トニー・スターク が あらわれた ! 作:クレイジー松本キヨシ
自己紹介
トニーのアイアンマン宣言から時は流れ、2ヶ月が経つ。
春になり、多くの学校は新学期に入る。。
例に漏れず、IS学園も新学期に入り、新入生も入学した。
しかし、今年度の新入生にはイレギュラーが存在する。
○○○
(四方八方女子に囲まれてる……!)
世界初の男性IS操縦者の1人、織斑一夏。
1番前の席に恐る恐る座っている。
右を見れば女子。左を見れば女子。
後ろを向けば女子。右斜め後ろも、左斜め後ろも女子だ。
一夏は、男性IS操縦者の1人であり弟である織斑一秋に助けを求めようとしたが、一秋は廊下側の1番後ろの席に座っており、隣の女子と談話していた。
出席番号順なら、一秋は一夏の後ろにいる筈だが、このIS学園は最初っからランダムの座席のようだ。
出席番号順だろ、と異議を申し立てたいが、完全にアウェイの為そんなことはできない。
そんな中、一夏は思った。
本当なら今頃は、友人の五反田弾、御手洗数馬と一秋と共に藍越学園に入学していた筈だ。
なのに何故こうなってしまったのか。
(俺が悪いんだけどさ……!)
一夏が藍越学園の試験会場だと思って入った場所は、IS学園の試験会場だったのだ。
そこにISが置いてあり、興味本位で触ってしまったことが人生のターニングポイントだったのだろう。
何故かISを起動させてしまい、試験監督に見つかってしまう。
そこから流れるようにして、一夏はこの場にいる。
「織斑君!」
「は、はいぃ!」
一夏がここまでの経緯を考えていると、教卓にいる教師から名前を呼ばれた。
驚いて思わず声が上ずってしまった。
そのことに周りの生徒はクスクスと笑い、一夏の弟である一秋は笑いを堪えていた。
「大声出してごめんなさい。でも出席番号順で織斑君……えっと一夏君の番なんだけど、自己紹介してくれるかな?」
「あ、はい」
一夏は教師である山田真耶にそう言われ、思い出す。
今の時間、SHRで自己紹介をしていたのだ。
一夏は何を話そうか、暫く考えた。
――が、何も思いつかず、溜め息を吐いて席から立ち上がった。
○○○
一夏が自己紹介を始める少し前。
千冬はある人物の紹介を職員室でしていたら、SHRに遅れることになった。
廊下を歩きながら、千冬は隣にいる人物に話しかけた。
「何故ここに来た?」
隣にいる人物――トニーは答える。
「面白そうだから」
「何?」
「というのもあるんだけど、偶には誰かに技術を教えるのも悪くはないと思ってね」
「……それでこのIS学園に来たのか」
「ああ、それは偶々だね。ダメ元でIS学園に交渉したら、好待遇で迎え入れられたよ」
「……その好待遇とやらは後で聞こう。でもいいのか?お前には会社もあれば、アイアンマンとしての活動もあるんじゃないのか?」
「それについては大丈夫。会社は信頼できる社員達に任せてる。それに書類業務ならこっちでもできる」
「アイアンマンの活動も、か」
そんな会話をしているうちに、千冬が担任を務めるクラス、1組の前に着いた。
「ふむ、どうやら一夏が自己紹介をするようだ。音を立てずに後ろから入るぞ」
「君も随分と物好きだな」
千冬はドアを音も立てずに開け、中へと入る。
トニーもそれに続き、中へと入った。
ちょうど、一夏が立ち上がり自己紹介を始めようとしていたところだった。
「お、織斑一夏です……以上!」
それだけだった。
千冬は溜め息を吐き、一夏に近づいて、出席簿を振るった。
「お前はまともに自己紹介もできないのか」
どう考えても出席簿で叩かれた音ではない音がして、クラス全員はその人物へと視線を向ける。
「げぇっ、関羽!?」
「誰が三国志の武将か、馬鹿者」
その中でも一夏が千冬に対してそう言うと、もう一撃、出席簿が一夏の頭に振り下ろされた。
「――いってぇ……!」
その痛さに一夏は頭を抱える。
「織斑先生、もう終わったんですか?」
「ああ、山田君。その人物も後ろにいるよ」
千冬がそう言うと、クラス全員の視線はトニーに集まる。
「やあ」
トニーは口元に笑みを浮かべ、軽く手を挙げた。
「う、嘘!トニー・スタークよ!」
「さんをつけろよこのデコスケ野郎!」
「私は女だぁぁぁ!」
「何でここにいるんだろう」
と、女子生徒がトニーを見て、一気に喋り始める。
トニーの目の前にいる一秋に関しては、目を大きく見開き、口を開けて驚いている。
更には……。
「千冬様よ!本物の千冬様よ!」
「貴方のようになりたくてここに来ました!」
「ずっとファンでした!」
「罵ってください!」
と、千冬へ熱い言葉を贈る輩もいる。
「んん!お前達静かにしろ。一夏、他にはないのか?」
「まだやんのかよ千冬姉!?」
「当たり前だ。それと、織斑先生だ」
「わ、わかりました織斑先生」
一夏は千冬の圧力に負け、再び自己紹介を始め、無事に終わらせた。
「次は一秋だ。手間を取らせるなよ……?」
「わ、わかってるって」
一秋も千冬の圧力に押され、立ち上がる。
「織斑一秋です。そこにいる一夏とは双子で、僕は弟です。趣味は機械弄り。えっと……」
一秋は後ろにいるトニーをチラッと見て、何かを言うのをやめた。
「皆よろしく」
暫くして、クラスの生徒全員の自己紹介が終わった。
そして千冬の視線はトニーへと送られる。
「何だ?僕にも自己紹介をしろって言うのか?」
「当たり前だ。何でお前がここにいるのか気になってる奴もいるだろうしな」
「仕方ない」と言って、トニーは自己紹介を始めた。
「皆も知ってる通り、僕の名前はトニー・スターク。スターク・インダストリーズの社長だ。今回、特別教師として3年間、皆に授業をすることになった。よろしくな」
トニーが自己紹介を終えると、1人の女子生徒が手を挙げた。
「はぁ〜い。トニーさん、アイアンマンは持ってきてるの〜?」
その質問に、一秋の身体が一瞬震えた。
トニーは気になったが、あえて今回はスルーする。
「勿論だとも。僕とアイアンマンは一心同体だ。なんなら放課後、見せてやってもいいぞ」
トニーのその言葉に、女子生徒達が反応する。
「まさかこの眼で生アイアンマンを見れるなんて!」
「やったぜ」
「IS学園に入学できて良かったぁ!」
「人気なのは嬉しんだが、静かにしたほうが良いんじゃないか?前にいる鬼が……って悪かったよ。だからその構えを解け。出席簿はフリスビーじゃないんだぞ」
トニーは前で出席簿を投げようと構える千冬にそう言った。
「まあいい。次の時間からは早速授業だ。お前ら、準備をしておけ」
千冬の言葉に全員が返事をし、ちょうどチャイムが鳴ったところでSHRは終了した。
スルーする、なんちって!
……
次回は一秋についての話です。
裏設定集
・スカイファルコン
第3世代型のIS。
前世にいたファルコンを参考に造られた。
装甲部分に目立った物はない。
特徴的なのはバックパックである。
翼は伸縮性があり、収納することも出来る。
また、翼は実弾を通さないようになっており、シールドとしても活用できる。
武装はサブマシンガン2丁と自律型索敵機スカイウィング。