東方幻異伝   作:村正 ブレード

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今回で終わらなかった……。


第弐幕『第一の関門 前』

「はあっ!」

 

《霊符》を空亡に向けて放つ。だがその攻撃は難なく防がれた。次に多方面から霊符を放つ。だが此れも同じく防がれる。

 

「ちいっ!」

 

「どうした人間。その程度か?」

 

今の攻撃で霊符を用いた攻撃は無意味と分かり、即座に《封魔針》を空亡の周りに放つ。予め取り付けておいた霊糸に霊力を流す。

 

「うん?」

 

「《封魔陣》!」

 

封魔陣。その言葉が発動の引き金(トリガー)となり、封魔針に依って結界が出来上がる。更に結界を通して空亡へ最大出力の霊撃を流す。

 

その衝撃で辺りに土埃が舞う。

 

妖怪にとって霊力とは《克服出来ない弱点》だ。目の前の妖怪も例外に漏れない。そこに、彼女の多大な霊力だ。倒せるとはいかなくとも、少なくないダメージが期待できる。筈、なのだが―――

 

「…糞っ!」

 

 

「………ふむ。少し、油断してしまったな。傷が付いてしまった」

 

土埃が晴れると、 其処に立っていたのは殆ど無傷の空亡だった。

 

(幾ら何でも硬すぎるでしょうが……!)

 

「ふふ、驚いている様だな、人間よ」

 

「おい妖怪、一体何をした。」

 

「我は何もしておらん」

 

「……な…!?」

 

「驚く事は無いだろう。唯、我とお主とで、地力に差が有るだけの事よ」

 

地力の差。それは文字通り、霊夢と空亡の実力の差を意味している。

 

確かに、力の差は理解していた。だが、此処まで差が有るとは……。

 

「幾ら霊力が弱点と言っても、対策は幾らでもある。妖力での相殺、能力による防御。だが、そんな事をしなくとも、地力の差で如何にでもなるものだ」

 

「っ……!?」

 

「どうした、来ないのか?ならば、此方から行くぞ。」

 

空亡が片腕を突き出すと、腕から闇が滲み出てくる。闇は段々と掌に集まって行き、ビー玉程の大きさに成った。

 

「ふむ。この程度で良いか。―――餌の時間だ。総て、喰らい尽くせ」

 

「―――ッ!!」

 

瞬間、闇が弾丸の如く飛び出す。霊夢は突然の事に驚くが、直ぐに其処から飛び退く。

 

闇は背後に有った木にグチャッと飛び散る。瞬間、飛び散った闇が広がり、木を黒に染め上げる。

 

闇が蠢く。その姿はまるで、餌を食い散らかす獣の様に。

 

すると、徐々に闇が萎んでゆく。萎みきった闇は、先程よりも肥大化しており、サッカーボール程の大きさに成っていた。

 

「なっ……!?」

 

「其れに触れれば、貴様も同じ運命を辿ることになるぞ?」

 

「糞っ!」

 

霊夢は直ぐに空へと逃げる。其れを追う様にして、闇は同色の羽を生やし、空へと羽ばたく。

 

「そうら、逃げろ逃げろ」

 

闇は霊夢の想像以上の速度で追いかけて来る。彼女も霊符を放ち迎撃を試みるが、闇にダメージは無く、それどころか霊札を吸収して更に速度を上げて来ている。

 

「ちいっ!」

 

 

 

「さて、測らせてもらおうか。今代博麗の実力を」

 

 

 

◼️◼️◼️◼️◼️

 

 彼女は今、予期せぬ相手に苦戦していた。

 

 一直線で自分に突撃して来る『ソレ』は、此方の攻撃が効かぬばかりか、攻撃を吸収して更に力を増すという、何とも厄介な奴だ。

 

 

 

 だが、何も倒せないという相手ではない。

 

 彼女を知る殆どの者が知らないことだが、彼女は生粋のスロースターターである。

 

 詰まる所、彼女は『スイッチ』が入るのが遅いのだ。

 

 彼女が闇に手こずっていたのは、其の面倒な性質が原因であると言える。というか、其れが無ければ、『この程度の相手』に遅れをとる事は先ず無いのだ。

 

 一度スイッチが入ったら、余程強い妖怪でも無ければ彼女を倒す事は出来ないだろう。

 

 其れは、目の前の敵も例外では無い。

 

 

 

 

 

◼️◼️◼️◼️◼️

 

カチリとした音と共に、全身の神経伝達が活性化し、視界がクリアになる。

 

其れと同時に、日常(いつも)の自分から、博麗(妖怪殺し)としての自分に思考が切り替わる。

 

――目の前の闇は何だ?

 

――妖怪、或いは其れに準ずるものである。

 

――了解、直ちに排除する。同時に解析を開始する。

 

――解析完了。結界術による断絶が有効であると考えられる。

 

――了解、直ちに実行する。

 

――結界術には重複結界を推奨。

 

――了解。霊力消費を抑える為、重複は二重とする。

 

霊夢は懐から霊符と封魔針を取り出すと、森へ急降下する。

 

 

 

「さあ、来なさい」

 

「◼️◼️◼️――――ッッッ!!!」

 

――霊力回路、異常無し――

 

――霊力循環、正常――

 

――霊力量、問題なし――

 

――霊符及び封魔針設置完了――

 

――霊力同期、完了――

 

――術式属性、断絶を選択――

 

――結界術式第弐番、重複結界を選択――

 

――重複数、二重を選択――

 

 

 

 

――結界陣、構築開始――

 

 

 




次回こそは、次回こそは……!
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