カードファイト!!ヴァンガードG 鋼と宇宙の正義   作:先導

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3話目です。後書きにZストーリーについて載せますね。

それではどうぞ!


帰還

カズミの精神の中、シラヌイ"朧"はビヨンドオーダーの攻撃のイメージの影響を受けたのか、仰向けで倒れている。そこに、カズミ自身が降り立ち、シラヌイ"朧"に語りかけてきた。

 

『・・・俺のヴァンガードが、お前たちの運命を歪ませてしまったのだろうか?俺が弱かったから・・・お前たちの同胞が、あんなことに・・・』

 

語りかける時のカズミの表情はとても辛そうなものだった。シラヌイ"朧"はカズミの顔を見て立ち上がり、初めてカズミ自身と対話をする。

 

『・・・否。狭い世界に囚われ、我らの力を認めさせることに固執し、選ぶ道を誤った・・・他の未来も選べたはずだ・・・広き世界を飛び出して、新たな自由を掴み・・・そして・・・皆で・・・』

 

シラヌイ"朧"の脳裏浮かび上がったのは、惑星クレイの荒野の夜で、同胞たちと約束を交わしたあの日だった。

 

『弱かったのは・・・俺自身だ』

 

『・・・・・・』

 

『お前の弟はまだ生きている。お前の前にいる。間違うな・・・俺のように』

 

シラヌイ"朧"は優しく語りかけ、カズミと初めて向き合い、手を差し伸べようとしている。カズミも、シラヌイ"朧"と向き合い、その手を握り、握手を交わす。その瞬間、暖かい光が発し、その光はカズミとシラヌイ"朧"を包み込んだ。

 

 

 

TURN209「帰還」

 

 

 

U20(アンダートゥエンティ)チャンピオンシップ、決勝戦もカズミがダメージチェックを行い、決着がついた。ヒールトリガーは出なかった。それを意味するということは・・・

 

「ついに・・・ついにこの瞬間がやってまいりました!!U20(アンダートゥエンティ)チャンピオンシップ、クライマックスファイト!勝者、新導クロノ!」

 

『おおおおおおおおおおおおお!!!』

 

白熱したファイトに決着がつき観客全員の熱狂が冷め止まぬ大興奮で、会場が大歓声で溢れていた。トリニティドラゴン、マサト、ケイスケ、福原高校ヴァンガード部、ドリームハーツ、ハイメフラワーズはクロノの勝利に喜び合ったり、微笑ましく笑みを浮かべている。

 

「長きにわたる激闘を制し、数多の挑戦者たちを乗り越え、ついにその頂点に立ったのは・・・新導クロノ、東海林カズマ、明日川タイヨウ!チーム、ストライダーズ!!」

 

歓声を聞いているクロノはこの光景に笑みを浮かべている。そんなクロノにカズマとタイヨウが駆け付ける。

 

「クロノさーん!!」

 

「新導!やってくれたな!!」

 

「うおっ⁉」

 

「危ないです!」

 

カズマは感激のあまり、クロノに飛びつく。タイヨウがカズマを引きはがそうとすると、勢い余って3人は転んでしまう。

 

「「「あはははははは!!」」」

 

ストライダーズは楽し気に笑っている。その様子を見ていたカズミにディフライドの証であるクランマークに痛みが発するが、カズミは気にせず、手袋を外し、塔の1番下に降りていく。ストライダーズも塔の1番下に降りながら微笑ましく会話する。

 

「ハラハラしましたよ!」

 

「見てる方がしんどいぜ」

 

「いいだろ、勝ったんだから!」

 

「お前たちのヴァンガードは、理解できた」

 

そんなストライダーズにカズミは話しかけてきた。手袋を外した手の甲には、クランマークは薄くなっており、消えかけている。

 

「ぐっ・・・!」

 

「!!」

 

カズミは痛みで少しふらつき、それを見たカズマはカズミを支える。

 

「・・・"ガスティール猊下"に聞かされていたものと、あまりにも違う・・・。ヴァンガードと我々の運命・・・何が真実なのか、今一度、この目で確かめねばならぬ・・・」

 

「あんた・・・」

 

「我が同胞はここにいた。感謝する」

 

カズミが指しているのは、中央に写っていたファイトの盤面。そこに映っていたカズミの盤面だった。同胞たちはヴァンガードと共にあり、心の中で生き続けていることを知ったカズミ、シラヌイはストライダーズに感謝した。

 

「俺は惑星クレイへ戻る。詫びる言葉も今さらないが・・・返そう。お前の兄を」

 

カズミがそう言った瞬間、カズミは意識を失い、倒れてる。そうなる前にカズマがカズミを支え、安否を確認する。

 

「!おい!しっかりしろ!大丈夫か⁉おい!」

 

カズマが心配の声をかけていると、カズミのクランマークは蒸発するかのように消えていった。どうやら、シラヌイ自身がディフライドを解除したようだ。それを見たクロノとタイヨウは目を見開く。

 

「・・・ん・・・」

 

カズマが心配そうにしていると、カズミが目を覚ます。

 

「まー・・・君・・・?」

 

「・・・っ!」

 

カズミの意識が戻り、カズマは目を潤ませる。カズミはカズマの頬に手を弱々しく上げる。カズマはその手を掴む。

 

「・・・消えるなんて・・・言ってんじゃねぇよ・・・バカ野郎」

 

カズマはそう言って表情をを微笑ませる。それ見たカズミも微笑ましい笑み浮かべる。取り戻したかった兄弟の関係を取り戻せた様子を見て、クロノとタイヨウも共に笑いあった。

 

その後は閉会式を執り行い、優勝チームが会場中央に集まる。

 

「これを持って、U20(アンダートゥエンティ)チャンピオンシップ、全てのファイトを終了する。優勝・・・チームストライダーズ!」

 

『おおおおおお!!』

 

今年のU20(アンダートゥエンティ)の優勝チームが決まり、観客全員は大歓声を上げる。上位にあげられたチームはこうなった。

 

優勝、チームストライダーズ

 

準優勝、チームディフライダー

 

3位、チームドリームハーツ

 

優勝したチームストライダーズはその後、記者たちからのインタビューを受けていた。その後は、ラミーラビリンスwihtサーヤがストライダーズに優勝トロフィーと花束を贈呈していく。この瞬間を持って、U20(アンダートゥエンティ)チャンピオンシップの幕が閉じたのであった。

 

 

U20(アンダートゥエンティ)チャンピオンシップが終わった数日、ファイターたちの興奮が冷めておらず、来年のU20(アンダートゥエンティ)に出場するかというものが出たり、ファイトを楽しんだり、どのクランが1番強いかという話で持ち切りだ。

 

「すごかったよな、決勝戦!」

 

「俺らもやっぱ来年、挑戦しようぜ!U20(アンダートゥエンティ)!」

 

「いくぜ!儀式(リチュアル)(セブン)!」

 

「GB(エイト)!優勝するのはこの俺だー!」

 

「やっぱギアクロニクルが最高だって!」

 

「いいや、ぬばたま!支配の力に勝てる者はいないのだ!」

 

「そこはやっぱゴールドパラディンでしょ!」

 

ドラゴン・エンパイア支部でそのような光景を見ている支部長とマモルは微笑ましい表情をしている。

 

「大会前の緊張感もいいけど、終わった後のこの感じ、ワクワクするねぇ。みんなが次の目標に向かって走り出してる!」

 

「ミニ大会や、交流イベントの開催申請もこんなに来てますよ」

 

マモルは笑顔を浮かべて申請用紙を支部長に突きつける。

 

「ということで支部長、お仕事です♪」

 

「えっ?い、いやぁ、僕はちょっと現場の視察と実態調査をまぁ・・・だがーーーー!!」

 

支部長は仕事がやりたくないようでその場から逃げ出す。もちろんそれを予想しているマモルが見逃すはずもない。

 

「バインド♪」

 

「うわあ!!」

 

事前に貼ってあった捕獲用罠で支部長を捕えたマモル。

 

「おのれマモルきゅうううううん!!!」

 

その様子に仕事で来ているユイは何とも言えない表情、遊びに来ているアンは苦笑いを浮かべている。

 

「あ、あはは・・・すみません、カズヤさん。こっちから呼んだのに、騒がしくして・・・」

 

「気にすんなって。騒がしいってことは、楽しんでるってことだ。喜ばしいことじゃねぇか」

 

ユイはここに来てもらっているカズヤに謝罪し、カズヤは笑っていて、それを気にしてない様子でいる。

 

「・・・面白いとこだよな、ここって。世界全員を笑顔にってのは、世界中のファイター全員を笑わせるってことなんだぜ?世の中はああいう単純な連中ばかりじゃないんだよ。お前の理想は、思ってるよりも厳しいもんだぞ?それでも、お前の意思は変わらねぇか?」

 

「当然です!むしろそういう人たちもいれば、燃え上がるというものです!」

 

「ユイちゃん、私は応援してます!ユイちゃんの理想は、きっと叶うって!」

 

「そうか。だったら俺からはなんも言わねぇよ。ま、がんばれ」

 

カズヤはユイの理想実現の厳しさを教えるが、ユイはやる気を見せており、アンはそんなユイを応援している。それを見たカズヤは小さく笑みを浮かべる。

 

「それはそうとカズヤさん!昔のリン姉さんってどんな感じだったんですか⁉私、知りたいです!」

 

「私もです!お姉ちゃん、そういうこと全然教えてくれないんですもん!」

 

「はあ?う~ん・・・」

 

ユイがカズヤをここに呼んだのは、昔の日下部リンのことを聞きたいがためだったのだ。カズヤは少し考えてる素振りを見せる。

 

「・・・んじゃ、リンには内緒ってことと、もしばれても俺が話したとは言わないこと。それだけ守れば教えてやる」

 

「わかりました!」

 

「私も大丈夫です!」

 

「んじゃまぁ・・・今のあいつからそんな風には見えないだろうけど・・・実は昔、かなりの友達、仲間嫌いだったんだぜ」

 

カズヤは自身が出した条件を飲みこんだ2人にリンにまつわる話をしだした。

 

 

カードキャピタル2号店では、チームストライダーズが集まっている。ここに来た子供たちはそんなストライダーズに挑戦しようとしている。

 

「俺たちと勝負だ!ストライダーズ!」

 

「あー、はいはい。また今度な」

 

『えぇ~!!』

 

子供たちの挑戦にカズマは笑いながらあしらい、子供たちは落胆する。

 

「もう、カズマさん!そんな意地悪言って・・・。もう少しだけ待ってて、僕とファイトしよう」

 

タイヨウはカズマを注意した後、子供たちの挑戦を受ける。子供たちは大喜びだ。

 

「んじゃあ俺、そろそろ行くわ」

 

「おう、またな」

 

カズマはこれからの用事のために、店内から退出する。

 

「すみません、アイチさん。帰ってきたばかりなのに、時間とらせちゃって・・・」

 

クロノはここに呼んだアイチに顔を合わせる。

 

「ううん、僕もまだ学生だから、たいしたアドバイスもできないけど、クロノ君の夢なら応援したいから」

 

「ありがとうございます!それで、これから宇宙を目指すのに必要なことって?」

 

惑星クレイに行くためにはまず宇宙飛行士になるべきだと考えたクロノはアイチのアドバイスをスマホでメモの準備をする。

 

「まず必要になるのは英語かな。後は自然科学系の科目、特に数学と物理は当然として、何か1つ突き詰めた専門分野を持つと強みになるよ。僕と違って実際に宇宙に行くわけだから、訓練に耐えられる体力も必要だよね。後それから・・・」

 

宇宙飛行士になるために必要な分野が多すぎて、クロノは苦い表情になる。

 

「だ、大丈夫です!クロノさんなら絶対、惑星クレイにいけます!」

 

「お・・・おう!やってやるぜ・・・」

 

タイヨウにフォローされ、クロノはやる気を見せている。それを見てアイチは微笑ましく笑みを浮かべる。

 

 

カードキャピタル1号店では、トリニティドラゴンはカムイに詰め寄っている。

 

「「「カムイさん!」」」

 

「な、なんだよいきなり⁉」

 

「俺たちを、もう1度、徹底的に鍛え直してください!!」

 

「僕たち、次のU20(アンダートゥエンティ)では絶対に頂点とりたいんです!!」

 

「がんばるぞぉー!!」

 

「クロノたちに負けたまんまじゃいられないんですよ!」

 

「「「お願いします!!」」」

 

トリニティドラゴンは熱意と決意をもって、カムイに特訓をしてもらおうと頭を下げている。その根気に負けたカムイはその特訓を了承する。

 

「よし!まずはライド!その後、ストライド一万回だ!!」

 

その特訓内容は相変わらず役に立つのか疑問なところだ。

 

 

福原高校では、部を存続出来たヴァンガード部の部室は元部室である家庭科室から去年まで使われていた部屋に部室を移したである。部員であるアンリ、シオン、マサトは現部室に必要なファイト台を運んだり、備品の点検を行っている。

 

「シオン君、もうちょっと右・・・」

 

「はい」

 

「そこ!よっと・・・」

 

「早尾先輩、お疲れっす。シオンも。今のでファイト台は全部っす」

 

「ふぅ・・・」

 

ファイト台を運び終えた3人は一息つける。

 

「帰ってこられたね。やっと」

 

「はい」

 

「長かったよなぁ、本当」

 

この部屋が部室として帰ってこれたことに、感慨深いものを感じ取っている3人。

 

「本当にありがとう、シオン君。君があの日、俺に勇気をくれたから、福原にヴァンガード部を取り戻すことができた」

 

「いえ、僕も。先輩たちのおかげで、取り戻すことができました。僕にとって、1番大切なものを。それに、これで終わったわけじゃありません。むしろここからが、スタート地点ですからね」

 

「そうだな!まずは部員が増やすとこから始めねぇと!そのためにも、宣伝とかしねぇとな!」

 

3人がそう話していると、部室のドアが開く音がした。3人が視線をそこに移すと、羽島リンが入室してきた。

 

「「⁉は、羽島先輩⁉」」

 

「・・・ソファがない」

 

「はい⁉ああ、それはまだ前の部室にあるっすけど・・・」

 

「早くして。後お菓子」

 

「いや・・・でも羽島先輩、3年の2学期だから、そろそろ引退なんじゃあ・・・」

 

アンリの疑問にリンは表情を鋭くしてアンリを睨み付ける。

 

「ひぃ⁉」

 

「プロ入り決まったから卒業まで暇なの。たっぷりしごいてやるよ下僕ども。だから早くお菓子!!」

 

「「は、はい!!」」

 

「ほら、急げ!!」

 

「「はい!!」」

 

アンリとマサトはリンにたっぷりこき使われ、シオンはその様子を見てにこにこと笑っている。

 

 

海外にて、U20(アンダートゥエンティ)が終わった後、ベルノは本国に帰国して、本職であるモデルの仕事を行っている。撮影が終わり、休憩時間で、休憩室に入り、自分のデッキを取り出、崇高なる美貌(プライムビューティー)アマルーダのカードを見つめる。

 

(元気にやってる?こっちはU20(アンダートゥエンティ)で休んでた分、忙しくて大変よ)

 

ベルノは視線を今年のU20(アンダートゥエンティ)の雑誌に目を向ける。

 

(彼女のメッセージは受け取れた?カズミ君)

 

 

パリのエッフェル塔では、トコハはクミとハイメをここに連れてきて、かつてミゲルと共に見た景色を眺めている。

 

「すっごーい!きれーい!」

 

「・・・いい風」

 

「やっぱり、日本より秋が早いね」

 

海外では日本より秋が早く、少し肌寒いようだ。

 

「この街にいたんだね」

 

「うん・・・」

 

「青春だったんだね、トコハちゃん!」

 

「うん・・・ちょっ⁉クミちゃん、私別に・・・」

 

「いいんだよ、わかってる、わかってるから~♪」

 

「いや、何が⁉」

 

「全部お見通しなのだよ~♪」

 

「クミちゃん!」

 

話の趣旨が少しずれているクミにトコハは困惑している。

 

 

日本に戻って、普及協会の本部、江西は伊吹に呼び出され、本部長室まで来ている。

 

「わざわざ来てもらってすまないな。実は君に1つ、頼みたい仕事がある」

 

「私にできることでしたら」

 

伊吹は1枚の用紙を取り出し、それを江西に渡す。そこに書かれていたのは・・・

 

辞令

 

江西サトル殿

 

ダークゾーン支部 支部長を命ず

 

それはつまり、江西はダークゾーン支部の支部長に復帰するということになる。それに理解するのが少し遅れた江西は当然ながら目を見開き、驚愕する。

 

「ヴァンガードの楽しさを多くの人々に広め、伝えていくための仕事だ。引き受けてはもらえないだろうか?」

 

江西は辞令表を受け取り、この辞令を引き受けた。

 

「ありがとうございます!謹んでお受けいたします!」

 

江西の笑みを見て、微笑ましい表情となる伊吹だった。

 

 

静岡に向かっている電車の中、アリスは持ってきた携帯ゲームをやりながら目的地に向かっている。今はまだ夏休み期間中、それを利用してアリスは静岡に帰省しているのだ。目的駅についたアリスは荷物を取り出し、まず実家に向かわず、海がよく見える浜辺に向かう。そこにはすでに先客がいた。その先客はシルフィだった。アリスを確認したシルフィはアリスに手を振る。

 

「おーい!アリスー!」

 

「ごめん、待った?」

 

「ううん、私も今来たとこ」

 

「嘘つけ。どうせ1時間前から待ってんでしょ?まったく、アホというか律儀というか・・・」

 

「もう!アリスのおたんこす!いっつもそうやって私をからかう!」

 

「おたんこなすって・・・きょうび聞かないな・・・」

 

アリスのからかいでシルフィは頬を膨らませる。その後は共に暮らしたこの場所の空気を吸って、感慨深い気持ちになっている。

 

「う~ん・・・気持ちいい~・・・お日様がぽっかぽか♪」

 

「それもきょうび聞かないな・・・でも、久しぶりに吸うこの空気はうまいな」

 

「ねぇ、カズミは日本で元気にやってる?風邪とか引いてないかな?」

 

「子供の発想か。ま、元気でやってんじゃないの?てかそういうのは、東海林に聞けよ」

 

「だって気になるんですもの!」

 

「はぁ~・・・まぁいいや。それより、約束の続きだ。さっさとファイトやろうよ」

 

ファイト自体が本番であることはわかっているシルフィはもちろんそれを了承する。準備を行いながらも、会話は繰り広げられてる。

 

「そっか。私とベルギーで暮らさないんだね」

 

「東京の生活は気に入ってるしね。フィーは変わらずに、ベルギーで暮らすのか」

 

「そうだけど・・・今は長期間の旅行中だから、アリス、部屋用意してくれると嬉しいな」

 

「勘弁してくれ・・・あのアパートにフィーがいるってだけで息がつまりそうだ」

 

「どうして⁉」

 

「ゲームに集中できないから」

 

そんな会話をしながらもファイトの準備が進み、ようやく準備が完了した。

 

「あの頃の僕と一緒にするなよ!僕はディフライダーとしてのフィーに勝ったんだから、今回だって勝つ!」

 

「どれくらい強くなったか楽しみだよ」

 

「「スタンドアップ・(ル・)ヴァンガード!!」」

 

この後のファイトはアリスもシルフィも昔を取り戻すかのように、楽しく行われた。

 

 

カードキャピタル2号店を出た後、カズマは隅田川の河川敷に向かっている。カズマが向かった先には、待ち人であるカズミがそこにいた。

 

「マー君!」

 

「その呼び方、いい加減やめてくんねぇか?兄様?」

 

カズミの呼び方に対して、カズマは皮肉を込めてそう言ってのけた。

 

「ならそれもやめないか?鬼丸の家から強制された呼び方だろ?昔みたいに、お兄ちゃんって、呼んでくれよ」

 

「うっ・・・」

 

カズミにそう言われ、カズマは照れくさそうにしている。

 

「・・・お、おにい・・・///」

 

「ふふ」

 

カズマは赤面しながらカズミをお兄ちゃんと呼ぼうとしたが、カズミのうれしそうなカズミの顔を見て、それはやめた。

 

「もういい!!ファイトだファイト!!」

 

カズマは元々そのためにここに来たのだ。断る理由もないカズミはもちろんそれを了承する。ファイトの準備をする間、カズマとカズミは今の現状を話している。

 

「帰ってくる気はないんだな」

 

「今さら波風立てることねぇよ。お袋と俺、2人でちゃんと暮らしていけてる。それで十分だろ」

 

「お前がそう言うなら」

 

「あんたこそ、いろいろ面倒そうだな。あの家を継ぐのは」

 

「継ぐと決まったわけでもないさ」

 

「!」

 

カズミの言葉を聞いて、カズマは目を見開く。

 

「・・・そっか。そうだな」

 

この話を終わりにさせて、今目の前のファイトのことに集中するカズマ。

 

「今日こそあんたを超えてやる!」

 

「楽しみにしているよ」

 

「「スタンドアップ・ヴァンガード!!」」

 

こちらでも兄弟楽しく、昔のようなファイトを執り行うのであった。

 

 

U20(アンダートゥエンティ)終了の2ヶ月後、季節はすっかり秋、冬の征服の衣替えの季節だ。そんな時期の夕方ごろ、本日の営業は終了したカードキャピタル2号店に、タイヨウとアンが入店する。

 

「こんにちわー!」

 

「遅くなってすみません!」

 

2人が入店する頃にはすでにクロノとユイ、アリス、シオンとトコハも来ていた。

 

「久しぶり、アンさん、タイヨウ君」

 

「私の場合だと、こんにちわだね」

 

「元気ー?」

 

「なんか、久々って感じです!皆さんが揃ってこの店にいるの」

 

「ん?ああ、そういやぁ・・・」

 

言われてみれば確かに、トライフォーが揃って2号店に集まる機会など、高校生となった今ではほとんどなかった。

 

「お互い忙しかったからね」

 

「バラバラになっちゃったし・・・でも、変わらないね、ここは」

 

「トライフォーで集まるの、やっぱり落ち着くね」

 

シオン、トコハ、ユイはそれぞれの思っていることを口に出す。

 

「ちーす」

 

「いらっしゃい」

 

そう話していると、カズマとカズミの兄弟も入店する。

 

「おおおおお!すごいなこれは!トライフォーが揃い踏みだ!」

 

カズミは興奮したような様子で満面の笑みを浮かべて、トライフォーに近づく。それも顔が近いほどに。

 

「生で見るとオーラが違うよ!これは写真や映像では味わえないねぇ・・・。ああ、君たち、今後の活動予定は?また4人で大会には出ないのかい?君たちのファイト、本当に大好きだったんだ!ああ、そうそう、サインお願いしてもいいかな?」

 

「やめろよ、もう!」

 

トライフォーを見た瞬間のカズミの饒舌ぶりにトライフォーはちょっぴり困惑しており、その姿に恥ずかしさがあるのかカズマはそれを止める。

 

「これは失礼。少し、興奮しているようだ」

 

「これが前大会の優勝者か・・・ギャップが違いすぎる・・・」

 

「初めて来たときのあれ、シラヌイはちゃんと演技してたのか・・・」

 

カズミのあまりの饒舌ぶりにアリスは唖然とする。クロノの方はカズミがディフライドしていた時に店に来た時、同じようなことがあったようで苦笑いを浮かべる。

 

「いらっしゃい。もうみんな来てますよ」

 

そんな騒動が収まったと同時に、伊吹とアイチ、カズヤも入店してきた。全員が揃ったところで、カズミは本題に入る。

 

「改めて、皆さんには本当にご迷惑をおかけしました」

 

そう言ってカズミとカズマは一同に深く頭を下げる。

 

「そちらも実質、ディフライドの被害者のようなものだ。詫びることではない」

 

「ディフライドを受けていた間は、ずっと夢を見ていたような感じでね・・・目覚めてからもしばらくは、記憶が混乱していて・・・。最近になってようやく、頭の整理が追い付いたのかな。思いだせるようになった。忍竜シラヌイの記憶をね。彼は俺の中から去る時に、自分の記憶を消さずに残していったんだ。これから起こりうる事態に対し、警告とするために」

 

カズミは神妙な表情で、シラヌイが残した記憶を一同に話す。一同も、しっかりと耳を傾ける。

 

「忍竜シラヌイ。彼と彼の率いる一派は外法使いと呼ばれ、人々から虐げられる存在であり、捨て駒とされ全滅した。絶望したシラヌイの前に現れたのが、"邪神司教ガスティール"と彼の率いる"使徒"たちだった」

 

「ガスティール?」

 

「使徒?」

 

「そいつらが今回の黒幕・・・」

 

「彼らは惑星クレイに伝わる古い神を信憑し、その使徒を自称している。指導者であるガスティールはヴァンガードが惑星クレイの運命を歪めているとシラヌイに告げ、彼を率いれた」

 

「俺もそれ、見たぜ。クライマックスファイトの時に」

 

クロノの脳裏に浮かび上がったのは、クライマックスファイトでシラヌイの過去のイメージで見た、巨大な竜神の姿だった。恐らくあれは、封印されているのであろう。

 

「ガスティールはシラヌイに支配の邪眼を与え、俺たちの世界へと送り込んだ」

 

「メサイアの加護を断ち切って、か」

 

「ガスティールがシラヌイに命じられた任務は2つ。1つ目は星輝兵(スターベイダー)カオスブレイカー・ドラゴンをこの世界に呼び寄せること」

 

そのカオスブレイカー・ドラゴンのディフライドした先が、チーム新ニッポンの星崎ノアなのだ。だからだろうか、それに対してクロノは神妙な表情をする。

 

「カオスブレイカーにはシラヌイとはまた別の任務が与えられていた」

 

「その任務が、遊星ブラントの生物である根絶者(デリーター)を使徒側に迎え入れ、この世界に降りたたせることだろ?」

 

カズヤの言葉にカズミは肯定するかのように首を縦に頷く。

 

「使徒となった根絶者(デリーター)にも、シラヌイとカオスブレイカーとは別の任務が与えられていた」

 

「他の仲間、使徒とやらをこちらのファイターにディフライドさせ、呼び寄せる」

 

「俺たちの知らないところで、他の使徒たちが来ている可能性が十分にある」

 

「アラタとマコト、ヤイバとカエデは今もノアとイツキを探してるんだよな?」

 

「うん。夏休みの間は、ずっと櫂君とリンちゃんとであちこち飛び回ってたよ」

 

「時間がある時は、櫂さんとお姉ちゃんが皆さんとファイトして鍛えてると聞きました」

 

海外にいるメンバーも今も捜索活動を続けているようだ。

 

「ベルノさん・・・アマルーダが言っていた。ファイトで勝てば、ディフライドしたユニットを惑星クレイに追い返すことができる」

 

「それ、フィー・・・いや、ティルアも言ってた。ただそのダメージはイメージによって変わるってさ。ファイト1回だけじゃダメだ。多分、何回も勝つ必要がある」

 

「ただでさえディフライダーは強いのに、それを何回もって厳しいよね。特殊な方法があればいいんだけど・・・」

 

トコハとアリスが言ったディフライドの解除方法に対してユイは少し愚痴る。ディフライドの解除方法がわかったところで、肝心のシラヌイの2つ目の任務を聞きだす伊吹。

 

「シラヌイの1つ目の任務はカオスブレイカーのディフライド。2つ目は?」

 

「器の選定だ」

 

「器?」

 

「彼らの信じる神、主と呼ばれる存在をこの世界のファイターへとディフライドし、呼び寄せる。その宿主となるファイターをU20(アンダートゥエンティ)の参加者の中から選別する。それがシラヌイがU20(アンダートゥエンティ)に参加した理由なんだ」

 

カズミの言葉にクロノは先ほどから疑問を感じている。

 

「けど!ディフライドは自分と絆のあるユニットしかできないって!」

 

確かにディフライドはファイターとユニットとの絆によって成り立っている。これまでのディフライダー、シラヌイを除けば確かに正当な方法でディフライドしていた。

 

「本来はそうだ。だが、ガスティールたちはどうやらそれが可能らしい。まだ自我が未熟で乗っ取りやすく、且つイメージ力の強い若いファイターを器として、彼らの神を降臨させる」

 

「何のためにそんなことを?」

 

「シラヌイ自身はその神の力でヴァンガードを破壊し、惑星クレイの運命を解放できると信じて行動していたようだ。だが、ガスティールら使徒たちは彼らの神の降臨に別の思惑を抱いているのかもしれない」

 

「そもそも何なの?その神って・・・?」

 

トコハの問いにカズミは使徒たちが信憑する神、主と呼ばれる存在の名を口にする。

 

「"破壊の竜神ギーゼ"・・・創世と調和の神メサイアと対となす、虚無を司る、破壊神だ」

 

 

どこかの孤島。その島に綺麗な外装の洋館がそびえたっている。洋館の廊下をただ1人歩き、ある部屋に向かっているのは、チームディフライダーの中で唯一ディフライドが解けていない渕高サオリだった。

 

『ね・・・ねぇ・・・もうやめようよ・・・こんなこと・・・』

 

サオリの精神の中にいるダムジッドに弱々しく話しかけてきたのは、本来の渕高サオリその人だった。

 

『僕が憧れた君は、そんなんじゃなかったよ⁉どんなピンチでも怯んだりしない・・・強くて、堂々として、かっこよくて・・・だから、僕は・・・』

 

『・・・黙ってろ!』

 

ダムジッドはサオリの話に聞く耳持たず、一喝でサオリを黙らせる。

 

精神の中でそんな話をしている間に、目的の部屋の前までやってきた。サオリは扉の中へ入り、中へと入っていく。

 

「よお。あんたたちの話に乗らせてもらうことにしたぜ」

 

サオリ、ダムジッドは人間に恐怖しつつも、その憎悪を募らせ、そして今日この日、ダムジッドは決断を下した。

 

「全部壊れちまえばいいんだ・・・こんな世界」

 

世界全てを破壊するという決断を。

 

「歓迎しますよ。炎熱猟兵(フレアトルーパー)ダムジッド。我らが主も、お喜びになるでしょう」

 

サオリを歓迎したのは、シラヌイをこの世界に送り出した張本人であり、使徒たちの指導者である存在、日比野アルテにディフライドしている、邪神司教ガスティールである。

 

「シラヌイは逃亡しましたか。問題はないでしょう。すでに選別は終わっています」

 

机には、U20(アンダートゥエンティ)に出場したクロノを含めた複数枚の写真が置いてあった。そして、ガスティールの手元には6枚のGカードがある。

 

「切り札は我らの手元に揃った・・・」

 

ガスティールがいる部屋に、複数人のディフライダーが入ってきた。1人は星崎ノア、1人は黒峰イツキ、1人は軍服のような白いコートを着た青髪の青年、1人はメガネをかけ、白衣を着こんだ金髪の女性、1人は蒼の長髪で金色の瞳をする少年、1人は紫色の長髪で口元に鉄仮面をつけている青年の6人だ。

 

「謹んでお迎えするといたしましょう。我らが主、世界を滅する者・・・破壊の竜神ギーゼ様をこの地に!!」

 

ガスティール率いる使徒たちが動き出すときが間もなくやってくる。

 

「世界よ、沈黙せよ。我らが神の滅びの前に!」

 

to be continued…




物語はZストーリーに突入!

惑星クレイから使徒と名乗るユニットたちが地球に降り立った。

全てを滅ぼす破壊の竜神ギーゼ。

その復活を目論む使徒たちは6体の竜ゼロスドラゴンの力を使い、地球を侵略する。

ヴァンガードファイターたちよ、今こそ立ち上がれ!
互いに繋ぐ絆のもとに、運命を超えて、未来を掴め!

カードファイト!!ヴァンガードG鋼と宇宙の正義
Zストーリー

WGP後、完成次第投稿予定

ガスティール「世界よ、沈黙せよ。我らが神の滅びの前に!」
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