前にも言いましたがオリジナルは苦手ですが、何事もチャレンジだと思って頑張って書きました!
ちょっとわからない部分も多々あると思いますが、最後まで読んでくれると嬉しい限りです。
それではどうぞ!
ひと夏の思い出
夏休み期間中のカードキャピタル2号店にトライフォーは集まっていた。その理由はクロノのクランリーダー資格試験の結果を聞くためだ。案の定試験に落ちてしまったことを聞くと、シオンとトコハはやっぱりかといった表情をし、ユイは大笑いしている。
「ギャハハハハハ!!やっぱりクロノは落ちちゃったか!どうせ問題がわからなくて鉛筆転がしに頼ったんでしょ?うくくww」
「うるせぇ!!しかも何でそのこと知ってんだよ⁉///」
「去年のヴァンガードテストであんたの姿を見てれば誰だって想像つくわよ。まったくもう・・・」
「まぁ、こうなるとは思ってたけどね・・・」
顔が真っ赤になるクロノに対し、トコハとシオンは呆れ、ユイは未だに笑っている。
「ていうかそういうユイの方はどうなんだよ⁉入社試験!」
「そう言えば通知届いたって言ってたよね?どうなの?」
「僕もそれ気になっていたよ。どうなんだい?」
「・・・それなんだけど・・・実は・・・」
ユイの結果発表に3人は緊張で固唾を飲む。ユイは財布の中から、1枚のカードを取り出す。
「じゃーん!!入社試験、合格しましたーーー!!」
「「「おおお!!」」」
ユイが取り出したのは普及協会に所属していることを証明するカードだ。
「すごい!やったじゃんユイ!」
「これは大きな一歩だね!」
「ふふん、まぁ私は?クロノよりは断然にヴァンガード知識はありますし?」
「うぐ・・・否定できねぇからなんも言えねぇ・・・」
ユイの皮肉に対して、クロノは苦い表情になる。するとトコハはカードに描かれているある部分に気が付く。
「あ、この国家マーク・・・ドラエン支部の所属になったんだ?」
「うん。ドラエンで手伝ってきた功績があったから、ドラエン支部でもっと経験を積めっていう伊吹さんの計らいだって言ってたよ」
「伊吹が?意外だな」
ユイがドラエン支部に働くきっかけを作った伊吹に対して意外そうな表情をするクロノ。
「・・・で、いつからの勤務になるんだ?」
「中学を卒業してからだよ」
「ユイにちゃんと務まる?高校にも通うとも言ってたでしょ?同時にこなすのは大変よ?」
「いやいや、それを言ってしまったらシオンの方がもっと大変でしょ?綺場にフェンシング、エトセトラエトセトラ・・・しかも高校に通いながらだから、十分に私より多忙だよ?」
「まぁ今も、綺場の立て直しで忙しかったりするんだけどね」
何気ない会話を行っている中クロノはどこか寂しそうな笑みを浮かべる。
TURN115「ひと夏の思い出」
カードキャピタルを出た時間帯は夕方だった。トライフォーは今現在八百屋佐倉店に向かっている。その理由はユイが家族に試験を合格したことを報告したらキョウコが3人に夕食を招待したいと言い出し、今に至るという。いろいろと話している間に八百屋佐倉店に辿り着いた。入り口で待っていたキョウコがトライフォーを出迎える。
「いらっしゃい。今日は来てくれてありがとうね」
「今日はお招きいただきありがとうございます」
「そういう固いことはなしでいいからね。さ、入って入って」
キョウコの言葉に甘えて3人はユイの家に入ることにする。
「ただいまー」
「「「お邪魔します」」」
3人は居間の場所をユイに案内してもらっている。居間に辿り着き、襖を開けるとそこには、祝いのための料理などがたくさん並んでいた。
「す、すげぇ・・・」
「これ全部キョウコさんが作ったの⁉」
「うん。ピザは違うけど、それ以外は全部ママの手作りだよ」
「お祝いとはよく言ったものだね」
3人がキョウコの料理に驚いていると、ゲンゾウが2階の階段から降りてきた。
「お、来たかお前ら。まぁ適当に座ってくれや」
トライフォーはゲンゾウに言われた通り、居間に入り、机を囲んで座る。
「パパ、叔母さんは来てないの?」
「あいつなら"そんなことでわざわざ行くか"って言って断られたわ。うまい飯にありつけることができるのによ」
ユイとゲンゾウがそんな話をしていると、最後の料理を持ってきたキョウコが入ってくる。
「あの子だいぶ変わったんだけど、そういうところはちっとも変わらないのよね」
「どういうこと?」
「要はただ恥ずかしいってだけよ。多分これからもあの部分は変わらないと思うわ」
「そんなんだからいつまでたっても嫁にもらってくれる奴が現れないのかもしれんのぉ」
キョウコは料理を机において、全ての料理が出揃ったところで空いている場所に座る。
「じゃあ、全部の料理が出揃ったところで・・・ユイ、試験合格おめでとう。今日はそれを祝ってもらうために3人を招待したかったの」
「あ、それで・・・」
「僕らの方も、何人か声をかけたんだけど、みんなそれぞれ用事があるらしいんだ。だから他のみんなからはまた別の日にお祝いがくるだろうね」
「はは、それを聞くとちょっと恥ずかしくなってくるなぁ」
ユイはちょっとだけ恥ずかしそうに顔を赤らめる。
「それじゃあ、ユイの試験合格を祝って・・・」
『いただきます!』
全員の号令で食事を始める。みんなキョウコの料理を食べて、いろいろと話したり、笑顔が絶えない環境になっている。
「そういえばユイ、スバルさんがどこに住んでるかわかるかい?1回だけお見舞いに来てくれたことがあったから、そのお返しがしたいんだけど・・・」
「わかんない」
「わかんないってあんたねぇ・・・」
「だって叔母さんそういう事私に教えてくれないんだもん。"何で教える必要があるんだ"って言ってさ」
「ああ、あの人なら言いそうだな・・・」
トライフォーがスバルが住んでいる住所について考えていると、キョウコが教えてくれた。
「スバルならどこかのマンションで1人暮らししているって、あの子にお世話になったっていっていたご近所さんから聞いたことあるわ」
「え?そのマンションってどこにあるの?」
「それがどこにあるかまでは教えてくれなかったらしいのよ。そういうところはちゃっかりしているというかなんというか・・・」
「そっか・・・残念。今度遊びに行こうと思ってたのに」
「多分お前が行くと騒がしくなると思ったからなんじゃねぇか?教えなかったの」
「あー、スバルで思い出したことがあるんだけど・・・」
キョウコは近くにあった自分のカバンから何か4枚のチケットをトライフォーに渡す。
「これは・・・?」
「お、おいキョウコまさか・・・」
「実は昨日、商店街のガラガラくじの1等で日帰り海旅行券が当たっちゃってね。家族とスバルで行こうと考えてたんだけど、その日も仕事があるし、スバルも行く気がないみたいだし、お金にするのももったいないから、ちょうどチケットも4枚もあるから、どうせならって思ってね」
トライフォーはキョウコからもらった日帰り旅行を詳しく見て、表情が驚愕なものに変わる。
「え⁉これ、すごい人気のあるリゾート地じゃん!ママ本当にいいの⁉」
「いいのいいの。私たちが持ってても宝の持ち腐れだし、試験の合格祝いだと思って受け取りなさい。それに夏休みの思い出作りにはちょうどいいんじゃない?」
「やった!ママありがとう!」
ユイは喜びながらチケットをキラキラと見つめていた。
「チームで思い出作りか・・・いいかもしれねぇな」
「私、1回ここに行きたかったから絶対に行く!!」
「チケットに書いてある期限なら僕もいけるな」
満場一致でトライフォーは後日に日帰り旅行に行くことになった。
「トコハ、クミちゃんへのおみやげどうしよっか?」
「もうその話?でもそうね・・・あそこでしか買えないものなんかがいいんじゃない?」
「・・・ん?何か視線が痛いような・・・うわっ⁉」
「どうしたんだシオン?・・・て、うおっ⁉」
ユイとトコハ呑気におみやげの話で盛り上がっている。シオンとクロノが視線を向けた先にはゲンゾウがトライフォーを・・・いや、正確にはシオンを鋭い目つきで睨んでいた。
「お、親父さんがお前をものすごい視線で睨んでるんだけど・・・なんかやばいことでもやらかしたか⁉」
「い、いや・・・気に障るようなことなんてしてないつもりだけど・・・」
その後は女性陣は華々しい会話を繰り広げ、男性陣は重苦しい雰囲気の中、食事会を進めるのであった。
☆
日帰り旅行に向かう当日、ユイは少しだけ寝坊してしまったので待ち合わせ場所であるバス乗り場に急いで向かっている。バス乗り場には既にほかの3人が到着している。
「あ、やっと来たね」
「遅い!どれだけ待ってたと思ってるのよ!」
「ごめーん、ちょっと楽しみ過ぎて寝坊しちゃった!」
「まぁ、気持ちはわからなくもねぇけどな」
ユイが到着したと同時に目的地へ向かうバスもちょうど到着した。
「ちょうど僕らが乗るバスも到着したし、そのへんで・・・」
「そうね。バスの時間に遅れなかっただけでも、よしとしますか」
「ありがとう。あーよかった、トコハにもっといろいろ愚痴られると思ったよ・・・」
「聞こえてるんですけどー?」
「まぁいいじゃねぇか。早く乗らないと発射しちまうぞ?」
トライフォーはバスに乗り込み、チケットに指定された席に座る。バスは乗客全員を乗せて、目的地へと向かう。バスが目的に向かっている間にトライフォーは1年前の出来事を振り返る。
「こうしてチーム全員で海に行くのなんて久しぶりだよね」
「あの時は私やシオンが気落ちしている時にクロノとユイが海に連れてきて・・・」
「あの時はまさかクロノが2人ためにって言って電話かけてくるとは思わなかったなー」
「自分でもらしくねぇことしてたなぁって、今でも思ってるぜ」
「本当、チームを抜けるって言って拗ねてたクロノがねぇ・・・」
「いつのことを話してんだよ⁉///」
「そうそう、チームぬけるっていえばシオンも・・・」
「そ、その話はもういいだろ///」
ユイとトコハにからかわれて顔を赤くするクロノとシオン。
「でも、それがあったからこうしてチームとして成り立つことができたのかもしれないね」
「うん。そして、いろんなことが起きて・・・」
「世界の危機に立ち向かったなんてこともすごく懐かしく感じるよ」
「今思えば、俺たちとんでもねぇことに巻き込まれて、そんで、いつもと変わらねぇ日常に戻ってきたんだな」
トライフォーは数か月前に起きた出来事も懐かしく感じている。そんな中クロノは少し寂しそうな表情をする。
「・・・俺たち、中学を卒業したらこのチームも、解散しちまうんだな・・・」
「「「・・・・・・」」」
クロノの言う事も理解できる。中学校を卒業すれば、クロノ、シオン、ユイはそれぞれ別々の高校に進学するのだから。トコハに至っては留学のために日本を離れ、チームとしていられる時間がなくなってしまうのだから、実質チームとしていられるのは中学までと考えるのが懸命だ。3人もそれは考えていたことだったため、少しだけ黙ってしまう。そこでユイが口を開く。
「・・・まぁ、確かに卒業したらチームは解散みたいな感じになっちゃうけど、何もトライフォーがなくなるわけじゃないでしょ?会おうと思えばいつだって会えるわけだしさ」
「・・・そうだね。それに、卒業まで僕らはまだトライフォーだから、今僕らにできることは何でもやっていこう。遊びにしても・・・ヴァンガードにしても」
「・・・そうだな。そうだよな」
ユイとシオンに言われてクロノは笑みを浮かべる。
「もう、せっかくこれから楽しみ行くって時にしんみりとした空気を作らないでくれる?」
「わ、わりぃ・・・」
「そういえばクロノ杯の時、準備の件で借りがあったよね?お返しは今日の私たちの昼食、クロノのおごりでね」
「ああ、それはいいね」
「ま、マジかよ⁉」
そんなこんなで3人の昼食はクロノがおごることになった。トライフォーは目的地にたどり着くまで会話で大いに盛り上がった。
☆
目的地の海までたどり着き、トライフォーは更衣室で自分の水着に着替えている。女子は男子より着替えに手間取っているのかまだ女子更衣室から出てこない。クロノとシオンはロッカーに自分たちの荷物を入れてから女子たちを待っている。
「あいつら着替えにいつまでかかってんだよ?」
「僕らとは違って、いろいろと手間取ってるのかもしれないね」
クロノとシオンがそんな感じに待っていると、タイミングよく水着姿のユイとトコハがやってくる。
「ごめん、ユイにからかわれて遅れた!」
「えー?素直な感想を言っただけなんだけどなー」
「たく、遅いぞ」
ユイはシオンに顔を向け、ちょっとした質問をする。
「ね、ねぇシオン?私の水着、どうかな?似合ってる?」
ユイの着こんでいる水着はチェック柄のフリフリ水着だ。
「うん。よく似合っているよ。ユイのイメージとよく合ってる」
「そ、そう?ありがとう」
シオンに褒められてユイはちょっとだけ頬を赤く染まる。そこにトコハがからかう。
「いやー、さっそくお熱いですな、お2人さん?」
「ち、違うよ⁉別にそう言ったことじゃなくてね⁉」
「そ、それよりクロノ、遊具をいろいろと持ってきてくれたんだろ?」
「お、おう!今日のために海で遊べるものをいっぱい持ってきたぜ!」
クロノは荷物から取り出した遊具入れとクーラーボックスから遊べるものを何でも取り出している。
「あ、クーラーボックスにはスイカがある。私スイカ割りがやりたい!」
「私も!」
「それは昼飯食った後でいいだろ?他にはどんなのがいい?」
「そうだなぁ・・・」
その後トライフォーはクロノが持ってきた遊具を使って遊んでいき、海を満喫していくのであった。
☆
遊んでいるとすっかりお昼時になったのでトライフォーは海の家で昼食をとることにした。もちろんその昼食はバスの話し合いでクロノのおごりと決まっていた。
「悩んでても仕方ないし、カレーにしようかな」
「私もそれで」
「俺も」
「じゃあ、僕もカレーでいいよ」
全員がカレーに決まったと同時にユイはメニューにかき氷がのってあるところに目を向ける。
「あ、かき氷もあるじゃん。私レモンシロップで」
「じゃあ私メロンで!」
「おい、まさかそれも俺が払えっていうんじゃないだろうな?」
「オフコース♪」
「ざけんな!」
そんな話をしていると、海の家の電気が突然消えてしまう。客たちは停電が起きたのかと思っているが、外の光の明かりで屋台を照らしているので気にしていないものが多かった。すると、ステージ舞台に明かりがつき、そこには楽器を持った3人がそこに立っていた。
ジャーン!
「みんなー!盛り上がってるかー!!」
客のほとんどは3人組を見て非常に驚きつつも、その表情は興奮と喜びが入り混じったような感じだ。
『きゃあああああああ!!♡」
「な、なんだありゃ?」
「あれがバンドって奴⁉初めて見た!」
「ああ、あれ?今結構話題になってる有名ヴァンガードバンドグループなんだって」
「バンド名は確か・・・シャウトだったかな?」
トコハとシオンがヴァンガードバンド、シャウトの解説をしているうちにシャウトのメンバー紹介に移っている。
「知っていると思うけどここで俺たち、シャウトのメンバーを紹介するぜ!まずは俺、ギター&ボーカル担当、有里ユウキ!音楽は楽しく魂の音を奏でるビートだぜ!!」
「ふ、美しく気高い小鳥たちに、最高のショーを届けよう。ベース担当、天王寺カオル。美しさは罪・・・そして、儚いものだ・・・」
「私はルカだよ!ドラム担当、五十嵐ルカ!音を奏でながら一緒に遊ぼー!」
見事に性格がバラバラ、しかも個性的なメンバーにクロノは唖然としている。
「な、なんか・・・全員の趣旨がバラバラじゃねぇか?」
「それがあのバンドの不思議なところなのよね。全員考えていることがバラバラ、センスもめちゃくちゃなのに、なぜか音楽だけはまとまって安定しているのよね」
「へー、そうなんだ。きっとああいう面白さがあるから人気になったんだろうね」
「まぁ、それはあくまで人気なった理由の1つだからね。全部がそれという訳じゃないよ」
後々にこのシャウトというヴァンガードバンドメンバーたちととある大会でファイトすることになるのはこの時のトライフォーは考えもしなかったのであった。
「それじゃあ俺たちのサプライズライブ、まず1曲目から行くぜ!!」
トライフォーの昼食が届いたと同時にシャウトのライブが始まった。トライフォーはシャウトのライブを結構いいライブだったと発言していた。
☆
昼食を終えたトライフォーはスイカ割りをやってスイカを食べたり、ビーチバレーを行ったりとエンジョイしていた。
「さてと、次は何するよ?」
「あ!はいはい!私からリクエストがあるよ!」
「え、なになに?」
ユイは砂をかき集めて砂の山を作り、そこに適当に拾った木の枝をポンと刺し込む。これは去年海に来た時にやったクロノが提示した遊びだ。
「あ、これは去年4人でやったあれだね?」
「そうそう、こうやって砂を書いて減らしていって、棒を倒した方が負けっていうあれだよ」
「あの時は天気が悪くなって最後までできなかったからなぁ・・・。よーし、やってやろうじゃない!」
「面白れぇ!」
今回は言い出しっぺのユイが最初に砂をかく。そして去年と同じようなことをユイは口にする。
「よし成功!じゃあ次、ギアクロね」
「え?・・・よし・・・」
クロノはユイの意図を理解する。シオンとトコハもそれを理解し、例によってお互いの特徴を述べながらゲームを再開させる。
「ロイパラ」
「ネオネク」
「ディメポ」
「クロノ杯の主催者」
「綺場の後継者」
「海外へと留学」
「ドラエン新入社員」
こうやってお互いの特徴をこつこつと言いながら砂をかいていく。砂が残り少なくなり、ここは全員で砂をかくことに決めた。そして・・・
「「「「頑固者!」」」」
4人が共通している特徴を全員そろって言ってのけた。そして砂に突き刺さっていた棒がクロノの方に倒れこむ。
「ああ!!」
「これは・・・クロノの方に倒れたから・・・」
「クロノの負けね。ふー、ひやひやした」
「も、もう1回だ!次は負けねぇ!」
「往生際が悪いなー。結果は同じだと思うのに」
こうしてトライフォーはこの遊びを何回もやっていったのであった。
☆
時刻はすっかり夕方になり、トライフォーは私服に着替え終えてバス乗り場で夕焼けを見ながら帰りのバスを待っていた。
「あともうちょいしたらバスが来るはずだぜ」
「今日は楽しかったねー」
「次ここに来るときは、みんなも連れていきたいね」
「そうね」
バスを待っている間、トコハはユイを見て、ちょっとしたことを閃いた。
「私、ちょっと飲み物買ってくるね。クロノ、ちょっとついてきてよ」
「は?何でだよ?1人でも行けるだろ?」
「いいから来なさいって!」
「お、おい!引っ張るなって!」
トコハはクロノを引っ張りながら飲み物を買いにその場を離れていった。
(・・・ん?トコハとクロノが飲み物買いに行ったから・・・今私、シオンと2人ッきり⁉)
「どうしたんだ、ユイ?」
「え⁉いや!な、何でもないよ⁉」ドキッ
今現在2人きりのせいかユイはシオンに声をかけられると挙動不審に陥っている。
(これ・・・多分トコハの気遣いだ!余計なことしなくていいのに!ていうかこういう状況になったら何しゃべったらいいかわかんないよー!)
ユイはこの状況に頭の中がこんがらがっていた。その状況を飲み物を買いに行ったはずのトコハとクロノが隠れて見ていた。
「ああもう!じれったいわね!せっかく2人きりになれる時間を作ってあげたのに!早くなんかしゃべりなさいよ!」
「お前は何言ってんだよ・・・」
トコハの言動に少しついていけていけてないクロノはちょっと呆れていた。ユイが何をしゃべろうかと考えていた時、シオンが少し語りかける。
「こうして2人で夕焼けを見るのって、2年ぶりだね」
「え?」
「覚えてないかな?僕がまだ学校に馴染めてなかったころ、ユイがいろいろと教えてくれて・・・」
「ああ、私が学校を回っていろいろと教えていたら、すっかり日が暮れてたよね」
「あの時見た夕日は、本当にきれいだったな。そして今、2人でこの夕日を見れて、僕はちょっとだけうれしいんだ」
「シオン・・・」
「いつかまた2人で、この夕日を見てみたい」
シオンはユイに顔向けて、ユイは顔を真っ赤にしながらシオンを見つめている。隠れていたトコハとクロノもちょっぴりほっこりとしている。そこに・・・
「おいてめぇこらどういうことだ!!!」
なんとゲンゾウが近くの草から出てきた。これにはユイとシオンは驚く。
「パ、パパ⁉」
「げ、ゲンゾウさん⁉どうしてここに⁉今日は特に忙しい日だったはずじゃあ・・・」
隠れていたトコハとクロノも当然驚いていた。
「ここでユイの親父さんの登場⁉」
「もう最悪・・・2人きりになってまだ数分しか経ってないのに・・・」
ゲンゾウは明らかに怒り満載でその矛先がシオンに向けられている。
「てめぇ、ユイをそんな目で見ていたとはな・・・やはり男はみんな狼だという俺様の考えが証明されたって訳かちくしょうが!!」
「な、何の話ですか⁉」
「ち、違うって!私とシオンはただ話し合ってただけで・・・」
「話し合ってただぁ~?それがどういう話なのかっていうのをちゃんと説明しろやおい!!!」
「お、落ち着いてください、ゲンゾウさん」
「俺様は十分落ち着いてるわ!!!」
「全然落ち着いてないじゃん!ていうかシオンがいったい何をしたっていうのさ⁉」
ただ話してただけなのにゲンゾウの怒りの暴走の矛先がシオンだけに向けらえて何とも理不尽なことだ。
「だいたい他の2人がいねぇこと自体が何よりの証拠・・・」
ガシッ!
「いい加減にしなさい!!」
「ゴハア!!」
どうこうしている間にいつの間にかキョウコが来てゲンゾウの頭を掴み、ゲンゾウを地面に叩きつけて気絶させた。
「ママ⁉」
「ごめんなさいね。今日は思ったより仕事が片付いたんだけど、仕事が終わった途端に車とゲンがいなかったから、まさかとは思ったけど、案の定ね」
「キョウコさん、助かりました」
「まったく・・・帰ったらたっぷり説教しなきゃね、スバルの説教もセットでね」
キョウコは気絶させたゲンゾウを引っ張ってスバルから借りたバイクのサイドカーに乗せる。
「それにしてもクロノ君もトコハちゃんもいい仕事するわね、うふふ」
「ちょっとママはまた!」
「何の話ですか?」
「いやいやこっちの話。じゃ、おじゃま虫は退散しましょうか。2人とも、ごゆっくりと♪」
キョウコはバイクに乗って、遠くにある駐車場に止めてある車まで向かっていく。
「えっと・・・結局ゲンゾウさんは何しに来たんだろう?」
「さぁ?パパの気まぐれも困ったものだよ。それよりさっきの、夕陽を見たいなっていう話なんだけど・・・」
ハプニングがあったもののユイは話の続きをすることにした。
「私も、シオンと2人きりでまたあの夕日を見たいよ。とっておきの、赤い夕焼けを、2人で」
「はは、こうしていると2年前を思い出すね」
「本当だね!」
ユイとシオンは友達となったあの日の頃のように親しみあって、笑いながら話していた。
「うーん、ちょっとハプニングが起きたけど、まぁ2人の仲がまたぐんと上がっただけでもよしとしようかな」
「最後までよくわからなかったけど、まぁよかったんじゃないか?さて、さっさと飲み物買って戻ろうぜ」
トコハとクロノは飲み物を買ってからユイとシオンと合流する。帰りのバスがやってきて、日帰り旅行の幕を閉じた。
to be continued…
ユイ「んー、楽しかったなぁ。やっぱ海で遊ぶのは最高だね!」
シオン「遊ぶのはいいけどユイ、ちゃんと宿題はやったのかい?去年は夏休み最終日ぎりぎりだったからね、宿題終わったのが」
ユイ「今回は大丈夫だよ。トコハのおかげで早く終わることができたからね。それよりも心配なのはクロノだよ。多分宿題まだ終わってなさそうだから」
シオン「だったら、早く終わらせるように、手伝ってあげればいいんじゃないかな?」
ユイ「そうでもしないといけないほどだからね。強制的に勉強会に参加させよっと」
TURN116「学園祭ライブの準備」