とある超次元の金属生命   作:GAIAGUL

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《Mではないです》






第四話 |電脳世界《在ルベキ場所》で

 

クリシスゴーストが書庫にハッキングを仕掛けて早二週間、クリシスは今中身を抜いた掃除ロボに入り込んでいた。

 

街の至る所に監視カメラが取り付けられ、常に上空から人工衛星に見張られている学園都市に潜伏しつつ情報を入手するには、どこにでもある移動する物体という限られた選択肢、つまり掃除ロボか警備ロボしか無かったからだ。

 

警備ロボに入り込んだ場合、犯罪の起こったときアンチスキルの盾代わりに呼び出されるので呼び出しがかかったとき反応しないと違和感を持たれる。それにGPSや監視カメラ等が内蔵されているのでそれらの機能が足を引っ張る。

 

それに対し掃除ロボは呼び出されず上記の機能がゴミを吸い取って街を巡っていればいいのでケータイ狩りにはうってつけだった。(因みにこれらの考察はネットワークから入手した情報を基にした)

 

 

しかし掃除ロボを憑代にするにあたって問題があった。自分の体が入り切らないのだ。内蔵してある走行装置やゴミを潰し圧縮するための装置を剥ぎ取ってもまだ余る。なので最初に遭遇した掃除ロボの他に路地裏に迷い込んで来た二体にも同様の処置をし、体を三つに分割して潜伏していた。

 

そして路地裏に迷いで込んできた人間から端末を奪い、風紀委員や警備員に見つかる前に現場から逃走する日々。

 

何故こんな事になったのか、それは約二週間前のハッキングが原因だった。

 

 

 

 

 

 

ケータイを奪ったクリシスゴ-ストはビルとビルの間にいた。路地裏のように人が通れるほど幅がある所ではない、わずか5cmにも満たない暗い隙間に体を滑り込ませていた。

監視カメラや人工監視衛星の目の届かない細く暗い隙間の中でケータイの側面にある蓋をこじ開け内部に侵入、自分の体(金属生命体)から抜け出しネットワ-クの中、データ領域・・・電脳世界とも呼べる場所へ降り立つ。

 

存在がデータであるクリシスゴーストにとってはこちらの世界の方が本来住んでいる世界なのだ。

 

一度金属生命体という体を入手し、データの中つまり二次元の世界から抜け出し三次元の世界を体感したクリシスゴーストは認識を変えた。

 

電脳世界で行動できる体を創り出す。体のイメージは以前とっていた光る三つ目をもち、体に複数の大きな突起をもつ鋼の巨人、XIG(シグ)のメンバーには『ミーモス』と呼ばれていた形をとった。

 

ハッキング、他のコンピューターに不正に侵入する行為。

その行動は電脳世界にある今の状態の彼にとっては鍵のかかっているドアの扉を開ける行為と捉えればいいだろう。

 

 

まずクリシスはネットワークを介し書庫(バンク)と呼ばれる学園都市の総合データベースに移動(アクセス)した。

 

 

 

 

 

同刻、風紀委員活動第一七七支部にいる花頭の元にある異変が起こった。

 

「こ・・・これは・・!」

 

思わず手に持っているPDAを取り落しそうになるが、決して手を離さない。

 

その画面に映っている文字は

 

『Seventh mistにて来週から新メニュー「ウルトラ盛りイチゴパフェ」発売開始』

 

「・・・いやったぁぁぁぁぁ!!」

 

クリシスゴーストには全く関係なかった。

 

 

 

 

一方、クリシスゴーストはまだ書庫にたどり着けていなかった。

クリシスゴーストの技量が少なかったり巧妙なトラップが仕掛けてあったりしたわけではなく

 

『お使いの端末ではアクセスできません』

 

もっと根本的な問題だった。

 

クリシスは原因を探し始める。

足下に手を突っ込み(ネットワークで検索し)情報を取り出す。

 

どうやらこの街のセキュリティ()端末()にはランクが付けられているようだ。

ランクが上位の端末は下位のセキュリティを解除しアクセスできるが下位の端末では上位のセキュリティを解除する事は出来ないという完全にして単純な情報漏洩防止機構。普通の人間には容易に進めそうにはない壁。

 

だが誰も絶対に入れないというわけではない。正規の端末を用意すればアクセスできるし現に端末がなくとも第三位は何度も下位の端末で上位のセキュリティを突破しているのだ。

 

 

今使用している端末のランクはD、対して書庫に移動(アクセス)するのに必要なランクはC。

だがそんな事は関係ない。

 

 

 

 

 

 

クリシスゴーストは足場(サーバー)を踏みしめ、前方に見える一番目の(セキュリティ)叩き割った(解除した)

 

最下層のランクCエリア内部に侵入し、辺りを見回す。今居るサーバーのランクはC、(ファイル)に整頓されている(情報)は見慣れないものもあったが、そのほとんどはインターネット上で見かけたような普通のものばかりであった。

どうやら書庫というのは機密ばかり取り扱っているものではなく、あらゆるデータを整理しまとめ上げ、保管しておくためにあるらしい。

 

クリシスゴーストが狙っている情報はインターネットには無かった。それはつまり軽々と公にできる情報ではなく機密とされるものであり、ランクの高い所に保管されていると考えるのが自然である。

 

そう推測したクリシスゴーストは前方にある二枚目の(セキュリティ)突き破り始めた(解除し始めた)、今度の壁ランクが上がったためか多少堅かったが1分かかれば突破できた。

 

 

ランクBのセキュリティを突破した時点で体に異変を感じ、クリシスゴーストは周辺の環境を把握する。白い霧が体にまとわりつき動きを阻害し始めていた。

発現元を一瞬で逆探知し確認すると警備員(アンチスキル)要塞(サーバー)に繋がっていた。どうやら感付かれたらしい、このままではじきに現実の体の場所も特定されてしまうだろう。

霧を薙ぎ払いつつ少しでも時間を遅らせるため妨害用のウイルスを速攻で作り上げ、自身の体の形状を変化させ槍状にしウイルスを搭載し要塞へ打ち込む、が流石科学の街学園都市とでもいうべきかウイルスよけの防壁が作動し弾かれてしまった。XIGのセキュリティを一撃で狂わせた自身の最高傑作ともいえるものだったので驚く。

 

しかし所詮はデータの隔壁、解析し弱点を発見、ウイルスを進化させ再度打ち込む。今度は一発ではなく連射。

 

まとわりつく白い霧の量が減ったのを確認したクリシスゴーストは狙撃を中止する。後は勝手にウイルスが増えて暴れて妨害してくれるだろう。(データ)のチェックを始める。

 

数分経過した。

本の確認を終え、ランクBエリアに自身の欲するデータが無いことを確認したクリシスゴーストは三枚目の壁、ランクAの情報が保管してあるセキュリティに向き合った。

 

 

 

 

同時刻、警備員本部は混乱に包まれていた。

 

「セキュリティA解読され続けられています!このままでは10分後には突破されます!」

「なんとしても食い止めろ!ここが最終防衛ラインだ!」

「コンピューターウイルスの感染を確認!ハッカーによる妨害工作であると思われます!」

「解析部隊を総動員して駆除しろ!クソッ誰だが知らないがとんでもねえ腕だ、まだ居場所は特定できないのか!?」

「人工衛星や監視カメラには確認できません!死角に居るものだと思われます!逆探知はしていますが相手の放ったウイルスに妨害されます!」

「なんて大がかりなことを・・・!」

「ウイルスの削除完了しました!逆探知を・・・ッ!!できません!先ほどのより強力な新型のウイルスです!」

「セキュリティを変えなかったのか!?」

「何度も変えてます!」

「なぜそんなに何度も簡単にウイルスの侵入を許すんだ!警備員本部のセキュリティはこんなにもザルだったのか!?」

「相手の読解が速過ぎるんです!とても人間業とは思えません!」

「何でこんなことにッ・・!!」

 

 

 

最初のランクCセキュリティが突破されたのを発見したときは腕試し代わりに学園都市最高のセキュリティに手を出す己の技量がわかっていない単なるバカだと思っていた。

ハッキングされていた事が我々に気付かれた時点で大したことのないハッカーだと思っていた。

 

 

そう、思っ、ていた・・・・のに・・・・・・

 

 

「ランクBのセキュリティを攻略開始からわずか一分で完了だと・・!?我々の妨害もあるというのに・・!?しかも数秒で我々のウイルス対策使用のパソコンに有効なウイルスを構築し流し込むとは・・!?ありえない、どんな廃スペックだ・・・!!」

 

 

いつも通りに警備員最高の情報操作技術を持つメンバーで妨害し犯人の居場所を突き止め確保する筈だった。

ただちょっといつものバカにしてはなかなかつかまらないとしか思っていなかった。

 

二つ目のセキュリティが突破された頃には逆探知も終わり犯人を確保し終えている予定だった。しかし現状はまるで真逆、ウイルスを流し込まれ混乱状態。

 

 

「こ、このままではデータが全て奪われてしまいます!上官どうしましょう!?」

「う…うろたえるんじゃあないッ!アンチスキルはうろたえないッ!」

 

 

半ば混乱で涙目の部下が非情な現状を報告してくる。こっちだって泣きたいんだよ!と心の中で叫ぶ。

しかしここであきらめてはいけない。データの全てが奪われる。それはあってはならない。犯人の目的が何かはわからないにしても今まさに突破されんとしているランクAのセキュリティの奥には我らアンチスキルが、教師が守るべき生徒たちの個人情報も詰まっているのだから。

 

このままでは絶対間に合わない。何か打つ手はないかと中年の頭をフル稼働させる。

 

「上官!」

「なんだ人が考え事をしている最中に!」

「失礼しました!上官はご存知でしょうか!」

「何がだ!」

「“守護神(ゴールキーパー)の事です!」

「!!」

 

 

守護神(ゴールキーパー)

それは最近配属された風紀委員の噂。

何でもとんでもない実力を持っていて、自ら作り上げたセキュリティの強度は学園都市の十本指に入るらしく、配属されてから一月経っていないにもかかわらず所属する詰め所のセキュリティを書庫の数段強固にしてしまうほどだとか。

 

もしそんな人物がいるとしたらこれ以上ない幸運だろう。

だが

 

「・・頼るというのか?守るべき生徒の手に・・・?」

「時間がありません!すでにどの生徒なのかは調べがついています。後は連絡をとり応援を要請するだけです!」

「しかし・・・・」

 

彼には大人の手で済ますべきことを生徒に押し付けるのには抵抗があった。

しかし

 

「今突破されたら何万人もの生徒の個人情報がハッカーの手に落ちるんですよ!?」

 

ここで意地を張って多くの生徒たちの情報を渡すわけにもいかない。

 

誇りや思想、多くの判断材料をもってして出した決断は、

 

「・・・・・・・許可する!守護神に回線をつなげ!」

「・・・・・!了解しました!」

 

 

救援を求めるものだった。

 

 

 

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