ちょいと右足がギクシャクするがァァァ
半月板の修理は完了オォォォォォ!
しかし
病院にノーパソを持ち込める訳がなかろうなのだアアァァァッ!!!
ネットワークの中に潜り込んで大量の情報を獲得したクリシスゴーストは困惑していた。
自分の持つ情報との明らかで絶対的な齟齬が二つ生じている。
クリシスは何度目になるかわからない情報整理を開始する。
一つ目の問題。
場所についてはネットワーク内の情報ですぐ調べがついた
・現在位置は『地球』『日本』国内の『学園都市』の『第七学区』
自分がハッキングした
つまり
しかし
・現時刻は最終消滅時刻より数年進んでいる程度(5月)。
にもかかわらず
・『学園都市』は設立して50年以上経過している
これらのデータをまとめ上げると
・自分が消えた時には確かに無かった施設が、今は消えた時からまだ数年しか経過していないにもかかわらず設立して50年以上経っている
明らかな時間の食い違いがある。
自分に一度乗っ取られかけたとはいえ世界的規模で結成された防衛組織の本部だ。情報に不備があるなどあり得ない。
そして二つ目の問題、それは
ネットワーク内のどこにも『ウルトラマンガイア』や『根源的破滅招来体』といった単語、またはそれに関連する情報が全く見当たらなかったことだった。
話題になることがない内容ではない。また、数年で忘れ去られてしまう内容ではない。
影も形もない、という言葉の意味がとてもよくわかる状態だった。
情報規制とも考えられたが、とてもそうだとは考えられないほどありえない精度だった。『最初から無かった』という表現が最も似合うだろう。
しかしそれだけはありえない。自らの存在がその証拠だ。
この二つの問題を解決するには情報が足りなさすぎる。なので、危険を回避するためにとってこなかった手段を採ることにした。復活して初めてネットワークに侵入した時からうっすらと存在を認知していたデータの宝庫へのデータの搾取を…
----クリシスゴースト 搾取対象『
…学園都市の総合データベース『
◇
6月
柵川中学1年生、初春飾利は先月入隊したばかりの新米
なに?風紀委員を知らないだって?
それならば仕方がない、説明しよう!!
ジャッジメントとは学園都市にある生徒のみで運営されている治安維持機関である!
それは完全ボランティア。メリットはほぼ無い!
己の正義の心に従い自ら入隊するのである!
教員が行っている
「何パソコンのキーボードに突っ伏してブツクサ独り言もらしてますの?不気味ですのよ?」
風紀委員一七七支部は喧騒に包まれていた。
…主に最近やや壊れかけの花頭の少女と茶髪ツインテールの少女によって
「だからって叩くことはないじゃないですか白井さんー…」
「壊れかけの物はちょっと叩けばすぐもどるんですの」
「誰が壊れかけなんですか!だれが!」
「ジャッジメントの採用試験で合格は絶望的でしたがプロ顔負けの情報処理能力で一点突破した頭脳派ジャッジメント…」
「えへへ、いきなり褒めてどうしたんですか白井さn」
「…とは言われているものの先月から続いている謎のハッカーを特定できずにいるお花畑ジャッジメント初春飾利のことですわ」
再び机に沈む花頭の少女
「せっかくジャッジメントに入ったのに…全然役に立ってませんよね私…どうせ私なんて……」
なんだか陰気な雰囲気になってきた。
そこに眼鏡をかけた女子高校生が声をかける
「苛立ってるのはわかるけど白井さん言い過ぎよ。初春さんだってがんばってるんだから。それに撃退はできてるんだからいいじゃない」
彼女は『固法美偉』。風紀委員一七七支部の
「うう…すいません…ありがとうございます固法先輩」
そう言って起き上がる花頭の少女『初春飾利』
「…まぁ言い過ぎましたのはたしかですわね。ごめんなさいですの初春」
先ほどから言葉で叩きまくったことに投げやりに謝罪するツインテール『白井黒子』
「そういえば固法先輩。外出の準備してますけどどこか行くんですか?」
「無視ですの?」
「ええ、ジャッジメントの緊急集会でね。第七学区周辺の風紀委員支部長に呼び出しがかかっているのよ」
「固法先輩までスルーですの!?」
「それって先月から続いている通り魔事件についてですか?」
「あのー…」
「そうよ。この事件は今第七学区周辺のジャッジメント総員で取り組んでるの、被害者も増えているんだし」
最近の第七学区は物騒だ。目立った外傷は少ないが生徒・教員やスキルアウトと見境なく襲われている。しかも被害者は謎の発言を繰り返すなどの精神的ダメージを負っている。そういった被害が数十件先月から続いており、アンチスキルやジャッジメントが協力して捜査を続けているが監視カメラや人工衛星で映らなかったところで犯行が行われており、ほとんど犯人の目的や容姿が何もわかっていないのだ。
「物騒ですね…」
「ええ…ほんとにね…」
初春と固法が真剣に悩んでいると
「…本当にすいませんでしたの。精神的にキツイのにさらに追い詰めるような罵倒を言ったことに対して、白井黒子は深く反省してますの」
白井が頭を下げて謝った。白井黒子は徹底的なスルーに耐えられなかった。
「…わかってくれればいいんです。こっちもからかいすぎました。すいません白井さん」
「まぁ、無視はつらいわね。悪乗りしちゃってごめんなさい、白井さん」
「初春…固法先輩…!!」
何この寸劇。
白井の謝辞を聞き同じように返す二人。なんだかんだでうまくやっている三人だった。
「それじゃあ行ってくるわ。留守番よろしくね二人とも」
「はいですの。会議で何かわかったら教えてくださいまし、協力いたしますの」
「気をつけて行って来てくださいね~」
・・・・・・・・・・。
しばらく謎の沈黙が訪れる。
それを先に破ったのは初春飾利だった。
「…さあ~ってと、こっちも仕事に戻りますか」
「そうですわね」
「私はハッキング犯の捜査をしますけど、白井さんはどうします?」
「わたくしはいつものように被害者が出次第救助に向かうのでここで待機ですの。ジャッジメント本部からのお達しですのよ。わたくしの能力はこういう仕事に向いてますので」
白井は素直に最近のスケジュールを話した。最近ちょくちょく支部から抜け出しているので初春もわかっているだろうと思っていた。
しかし
「へえ~。最近はそんなことしてたんですか。確かに向いてますもんね、救助活動」
返ってきたのは意外な返事だった
「…おまちなさい初春。わたくし最近けっこう急にいなくなっているはずですの、気が付きませんでしたの?」
「さすがにそこまで鈍くはないですよ!」
「じゃあなぜわかってなかったんですの?」
「…何かに集中してたんですかね?私ってよく「集中すると周りが見えなくなるタイプ」って言われますし」
「2・3回ならまだわかりますの。でもわたくし10回以上も出動してますのよ?普通ありえないですの」
「え~、で、でも最近私はハッキング犯の調査につきっきりですし。しかたないじゃないですか?」
「何で自分を庇うセリフに疑問符がつきますの…」
呆れてため息をつく白井
「それにしてもハッキング犯ねぇ…」
「先月から始まったんですよね。その度に私が撃退してますが」
フフン、得意げに胸をそらす初春。
「そういうのは犯人を捕まえてから自慢して欲しいんですの」
「…そうですよね、どうせ私なんて…(泣」
「あーもうそういう意味で言ったんじゃないですの!立ち直ってくださいまし!誰にも手が付けられなかった犯人を追い出しているあなたはとてもよく役に立っていますの。誇ってもいいですわ」
再び鬱モードに入りかけている初春に慌ててフォローを入れる白井。
初春が壊れかけているのはハッキング犯を捕まえられずにいるストレスのせいだった。
「ううー。でもぉ…」
けっこう抱え込むタイプの初春が面倒になってきた白井は奥の手を使う事にした。
「…そういえば初春。あなた前にお姉さまに会いたいといってましたわね?」
「白井さんの言うお姉さまって
「そうですの。貴女会いたがっていたでしょう?そのことなんですが来月の
「本当ですか?」
間髪入れずに食いついた同僚に少し驚きつつ答える
この同僚とは知り合ってそこそこ経つ。ミーハーなのはわかっていた。
なので敬愛するお姉さまを釣餌として使うのに罪悪感を感じるが、背に腹は代えられぬ。効果は抜群なので使う事にした。
「ええ、本当ですn」
「本当ですか!?ほんとのほんとに!?いよっっしゃぁーーーーッ!!!!言質取りましたからね!後から無しってのは通用しませんよ白井さん!!!
椅子の上に立ち体全体で喜びを表す。
これは誰だ?
ここまで効果があるとは思っていなかった。
動き・テンション、声量からしてほぼさっきまでと別人である。
あと、一瞬頭についている花が逆立ち金色に光っていたように見えた。
「よぉーっし!だったら早めに犯人確保して、後顧の憂いなく御坂美琴さんに会うとしますかーーーっ!」
しかし元気を出す他に発破までかけられるとは思っていなかった。白井にとっては自分の仕事に専念できるのでうれしい誤算である。
「その意気ですわよ初春。落ち込んでる貴女なんてらしくありませんわ。ジャッジメントの一員として頑張ってくださいな!」
「はい、白井さんも救助活動頑張ってくださいね!」
◇
初春と白井が激励し合っている同時刻
「…特に問題は無いわね。もうすぐ会場に着くし」
固法美偉は会議場に向かいながらパトロールしていた。
学園都市の治安は警備員や風紀委員によって保たれているが、基本的には最悪だ。ビルの間などの人目につかない所を軽く覗けば簡単にカツアゲが見学できる。
しかしここ最近そういった素行が少なくなっている。
いうまでもなく最近の通り魔が原因だ。
「不良が少なくなっているのはいいんだけど、被害者が出ているのはちょっとねぇ…」
そう一人で呟いていると、前から掃除ロボが向かってきた。学園都市では大して珍しくない光景だ。
ただ、同時に三台猛スピードでつっこんでくる、というのはなかなか無い。
「ッッッ!?あぶなっ!!」
とっさに右に跳んで躱し三台の掃除ロボを目で追う。
自分が目的では無かったようで、そのまま角を曲がりどこかへと走り去っていった。
………その後金属が何かにぶつかった音や「不幸だー!」といった叫び声が聞こえたような気がしたが、街中でそんな叫び声をあげる人など普通いないので幻聴だと決めつけた。
「…何だったの?故障?」
学園都市製で頑丈だが一応機械だ。壊れもするだろう。
周りの人も珍しいようで呆然と眺めていた。
…それにしても速かった。見た感じ1秒で10mは進んでいた。掃除ロボはあんなに速度を出せただろうか?
「…あ!大変!会議に遅れちゃう!」
すっかり忘れていた。今は考え込んでいる場合ではない。
慌てて走り出す、遅刻して後輩にまで恥をかかすわけにはいかない。