この世界、つまり(≒)現実は常に何かと繋がっている。
車、建物、気候、海、そして、人。
あらゆる自然物、人工物と人間は何食わぬ顔をしそして気づかぬまま、生命を繋げている。
片方が壊れれば、もう片方も壊れる。
一方が消滅すれば、もう一方も消滅する。
なんだそんなことか。
そう思える位に、単純だ。
単純だがそれは、この世で一番恐ろしい事だと誰も気づかない。
裕福な人間は、それを知らない。
人間の生命力を、少しずつ、少しずつ奪い去って行くことで、
―この世界、現実が成り立っている事を…。
いつも通り制服を着て、とりあえずパンかじって、とりあえず学校に行った俺の名前は、暁秋人。一峩峰高校に通う、ちょっとばかし身体能力の高いごく普通の男子高校生。
ある一点を除けば。
俺は、ある体質に悩まされている。
俺は時々、光の集合体のような白い線が見える事がある。
それは、ほとんど人間の心臓のあたりから始まって、そして必ず何か―物や建物、生き物など―に吸い込まれるようにして、終わっている。
魔法が少なからず存在するこの現実に、こういう意味の無い魔法を使うものはいない。こんな無駄な事に魔法を使う意味すら理解出来ない。
つまり俺は、これが現代の魔法で生み出されたものでは無いと確信している。
推測だが。
このような異端の教室での席は、一番後ろの窓側の席。俺にとっては最悪な座席位置だった。
―光に集合体のようなものが見えると、妙に疲れてしまうから―
不意に教室が静かになると、
「おはようございます」
と、担任の女教師が長い黒髪をなびかせながら教卓についた。
俺は、机に肘をつき窓の外を眺めた。するとそのとたん、ぽつぽつと窓に水滴が滴った。
雨が降ってきた。空は一面灰色に染まっている。
太陽が曇天の空に姿を隠し、そして入れ替わりに雲が覆い被さる。
ご機嫌斜めな空に少し寒気を感じながら、鈴が鳴るのを待った。
4時間目の授業が終わり、昼食の時間になった。
売店で昼食を買ってきたり、弁当を教室で広げる生徒で学校中が騒がしい。
秋人は騒ぎたてる生徒たちを避けながら足早に弁当を持って屋上に向かった。2階分の階段を上り大きな鉄扉を開けると屋上に出た。
雨のあたらない、少し屋根のついた場所のベンチに座り、自作のお弁当を広げた。いただきます、小さな声で呟くとゆっくりと、おかずを口に運んだ。やがてお弁当箱の中身が空っぽになると、秋人はぐったりとベンチに深くもたれかかった。
暁秋人:16歳。黒大好き。英語得意。