さて、今回はサブタイトルの通り、元支部長であるあの人の登場です。弱さは罪!
それでは、どうぞ!
「なあ、いったいどこに行くんだよ?」
クロノとタイヨウは向かう場所を知っているようだが、唯一行き先を知らないカズマが2人にそう訪ねる。
「カズマさん言いましたよね?特訓したいって」
「ああ。天音とのファイトで痛感したからな。・・・自分の力不足を」
カズマの脳裏に浮かんだのは、準決勝第3試合でファイトしたアリスの気迫と、その力強さだった。
「決勝戦まで日にちはないけど、それでも確実に強くなれるところがあるんだ」
そう、現在ストライダーズが向かっているのは少ない日にちで確実に強くなれる場所だ。
「だからそれはどこなんだよ?」
「まあいいから。俺たちに任せとけって」
自信満々にそう言ってのけるクロノにカズマは訳わからず、思わずため息が出る。カズマは窓から見える景色を眺めるのであった。
TURN199「神崎との特訓」
電車から目的の駅につき、ストライダーズはその次にバスで目的地である山の登山前の場所に辿り着いた。
「ずいぶん遠くまで来たな」
「まだまだ目的地はここじゃないぜ。本番はこれからだ」
ストライダーズは目的地に向かうために山へと登山していくのである。
「とにかくすごいシャドウパラディンの使い手なんです」
「特訓相手にこれ以上のやつはいねぇ」
カズマのクランはその人物と同じシャドウパラディン。特訓相手にうってつけの相手ともいえるであろう。
「そんなすげぇ奴が、こんな山奥で何やってんだよ?」
「修行だよ。ヴァンガードの」
「修行?」
カズマの疑問にクロノは簡単に答え、カズマはますます訳がわからなくなってきている。ふとカズマが足元を見ると、石で作られた小さな像があった。
「なんだ、これ?」
像のモチーフに気付いてないカズマはこれが何なのかわからないでいた。それから数分山を登っていくと、目的地である山奥の小屋まで辿り着いた。
「着いたー。カズマ、もう少しだ!」
「ここが・・・修行の場?」
カズマがこんな所に小屋があることに少しだけ驚いていると、2匹の生物はストライダーズに近づいてくる。その生物は馬だった。
「「ヒヒーーン!!」」
「う、馬⁉」
こんな所に馬がいること自体にカズマは驚いている。クロノとタイヨウは驚いた様子はない。なぜなら、すでに知っている馬だからだ。
「ヘルシャフト!エーアガイツ!」
この2匹の馬はある人物が飼っている馬なのでクロノとタイヨウが見知っているのも当然である。
ガブッ!
茶色の馬、エーアガイツはクロノの渦巻き髪をかじる。
「いててて!またお前は・・・!やめろって!」
「久しぶりだね、元気だった?」
タイヨウは白い馬、ヘルシャフトを懐かしさを込め上げながら撫でていた。
「なぁ、いったい誰なんだよ?こんな所に住んでる奴って」
この光景を黒い馬、アドウェントに乗り、遠くから見つめている人物がいる。その人物こそ、この3匹の馬の飼い主である。
(・・・違うか・・・)
その人物が何かに該当するものではないとすぐに理解し、ストライダーズに近づいた。
「誰かと思えば、貴様らか」
声をかけらたストライダーズはその人物に顔を向ける。クロノたちの今回の目的である人物とは、ユナイテッド・サンクチュアリの元支部長である、神崎ユウイチロウだった。
「神崎さん!」
「二度と来るなと言ったはずだ」
神崎は明らかに不機嫌そうな表情をしている。
「まあそう言うなって。今回はユイはいねぇし、それに免じてさ。今日はちょっと頼みたいことがあって」
「帰れ」
神崎は修行に集中したいのか、ストライダーズには帰ってもらいたいようだ。ユイがいようがいまいが同じこと、関係ないのだ。
「あの人がそのすごい人なのか?」
カズマがそう疑問を抱いている間に神崎は修行に戻ろうと去ろうとする。それをクロノが慌てて止めようとする。
「ちょっと待てって!話くらい聞いてくれよ!うまいもん作るからさ」
「・・・・・・」
神崎は立ち止まり、じっとクロノを見つめる。とても長い沈黙が流れていく。そして・・・
「いてよし!!!」
「「「おお!!?」」」
神崎から許可を得られた。
「あの人がすごいシャドウパラディンの使い手・・・なのか?」
「ああ。神崎ユウイチロウ。前のユナイテッド・サンクチュアリ支部の支部長で、俺たちと・・・特にユイといろいろあったんだ」
唯一神崎を知らないカズマにクロノが説明をしながら、小屋の中に入り、昼食の準備をする。
☆
昼食の時間、ストライダーズは神崎と共に食事をとりながら、これまでの事情とカズマの事について説明する。
「カズマさんは神崎さんと同じシャドパラ使いなんです。お願いします、カズマさんを特訓してください!僕たち、
「・・・・・・」
事情を説明しても、一応は聞いてはいるが、神崎は食事に集中しており、一言も発さない。
「なぁ、聞いてるのか?」
「・・・・・・」
神崎はクロノに無言でご飯がなくなった茶碗を差し出す。糸を察したクロノは茶碗を受け取り、ご飯をよそう。神崎は口に入っているご飯を噛みながらカズマをじっと見据える。
「どうぞ」
ご飯を盛った茶碗を受け取った神崎はご飯を一口ずつ口に運ぶ。
「・・・俺は・・・強くなりたい」
「・・・なぜだ?」
カズマの脳裏に浮かんだのは、サードステージでカズミにやられた時、ファイナルステージ準決勝でアリスに気迫に負けたあの時だった。
「今の俺は・・・弱いからだ」
「・・・・・・」
食事を終えた神崎は立ち上がり、外に出ようとする。
「お、おい!」
「・・・うまい飯だった。その礼だ」
「はあ・・・?」
神崎はそれだけを言って外出した。訳わからないといった表情をするクロノ。
「礼だって・・・OKってことですよ、カズマさん!いきましょう!」
「あ、ああ」
「たく・・・だったらそう言えよ。相変わらず勝手だな・・・」
神崎からの特訓の許可を得たストライダーズは神崎が向かった場所へと向かう。
☆
神崎が向かった場所は近くにあった川辺だった。その隣には崖の岩で彫刻された新しいクラレットソード・ドラゴンの姿があった。
「またこんなものを・・・」
「なんか・・・前に来た時よりも・・・洗礼されたような感じがしますね・・・」
この彫刻を見てクロノとタイヨウは驚き半分感服半分の感情を抱いている。カズマと神崎は用意されたファイ台の前に立ち、ファイトの準備を行っている。
(2人が言うんだ。すげぇ相手だってのは間違いねぇ。けど・・・)
カズマは今目の前に立っている神崎から漂うオーラ、威圧感などを感じ取っていた。
(こうして面と向かってみるとよくわかる・・・この人が半端ねぇってことが)
「どうした?」
「!」
「準備ができたのなら、始めるぞ」
「思いっきり行けぇ!」
「カズマさん、がんばってください!」
(やってやる!)
互いに準備ができ、カズマの特訓ファイトが始まろうとしていた。
「「スタンドアップ・ヴァンガード!!」」
「
「血統の騎士ティグレス!」
血統の騎士ティグレス PW4000
「俺の先攻だ!ドロー!ライド!
R ニーズ R
ルート R R カズマの手札5枚 山札43枚
「俺のターンだ。ドロー。ライド!ブルーエスパーダ・ドラゴン!ティグレスは移動!」
R ブルーエスパーダ R
R ティグレス R
「ティグレスのブースト、ブルーエスパーダでヴァンガードにアタック!」
「ノーガード!」
「ドライブチェック『モリオンスピア・ドラゴン』」
「ダメージチェック『
「ターンエンドだ」
PW13000➡PW7000 神崎の手札6枚 山札42枚 カズマのダメージ1枚
「俺のターン!ドロー!ライド!
モルフェッサ リア・ファル R
ルート R R
「リア・ファルでヴァンガードにアタック!」
「ガード『禁忌の魔道士カファー(☆)』」
「ドライブチェック『争奪の騎士エデルン』ルートのブースト、モルフェッサでヴァンガードにアタック!」
「ノーガード。ダメージチェック『ダーククォーツ・ドラゴン』」
「ターンエンド!」
PW9000➡PW9000+SH10000=19000
PW14000➡PW9000 カズマの手札5枚 山札40枚 神崎のダメージ1枚
「俺のターンだ。スタンド&ドロー。ライド!モリオンスピア・ドラゴン!」
モリオンスピア・ドラゴン PW9000
「ティグレスのスキル!カウンターブラスト!自身を退却!山札の上から7枚見て、クラレットソード・ドラゴンの名を含むカードを1枚手札に加える。覇道竜クラレットソード・ドラゴン・リヴォルトを手札に。モリオンスピアを2体、コール!」
モリオンスピア モリオンスピア モリオンスピア
R R R
「右のモリオンスピアでヴァンガードにアタック!」
「ガード!『黒翼のソードブレイカー』」
「ヴァンガードのモリオンスピアでヴァンガードにアタック!」
「ノーガード!」
「ドライブチェック『グリム・リーパー(☆)』クリティカルトリガー!パワーは左のモリオンスピアに、クリティカルはヴァンガードに!」
「ダメージチェック『アビサル・オウル』『
「左のモリオンスピアでヴァンガードにアタック!」
「ノーガード!ダメージチェック『ベリアルオウル(☆)』クリティカルトリガー!効果は全部ヴァンガードに!」
「ターンエンドだ」
PW9000➡PW9000+SH5000=14000
PW9000➡PW9000
PW14000➡PW9000(+5000) 神崎の手札5枚 山札38枚 カズマのダメージ4枚
「俺のターン!スタンド&ドロー!ライド!
「争奪の騎士エデルンをコール!」
争奪の騎士エデルン PW11000
モルフェッサ ルアード エデルン
ルート R R
「エデルンでヴァンガードにアタック!」
「ガード『グレイミュー』」
「
「ガード!『グリム・リーパー(☆)』」
ルアード(カズマ)は竜の腕を構え、魔力の炎をヴァンガードのモリオンスピアに放ったが、その炎はグリム・リーパーの魔力で打ち消された。
「ツインドライブ『デスフェザー・イーグル(☆)』クリティカルトリガー!効果は全部モルフェッサに!セカンドチェック『
「ノーガード。ダメージチェック『ダークプライド・ドラゴン』『カルマ・コレクター』」
「ターンエンド!」
PW11000➡PW9000+SH5000=16000
PW11000➡PW9000+SH10000=21000
PW19000➡PW9000 カズマの手札5枚 山札34枚 神崎のダメージ3枚(裏1枚)
「でもよかったです」
「ん?」
「神崎さんがまたヴァンガードを始めて。前にここに来たときには、迷いが消えるまではカードには一切触らないって言ってましたから」
「今は何の迷いもないってことか」
ファイトを観戦しているクロノとタイヨウは神崎のことでそんな話をしていた。
(ストライドがくる・・・ダメージ4・・・一瞬たりとも気を抜くな!)
「天上天下!唯我独尊!天を貫き、血を震わせ!我が力!ライド!!覇道竜クラレットソード・ドラゴン・リヴォルト!!!」
覇道竜クラレットソード・ドラゴン・リヴォルト PW11000
「超おおおおおおおお越!!!!!!」
ジェネレーションゾーン コスト『覇道竜クラレットソード・ドラゴン』グレード3
クラレットソード・リヴォルトは自信を纏っている青い炎に身を包ませ、その姿を変える。血に染まったような戦の剣は二刀流になり、その心は死してなお、尽きることのない真なる覇道を纏っている。これこそが、クラレットソードのあるかもしれない未来の姿だ。
「覇道真竜クラレットソード・ヘルヘイム!!!!!!」
覇道真竜クラレットソード・ヘルヘイム PW26000 ハーツ『覇道竜クラレットソード・ドラゴン・リヴォルト』
「新しいクラレットソード⁉」
「こいつが修行の成果か・・・」
「クラレットソード・ドラゴン・リヴォルトの
公開したカード 『ナイトスカイ・イーグル』『覇道竜クラレットソード・ドラゴン・リヴォルト』『グリム・リーパー(☆)』『ナイトスカイ・イーグル』
「1枚目のナイトスカイ・イーグルを手札に!もう1枚のナイトスカイ・イーグルをスペリオルコール!」
ナイトスカイ・イーグル PW7000
「ナイトスカイ・イーグルの
ダーククォーツ・ドラゴン PW7000
「ダーククォーツの
ナイトスカイのスキル!パワープラス4000!
ヘルヘイムのスキル!
「受けても守っても、グレード1が出てくるのかよ⁉」
モリオンスピア ヘルヘイム モリオンスピア
ナイトスカイ ダーククォーツ ナイトスカイ
「左のナイトスカイのブースト、モリオンスピア・ドラゴンでヴァンガードにアタック!
モリオンスピアの
「ガード!『デスフェザー・イーグル(☆)』インターセプト!『
モリオンスピアの攻撃からルアード(カズマ)を守ろうとデスフェザーとモルフェッサが前に出た。ルアード(カズマ)は守れたが、が、モリオンスピアの槍でデスフェザーとモルフェッサは薙ぎ払われた。
「なっ・・・何だっ⁉この人の力なのか⁉」
「ダーククォーツのブースト、ヘルヘイムでヴァンガードにアタック!」
「完全ガード!『
ヘルヘイムはルアード(カズマ)を切り裂こうと血の双剣を振るうと、エスラスが障壁を貼り、ルアード(カズマ)を守る。守るには守れたが、エスラスはヘルヘイムの双剣によって障壁ごと切り裂かれた。
「ヘルヘイムのスキル発動!Gゾーンのヘルヘイムを表に!山札からナイトスカイをスペリオルコール!パワープラス4000!」
「くっ・・・」
「トリプルドライブ『グリム・リーパー(☆)』クリティカルトリガー!効果は全て、モリオンスピアに!セカンドチェック『覇道竜クラレットソード・ドラゴン・リヴォルト』サードチェック『禁忌の魔道士カファー(☆)』クリティカルトリガー!クリティカルはナイトスカイに、パワーはモリオンスピアに!」
「両方のリアガードにクリティカルが⁉」
「ナイトスカイでヴァンガードにアタック!」
「ガード!『
「ナイトスカイ・イーグルのブースト、モリオンスピア・ドラゴンでヴァンガードにアタック!
モリオンスピアのスキル!パワープラス5000!」
モリオンスピアはナイトスカイに掴まり、そのままルアード(カズマ)に近づく。近くまでたどり着くと、ナイトスカイはモリオンスピアを放し、モリオンスピアは槍でルアード(カズマ)を貫いだのであった。
PW25000➡PW11000+SH15000=26000
PW38000➡PW11000(完全ガード)
PW11000➡PW11000+SH5000=16000
PW30000➡PW11000
ダメージチェック『
カズマのダメージ6枚 神崎のダメージ3枚 勝者神崎
「す・・・すげぇ・・・」
カズマは神崎のその強さに感服している。
「頼む!俺を鍛えてくれ!」
昼食の礼もあり、神崎は特訓を承諾する。
☆
夕方ごろに、カズマの特訓が始まった。最初の特訓の内容はこうだ。人が乗っても折れなさそうな木の枝にロープで足をつるして、空中腹筋というものだ。
「マジかよ・・・」
「この特訓は・・・」
この特訓にクロノとタイヨウは唖然としている。すると、クロノのスマホが鳴りだす。着信者はユイからだった。それを確認するとクロノは電話に出る。
≪あー、出た出た。クロノ、今どこにいるの?ファミレスでご飯食べに行こうよ。決勝進出祝いにさ。タイヨウ君と東海林君を誘ってさ≫
「あー、その・・・なんだ。今日は・・・無理だ。今神崎のいる山にいるんで・・・」
≪は?神崎?何で神崎が住んでる山にいるの?≫
「実はな・・・」
クロノはこれまでの事情を説明する。
≪なるほどねぇ。じゃあ無理だね。ごめんね、特訓中に誘ってきて≫
「俺の方こそ悪かったな。せっかく誘ってくれたのに。次行くときは声かけるからさ」
≪え?そんなことしなくていいよ。だって向こう行ったら彫刻やらされそうだもん。あれはもう絶対にやらないよ≫
「あー・・・なんとなくわかる気がする・・・」
ユイの言葉を聞いてクロノは納得した表情になる。
≪じゃあ仕方ないか。私たちはシオンたちとトコハたちで惜しかったね会でもやっとくよ。じゃ、特訓がんばってね≫
「ああ。またな」
通話が切れ、クロノはスマホをしまうと、クロノとタイヨウの背後からロープをもって何やらぎらついた目でこちらを見ている神崎が現れる。クロノとタイヨウは恐る恐ると神崎に顔を振り向く。
「な・・・何だよ・・・?」
「まさか・・・僕たちも・・・」
☆
そしてその後・・・
「・・・何で俺たちが・・・」
クロノとタイヨウまで特訓をやらされる羽目になった。ストライダーズ3人の特訓になってしまったが、その後の特訓はハードだった。ローラー引き、滝打ち、瞑想、3匹の馬の餌やり、そして現在はドロー素振りの道具でドローの特訓をしている。
「なんか・・・これって・・・昔のユナサンと・・・同じようなことしてねぇか・・・?」
「でも・・・神崎さんはカードに一切触れずに迷いをうち払い、あの強さを手に入れたんです。だからこの特訓も・・・だからこの特訓も・・・きっと理にかなってる・・・はず、です・・・」
前のユナサンと似たようなことをしてるんじゃないかと思うクロノと、この特訓は理にかなってると思っているタイヨウであった。
「どんなことだってやってやるぜ!あの強さが・・・手に入るならな!」
「カズマ・・・」
カズマの方は神崎のような強さを手に入れようと、特訓に必死に喰らいついている。
「天音とのファイトで感じたんだ・・・もう少しで、手が届きそうだったんだ・・・。あの時、掴めなかった何かを・・・俺はこの手に、掴みたい!」
「弱さは罪だ!!」
カズマが思いを打ち明けていると、そこに彫刻刀を持った神崎が現れる。
「それゆえ、人は強さを求める。そして、己の道を見出せるのは・・・唯一己のみ」
神崎はカズマに視線を向ける。
「ついてこい」
神崎はとある場所に向かい、ストライダーズは神崎についていく。
☆
普及協会本部の本部長室、作業を行っている伊吹にスマホの着信が鳴る。着信者はリンからだった。伊吹はスマホを取り出し、電話をとる。
「伊吹だ。リン、どうした?」
≪一足遅かったようです。星崎ノア、及び黒峰イツキはすでにこの国を離れました。行先は日本です。そして、黒峰イツキの狙いは恐らく・・・≫
海外で櫂、新ニッポンのアラタとマコト、ヘヴィNEWパンクのヤイバとカエデと共に行動しているリンは伊吹にノアやイツキの狙いを伊吹に話す。
「何っ⁉」
≪それからもう1つ、気になる情報を得ました。私は櫂先輩と共にそちらに向かいます≫
「わかった。黒峰イツキは俺の方で対処する」
伊吹は通話を切り、本部から出てバイクに乗り、リンから得た情報の場所へと向かっていく。
☆
夜になった頃、神崎に連れられた場所は大きな木の前だ。どことなく、落ち着ける雰囲気がこの場所に出ていた。
「神聖な場所みたいですね」
「・・・で、結局またこれかよ」
クロノの手に持っているのは両手で収まるような丸い石と彫刻刀だった。神崎が言うにはこういうことらしい。
『余計な考えは一切無用。精神一到、無念無想。あるがままを、ただ感じろ』
「今回は、すれいみー・フレアにしようと思ってるんですけど・・・クロノさんはどうします?またクロノジェット・ドラゴンですか?」
「いや、俺は・・・」
クロノとタイヨウがは彫る題材を決めている。カズマはただ無言でただ石と彫刻刀を見つめている。
「やらないのか?」
「ああ・・・なんかな・・・」
カズマは親指でただするすると撫でている。
『あるがままを、ただ感じろ』
カズマの脳裏には、その言葉が浮かんでくる。
☆
クラレットソード・ドラゴン・リヴォルトの彫刻がある川辺、神崎は夜の空を見上げながら、耳を済ませている。
「・・・まただ。聞こえる・・・俺を呼ぶ声が・・・」
神崎にしか聞こえない声を聞いていると、先ほどから感じている気配に触れる神崎。
「・・・いい加減姿を現したらどうだ」
「・・・・・・」
神崎の声と共に現れたのは、チームヘヴィNEWパンクの黒峰イツキだった。
「貴様か、俺を呼んだのは」
「そうだ。だが貴様が聞いた声は、我の声ではない」
「何っ?」
「時空を超え、響き合う魂の共鳴。貴様の分身の呼び声だ」
イツキの視線にあったのは、クラレットソード・ドラゴン・リヴォルトの彫刻だった。イツキがグローブを外すと、ディフライダーの証であるクランマークの輝きが強くなる。
「惑星クレイの生物に、その身を捧げろ、人間」
イツキがそう言った瞬間、神崎は地球と惑星クレイの間に立たされる宇宙空間のイメージ空間に連れ出される。
「⁉こ、これは・・・」
神崎が驚愕している間に、イツキは詠唱をとなえる。
「来たれ、我が主の導きによりて、汝が分身の器に・・・」
神崎の持っていたデッキのカード1枚が神崎の前まで浮かび上がった。
「ディファレントワールドライド!!覇道竜クラレットソード・ドラゴン・リヴォルト!!」
覇道竜クラレットソード・ドラゴン・リヴォルトの名を挙げた瞬間、カードから炎のような放射線が吹き出す。ノアの時と同じように。
「何っ⁉」
神崎の右手の甲が見えない何かに引っ張られて、差し出される。放射線は神崎の右手に目掛けて飛び込み、神崎の中へと入っていく。
(何かが・・・俺の中に・・・!?)
「さあ、その身を己が分身に明け渡すがいい」
「うおおおおおおおおおおおおお!!!」
神崎がディフライドの浸食に苦しんでいるのを見て、イツキは口元に静かな笑みを作る。
「・・・ゆ・・・許さん・・・」
「!!?」
突然発した神崎の言葉にイツキは信じられないものを見るような表情で驚愕している。
「何人たりとも・・・我がヴァンガードを冒すことは・・・例えそれが、我が分身であろうと・・・」
「なんだとっ⁉」
神崎は強靭な精神をもって、侵食に対する抵抗の声を上げる。
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
その抵抗が、イメージ空間を吹き飛ばし、現実に強烈な風を巻き起こした。
「何っ⁉ぬおっ!!」
その風にイツキは吹き飛ばされ、川へと落ちていく。クラレットソード・ドラゴン・リヴォルトの彫刻の頭はそれと同時に少し砕けた。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
その抵抗で幸は制したが、神崎はすでに満身創痍の状態になっていた。
「信じられん・・・。その精神力をもってディフライドを拒むとは・・・。おもしろい人間だ。デリートするのも、手放すのも惜しいな」
神崎が気に入ったのかイツキは近くに待機させておいた黒服エージェントに神崎を捕えるよう指示する。エージェントは指示に従い、神崎を捕えようとする。
ブロロロロッ!!
すると崖の上からバイクの落とし、上を見上げるとバイクに乗った伊吹が崖から降りてき、見事に着地させ、イツキと対面する。
「我らが先導者・・・いや、もうメサイアの先導者か。我を追うか」
「この世界を、ヴァンガードを、お前たちの好きにさせるわけにはいかない」
「力むな・・・所詮貴様の罪は消えぬ・・・我らが存在する限り」
「それがどうした」
イツキは伊吹を動揺させようとしたが、思い通りの反応出ないことに面白くないような表情を一瞬だけさせる。
「ファイトといきたいところだが・・・口惜しい。今は表舞台に立つときではない」
イツキはエージェントを引き下がらせて、森の奥底まで向かって、伊吹たちの前から姿を消した。
☆
伊吹は疲労した神崎を運び、小屋まで移動する。小屋までたどり着き、神崎を休ませる伊吹。
「大丈夫ですか?」
「ああ。だいぶ落ち着いた」
神崎は移動している間に、だいぶ落ち着きを取り戻している。
「あいつらは何者だ?」
「・・・目下、調査中です」
「相変わらずだな、お前は」
事情を知らない神崎にこの件を教えるわけにはいかない伊吹は言葉を濁し、そう答える。その答えに神崎は特に気にしていないようだ。
「・・・一粒の麦。地に落ちて死なずは、ただ一つにてあらん」
神崎は笑みを浮かべながら新約聖書の一節を伊吹に伝えた。
☆
大きな木の前の前で、ストライダーズは修行という名の彫刻と向き合っている。カズマは瞑想をし、あるがままを感じようとしていたが・・・
「・・・あ~・・・」
「なんか悟ったか?」
「いや、足がしびれただけだ」
「「ははは」」
うまくいかず、逆に足がしびれて寝転がった。
「簡単にはいかねぇよな。考えないようにすればするほど、いろいろ考えちまう」
瞬く星を見上げながら、この修行の難しさを痛感する。
「子供の頃から、結構なんでもできたんだ。勉強もスポーツも。でもあいつには、何一つ敵わなかった。どんなに頑張っても、絶対に届かない。だから何に対しても本気になれなくて・・・ずっと中途半端で・・・」
カズマは幼き頃を思い浮かべながら、拳を握りしめ、その後に丸い石に手を乗せる。
「だけど今は・・・何としてでも掴みたい」
「できますよ!だって、
「ああ!」
「そして僕はいつかクロノさんを・・・」
「ん?」
「いや、何でもないです」
思わず目標を言ってしまいそうになったタイヨウはバレないように言葉を濁す。
「なんだよ隠すなよ!言えよ」
「だから何でもないですってば」
「この野郎~」
「わっ、ちょっと、やめてくださいよ!」
「はははは」
タイヨウが隠そうとしたものが気になったクロノは思わずタイヨウとじゃれつく。その様子を見てカズマは思わず笑った。その後はしっかりと特訓だ。
「でも不思議名だよな。あの神崎を頼って、特訓してるなんて。今この3人でここにいることだって・・・みんなヴァンガードがくれたものなんだよな」
クロノは作りかけのクロノ・ドランの彫刻を見て、思いふけっている。
『我らが運命を解放するために・・・俺はヴァンガードを破壊する』
「・・・破壊なんてされてたまるか」
「クロノさん」
「俺たちのイメージで、あいつらを支配してるなんてこと、絶対ねぇ。俺はそう信じてる。けど・・・もう一度ちゃんと会えたら・・・もっと自信を持って言えるのにな」
クロノは空を見上げ、惑星クレイにいるドランたちのことを思い浮かべた。
☆
その後、クロノとタイヨウはドランとすれいみー・フレアの彫刻を完成させて、ぐっすりと眠っている。カズマは1人でまだ完成できてない意思を見つめ唸っている。
(新導もタイヨウもヴァンガードと向き合い、自分の道を進んでる。・・・俺は?)
カズマは自分が進むべき道を心の中で自問自答している。
(本当のあいつを取り戻す。そして同じ立場に立ち、あいつを倒す。だけどその先は?俺のヴァンガードは?)
シラヌイを倒し、本当のカズミを取り戻し、本当の形でカズミに勝つのは確かにカズマの目標だが、その先のことまで、未来の先をイメージできていないのだ。
『己が進む道を見出せるのは・・・』
「っ!!」
神崎の言葉が響き、イメージの中で、ルアード(カズマ)がその続きを語る。
「唯一、己のみ」
その言葉に目を見開いたカズマは手に持っていた彫刻刀を振り下ろす。
☆
翌日の朝、神崎はストライダーズの彫刻の出来を見ている。クロノとタイヨウは普通にできているのだが、カズマのものは丸い石のままだった。
「・・・何も掴めなかったか」
神崎の言葉に、カズマは神崎に彫刻刀を返し、まっすぐな目で神崎に話す。
「俺はまだ白紙だ。掴んでいく、ここから。俺のやり方で、俺の手で」
彫刻刀を返した後、ストライダーズは神崎の愛馬にそれぞれ乗って、神崎に別れを告げる。
「お世話になりました」
「じゃあまた」
「二度来るな。いけ」
神崎の合図で愛馬たちはストライダーズを乗せて山を降りていく。そしてストライダーズは神崎に最後に感謝の言葉を述べる。
「「「ありがとうございました!」」」
「・・・お前たちの未来に期待する」
神崎は遠くなっていくストライダーズを見送りながら、そう口にしたのであった。
to be continued…
タイヨウ「いよいよ
クロノ「ああ!気合入れていくぜ!」
カズマ「でも意外だったな。新導が料理得意なんて」
タイヨウ「神崎さん、喜んでくれましたよね!おかわりもしてましたし」
クロノ「あいつ普段ロクなもん食ってなさそうだしな。また作りに行ってやるか」
タイヨウ「そうですね!」
神崎「いらぬ世話だ!」
ストライダーズ「うわぁ!!?」
神崎「もう一度はっきり言っておく。二度と来るな!!」
TURN200「アリスとシルフィ」