コードギアスlostcolors 優しさの色彩   作:オムロン

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以前見てくれていた方、初めて見る方よろしくお願いします


プロローグ&第一話

プロローグ 『色』

 

ライはいつもの日課に出ていた

夕暮れの街をライは一人で歩いていた

記憶が戻るかも知れないとミレイが外出を許可してくれているので最近は良くこの時間帯は学園の外にいた。

理由のひとつは勿論記憶探しだが、それ以外にも理由があった……

それは一人になるのが怖いから……

自分の家族は?兄弟は?学園に一人でいると急に不安に苛まれる……

それを紛らわすため、気が付いたら街に来ていた……

そんな事をしているためミレイには「不良息子になった」と良く言われるようになったが、なぜ、ミレイがそんなに自分を気にかけているのか分からないでいた……

 

「……あの。あなたの制服は、アッシュフォード学園のものですよね?」

 

町を歩いていると、一人の女性に声をかけられた

綺麗なピンク色の髪に、柔らかそうな物腰、だが何処かこの場所に浮いているような雰囲気につつまれ、見るからに『お嬢様』という感じの人物だ

 

「友だち……いえ、知っている方が通っているので、制服はよく覚えているのです」

 

彼女はそんな理由でライに声をかけてきたようだ

何処かで見た事がある用な気もしたが思い出せない。

話を聞くと街に出てきたのはいいが、まだエリア11に来たばかりで右も左もわからないようだ。

それで良く一人で出歩こうと考えると思ったが心に秘めておく事にした…

彼女は政庁に行きたいようなのでそこまで案内をしてあげる事にした

 

「あなたお名前は?」

「ライだ。君は?」

「私は……ユフィです」

 

簡単な自己紹介を済ませ真っ直ぐに政庁に……

行くつもりだった……

だが行けなかった……

いや、行けるはずがなかった……

ライは今の状況を考えて「ユフィは恐らく箱入り娘の貴族か何かなんだろう」という結論に至った

理由はユフィの行動にあった

ユフィは目にはいる物には直ぐに近づいて、見て、触り、そして質問攻め、それを延々とライ相手に続けていた。

ショッピングモールを抜けて近道をするつもりが失敗だった……

気が付けば普通に歩いて向かうより倍以上の時間がたっていた。

空は漆黒に覆われていた

 

「ライ。これは何ですか?」

「それはですね……」

 

こんな事を延々と続けていたがライは嫌な気分ではなかった。

むしろ心地よい気持ちになっていた。

そうしている中でライは気が付いた……

自分がただ歩き回っているだけだった事に……

記憶探しと言いながら実際は何も思い出せないでいた……

いつからか淋しさから逃げるために外に出ているだけになっていた……

いつからかライの中で世界の色は無くなっていた……

だが、今はユフィと歩いているだけで淋しさは無くなり、色々な物が色鮮やかに見えていた。

いや、ただ自分が色を見ないでいただけだろう。

最初の頃と全く変わらない状態になっていた事に今日初めて気が付いた……

ユフィが見せる色鮮やかな世界にライは感動していた……

誰かと居るだけでこんなにも色に満ち溢れた世界になるものなんだと……

ライは彼女に心の中で感謝した

 

「では、あなたは記憶を無くしているのですね」

「えぇ。だから記憶探しの一環で街を歩き回っているんですよ」

 

彼女と政庁に向かっている途中、自分の事を彼女に話してしまった……

まさか彼女に自分の身の上話をする事になるとは……

 

彼女の独特な雰囲気にあてられてしまったようだ……

 

どうも掴み所の無い彼女に少し惹かれていた……

 

 

 

目的地までもう少しとなった時、ようやく彼女の正体に気が付いた。

と言うより、状況に気が付かされた。

今、自分の周りをブリタニア軍人が囲っている。

そんな中で自分達の方に一人の人物が近づいてくる。

長髪でメガネを掛けた長身の男性。

最近テレビで良く見ている人物だった

先日、このエリア11の新総督としてやってきたコーネリア皇女殿下の専任騎士、ギルバート・G・P・ギルフォードだ

 

「探しましたよユーフェミア様。姫様がお待ちです。貴殿もユーフェミア様をここまで連れてきてくれて感謝する」

「え!?ユーフェミア皇女殿下!?」

 

その言葉を聞き彼女の正体に気が付いた

見覚えがあるはずだ

総督であるコーネリア皇女殿下と一緒に映っているニュースを良く見ているからだ

 

『ユーフェミア・リ・ブリタニア』

 

彼女とコーネリア皇女殿下は実の姉妹であり、彼女自身もこのエリア11の副総督としてエリア11に来ていた

だが、まさか副総督が政庁から逃げ出して街に出歩いているなんて誰が想像しただろうか

ライも今のような状況にならなければそんな事があり得る分けないと思っていただろう

 

「はい……黙っていて申し訳ありませんでした。それとここまでのご案内、有り難う御座いました。」

 

そう言うと彼女はギルフォードとその一団に守られながら政庁に向かっていった。

ライだけがその場に残される形になった

まるで嵐のように過ぎ去っていった……

ユーフェミアの悲しい顔が胸を苦しめていた……

彼女と交わした他愛のない会話が大切な思い出になっていた……

気が付いたらユーフェミアの事ばかり考えていた……

ライは記憶を無くしていたが初恋であることは何となく分かっていた……

だが、住む世界が違いすぎる……

もう会うことはないだろう……

そう思っていたのに……

 

それから数日後

ライはカレンに案内をされた時に気になっていたゲットーに再び足を踏み入れていた

 

 

 

第一話 『再会』

 

 

 

ライは以前カレンに案内されたゲットーにきていたのだが、そこにいる人物にライは声を掛けずには居られなかった

 

「どうしてここにいる?」

「……あら?あなたは……」

 

ユーフェミアが此処にいた…‥

 

たった数日しか経っていないのに彼女はまた自分の目の前に現れた……

 

また護衛もつけていないようだ……

 

どうやら彼女は懲りてはいないようだ……

 

「ここは治安がよくない場所です!護衛も付けないで来ていい場所ではないですよ!」

 

彼女とライがいる場所はトウキョウ祖界ではない……

トウキョウ祖界の周りにある戦争の爪痕を残す場所……

ブリタニアの支配の象徴とも言える場所……

 

『ゲットー』

 

ここはそういう場所の中の1つシンジュクゲットーだ…

 

「……危険はわかっています。でもやはり……」

 

彼女は一瞬、顔を曇らせたが直ぐに力強い目でこちらを見つめてきた。

 

「やはり、自分の目で見て、耳で聞いて、そうやって現実を知りたいのです」

 

彼女は叫ぶようにライに訴えかけてきた

 

ゲットーはブリタニアが支配している事をエリア11にいる日本人に見せつけるようにあえて残されている場所だ……

 

そこにはブリタニアの支配を受け入れられないでいるテロリストやレジスタンス、日本人というだけで差別され、虐げられ、ブリタニアに怒りを募らせる人間が沢山いる。

 

そこはまさにブリタニアの支配を象徴している。

そんな所にブリタニアの皇女が護衛も付けずに来ていることが知られれば彼女がどんな目に合うかなど誰でも想像がつくのに目の前にいる彼女はそんな事お構い無しでいる

それを考えてライは頭にきた。

 

「ふざけるな!!君は自分の立場を理解しているのか!!理解しているならなぜ一人で出歩くんだ!」

「そ……それは……」

「君はブリタニアの皇族だぞ!!日本人にとっては憎むべき相手だ!!殺してくれと言っているようなものだろ!!」

 

ライの怒濤の言葉の攻撃はまだ終わらなかった

 

「君の我儘で傷付く人間の事を考えているのか!コーネリア殿下が可哀想だろ!」

 

それを聞いて、ユーフェミアは下を向いてしまった……

 

ライのあまりの怒りように恐怖を覚えた……

 

彼女の目から一筋の涙が頬をつたい、地面に落ちた……

 

ライも彼女の様子を見て言い過ぎてしまった事に気が付いた……

 

謝ろうと思ったとき、ゲットー全域に大きな爆発音が響いた

爆発音がした方に目を向けると黒い煙が立ち上っていた。

そして回りのビルや建物から沢山のKMFが出てきた。

日本のレジスタンスが使う機体、『無頼』だ

するとそのなかのKMF一体が外部スピーカーを使い、周りに自分達の正体を明かした。

 

「我々は日本開放戦線である!草壁中佐の意思を継ぎ、ブリタニアに天誅を下す!立ち上がれ日本人よ!ブリタニア人を殺せ!」

「日本開放戦線!?何でこんなところに!?」

 

周りを見舞わすと、周りはパニック状態だ

逃げ場を失い逃げ惑う人、奮い立ち開放戦線に協力しようとする人達、ただそこに座り込み祈り続けている人

それを見てライは直ぐに行動に移すことにした

 

「とりあえず逃げる!ユフィこっちだ!」

「は!?はい!」

 

ライは彼女の手を引き、ゲットーの入り口まで急いで行く事にした。

だが、どうやら遅かったようだ……

入り口に向かう途中にある橋が無くなっていた。

恐らく開放戦線がブリタニア軍の進行を食い止めるために落としたのだろう

ゲットーに残っているブリタニア軍のKMFは精々一小隊位しかいないだろう。

現に目の前でブリタニア軍のKMF『サザーランド』が複数の無頼の攻撃を受けていた。

数では圧倒的に不利だ。

こんな状態ではユーフェミアを保護してもらうことは無理だろうと考えたその時、無頼のスタントンファーに弾かれたサザーランドが自分達の方に倒れてきた

 

「ユフィ!!危ない!!」

 

ライはとっさにユーフェミアを抱き締め、サザーランドに背を向け、ユーフェミアをかばった。

サザーランドが倒れた時、周りの瓦礫が倒れた衝撃で飛散し、ライの背中にぶつかってきた

 

「大丈夫ですか!?」

 

ユーフェミアはライの身を案じたがライは自分の身体より、目の前にあるサザーランドが気になった。

衝撃でハッチがあき、中から慌てて出てきたパイロットをレジスタンスの歩兵が容赦なく撃ち殺した。

それを目の当たりにし、ライはユーフェミアと一緒に近くの物陰に隠れながら、サザーランドの様子をうかがった。

サザーランドは頭部にダメージがあるように見えたがそれ以外は特に問題は無さそうだ

まだ動くはずだ

 

「コレで脱出するよ!!」

 

ライはサザーランドで脱出する事にした。

KMFなら二人乗ることも可能だ。

それにこの状況で武器を持たない人間があの包囲網を突破して脱出するなど不可能だ。

いざとなれば敵を倒して突破出来る。

 

「ですが…‥貴方はKMFを動かせるんですか?記憶が無いのでしょう?」

 

ライはユーフェミアの問い掛けに答えるために記憶を探ってみた。

KMFのコックピット内部、機動シークエンスのイメージが頭の中に浮かんできた。

KMFの操作方法は一通り理解しているようだ。

なぜ、KMFの操作方法が解るのかは疑問だか今はそんな事に時間を裂くことは出来ない

 

「…‥どうやら大丈夫そうだ。ユフィ!行くよ!」

 

ライは立ち上がったが、ユーフェミアは動けずにいた……

ユーフェミアは不安そうだった

今の状況で不安じゃあない方がおかしい

だからライはユーフェミアの肩を掴み、彼女の目を見ながら言った

 

「大丈夫!君は僕が護るから!」

ライの顔を見てユーフェミアは安心した

なぜ、彼の顔を見て安心したのかはわからないが、今は彼に頼ることにした。

彼なら必ず護ってくれるという確信が芽生え、同時に自分の中にまだ味わった事の無い幸福感に包まれていた

 

「分かりました。あなたにお任せします」

 

ライはサザーランドに乗ると直ぐに状態を確認した。

ライが考えていたようにサザーランドは頭部とハッチ以外、ほぼ無傷のようだ

ハッチは衝撃で歪んだのか閉まらなくなっていたが、サザーランドを動かすには問題は無さそうだ

 

「ハッチは閉まらないみたいだ!このままいくぞ!」

 

ユーフェミアを自分の膝に乗せサザーランドを再起動させる

サザーランドを起き上がらせた

ライはそのまま、ゲットーの入り口へ向かっていった

入り口には無頼が2体見張りで立っていた。

絶望的な状況ではなかったがさすがに2体は厳しいと判断した。

ライは通信機を使い、応援を呼ぼうと思ったがモニター画面には友軍機のマークには全て『LOST』の文字が付いていた。

 

(やっぱり全滅……)

 

ライがそう思った時、無頼がライ達の乗るサザーランドに気が付き、アサルトライフルをこちらに向けてきた。

 

「ちっ!気が付いたか…‥」

 

ライは2体の無頼を相手にする事になった。

ライは無頼に目をやった。

左の無頼は闘いなれている用に感じたが、右の無頼は動きからも、闘いなれていない雰囲気が出ていた。

ライは右から倒す事にした。

ライが突っ込んでくるのを見て無頼はライに向かって発砲してきたが、焦ってロックオンするのを忘れているようだ。ライのサザーランドは弾丸をかわし、相手の懐に潜り、スタントンファーで胸部を殴った。

 

「くらえ!!」

 

殴られた衝撃で相手の無頼は脱出装置が発動した。

コックピットブロックが飛んでいった

それを確認して相手の無頼の残骸からアサルトライフルを奪うと残りの1体に向けて発砲した。

殺す事が目的ではない、ライは無頼の脚部を狙い撃ちした。片足が破壊され片膝をつく無頼、危険を感じた相手のパイロットは脱出装置を手動で起動したようだ。

相手が冷静に判断できて助かった。

無頼のパイロットが脱出しなければ撃ちかえされ、ライがやられていただろう

 

「よし!」

「すごい…‥」

 

ユーフェミアは驚愕した……

目の前であり得ない事が起こった……

ユーフェミア自身もKMFにある程度は乗れるから解った……

一瞬にして2体のKMFを倒してしまうなんて、自分は出来ない。

ましてや相手の弾丸をギリギリでかわすなど不可能だ。

ライの操作技術はブリタニア軍内部でも指折りの実力者の物……そう感じた。

ライはスラッシュハーケンを橋の向こうにあるビルに撃ち込み、サザーランドを引き寄せ、飛び越えた。

 

「包囲網が引かれる前に指揮官のもとまで行きますよ!しっかりつかまっていてください!」

 

恐らくこの先に展開されているであろうブリタニア軍の作戦拠点に向けて走り出した

 

 

 

 

「ダールトン将軍!先攻していた部隊のKMFが向かってきます!」

「数は…‥一騎だけだと…‥」

ダールトンは考えた。

この状況で生き残っているパイロットがいるとは思えない。

ましてや自分一人で逃げ帰って生き恥をさらすような考えをもつ騎士が自分の部隊にいるとは思えなかった

つまり今、あのKMFに乗っているのはブリタニア軍の人間ではない可能性が高い事になる

ダールトンはサザーランド2体を引き連れてそのKMFの迎撃に行く事にした。

 

 

 

ライはサザーランドをブリタニア軍のG-1ベースに向かい走らせていた。

エナジーフィラーの残量が20%を切ってしまい、コックピット内部に警告音が鳴り響いていた。

ふとモニターを見ると、自分のサザーランドに友軍機の反応が3つこちらに向かってきていた。

 

「ユフィ!救援部隊が来たみたいだ!すぐに合流するよ!」

 

ライは残りのエナジーを全て機動系統にまわし、全速力で向かっていった。

 

救援のKMF3体が目視出来るところまで近づいていた。

 

(これで大丈夫だ!)

 

そう思った瞬間、突然機体が揺さぶられ、サザーランドは転倒してしまった。

一瞬、何が起こったが分からなかったが、モニターに映るサザーランドの機体情報を見て理解した。

サザーランドの左足が破壊されていた。

つまり、撃たれたのだ。

「貴殿の所属は何処だ?回答がない場合、敵とみなして処分する!」

 

そう言うと目の前の3体のKMFはこちらにアサルトライフルを向けてきた。

ライは慌てて通信機に手を伸ばしたが、エナジーが底をつき、通信機にまわせるほど残っていなかった……

 

「回答はないようだな……」

 

目の前の紫色のKMFから聞こえた言葉を聞き、その言葉の意味を理解したライは絶望した……

その時だった。

 

「お待ちなさい!」

 

ユーフェミアがコックピットから何とか這い出してその場で叫んだ。

 

「ユーフェミア皇女殿下!!なぜこのような場所に!?」

「話は後です!ダールトン将軍。彼と私を保護してください!」

 

ライはユーフェミアに続いてコックピットから這い出てきた。

それを見たユーフェミアは彼の姿に絶句した……

 

さっき転倒した時に頭部をどこかにぶつけたのだろう……

 

頭部から顔の半分を隠すくらいの量の血が流れていた……

 

「ライ……あなた……」

「よかった……無事みたいだね。ユフィ」

 

ユーフェミアは咄嗟に自分のスカートを破ると、それをライの頭部にあて止血をした。

淡い色が直ぐに真紅に染まっていき、生暖かい液体がユーフェミアの手を赤く染めていた……

 

「私より自分の心配をしなさい!」

「ごめん……ユフィ……」

 

ユーフェミアは涙を流していた……

自分の頭に手をあてているユーフェミアの顔を見てライは彼女が自分を心配している事に気が付いた。

そしてその顔が最近のミレイがする顔と一緒だと言うことに気が付いた

ライは初めてこの世界で自分は独りではない事に気が付いた……

家族でもない自分を心配してくれている人間が身近にいたことに今やっと気が付いた……

 

(ミレイさんにも謝らないと……)

 

ライはKMFの手のひらでユーフェミアに傷を押さえてもらいながら心に誓った……

 

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