使徒たちの拠点を探し出すために、ヨーロッパまで来ているユイは日本に残っているトコハにクロノの現状について訪ねている。そばにいるのはシオンとハイメである。
「それで・・・クロノは無事ってことでいいんだよね?」
≪うん。クロノの方は怪我もないし、検査結果も異常なし、ミクルさんが退院手続きをしてる。タイヨウ君は重傷だけど・・・命に別状はないって≫
「そっか・・・よかった・・・」
クロノが大した怪我をしなかったのと、タイヨウが無事であったことにユイはほっとしている。そして、カズマの行方についても訪ねる。
「それで・・・その後、東海枝君の方は?」
≪使徒たちと姿を消してそれっきり・・・。兄さんたちが探してるけど・・・≫
「そう・・・」
カズマがギーゼにディフライドされてしまったことはあらかた知らされていたために、ユイは少し暗い顔になる。
≪クロノ、助けようとしたんだと思う・・・でも負けて・・・Gゾーンのカードも全部・・・≫
「失ったものは大きすぎる・・・か・・・」
クロノは無事ではあるものの、それでも失ったものが大きすぎて、ユイはクロノを心配する。すると近くにいたシオンがユイのスマホを奪いとる。
「あ、シオン・・・」
「失ったものは、取り戻すしかない」
「!」
シオンの言葉にユイははっと気が付く。何もかも失った経験があるシオンだからこそ言える言葉であり、少ない言葉数であっても、強い説得力があった。
≪・・・うん、そうだね≫
「こちらの片が付き次第、合流するよ。その間、クロノを・・・」
「もう~~!!聞いてよトコハ~~~!!シオンもユイも、無茶難題、御無体、強引、勘弁なさって~~~!!!」
シオンが話している最中にハイメがユイのスマホを無理やり奪い取り、涙ながらに愚痴り始める。
「いっくら使徒を見つめるためたって、俺がヨーロッパに顔が広いからって・・・毎日毎日西へ東へバシャバシャバシャ馬ボロ雑巾~~~・・・」
≪ははは・・・ご愁傷様・・・≫
あらかた愚痴を言い放った後、ハイメはいつもの笑みを浮かべる。
「アミーゴのこと、俺からも頼むよ、トコハ。すぐに1人で抱え込んじゃうからね」
≪・・・うん≫
話が終わり、ハイメはスマホの通話を切り、スマホをユイに返す。
「・・・まぁ、抱え込むなって言われても・・・無理もないけどね・・・あれを見ればね・・・」
スマホを返してもらったユイの視線の先にあるのは・・・なんと、惑星クレイの星であった。
「・・・東海枝君たちが姿を消して間もなく出現した・・・惑星クレイの幻影・・・か・・・」
惑星クレイの幻影が今まさに、目の前に現れ、不穏な空気が世界各地で、わずかながらに流れ始めているのであった。
TURN234「誓いのファイト」
惑星クレイの幻影が現れても、世界は今も平和そのものである。一般人たちは今目の前にある惑星クレイの幻影が見えていないのだ。一部は除いて。ヴァンガード普及協会本部では伊吹とマモル、キョウヤの3人がクリスと共に今の現状、今後の対策についてを話し合っている。
「出現した惑星クレイの幻影が見えるのは、イメージ力の強いファイターだけのようだ」
≪ギーゼのディフライドによって発生した強い時空の乱れは今も増幅を続けている。現実世界に影響が出始めるのも、時間の問題だろうね≫
ギーゼのディフライドの影響は凄まじく、あまり悠長にしていられない現状なのは変わりないようだ。
≪それと、レリクスの痕跡と考えられていた各地に残る時空の歪みもより強くなってきている。アイチが危惧していた通り、レリクスは停止しただけで、消滅はしていなかったんだ≫
「使徒たちにはまだ、レリクスが必要ということか・・・」
「こうして今も、ギーゼが降臨しているにも関わらず、世界が飲まれてはいないのがその証明だ」
そう、レリクスのデータが残っていたように、レリクス自体は停止しているだけ、完全なる破壊には至ってはいなかったのだ。影響は出ているものの、まだ世界が平和なのはそのためなのである。
「ギーゼが世界を滅ぼすためには、まだ必要なプロセスがあると?」
≪これはまだ推測だけどね・・・。1つはレリクス・・・もう1つは・・・ゼロスドラゴン。ギーゼがもたらす破壊が彼らの力によるものなら・・・そのうちの1つでも、ギーゼの元から離れさせれば、滅亡を遅らせることは、できるかもしれない≫
「やはりそれが鬼門だな・・・。綺場シオンが動いているとはいえ、うまくいくか・・・」
「こちらも、対策を進めてはいる。現時点での最強の陣営を集結させている」
現時点での最強の陣営といえば、誰もが認める最強のチーム、チームQ4のメンバーたちである。
「他に問題があるとすれば、クロノ君のことだね」
「立凪ノームに問い合わせている。今は返答待ちだ」
「心当たりがあるのか?」
「昔、世界を放浪していた時、立ち寄った時に話を聞いた。当時は意味がわからなかったが・・・もしかすると・・・」
伊吹は何かに心当たりがあるようで、ゼロスドラゴン奪取の対策の他に、そちらの対策も進めているようだった。
☆
一方その頃、クロノが入院している病院。クロノはタイヨウの安否を確認しに彼の病室に立ち寄っている。タイヨウの容態は元気であるが、足を大きく痛めてしまっているため、万全とは言えなかった。そんな彼にはアンが付き添っていた。
「手術も順調に終わりましたし、本当、大したことはないんです。少しリハビリをすれば、元に戻るそうです。ですから、心配しないでください」
「そうですか・・・2人とも、無事で本当に良かったです」
2人のお見舞いに来ていたアンは安心してほっと一息ついている。
「・・・ごめんな、タイヨウ」
だがタイヨウの怪我を見て、クロノは申し訳なさでいっぱいで、彼に謝罪の言葉を放った。
「そんな!クロノさんが謝るようなことは何も・・・」
「そうですよ・・・誰が悪いわけでもありません。ですからそんなに自分を責めずに・・・」
「・・・ごめんな・・・本当に・・・」
謝ることしかできなかったクロノは謝罪だけを残して、そのままタイヨウの病室から出ていった。クロノが出ていった後、タイヨウは何もできなかったことの悔しさで拳を握りしめるのだった。
「・・・クロノ君だけでなく、タイヨウ君だって・・・悔しいでしょうね・・・。私も・・・同じですから・・・」
あの場にいなかったとはいえ、何もできなかったアンもまた、悔しい気持ちでいっぱいなのだろう。それでも彼女は、ぐっとそれを堪えるのだった。
☆
自身の無力感に打ちひしがれながら、クロノは自分の病室に戻ってきた。病室にはカズミの姿はなく、代わりにアリスがそこにいた。
「天音・・・」
「鬼丸なら今屋上。さっき、ミクルさんから伝言を預かってる。退院手続きをする間に着替えておいて、だってさ」
クロノの眠っていたベッドの上にはクロノの私服が置かれてあった。
「事情なら、鬼丸が全部してくれた。伊吹本部長から君の護衛を任されたってね」
アリスは一通りの説明をして、彼の病室から出ようとした時、そこで立ち止まり、クロノに視線を向ける。
「・・・新導。着替え終わったら、デッキを持って屋上までついてきて。鬼丸が君を呼んでる」
伝えることを伝えたアリスは今度こそ病室から出て、クロノが出てくるのを待った。クロノは断るわけにはいかず、着替えを済ませて、アリスと共に屋上へと向かうのを決めたのであった。
☆
アリスは着替えを済ませたクロノを連れて屋上までやってきた。そこにはファイト台の前で待っていたカズミがいた。
「連れてきたよ」
「ありがとう、天音さん」
アリスはクロノの手を引っ張って彼をファイト台の前まで立たせる。
「鬼丸さん・・・」
「わざわざ呼び出してすまない。でも、どうしても、知りたいことがあるんだ」
カズミはまっすぐな視線でクロノの顔を見て、本題に移った。
「新導君・・・俺とファイトをしてくれないか?」
なんとカズミはクロノに対してファイトを申し込んできた。クロノのデッキは今、万全な状態でないことを知りながらでだ。
「・・・けど・・・俺は・・・。デッキも・・・今・・・」
「カズマと最後にファイトしたのは君なんだ」
「・・・・・・」
「フェアなファイトじゃないのは百も承知だ。今の君のデッキにはGユニットがない。ストライドはおろか、ジェネレーションガードや、ジェネレーションブレイクもできない。それでも俺は君とファイトがしたい。カズマが見た風景を、俺は知りたいんだよ」
「!」
カズミはただのファイトがしたいわけじゃない。クロノとファイトをすることによって、カズマが何を思ってクロノにファイトを挑んだか、そして、カズマが感じ取ったものを知ろうとしているのだ。
「僕からも頼むよ、新導」
「天音・・・」
「あいつは・・・僕のありえたかもしれない可能性でもあるんだ。だからなのかもしれない・・・
アリス自身もカズマをライバルだと認めているからこそ、カズマが感じ取ったものをクロノを通して知りたがっている。
「だから僕は・・・あいつの感じ取ったものを、確かめたいんだよ。だから・・・頼む」
カズミもアリスも、ただ遊びで言っているわけではない。本気なのだ。
「・・・当然だ・・・。あんたらが・・・そこまで知りたいって思うのは・・・。・・・これは・・・俺の役目だ」
「・・・ありがとう」
クロノはファイトを通じてそれを教えることを役目とし、カズミのファイトに応じることにした。2人はさっそくファイトの準備を整え始める。アリスはこのファイトをしっかりと見届ける姿勢をとる。準備を終え、いつでもファイトできる体制となった。
「「スタンドアップ・ヴァンガード!!」」
「クロノ・ドラン・G」
「忍竜マドイ」
クロノ・ドラン・G PW5000
忍竜マドイ PW5000
「俺のターンだ。ドロー。ライド。忍竜セイズイ。マドイは移動。ターンエンド」
忍竜セイズイ PW7000
R セイズイ R
マドイ R R カズミの手札5枚 山札43枚
「俺のターン。ドロー。ライド!クロノエトス・ジャッカル!ドランは移動!クロノエトスをコール!」
クロノエトス・ジャッカル PW7000
R クロノエトス クロノエトス
R R ドラン・G
「ヴァンガードのクロノエトス・ジャッカルでセイズイにアタック」
「ノーガード」
「ドライブチェック『
「ダメージチェック『忍竜オウザイ』」
「ドランのブースト、リアガードのクロノエトス・ジャッカルでヴァンガードにアタック」
「ガード『忍竜コクシャ(☆)』」
「・・・ターンエンド」
PW7000➡PW7000
PW12000➡PW7000+SH10000=17000 クロノの手札5枚 山札42枚 カズミのダメージ1枚
「・・・俺のターン。ドロー。ライド!忍竜ゲンカイ!マドイを移動。コール!忍竜フウライ、忍竜ノロイ!」
忍竜ゲンカイ PW9000
忍竜フウライ PW9000
忍竜ノロイ(☆) PW4000
マドイ ゲンカイ フウライ
ノロイ R R
「フウライでヴァンガードにアタック」
「ガード『
「ゲンカイでヴァンガードにアタック」
「ノーガード」
「ドライブチェック『忍妖ケセラパセラ(治)』ヒールトリガー。ダメージを1回復、パワーはマドイへ」
「ダメージチェック『クロノファング・タイガー・G』」
「ノロイのブースト、マドイでヴァンガードにアタック」
「・・・ノーガード。ダメージチェック『クロノクロウ・モンキー』」
「ターンエンド」
PW9000➡PW7000+SH10000=19000
PW9000➡PW7000
PW14000➡PW7000 カズミの手札3枚 山札40枚 クロノのダメージ2枚
ファイトの最中、クロノの脳裏に思い浮かべるはギーゼにディフライドされてしまったカズマである。自分を守るためのファイトだったと考えると、クロノは歯ぎしりを立てる。
「・・・くっ・・・!スタンド&ドロー!ライド!クロノビート・バッファロー!コール!
クロノビート・バッファロー PW9000
ルガル・ウレ クロノビート クロノエトス
R R ドラン・G
「ルガル・ウレでヴァンガードにアタック。
ルガル・ウレのスキル。ヴァンガードが十二支刻獣なら、パワープラス2000」
「ノーガード。ダメージチェック『忍竜フウライ』」
「・・・・・・」
『カズマさんはクロノさんを守ろうとファイトしたんです・・・必死に・・・』
「(なんで・・・なんで俺なんかのために・・・)
・・・バカ野郎・・・。・・・クロノビート・バッファローでヴァンガードにアタック」
「ノーガード」
「ドライブチェック『クロノジェット・ドラゴン・G』」
「ダメージチェック『忍獣カタリギツネ』」
「ドランのブースト、クロノエトス・ジャッカルでヴァンガードにアタック」
「ノーガード。ダメージチェック『清算の忍鬼サダツグ』」
「ターンエンド」
PW11000➡PW9000
PW9000➡PW9000
PW12000➡PW9000 クロノの手札4枚 山札38枚 カズミのダメージ3枚
「・・・スタンド&ドロー。・・・新たなる誓いと共に。ライド。焔魔忍竜シラヌイ"慚愧"」
焔魔忍竜シラヌイ"慚愧" PW11000
「スキル発動。いずれかのファイターのリアガードを1体選び、パワープラス2000。対象はルガル・ウレ。選んだユニットが相手のユニットなら、支配。ルガル・ウレでヴァンガードにアタック」
「ガード『ラッキーポッド・ドラコキッド(引)』」
支配攻撃PW11000➡PW9000+SH5000=14000
「ノロイとマドイを移動」
ノロイ シラヌイ"慚愧" フウライ
マドイ R R
「マドイのブースト、ノロイでヴァンガードにアタック」
「ガード『ラッキーポッド・ドラコキッド(引)』」
「シラヌイ"慚愧"でヴァンガードにアタック。
ノロイのスキル。自身をソウルへ。1枚ドローし、ヴァンガードのパワープラス5000」
「・・・ノーガード」
「ツインドライブ。ファーストチェック『魔忍竜シラヌイ"朧"』セカンドチェック『喜捨の忍鬼ジロキチ(引)』ドロートリガー。パワーはフウライへ。1枚ドロー」
シラヌイ"慚愧"はすっと立ち上がり、刀を構えてクロノビートに接近する。クロノビートまで近づいたシラヌイ"慚愧"は刀を振り、斬撃を放った。
「ダメージチェック『クロノエトス・ジャッカル』」
「フウライでヴァンガードにアタック」
「ノーガード。ダメージチェック『
「・・・ターンエンド」
PW9000➡PW9000+SH5000=14000
PW16000➡PW9000
PW14000➡PW9000 カズミの手札7枚 山札32枚 クロノのダメージ4枚
「・・・俺の・・・俺のせいだ・・・」
「新導・・・」
「・・・・・・」
「・・・ライド。クロノジェット・ドラゴン・G」
クロノジェット・ドラゴン・G PW11000
(本来ならここで、ストライドをして万全な体制を整えるべきだ。だけど・・・今の新導にはGゾーンのカードがない。これじゃあストライドどころか、ジェネレーションブレイクは使えない)
「・・・・・・」
ルガル・ウレ クロノジェット・G クロノエトス
R R ドラン・G
「ルガル・ウレでヴァンガードにアタック。
スキル発動。パワープラス2000」
「ガード『喜捨の忍鬼ジロキチ(引)』」
ファイトが進んでいく中、クロノは自身がギーゼにディフライドされかけていた時のことを思い返し、さらに後悔の念が浮かび上がる。
(俺があの日、ギーゼの器になって、抑え込めていれば、カズマがギーゼになることなんてなかった・・・。俺の・・・俺のせいだ・・・)
さらに浮かび上がるのは、ガスティールの言葉である。
『貴様の存在そのものが、滅びを求める大いなる発露、啓示なのだ!!』
「・・・クロノジェット・ドラゴン・Gでヴァンガードにアタック」
カズミはクロノジェット・ドラゴン・Gの攻撃を防ごうとしようとしたところで、そこで手が止まった。
(鬼丸の手札にはヒールトリガーがある。これがあれば普通に防ぐことができる。けど・・・それをこんなフェアじゃないファイトで使っていいものか・・・)
そう、結局はそこなのだ。自分で申し込んだファイトとはいえ、やはり本来とは違うファイトなのでどうしても戸惑いがあるのだ。本当にここで使っていいものなのかというのを。
「やってくれ」
「「!」」
クロノは迷うことなく使えと言ってきた。クロノのまっすぐな視線で、カズミは罪悪感はあれども、遠慮なく使うことに決めた。
「・・・ヒールトリガーをコストに。ジェネレーションガード。呪経忍仙アブダタイシ」
ジェネレーションゾーン コスト『忍妖ケセラパセラ(治)』
呪経忍仙アブダタイシ SH15000
「スキル発動。相手の手札が6枚以下なので、シールドプラス5000」
クロノジェット・ドラゴン・Gはブースターを使ってシラヌイ"慚愧"まで移動し、正拳突き放った。だがその攻撃は未来より現れたアブダタイシによって防がれてしまう。
「ツインドライブ。ファーストチェック『時を刻む乙女ウルル(治)』ヒールトリガー。ダメージを1回復、パワーはクロノエトスに。セカンドチェック『
『しかし!!あなたはこの先いくら抗おうとも、運命からは逃れられはしない!!ギアクロニクルの特異点、新導クロノ!!』
(特異点・・・もしもあの日・・・俺が・・・あの手を取らなかったら・・・)
次に思い浮かんだのは全ての始まりの日・・・ドランが初めてこの世界に降りたったあの日、幼きクロノがドランの手を取ろうとした瞬間であった。
「・・・ドランのブースト、クロノエトスでヴァンガードにアタック」
「ノーガード。ダメージチェック『忍竜セイズイ』」
「・・・ターンエンド・・・」
PW11000➡PW11000+SH5000=16000
PW11000➡PW11000+SH20000=31000
PW17000➡PW11000 クロノの手札4枚 山札33枚 カズミのダメージ4枚
「・・・カズマが・・・」
「!」
「カズマが言ってたんだ。君のおかげで、諦めないって気持ちを取り戻したと。なのにまだ、何も返せていないとね。だからきっと・・・あんな無茶を・・・」
「「・・・・・・」」
「・・・シラヌイ"慚愧"のスキル。ソウルブラスト『忍竜セイズイ』1枚ドロー。全てのファイターは自分の手札から1枚スペリオルコールする。ゲンカイをスペリオルコール」
「・・・ルガル・ウレを退却。
「・・・新導。ギーゼにディフライドされた東海枝は・・・カズマは自分から君にファイトを申し込んだって言ってたよね。これはあくまで僕の考えだけど・・・それはカズマの意思がそうさせたんだと思う」
「!!」
「残り僅かな意思で、君なら必ずギーゼに勝つと、信じたんだよ・・・カズマは」
ギーゼにディフライドされたカズマは残りわずかな意思で自らファイトをし、クロノなら絶対に勝てるという思い。アリスの推測にクロノは目を見開かせた。
☆
どこかに存在している複数ある使徒たちの拠点。その拠点の中の一部屋でギーゼはカプセルの中に入って、眠りに入っている。
「アガレス殿の言うとおり、今は休息の時・・・全てを滅ぼす虚無そのものであられるギーゼ様を収める者・・・人の器は少々ちっぽけすぎます」
ギーゼは虚無そのもの。その強大すぎる虚無の力は人間が収めるにはあまりにも小さすぎる。ゆえにギーゼの力がカズマに完全に満たされるために、こうしてギーゼは眠りについているのだ。
「くくくく・・・問題はない・・・。ほんの少しだけ、戯れの時間が増えただけのこと。滅びの印はすでに解き放たれた・・・。6体のゼロスドラゴンをその身に従い宿した時・・・ギーゼ様は目覚める。虚無の要塞レリクスと共に、完全なる復活を遂げるのだ」
滅びの時が迫ってきていることに対し、使徒たちは笑みを浮かべている。唯一笑っていないのは、
「そのためにも、停止されたレリクスを起動させる必要がある。復旧を急がせろ」
「すでにつつがなく。俺様は完璧なのだ」
「くく・・・」
本来のレリクスを元に戻す最初の段階である再起動作業をダークフェイスはすでに始めていた。
「・・・アガレス」
そこでヴァレオスがアガレスに声をかけてきた。
「復旧には時間がかかる。好きにするがいい」
ヴァレオスの意図を理解しているアガレスがそう口にした瞬間、ヴァレオスは狂気の笑みを浮かべたのであった。現在の使徒の最大の危険分子、レリクスの影響を完全に消し去った存在、ユイをこの手で始末するために。
☆
場所は戻り、病院でのクロノとカズミのファイト・・・アリスの推測にクロノは呆然とする。
「カズマが・・・俺に・・・。あれは・・・あのファイトは・・・」
あの時、カズマの意思がまだ、ギーゼに完全に支配されていなかった。そう考えるとクロノは、そんなカズマの思いを、答えられなかったと、思い込み始め、自身の両手をファイト台に手を付けた。
「・・・だとしたら・・・俺は・・・」
クロノはあまりの悔しさに、拳を強く握りしめる。
「・・・俺は、諦めない。たとえ何が立ちはだかろうと、たとえ相手が何であろうと・・・カズマを取り戻す!!ストライドジェネレーション!!!!邪眼冥王シラヌイ"骸"!!!!」
ジェネレーションゾーン コスト『魔忍竜シラヌイ"朧"』グレード3
邪眼冥王シラヌイ"骸" PW26000 ハーツ『焔魔忍竜シラヌイ"慚愧"』
「
マドイの
ゲンカイの
さらにフウライの
「ガード!『クロノクロウ・モンキー』」
「俺がディフライドされた時、カズマは全てをかけて挑んでくれた。その思いに、今度は俺が答える番だ!セイズイ、忍竜オウザイをコール!」
忍竜オウザイ PW7000
「シラヌイ"骸"の
セイズイの
フウライのスキル。パワープラス2000」
「ノーガード」
「ツインドライブ。ファーストチェック『忍竜ゲンカイ』セカンドチェック『喜捨の忍鬼ジロキチ(引)』ドロートリガー。パワーはフウライへ。1枚ドロー。新導君!君はこのまま終わらせるのか⁉」
「くっ・・・!」
クロノジェットはシラヌイ"骸"の邪眼によって支配され、クロノエトスに、スプリット・ペガサスに攻撃を仕掛けた。
➡PW7000
支配攻撃PW11000➡PW5000
➡PW9000
そして今まさに・・・ドランにも手をかけようとしている。
『クロノ・・・』
「!!」
すると、イメージの中のドランが、クロノに対して声をかけてきた。
『君は・・・僕に・・・出会わない方がよかった・・・?』
「!!!」
ドランの言葉に、クロノは、思い浮かべた。ヴァンガードを通じて出会った、ユイ、シオン、トコハ・・・今日まで出会ってきた人々たち・・・そして・・・カズマの姿を。カズマを見た瞬間クロノは瞳に涙をためらせ、顔を俯かせる。そんなクロノにイメージの中のカズマはクロノを頭を拳で軽めに小突き、にかっと笑ってみせた。
「・・・できない・・・」
「「!」」
「できない・・・俺には・・・あいつらと出会ったことを・・・ヴァンガードと出会ったことを・・・全部・・・俺は・・・」
クロノはこれまで出会った人たちと、ヴァンガードを忘れないことを改めて誓い、涙を拭いて、まっすぐな視線でカズミと向き合う。
「こい!!」
ゲンカイ シラヌイ"骸" フウライ
セイズイ R オウズイ
「・・・シラヌイ"骸"でヴァンガードにアタック!
フウライのスキル!パワープラス2000!」
「ノーガード!」
「トリプルドライブ!ファーストチェック『清算の忍鬼サダツグ』セカンドチェック『清算の忍鬼サダツグ』サードチェック『忍竜ノロイ(☆)』クリティカルトリガー。パワーはフウライへ、クリティカルはシラヌイ"骸"に!」
シラヌイ"骸"は支配によって弱ったクロノジェット・Gに追い打ちと言わんばかりに刀による斬撃で追撃した。攻撃を食らったクロノジェット・Gは何とか耐える。
「ダメージチェック『クロノファング・タイガー・G』『ラッキーポッド・ドラコキッド(引)』ドロートリガー。パワーはヴァンガードに!1枚ドロー!」
クロノはこれまでカズマに言ってきた言葉を思い返す。
『届く!!』
「・・・俺が言ったんじゃないか・・・あいつに・・・」
『たくっ!1回や2回勝てねぇくらいで、ガキみたいに駄々こねてんじゃねぇよ!』
『諦めたら絶対に届かねぇ!それを教えてくれたのも、ヴァンガードだ!!』
「セイズイのブースト、ゲンカイでヴァンガードにアタック!
フウライのスキル!パワープラス2000!」
「ガード!『時を刻む乙女ウルル(治)』俺自身が、言ってきたことじゃねぇか!!全部!!負けるために戦う奴なんていねぇ!みんな・・・みんな同じだ!全力かけて・・・力尽くして・・・自分にとって1番いいって思えるものを選んで・・・!だったら俺は・・・!!」
「オウズイのブースト、フウライでヴァンガードにアタック!」
「完全ガード!『スチームテイマーアルカ』(コスト『クロノジェット・ドラゴン・G』)」
「ターンエンド」
PW26000➡PW11000(+5000)
PW21000➡PW16000+SH10000=26000
PW37000➡PW16000(完全ガード) カズミの手札10枚 山札22枚 クロノのダメージ5枚
「スタンド&ドロー!コール!ドキドキ・ワーカー!」
ドキドキ・ワーカー(☆) PW4000
R クロノジェット・G R
R ドキドキ R
「クロノジェットでヴァンガードにアタック!
ドキドキ・ワーカーのスキル!自身をソウルへ!1枚ドロー!クロノジェットにパワープラス5000!」
クロノジェット・Gは再びブースターを稼働させ、シラヌイ"慚愧"に向かって突撃する。
「俺は・・・後悔しない!!あの日、とった手を・・・あの日、手にしたデッキを・・・あの日、あいつにかけた声を!!後悔しないための未来を創る!!もう1度・・・必ずこの手で!!!」
クロノジェットはシラヌイ"慚愧"に決意がこもった思いの拳を放ったのであった。
その後もファイトは続いたが・・・今のクロノでは勝てるはずもなく、結局ダメージは6となってしまった。だが、クロノを再び立ち上がらせることに繋がることができたファイトとなったのであった。
☆
ファイトが終わり、クロノたちは屋上から降りて、トコハたちと合流した。クロノは前を向くきっかけを作ってくれたカズミに視線を向ける。
「ありがとうございました!」
クロノはカズミに頭を下げて、今回の礼を述べた。
「カズマは必ず取り戻します!世界の滅亡なんて、絶対に許さない!」
「そう思ってるのは、君1人じゃないってことを、忘れないでくれよ」
クロノの思いを聞けたカズミは笑みを浮かべて、病院から去っていった。
「天音も、ありがとうな」
「・・・新導。僕もやれることはやる。カズマと
アリスもクロノにそう言って病院を去っていった。
「クロノ、はい、これ」
トコハがクロノに渡したのは、飛行機に乗るためのチケットだった。
「チケット?飛行機の?」
「伊吹さんが立凪から情報を引き出したの。かつて、惑星クレイから訪れたユニットが降り立った場所」
「!!」
「そこでなら、あんたのGゾーンを取り戻せるかもしれない!」
失ってしまったGゾーンを・・・未来の可能性を取り戻せる・・・。それを聞いてクロノはいてもたってもいられない気持ちになり、ミクルに視線を向ける。
「ミクルさん、俺・・・」
ミクルはクロノの思いを理解し、笑みを浮かべてまっすぐとクロノに視線を向ける。
「・・・いってらっしゃい、クロノ。あなたにとって、1番大切なものを守るために」
ミクルからの見送りを受け、クロノとトコハは、惑星クレイのユニットが降り立ったとされる場所へと向かうのであった。失われてしまったクロノの・・・未来の可能性を取り戻すために。
to be continued…
マモル「かつて惑星クレイからユニットが降り立った地か・・・伊吹君、よくそんなこと知ってたね」
伊吹「たまたまだ。あの頃は当てがなく、ただあちこちをさすらっていただけだからな」
キョウヤ「如何なる偶然を必然へと変えるのは、その後の行動と選択だ。無意味なものなど、何1つとしてない。過去に俺も、そのことを学んだ」
伊吹「一条・・・」
キョウヤ「・・・ヴァンガードの話だ」
伊吹「・・・ああ。そうだったな」
TURN235「僕たちが手にした希望」