな咳に歩みを止めざるを得なくなる。口を抑えた手を見れば、赤黒く固まった血に、真新しい赤が引っ付いていた。
「……後少しだから、持ってくれよ」
ぼろぼろになったものだ、と自嘲するように笑って、また歩みを再開する。
その足取りはふらふらとおぼつかなく、風でも吹けば転んでしまって、そのまま起き上がれなくなりそうな、そんな雰囲気があった。
通常であればものの十五分ほどで歩けた距離を、その数倍の時間をかけて歩いて、ようやく集落の目印になる小川を見つけた。
そよそよと流れる川が、彼自身の今の姿を朧げに映し出した。
其処に見えるのは、血だらけの、隻腕の男。
「……情けない姿だな」
彼は、████との戦いでもぎ取られた片腕に想いを馳せながら足を進める。
刻一刻と遠のいていく意識を必死に保ちながら、なんだか昔にこんな事あったな、と思う。
「嗚呼、始めて彼奴とあった時か」
あの時も、こうして手を離せば風船のように飛んでいきそうな意識を、一つの思いにすがりついて保とうとしていたのだ。
やがて、鈍くなった嗅覚が何かを焼くような、香ばしい香りを捉えた。獣には真似のできない、あきらかな人の文明による香り。
「ようやく、ついたか……」
もう色を写さなくなってしまった視界に、人里の灯りがぼんやりと見えた。ちらちらと、黒い影が視界をよぎるのがよく見えた。
あれはなんだろう、と靄がかかった頭で考えて、あの黒い影は人なのだと言うことを理解する。
影たちは、彼の姿を確認すると慌てたように近寄ってきて、取り乱したように言葉を投げかけた。
しかし最早彼に正常な聴覚は残っていない。故にその内容を知ることもできないし、視界も万全で無いため口も読めないし、今の思考状態では予想もできない。
だから、彼は己が言うべきことだけを、端的に言葉にした。
「彼女を、呼ん──れ。──が来たと言えば、わ─る─ずだ」
もう彼にとっては、自分の声さえノイズ混じりで聞こえづらい。ちゃんと話せてるかすら怪しいかったが、それでもしがみついた思いに従って言葉として形づくる。
「伝えに、きた。頼みに、きた」
──嗚呼、そうだ。だから生き恥を晒した。無様に足掻いた。
喉の奥から血反吐が上がってくる感覚。そんな感覚を押し込めながら、彼は必死に命にしがみつく。
「───の、事だ。其れを、その為だけに、今いるのだ……」
だから、語らなければならない。
──オレの
ざくざくと草の根をかき分ける。
「そこの木を右」
「右だな」
腰ほどの高さの雑草を踏むながら、肩車しているファビアの指示の通り道を進む。
生い茂る草は鬱陶しいと言えば鬱陶しいのだが、自分は十年近く山籠りしていた人間。このくらいの森であれば問題なく歩いていける。
自分の身長の半分程のファビアには少し厳しいので今は肩車しているが。
右に曲がり、しばらく歩いていたところで、自分たちの方へと髑髏をデフォルメしたかのような人形が飛んでくるのが見える。ファビアの
ファビアが手を伸ばしてデビルズの一体に触れる。すると、指先が淡い魔力光を浮かべた。
やがて光が消えるとファビアが小さくうなずく。
「エデル、次はこっちの方向にお願い」
「うむ、心得た」
「お願い。……ありがと、また道案内お願い」
ファビアがお礼を言うと髑髏のデビルズは嬉しそうに空中で一回転してまたどこかに飛び去っていった。
指示された通りに足を進めながら、頭上のファビアへと声をかけた。
「ファビア、さっきのデビルズの奴、何をしていたのだ?」
「何って……わかってなかったの?」
「うむ」
肩車したファビアが隠す気もなく大きなため息を吐いた。吐息が自分の髪を揺らすのを感じる。
「視覚共有の魔法だよ。
「ふーむ、成る程なあ」
「まあやろうと思えば、デビルズを何体か中継点にして視覚情報をリアルタイムで共有できるけど、疲れるからやらない」
「自分に肩車されてるのに疲れるも何もない気がするがな……」
「私はちっちゃいしか弱くて可愛いからいいのー」
「いやそういうことを言ってしまうところが……」
「可愛いんでしょ?」
「……其方には勝てんよ」
肩をすくめると、肩の上のファビアが少しバランスを崩しそうになる。自分も素早くフォローしたため肩からの落下は防げたが、ファビアは不満げに足を振った。
スカートからソックスの間の柔っこい御御足が自分の頰をぐにぐにと叩いたが、自分の不注意でもあったのでなされるがままにされておく。
でも、このまま続けられても困るので適当に話しかけておくことにする。
「あー、そのデビルズとの視覚共有で自分を道案内していたわけか?」
「……わかんなかったのに私の道案内きいてたんだ」
「まあファビアだからな。疑う余地もない」
「なんで素面でそう言うこと言うかなエデルはさ……」
「む?」
少し照れたように早口で言われた言葉に、何かいけないことを言ったのかと不思議に思い、顔を上げる。が、ファビアにぺしりと額を叩かれた。
「今、見ちゃダメ」
「何故?」
「なんででもっ!」
そしてまたぺしり。
訳がわからなかったが取り敢えず声の調子的に不機嫌ではないのでよしとする。
その後時々やってくるデビルズのログを元に目的地を探して足を進める。デビルズのログ確認が五十を超えたあたりでようやく目的地らしい場所をデビルズの一体が捉えた。
「こっちの方、まっすぐおねがい」
「此方だな?」
「……うん」
肩の上のファビアが少し震えるのを感じた。視界の端に彼女の足を入れれば、微かに揺れているのが見えた。
自分が足を止めた。
「ファビア、緊張してるか」
「別に、してない。緊張なんか」
「本当にか」
自分が問いかけたが、しばらくその言葉に返答はない。足を止めたため今まで規則正しく続いていた草をかき分ける音はなく、遠くからの鳥の声だけが辺りに響いた。
しばらくして、ファビアがため息とともに口を開く。
「ごめんさっきの嘘。ほんとは結構緊張してる」
「ふ、そうか」
いじけた幼子のような物言いに思わず小さく笑いをこぼすと、頭の上に控えめな拳撃が振ってきた。大して痛くはなかったのでファビアの気の済むようにさせてやることにする。
ぽかぽかと軽めの攻撃を頭に受けながら、先程指示された通りに草をかき分けながら進んでいく。
「……匂うな、近づいてきたか」
鼻に何かが焼けたような、そういう臭いが届いた。物が焼けるだけならば山火事などの可能性もあるが、この臭いはそう言ったものとは全くの別種。
嗅ぐのに不快感を感じ、できれば離れていたくなる、オレが何度も嗅いだことのあるこの臭いは、人工物が焼ける臭い。
言い換えて仕舞えば、
人の生活、という文化が。
そしてついに木々の間から開けた場所が見え隠れし始めた。ファビアが小さく息を飲んだことから、目的地へとついたのだということを察知した。
そして、森の中を抜けた。
ファビアが何も言わずに自分の肩から飛び降り、重力魔法を使ったのか音もなく地面に降りた。
ファビアは、何も言わない。
ひたすらに目の前の光景を目に焼き付けるように見て、ただ黙りこくっていた。
辺りを見渡す。
民家が
「……此処で、間違い無いんだな」
「うん、間違いないよ」
ファビアが小さな声で、しっかりとした確信をこめて次の言葉を繋げた。
「ここが、
────私の、生まれ故郷。
酷く、悲しそうに、そう言った。
辺りにデビルズを飛ばして周囲を確認しながら、ファビアはもう一度クロゼルグの里だったところを見回す。
大小様々な家はどれも焼け焦げ、かつての姿を一つも残していない。もう、ここを再興しても、住むことはできないと見ていた方がいいだろう。
以前、八神家に居候として引き取られる前、ファビアはエデルに生まれ故郷について尋ねられていた。
エデルとしては、自分のように流浪の民かとも考えたが、彼女が取り調べの時に言っていた「金はあんまりない」という言葉を根拠にそれを否定していた。例え流れ者で野宿が中心だったとしても、なんにしても金はいる。基本的に野宿中心だったエデルでさえ食料のために金は切らさないようにしていたくらいなのだから。
それにクロゼルグ一族は集落を作る。これはいつでも変わらない一つの決まりであった。
そんなクロゼルグの一員のファビアが何故一人で行動しているのか、それが気になったのだ。
それに対し、ファビアはこう答えた。
『クロゼルグの里は滅びた。ある日、突然現れた人物によって』
『その日、いきなりある民家から火の手が上がって、一気に集落全体に燃え広がった』
『私はお母さんが備え付けてあった転送呪術を起動させてミッドの郊外に逃がされたから助かった』
『集落の場所は高度な認識阻害がかかっていたし、私もよくわからない』
そういう事情で、ファビアはエデルとともに八神はやての所に厄介になることとなる。
それ以降八神はやては自分の職務の傍らクロゼルグの里があると思わしき場所を探してくれていたのだが、先日ついにファビアの断片的な証言に合致する場所を見つける。
そして今日、その現地調査という名目で嘱託魔導師としてファビアが派遣されたのだった。エデルは付き添いである。
しばらく歩いて、ファビアは気にかかるものを見つけた。
ファビアがしゃがみ、煤に汚れた地面に落ちた細長い棒状のもの──箒の残骸を手に取った。
誰のものかはわからない。でも、たしかに自分の一族のもので、誇りであるはずのものに相違なかった。
────
『ファビア、アイツが来る前に逃げなさい!』
『私も絶対に何処かで生きているから!』
『きっと、きっとまた会えるから!』
『今は、生きて!』
────
ファビアの脳裏に母と最後に別れた場面が浮かぶ。
燃え盛る炎。聞こえる怒号。響く魔女としての技術がぶつかり合う音。
そして、炎の向こうで見えた、黒い人影。
手の中の箒を見ていると嫌な予感が止まらなくなる。
これは、実は自分の母のものであり、その持ち主たる自分の母親は既に襲撃者の手にかかってしまっているのではないか、という予感だ。
クロゼルグ一族の家には基本的に転送呪術の魔法陣が備え付けてある。以前、シュトゥラにあった魔女の森を焼き払われてから行われていた対策であり、何かあればそれを使って場所は選べないが、それでも何処かの次元世界に転移する様になっている。
見る限り集落に死体はなく、血の臭いはもとよりその跡すらも残っていない。
それでも、ファビアの嫌な予感は止まらない。一度始まったそれは際限なしに膨らんでいき、突如青空に現れた暗雲の如くひたすらに存在を主張し始めた。
「ファビア」
突然、ファビアの背中が軽く叩かれた。
「……エデ、ル」
ファビアは弱々しく顔を上げると、エデルを見上げた。集落もなくなり、復讐を誓った王達への想いも折れ、どうやって生きていけばいいのかわからなくなった時、
エデルはそこらへんにあったレンガの一つを引っ張ってくるとそこに腰を下ろした。
「他のクロゼルグはどうなってるかわかるのか」
「……多分、転移でどこかの次元世界に逃げてるんだと思う」
「場所はわかるか」
ファビアがふるふると首を振る。
民家に備え付けてある魔法陣は転移の速さの代わりに、場所の指定ができないもの。ファビアの母の様にしっかりと場所指定をしなければどこに転移されるかわからない代物なのだ。
故に命の危機の様な、本当に緊急を要する時にしか使われないものだ。そう、それこそクロゼルグの里が滅びる様な。
「生きては、いるんだな」
「…………たぶん」
「そうか、なら良かった」
エデルがふ、と柔らかな笑みを浮かべて、ひょいっとファビアを担いで自分の膝に乗せた。ファビアはなされるがまま抵抗しない。
「そろそろな、八神はやての家に厄介になるのも潮時かと思っていてな」
「うん……」
「だから、いつか八神はやての家を出たら、二人でファビアの家族を探しに行こう」
「ふた、りで……?」
ファビアが予想外の言葉に、弾かれる様にエデルを仰ぎ見た。その顔はいつもと同じ、決して優しいとは言えない顔だったが、それでもその表情は柔らかかった。
「いろんな世界をクロゼルグの一族を探しながら回るんだ、おそらく大変だが、楽しいはずだ」
そしてそういったきり、エデルは何も言わない。ただ静かにファビアを見つめるだけだ。
ただそれだけでも、その猛禽の様な瞳の奥には心配する様な色が宿っているのをファビアは見つける。おそらくファビアしか見つけられない様な、そんな僅かなもの。
ふっと、ファビアが「仕方ないなぁ」とでも言いたげに、表情を緩めた。
「約束、してくれる……?」
ファビアが膝の上で横向きに座り直し、ゆるりとエデルの服の胸元を力なく握った。
「……ああ、約束するとも」
エデルはそう言って、宙をさまよっていた右手で覚悟を決めた様に、ファビアの頭を軽く撫でた。
いつもの犬猫にやる様な荒いものではなく、気遣う様な、赤子を触る様な優しげな手つき。
エデルの不器用で、精一杯の励ましに少しだけファビアに悪戯心が芽生えた。先程森の中で照れさせられた仕返しをしてやろう、という魂胆だ。
「心配してくれたの?」
「別に、其方に泣かれたら慰め方がわからんからな」
「ツンデレだなぁ」
「言葉の意味はわからんが非常に不名誉なのは雰囲気で伝わるぞ……!」
ひょいとエデルの膝からファビアが下される。
「ふふ、エデル、照れてる」
「別に照れてなどいない」
「じゃあそういうことにしてあげる」
「いや、そういう事では────」
ぷつり、とエデルの言葉が途中で止まる。その目線は、ある一点を見つめている。
にこにこと機嫌よく笑うファビアを尻目に、エデルは集落の中央、最も破壊の後の深い方へと歩いていく。その後ろをファビアがちょこちょことアヒルの様についていく。
「エデル、どうかした?」
破壊の跡のある一点を見つめて、黙りこくるエデルにファビアが問いかける。
「なあファビア、この抉り取った様な破壊痕、どこかで見たことがないか?」
エデルの問いかけにファビアが目の前に広がる破壊の跡を今一度観察し始める。
集落の中央付近、一族の寄り合いが開かれていた広間は、燃えた民家の煤で黒に染まり元の地面を覆い隠していた。
そしてその地面には、抉り取った様な、消しとばした様な、巨大な破壊の跡が強烈な存在感を放っていた。
言われてようやく、ファビアも既視感を感じ始める。
「これは、たしかにどこかで見た事、ある……?」
ファビアが、精一杯に頭を巡らせて、今までの記憶から似た様なものを見たことがないかを探し始める。
────
『あんな、最近辺境の異世界で通り魔が出とるんよ』
『んー、詳しくは話せへんのやけど、ちょっと厄介な事件でな。被害者の多くが一線級の武芸者か魔導師なんよ』
『──の管理世界で通り魔が現れた事件についてです』
『管理局は犯人は不明としており、周辺住民の不安を煽っています。また、類似した事件は数年前にも一度起こっており──』
────
かちり、と何かがはまりファビアの記憶の中からよく似た映像に付随する記憶が溢れ出した。
「これ、ニュース、のやつに、似てる……」
ファビアが呟いた言葉に、エデルは一瞬ニュース? と眉を寄せたがすぐに自分も思い出したのか、目を見開いた。
「あの、通り魔の破壊痕と酷似している」
ぞくり、とファビアの背中に冷たいものが走った。慌てて横を見ると、エデルが隠す気もないように、体から殺気にも似た気配を迸らせていた。その口は三日月のように弧を描いている。
「やっと、やっとだ……!」
その顔に先程までの様な柔らかさはなく、ただただ抜身の刃の様な危うさがあった。
「やっと、やっと尻尾を掴んだ……!」
ファビアの胸に急に暗雲が現れる。この人は、本当に自分の知っているエデルなのか。今のファビアには、そう思えてならなかった。
「エデ──」
堪え切れなくなって名を呼ぼうとした時、突如あたりに電子音が鳴り響き、ファビアの声を打ち消した。
「誰だ?」
エデルがポケットから喧しく音を響かせ続ける電子端末を引き抜いた。
「相手は、八神はやて? ファビア、何か連絡すべき用はあったか?」
「え、あ、もしかしたら、集落を見つけられたかの確認、かな……?」
「ああ、そうであるかもなァ」
エデルが電子端末を操作すると、二人の前に半透明のホロウィンドウが現れた。そこには、やや息を切らした八神はやての姿が映し出される。
「八神はやてクロゼルグの里は────」
「そんなことはどうでもええッ!」
噛み付く様にして八神はやてがエデルの言葉を遮った。
「エデルッ! エデルの親御はんらが……!」
病室に、着いた時はもう夜だった。
「エデルくん」
「エデル、あんな……」
「前置きはいい、結論だけ簡潔に頼む」
自分の顔を見るや否や悲痛そうな表情を浮かべたシャマルと八神はやてに、そう言いすてる。
八神はやてが、言いづらそうに話し始める。
「あんな、昔話してた通り魔事件、覚えとる?」
「一線級の武芸者ばかり狙う、アレか」
「そうや。その、どうやら、エデルの親御はんは、そいつに襲われたみたいでな。その事件を調査中やったシグナムたちが、血だらけの二人を見つけた。その後緊急搬送されて一命はとりとめたけど、今は二人とも
「そうか。よく自分の両親だとわかったな。身分証の類は無かったと思うが」
「まあ、エデルに顔もよく似とった。身分証はあらへんかったけど、代わりにこれがあったしな」
八神はやてが懐から一枚写真を取り出して、自分に手渡した。そこには、先日ヴィヴィオと二人で親父たちを訪ねた時のことが映し出されていた。
母さんが提案して、自分と、ヴィヴィオと、親父と、母さんとで撮った写真だった。
確か、しきりに遠慮していたヴィヴィオを母さんが強引に押し切ったのだった。
「その写真にヴィヴィオとエデルがおったから、一応ヴィヴィオに確認とって、間違いないって判断が出たんやよ」
「……そうか、迷惑をかけたな」
「当たり前やよ、こんくらい」
ぼんやりと写真を見つめていると、シャマルから声がかかる。
「あの、エデルくんシグナムから伝言があるんです」
「シグナムから?」
「ええ、何でも搬送中にエデルくんのお父様が目を覚まされて伝言を頼まれたらしくて」
おずおずとシャマルが自分を見た。そんな彼女に浅く頷いて見せて、次の言葉を求めると、ゆっくりと確かめる様に言葉を発していく。
「私が聞いたのは、『オレ達で終わらせる時だ』、という言葉です」
「……そうか、わかった。感謝する、シャマル」
親父の言葉を頭の中に焼き付けていると、不意に額の奥がチリッと痛みを訴えた。その痛みは自分を責める様に断続的に、響いていく。
────全てを終わらせる時が来た。
額の痛みが、跡形もなく消えた。
結構ファビアって器用なタイプですよね。使う魔法も多彩だし。パーティにいたら便利なタイプですよ、たぶん。