学園都市
総人口230万人。東京西部を中心とし、都の三分の一の面積を持つこの巨大都市は人口の約八割を学生が占めていることからそう呼ばれている
その名の通り、23の学区で構成された巨大な教育・研究機関の集合体であり、超能力の発現を目的とした特殊な
多岐にわたる教育・研究の方向性、幅広い年齢の学生がいることから23の学区にはそれぞれ特徴がある
第7学区
学園都市のほぼ中央に位置し中学や高校といった中等教育機関を主としており、同校に通う学生や勤務教師たちの生活圏となっており、それに付随する形で生活商店などが立ち並んでいる。
また9つの他学区と隣接するせいか雰囲気は雑多であり、建物はほとんどが狭い敷地をうまく利用できるビルが林立している。
そうなると必然的に薄暗い路地裏が生まれる
「ひっ、はひっ、かはっ、はぁ、はっ」
その路地裏を一人、少年が息を切らしながら走っていた
その少年は外観からして素行が悪そうで、また事実そうだった
彼は世間から「スキルアウト」と呼ばれる部類の人間だった
彼は走りながら友人(スキルアウトの仲間)に電話をかける
ときどき後ろを振り返りながら必死の形相で走り続ける
そして、つながった
『おい、お前まだ集合場所来てねぇのかよ?リーダー軽く切れてt
「助けてくれっ!!!追われてるんだっ!!!」
少年の第一声はそれだった
『ッ!?どうした!何に追われているんだ!?』
「わかんねえ!わけわかんねえのに追われてる!でもヤバイ何かってことは確かだ!!はやくたすけてくれえっ!!」
『落ち着け!まず場所を…』ブツッ
少年はそれだけ伝えると場所も伝えず切ってしまった
よほど錯乱しているのだろう
少年は現在進行形で追われている
今は距離をとったので姿が見えない
警戒しつつ休憩をとる
(クソッ、どうしてこんなことにッ)
少年は事の成り行きを思い返していた
家でダラダラすごしていた
仲間から今日は集会を行う報せをうけた
集合場所まで路地裏をケータイいじりながら歩いていた
ここまではいつもと変わり無かった
----ドロドロ、ズルズル、デチャデチャ
後ろから妙な音が聞こえたことは今まで一度も無かった
振り向いた
銀色をした何かが蠢いていた
遠くからかなりの速度で近寄って来ていた
「ソレ」は何故かわからないが自分を狙っていた
怖気が走った
逃げ始めた
切羽詰まっている
「っそうだ!
本来なら自分は絶対に頼らないがそれどころではなかった
早くしないと追いつかれる
あんなのにつかまったらどうなるかわかったものではない
急いで番号を打ち込む
同時に、妙な音も聞こえ始めた
「ッ!?クソッ!」
血相を変え悪態をつきながら走り出す
電話がつながった
『もしもし、こちら警備員第七三活動支部。どうしたじゃん?』
妙な語尾の警備員が電話にでた
「今追われてるんだっ!!助けてくれっ!!!」
『…何に追われているかわかるじゃん?』
「わかんねえ!あんなの初めて見る!」
『人じゃあないのか?…何か似ているものは?』
やたらと質問してくる警備員に苛立つが無理やり抑える
「それはっ…」
後ろから追って来ている何かを改めてよく見て言い放つ
「…掃除ロボとカタツムリだっ!!」
おそらく話相手が絶対予想していなかったであろう答えを
『……………………………………………………………………………………じゃん?』
「銀色をしてる!1mぐらいの!背中に殻じゃあなくて掃除ロボを載せたカタツムリが!とんでもない速さで路地裏を…おい!?ほんとうだって!おーーーーーーい!!?」
いつの間にか切られていた。当然である
悪ふざけだと思われたのだろう
だが当人にとっては堪ったものではない
後ろを向く。波立つ銀色の塊が追ってくる。気色悪い。前を向いて走り続ける
『寝言は寝てから言ってほしいんですの』
と一蹴されてしまった
全く疲れた様子をみせず同じ速度で追い続けてくるカタツムリ(?)
対して残り体力が少ない自分
武器になりそうな物もない
逃げてるうちにいつの間にか知らない路地に入ってしまったようで路地裏から抜け出すことももできない
いわゆる“詰んだ☆”状態である
(どうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするッーーーーー!?)
思考の泥沼にはまっていたが、ふと気づく
………あの音がしない
何かにすがるように後ろを振り向く
そして
そこには
何も無かった
「………ハハッ」
安堵から笑いが込み上げたが、疲労から碌に笑うことすらできない
しばらく待ったが何もなかった
「………逃げ切ったッ」
思わずその場に座り込む
体力もやや回復したのであとはこの路地裏から抜け出すだけ
その少年の隣に
ドチャリ、と
銀色の何かが落ちてきた
少年は上を見上げ
大きく広がった銀色を見て
意識を失った
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