それから本編にクロノ君とユイちゃんの対戦相手を載せております。ちょっと都合が良すぎかもしれませんが、読んでくれたらうれしいです。
それでは、本編をどうぞ!
ユナイテッド・サンクチュアリ支部主催のスペシャルマッチの2回戦でシオンが東雲に勝利したことによって、ユナサンファイターたちとユナサンの司会者は戸惑いを隠せないでいなかった。
『こ、これは・・・いったいどういうことなのでしょう・・・。我がユナサン支部の誇り、チームディマイズのメンバーが2人までも敗れるとは・・・ありえない!私たちの目の前で今、何が起こっているのでしょうか・・・?』
ユナサン支部の所属のファイターや司会者がざわつく中、トライフォーの控室にいる3人はシオンの勝利に労いをかける。会場の中央に残されているのは東雲が外したと思われるユナサンのバングルのみ。
「イエーイ!トライフォー、サイコー!!」
『サイコー!!』
観客席にいる一同はトライフォーの2連勝の喜びにテンションが上がる。
「このまま3連勝までいっちゃってください!トライフォー!」
「そうだ!ディマイズなんて楽勝だぜ!!」
「ファイトしてないお前がえばるな。まぁ、気持ちはわかるが」
「このまま全員ぶっ飛ばせー♪」
一同の会話を聞いてるユナサンファイターたちは一同たちを睨んでいる。
「お前ら・・・その辺にしとけよ・・・」
ピピピピピ・・・
カムイが一同に注意するとカムイのスマホが鳴っている。
「カムイさんこそ、ファイト観戦中の携帯はご法度ですよ!めっ!」
「・・・たく、テンション高ぇなぁ・・・。ちょっと出てくるわ」
そう言ってカムイは席を外し、通話に出る。
「ああ、もしもし。今ちょっと取り込み中でさ。後でかけ直すから・・・」
≪・・・葛城、頼みがある≫
「!」
カムイのスマホで聞こえてくる声はなんと伊吹コウジだった。
≪悪いが時間がない。前に説明したとおり、未来の為に行動する時がきた≫
TURN47「ストライドフォース」
トライフォーの控室で4人は3戦目は誰が出るかを話し合っていた。
「僕たちが終わって、後はクロノとユイなんだけど・・・」
「ここは公平にじゃんけんで決める?」
「それなんだけど、ちょっと私のわがままを聞いていい?」
「ん?なんだよ?タイヨウとファイトするのはお前って言うのはなしだからな」
「ううん、そうじゃなくてね・・・」
ユイは真剣みを込めた顔で3人に告げる。
「神崎とファイトするの、私に譲ってほしいの」
「「「!!」」」
神崎と相手をするのを譲ってほしいと聞いて3人は目を見開く。
「私、地区予選の時から神崎のファイトが嫌いだったの。それとユナサンのあれも加えて神崎がもっと嫌いになったの。でもね、実際に神崎とファイトしていた時、私自身、ヴァンガードを楽しんでなかった。こんなんじゃ、神崎と一緒だったんだよね・・・」
「ユイ・・・」
「まぁ、ユナサン支部の方針を聞いてれば、そうなるのも仕方ないけど・・・」
「でもね」
ユイは微笑んで、口にする。
「それは私自身が神崎のファイトに心のどこかで目を背けてたんだよね。でもいつまでも目を背いてちゃダメなんだと思うの。だから私が神崎とちゃんと向き合って、ちゃんと私が、私らしく、楽しいファイトがしたい。そして、それを神崎にぶつけたい!ヴァンガードは繋がりなんだってことを、ちゃんと伝えたい!」
ユイの答えを聞くと3人は笑みを浮かべる。
「・・・ああ!わかった!俺がタイヨウに、俺たちの信じるヴァンガードをファイトで伝える!そして必ずお前が神崎と戦える状況をつくってやる!」
クロノの言葉にシオンとトコハは首を縦に頷く。
「クロノ、シオン、トコハ・・・ありがとう・・・」
ピンポンパンポーン
ユイが3人にお礼を言うと同時にお知らせの放送が鳴る。
『皆様にお知らせいたします。ユナサン支部スペシャルマッチ、第3試合の開始時刻になりましたが、準備の都合により、いったん休憩時間といたします。ファイトの再開にいたしましては、運営本部の準備が整い次第、改めてお知らせいたします』
「何なんだろう?いきなり休憩時間なんて・・・」
「2連敗だもんね。慌てて作戦会議してるんじゃない?」
「・・・タイヨウに何か、起こったんじゃないよな・・・」
クロノの言葉に3人は俯かせた。そんなときに、カムイが控室に入ってきた。
「!カムイさん」
「どうしたんですか?」
「・・・お前らさ、ユナサン支部の真実を、知る勇気はあるか?」
「「「「!!」」」」
カムイの言葉を聞いて4人はお互いに顔を合わせて頷く。4人の答えは決まっている。
「もちろんです!」
「何かわかったんですか?」
シオンの問いにカムイは首を縦に頷く。
「ついてこい」
☆
4人はカムイについていき、今現在いるのはユナサン支部の内部の廊下だ。廊下では現在複数人のドッグトレーナーたちが誰かを探している。5人は見つからないように隠れている。
「おい、いたか?!」
「いや、ここはもう見た。上の階をあたろう」
「おう!絶対逃がすな!」
ドッグトレーナーがいったところを見計らって、5人は目的のところに向かう。次の廊下でもドッグトレーナーが複数人いた。
「まだそう遠くへは行っていないはずだ」
「案外近くにいるかもしれないな」
「中央エリアの捜索がまだだって?了解!すぐに調べる!」
再びドッグトレーナーがいったところで5人はすぐに駆けだす。
「もう私たちのことがばれたわけじゃないよね?」
「何か起きたことは間違いないよね。第3試合の延期はこのせいか」
「いくぞ!」
カムイは目的の場所へと向かい、4人はカムイについていく。
「カムイさん、なんなんすか?!ユナサン支部の真実って?!」
「今話しかけるな!間違えるから!」
カムイはユナサン支部の地図に記されている赤い線に沿って目的の場所へと向かっている。
「こっちだ!」
カムイはドッグトレーナーがいないことを計らって地図の赤い線に沿って進む。進んでいく先に関係者以外立ち入り禁止の扉があった。
「カムイさん、関係者以外入れそうにありませんよ?」
ユイの言葉にカムイはポケットから扉の鍵であるカードを取り出し、それを扉の装置にスキャンする。すると扉は開かれた。5人は扉の中へと入っていく。
「あのエレベーターだ」
カムイがエレベーターに指を指すと同時にエレベーターがこの階に到着した音が鳴る。5人はそれによってオロオロしだしたが近くに会った柱に隠れることにした。エレベーターからドッグトレーナー2人が出てくる。
「なあ、これって、神崎支部長からの指示なのか?」
「よくわからん。上層部は俺らに情報をよこさんからな」
「結局伊吹の奴は何やらかしたんだよ?」
「神崎支部長のオフィスから何かを持ち出したらしい。スペシャルマッチで手薄になったところを狙ったんだな」
「マジかよ⁉計画的だったってことか?」
ドッグトレーナーたちはカムイたちに気付かれることなく、そのまま部屋から出ていく。話を聞いている限り、どうやらドッグトレーナーたちが探しているのは伊吹のようだ。
「・・・あ、危なかった~・・・」
「カムイさん、あの伊吹ってコーチ、なんかやったんすか?」
「そ!んで、そのごたごたに紛れて俺らにも見に来いってよ」
どうやらカムイが持っていた地図とカードは伊吹によって渡されたものらしい。
「じゃあ、ここに入る手引きをしたのは伊吹コーチ⁉」
「ちょ⁉どういうことですか⁉」
自分たちをここに入るための手引きをしていたのは伊吹だと知って4人は当然ながら驚く。
「ここを出たら説明してやる。まずは確かめに行こうぜ。ユナサンの、神崎支部長の秘密って奴をよ」
考えても何も始まらないと思い、4人はカムイについていき、エレベーターで目的の階へと上がっていく。
☆
5人は地図の赤い線に沿って、目的の部屋の前についた。そこはユナサン支部の研究室だった。5人は隠れて、研究員の言葉を聞く。
「こっちもダメです!全てのデータが抜き取られています!」
「こっちもです!ストライドフォース変換プログラム、ディペンドカードの反応データも、全てデリートされています!」
「これまでの研究成果が、無に帰すだと⁉」
「伊吹は恐らくデータをコピーした後、マザーデータを全て削除したものだと思われます!」
「ドッグトレーナー共は何をしている⁉まだ伊吹を捕らえられないのか⁉」
「静まれ」
慌てふためく研究員たちを黙らせたのは神崎だった。神崎は何かが入っていたであろう空になった装置を見ていた。
「あの・・・端末の一つにこれが・・・」
研究員が何かの紙を神崎に渡し、神崎はその紙に書かれている内容を読む。内容は・・・
『あなたは顔に汗してパンを食べ、ついに土に還る。あなたは塵だから、塵に還る』
こんな内容を書ける人物は、今現在このような事態に陥った張本人である伊吹以外にあり得ない。
「・・・ふっ、ふふふ・・・ふははははははは!」
手紙の内容を呼んだ神崎は愉快そうに笑いだす。
「俺は塵か。言ってくれるわ。さすが俺が見込んだだけの男。・・・この借りは必ず返してもらうぞ、伊吹!」
「何をやっている⁉こっちへ来い!!」
5人はドッグトレーナーに見つかり、研究室に連行される。
「ちょっと触んないでよ!!」
「離せよ!おい!」
「黙れ!」
「!神崎・・・」
神崎の前に連れ出された5人のうちユイは神崎を睨む。
「また貴様らか。よくここまで入り込んだな。よくよく我が支部に興味があるようだ」
「何なの?ここは」
「奇跡のカードを覚醒させる場だ」
「奇跡のカード?」
奇跡のカードとは以前4人が神崎にファイトした際に口にした単語だ。奇跡のカードについて神崎は淡々と語る。
「正式にはディペンドカードという。力なき者の手にある時は、ただ何も書かれておらぬ白紙にすぎぬ。だが、力を得れば、そこに奇跡が目覚める!ヴァンガードファイターの戦いによって紡がれるイメージ力。そこから抽出される奇跡の力、ストライドフォース。ストライドフォースを集め、注ぎ込むことでディペンドカードは覚醒する。現実にあるかの如き力を持った、奇跡のユニットとして」
奇跡のカード、ディペンドカードとイメージ力の力、ディペンドカードの存在に5人は愕然とする。
(そういう事かよ・・・)
「奇跡の覚醒・・・そのためにイメージ力を集める?」
「いったいどういう事?」
「理解できまいな。だが、俺はかつてこの目で確かに見たのだ。あの奇跡を体現するために、ここの全てが存在する!」
「まさか、ユナサン支部のファイターたちが、過酷な訓練を課せられていたのは・・・」
「そのストライドフォースを集めるため・・・?」
そう、このユナサン支部はディペンドカードの覚醒の為にユナサン支部のファイターたちを使って、ストライドフォースを集めるためだけに存在する施設だという。
「彼奴らの脆弱なイメージ力とて束ねれば、膨大なエネルギーとなるからな。ユナサンファイターの証にして、誇りのバングル。それこそは、奇跡のカードに力を集めるための端末。我がもたらす奇跡の覚醒。僅かとはいえ、それに与した誉の印なのだ」
ユナサン支部の真実を知った5人はその事実にさらに愕然となる。
「・・・とはいえ、カードはもはやここにはない。我が夢は潰えたというわけだ」
「ふざけないで!!!」
神崎のこれまでの事実にユイは声を荒げる。
「そんなくだらないもののためにタイヨウ君や、ユナサンのみんなを利用したっていうの!!?」
「お前は最初からユナサンファイターたちはどうでもよかったってことだよな!!?」
「必要だったのは、そのストライドフォースとやらだけで・・・」
「みんなの気持ちを踏みにじって・・・あなたに支部長の資格なんかない!!!」
「弱さは罪。弱き者が強き者にどう扱われようと、逆らう権利などない」
神崎は4人にそう言って研究室を後にしようとする。
「全研究員の総力をあげて、削除されたデータの復旧に努めます。伊吹については、ドッグトレーナーに行方を探させていますが・・・」
「捨て置け」
「ええ⁉」
「奴のことだ。尻尾を掴ませるような真似はすまい」
神崎はそのまま研究室から出ていく。
(奪われたなら奪い返すまで。それまで、奇跡のカードは貴様に預けておくぞ、伊吹コウジ)
☆
5人は研究室から出た後、一同と合流し、ユナサンの真実を一同に伝える。
「奇跡のカードねぇ・・・。まぁ要するにあれだ。こう・・・すんげぇ強いカードってこと?」
「そうね。正直よくわかんないけど、神崎は本気で信じてるみたいよ?」
「確かに、以前ファイトした時もそんなことを言ってはいたんだ。その時は意味がわからなかったけど・・・」
「ユナサンのファイターたちは神崎支部長に利用されてたってことですね?弱さが罪とか、強化プログラムも、全部・・・」
「ひどいよ・・・そんなの・・・」
「ファイターの風上にも置けねぇ!ぶっ潰してやろうぜ、そんな野郎!」
一同は神崎の理想を認めず、ファイトしないにせよ、神崎を倒そうという意思を持った。
「もちろん!」
「強化プログラムの責任者だった伊吹コーチは、土壇場で神崎を裏切ったのか?どういうことなんだろう?」
シオンが伊吹に対して疑問を抱く中ハイメは空港の出来事を思い返していた。ハイメが日本に到着したばかりのあの日、ハイメの目の前現れた人物は伊吹コウジであった。伊吹はハイメにギアクロニクルのカードであり、クロノジェットの進化した姿、クロノドラゴン・ネクステージを渡し、そして今現在に至るのであった。
『これを、新導クロノに』
(意外と無茶する人だったんだなぁ、伊吹コウジ君)
☆
一同が話し合っていた同じ時間、ユナサン支部の外の光景が見られる廊下でクロノ、ユイ、カムイはいた。
「タイヨウの・・・強くなりたいって思いは真剣だった。あいつは心の底からユナサンを信じて。初心者が、ディマイズに入れるくらいに強くなったんだ。ものすごく頑張ったんだと思う。なのに、神崎に利用されてただけなんて・・・」
「クロノ・・・」
クロノは怒りで自身の拳を強く握りしめる。
「許せねぇよ絶対!タイヨウだけじゃない!神崎はユナサンのファイターみんなの思いを踏みにじったんだ!!」
「・・・・・・クロノ、これ。伊吹がお前にって」
そう言ってカムイはクロノに1枚のカードをクロノに渡す。しかしそのカードは何も書かれていないただの白紙だ。そんなときにクロノとユイの脳裏に浮かんだのは神崎の言葉だ。
『力なき者の手にある時は、ただ何も書かれておらぬ白紙にすぎぬ』
先ほど渡されたカードは神崎の言うディペンドカードの可能性は大だ。これを見たユイは声を上げる。
「ちょ⁉これってまさか・・・!!」
「しーー!でかい声を出すなよ!俺も知らないで受け取ったんだ」
「・・・俺にどうしろってんだよ・・・」
「全部終わったら、奴が自分で説明するってよ。それまで、預かってほしいそうだ。それともう1つ・・・」
「?」
「タイヨウを頼む、と」
「!」
伊吹の伝言にクロノは目を見開く。
「神崎がさ、みんなのイメージ力をそのカードにため込んでたってんなら、多分そこには、タイヨウの思いも、こもってんじゃねぇのかな」
「タイヨウの・・・」
クロノは受け取ったディペンドカードを見つめる。
「クロノさん、それにユイさん、こんな所にいたんですね」
「!タイヨウ君・・・」
3人の前に現れたのは複数人のユナサン所属の子供ファイターを引き連れたタイヨウだった。
「見てください。僕にも友達ができたんです。僕が強くなったから!」
「タイヨウさんなら絶対勝てますって!なんたってディマイズなんですから!」
「がんばってください、タイヨウさん!」
「俺たち信じてるっすから!一生タイヨウさんについていくっすよ!」
この光景を見ているとそれは友達というより、ただタイヨウに服従しているようにしか見えない。
「クロノさんやユイさんがどんなファイトをしても、必ずまとめて勝ちます。僕の信じる、ユナサンの正義と誇りを見せてあげますよ!」
ユナサンの単語を聞いてクロノは思わず声に出す。
「タイヨウ!お前は、お前たちはみんな神崎に・・・!」
「クロノ、やめておこう」
クロノは神崎のやっていることをしゃべりかけたがそれをユイが制する。
「・・・くっ!」
「?神崎支部長がどうかしたんですか?」
「・・・いや、お前とのファイト、楽しみにしてる」
「ええ。僕も楽しみです。生まれ変わった僕を見てください!」
そう言ってタイヨウは子供ファイターたちを引き連れてその場を立ち去る。今はタイヨウの背中を見つめることしかできない3人だった。そんなときにアナウンスが放送される。
『大変ながらくお待たせいたしました。スペシャルマッチ第3戦は15分後の開始となります。ファイターは準備をしてください』
☆
伊吹によってディペンドカードを奪われた神崎は気晴らしに趣味である乗馬を行っていた。
(久しぶりだな、追いかける立場に戻ったのは。あの人のユニットはイメージを超え、紛れもない現実の力としてこの世にあった。奇跡の瞬間、全てを超越せし存在。必ずこの手でつかんで、今度こそ俺が勝つ!あの人を超える!それこそが、俺の求める真の強さ!そのためなら、いかなる犠牲も払って見せようぞ!)
☆
ユナサン支部がある街、伊吹はユナサン支部から出ていったあと、人ごみに紛れて道を歩いていく。その人ごみの中で、伊吹を待っていたかのように、東雲がいた。東雲に気付いた伊吹は誰もいない路地裏に東雲を連れていき、東雲の話を聞く。
「どこに行こうというのですか、伊吹さん?ユナサンを捨てるなんてひどいなぁ。俺も負けちゃったし、一から鍛え直してもらおうと思ってたんですけど」
「どうせユナサンに残るつもりなどないのだろう」
「お見通しですか。だから出てきたんですけどね」
これ以上話を聞く価値もないと判断した伊吹はそのまま東雲を通り過ぎようとすると、いきなり東雲が伊吹に向けて蹴りを放つ。伊吹はそれを察知してガードをする。
「それほどまでに必死になるのは、あなたの過去の贖罪のため?」
「!!」
東雲の言葉に伊吹は目を見開いた。東雲は蹴りの足を降ろし、今度は拳を伊吹に振るい、伊吹はそれも防ぐ。
「あなたが固執するのはギアクロニクル?それとも、その使い手たる新導クロノの方?」
東雲の問いに伊吹は何も答えない。
「何なんです?彼は」
☆
3年くらい前、伊吹はヴァンガード、惑星クレイや地球を脅かした罪を犯した。その事件自体、伊吹自身も被害者ではあるのだが。彼は1,2年ほど前に砂漠でこれから何をすればいいのか考えている中、砂漠の町に立ち寄り、その時に一人の男と出会った。その男と出会った夜の日、男は伊吹にコーヒーを渡す。
「・・・こんな所までくるもの好きは俺ぐらいと思ってたよ」
「・・・俺は・・・罪を犯した。見つけなくてはならないんだ。こんな俺に、これから何ができるのか・・・」
伊吹の話を聞いた男は伊吹を見て口元に笑みを浮かべる。ローブから見えた瞳はエメラルドグリーンだった。男は、男自身に起きた出来事を伊吹に話す。それを聞いた伊吹は、あまりの衝撃的事実に驚愕し、持っていたコーヒーの入ったカップを落としてしまう。
「バ・・・ありえない!そんなことが現実に・・・」
「・・・事実だ。俺はそのために友を置いて逃げてきた。最後の希望を守るため」
「最後の・・・希望・・・」
「ディペンドカード。世界を超越せし力。その使い手だけが奴の野望を止めることができる」
男はヴァンガードのカードを取り出し、伊吹はそのカードを見る。描かれていたのはクロノジェット・ドラゴンだった。
「だが、ただ使うだけでは何にもならない。正しくイメージできなければ、奴と同じになるだけだ。そうなれば・・・あちら側はもちろん、この世界も・・・」
伊吹は男の方を見て、再び驚愕した。なぜなら男の肩には、先ほどまでいなかった何かがいたからだ。幽霊にしては実体がある。だがそれは確かにこの世界のものではない。その小さき姿はローブに包まれていたが隠しきれていない角がある。その小さきものはつぶらな瞳で伊吹を見つめていた。
☆
伊吹は東雲の拳を払いのけ、東雲の腹部に拳を入れる。
「ぐほぉ!」
伊吹の拳を喰らった東雲は壁にぶつかり、伊吹は手を東雲の顔の目の前まで突きさす。
「自らトリガーを引くつもりのないファイターなど、相手にする価値もない」
伊吹は東雲にそう言い残して、路地裏から去る。
「ふ・・・ふふふ、ふふふふふ・・・」
残された東雲は静かに笑い、伊吹が去っていった方向に向かって邪悪な笑みを浮かべてこう言い放つ。
「トリガーなんて、俺はいつでも引いてこれるんですよ、伊吹さん。また会いましょう、伊吹さん。いずれ、必ず・・・」
☆
スペシャルマッチ3回戦開始10分前、カムイは観客席に、ユイは控室に戻り、3回戦の応援に徹する。クロノは1人、ディペンドカードを見つめ、伊吹の伝言を思い返す。
「言われなくてもやってやるさ。必ず届けてみせる。俺たちの信じる、ヴァンガードを!」
クロノはその思いを胸に、3回戦に挑もうと意気込むのであった。
to be continued…
ユイ「ユナサン支部に、まさかこんな秘密があったとはね」
クロノ「ああ。正直驚いているよ。俺たち、知らない間にとんでもない事態に巻き込まれていたんだな」
カムイ「ただ、今回目にしたのは、ほんの1部で、もっと大きな何かを隠されているような気がするぜ」
クロノ「確かに。でも今は、一番大事なのはタイヨウのこと!」
カムイ「おっ!わかってんじゃねぇか」
ユイ「さすがはクロノ!すごく頼もしいよ!」
クロノ「今度こそ、タイヨウを取り戻す!」
TURN48「クロノVSタイヨウ」