コードギアスlostcolors 優しさの色彩 作:オムロン
G-1ベースに着くとライは直ぐに医務室に運ばれ、頭部の傷を縫合された。
8針も縫う大怪我だった。
その様子をユーフェミアは処置が終わるまでライの側で見守っていた。
「ライ。大丈夫ですか?」
「あぁ。少しふらつくけどね」
頭に包帯を巻き、ユーフェミアに支えてもらいながら、ブリッジに向かっていた。
自分達を保護してくれたダールトン将軍が話を聞きたいと、ユーフェミアから教えてもらったのだが、ブリッジに入った途端、そんな暇は無いことが分かった。
将軍や周りの仕官達が何かを話していた。
ライはブリッジ前方に設置されたモニターに目をやった。
今、ゲット―で発生している戦闘の情報がモニターに表示されていた。
そのモニターに日本開放戦線の陣営の所に大きな印が光っており、その回りに敵のKMFが配置されているのが分かった
恐らくその印をどうするか考えているのだろう。
「こんな所にリニアカノンなど置いて何が目的だ。あんなものただの的にしかならんだろ。」
「以前河口湖で確認されたものと同型だとおもわれますが、以前より銃身が延長されています。」
将軍と仕官の会話が聴こえてきた。
銃身が長いという事はそれだけ遠くを撃つことが出来るということだ。
だが、モニターを見る限りでは移動はしているが砲撃はしていない。
此方に向かって来ているのに撃たないのは自分達が目的ではない事になるつまり……
「トウキョウ祖界を砲撃するつもりなんだ……」
ライは思わず口にしてしまった
「貴様!何か知っているのか!」
ライの言葉を聞き、ダールトンはライに大きな声で問い掛けてきたが、あまりの迫力にライは驚きながらも答えた
「いっいえ!?何も知りません!ただ、将軍達の会話を聞いてそう思っただけです!あのリニアカノンは砲身が延長されてるですよね。だから長距離砲撃が目的かなと思って……あと!撃っていないのは目標がまだ射程圏外に有るためだと思います。だから射程圏内におさめるために此方に向かった移動しているんだと……」
ライはしゃべり過ぎたと思った
ダールトンがこちらを険しい顔で睨み付けていた。
無理もないだろう。
目の前の学生が相手の作戦を読みといているのだからどう考えても普通ではない。
ライはスパイだと疑われて拘束されると思ったがダールトンからは以外な言葉が帰ってきた……
「なら、貴様はどう対処する」
将軍であるダールトンがライに意見を求めてきた。
ライは呆気にとられたが応える事にした。
「えっ!?そうですね……一番最悪なパターンは敵がシビレを切らして目標を諦め、祖界やこちらに狙いを変えることなので出来るだけ短時間で対処しないとならないから……自分なら理想は単機ですが、そんな事が出来るはずがないので、少数精鋭で先行してリニアカノンを破壊します。この配置から考えるに敵の指揮官はリニアカノンに搭乗していると思いますのでまとめて排除出来ますね。その後、指揮系統が再構築される前に全軍で敵を殲滅します。そのため、今活動している部隊はゲット―両端に下げて、敵を出来るだけ分散させておきます。そうすれば指揮官を失った敵は簡単には合流出来なくなり、総崩れになります。……問題はリニアカノンに挑む部隊の生存率が異常に低くなるとこですが……」
話している途中にダールトンはライの肩を捕まえ、今、自分達が見ていた作戦立案のためにブリッジの中央に設置されているモニターまで連れてきた。モニターにゲット―の地図と自軍、敵軍の配置図が表示された。
それを見ながらダールトンはさらに問い掛けてきた
「ここの両脇に展開した部隊はどうする?リニアカノンを落とす前に両脇から挟撃されてしまっては意味がないぞ」
ライは目の前にあるゲット―の地図を指差しながらダールトンに自分の作戦を伝えた。
ライが指差したのはリニアカノンが通る中央通りから少し離れた両脇の道だ
「ここと、ここの2ヵ所の下には同じ道筋で地下鉄の線路がはしっています。ここのポイントに敵部隊が来たら発破をかけて、足場もろとも敵部隊を全滅させれば、挟撃出来なくなりますし、他の部隊も迂回しないと合流出来なくなります。」
ライは作戦を考えるのに集中していて、回りが見えていなかった。
周りの仕官達はライを疑惑の目で見ていた。
自分達より的確に敵を分析し作戦を指示し、さらに地図には載っていない地下鉄の配置まで知っている学生が普通ではない事ぐらい誰でもわかる。
学生を装った敵ではないかとダールトン以外の仕官達はライに視線を送っていた。
そんなこととは露知らずライはさらに話し続けた
「その間にリニアカノンを破壊する事ができますし、迂回ルートで待ち伏せをすれば残存勢力も合わせて殲滅出来ます」
「時間稼ぎと敵の誘導が一度に出来るというわけか」
ダールトンはライの考えた作戦が一番被害が少ないことが分かった。
長い時間を掛けれないこの状況でここまでの作戦を立てたライをダールトンは評価した
それにライが言っていた理想的な対応『単機』での先行にも当てがあった
ダールトンはこの作戦を実行することにした
「分かった。では今活動しているKMFをゲット―両端に下がるように指示をだそう。誰か『特派』をここに呼べ!」
「将軍!?まさかこの学生が立てた作戦を採用すると!?」
周りの仕官達は異論を唱えた。
自分達が考えた作戦ではなく、たまたまユーフェミアと一緒に保護された得たいの知れない学生が考えた作戦が採用されたとなれば自分達の立場がなくなってしまう。
そう考え異論を唱えたが、ダールトンの一言で何も言えなくなってしまった……
「ならば、今すぐにこれ以上の作戦を述べてみろ!誰が見てもこれほど迅速に、かつ的確に敵を殲滅出来る作戦を立てれるとは思えんがな……」
ライも含めて誰も話すことが出来なくなった……
それほど、ダールトン気迫は凄いものだった……
「ライは凄いですね……」
「えっ!?そうかな……」
ユーフェミアの言葉を聞いてライは疑問に思っていた。
自分は凄くない。
ただ意見を言っただけ。
今、この場で出来るのはそれくらい
そう思った。
ライとユーフェミアはブリッジの隅でダールトンの指揮のもとライが立案した作戦の準備をしているところを眺めていた。
どうやらダールトンには自分が言っていたものに当てがあるようだった
恐らくそれを待っているのだろう
今、彼らに出来ることは何もなかった。
すると突如、ブリッジの扉が開き、白衣を着て、眼鏡をかけた白髪の男性が副官らしき女性を連れて入ってきた。
「こんにちは~♪僕をお呼びの様で。やっとサザーランドに乗ってた人を教えてくれる気になったのかな?」
「違う。貴公の玩具の出番だ。この作戦成功のため、直ぐに用意させよ!」
ダールトンに対して馴れ馴れしい態度をとる人物は恐らくダールトンが呼んでいた『特派』の人間だろう
命令されたはずの眼鏡の男性はまるで無邪気な子供のような態度でダールトンに意見を述べた
「残念でした~♪急な呼び出しだったからデヴァイサーの彼がまだ来てないから動かないんだよね」
「ふざけている場合か!!」
「申し訳ありません!!」
ふざけたような態度に仕官の一人が声を荒げたが、本人はお構い無しといった感じだ。
恐らくいつもこんな感じなんだろう。
隣の副官らしき女性が反射的に謝っているように見えた
すると眼鏡の男性が思いもよらない事を口にした。
「あっ!でもさっきのサザーランドに乗っていた人なら動かせるかも~」
「え!?」
ライは思わず声を出してしまった
まさか自分の事が出てくるとは思っていなかった
「データを見る限りではKMFの操縦技術はコーネリア皇女殿下以上なんだよね。そんな人間なら僕の『ランスロット』を扱えるかもしれないよ」
ダールトンは黙り混んで考えているようだ。
恐らく彼が言っていた『ランスロット』という機体が単機で先行する事が出来る唯一のKMFなんだろう。
だが、それを動かせる人間は数少ないために使えないようだ……
だが、パイロットを待つ時間は無い…
今、この場で乗れる可能性がある人間は軍人ではなく民間人……
軍人でない以上、乗せる訳にはいかない……
ならば答えは1つ……
少数精鋭でいくしかない……
自分を含めた少数精鋭の部隊を編成する事を考えた……
その考えをダールトンの顔からライは読みといた……
「……仕方ない。私自ら…「待ってください!!」」
ダールトンが特派の協力を諦めた時、自分の言葉を際切るように後ろにいる人物が叫んだ。
その人物は勿論ライだ
「それに乗れば勝てるんですよね!皆を守ることが出来るんですよね!!」
「勿論!所で君は誰?」
ライは眼鏡の男性に食い入るように問い掛けた。
その問いに男性は自信を持って答えてきた。
そして男性は、今ここにいるはずのない人間であるライに疑問を抱き問い返してきた。
ライは素直に応えると同時に自分の意思も伝えるために叫んだ。
「僕がサザーランドに乗っていました!お願いします!僕に『ランスロット』を預けてください!」
「ライ!!何を言うんですか!貴方は軍人ではありません!ただの学生なのですよ!」
ライの叫びに対してユーフェミアは異議を示した
目の前にいる大切な人が自ら進んで命を投げ出そうしている……
ユーフェミアは何としてもそれを阻止したかった……
自殺行為を止めるのは当たり前の事という考えではあるが、ユーフェミアはそれは建前で、自分か本当は彼を失いたくないという思いのほうが強いことに気が付いた……
彼を思うと胸が苦しくなる……
彼と会話をすると心が弾む……
彼が悲しむと自分も悲しくなった……
彼と共にいたい……
自分をあの状況から助け出してくれた彼が愛しい……
そんな考えが彼女を突き動かしていた。
だが、ライは諦めずに、ユーフェミアを見つめながら彼女にも自分の思いを告げた
「ユフィ……でも、僕が乗れば皆を……ユフィを守れるんだ!!僕は見ているだけなんて出来ない!」
「でも……貴方は怪我を……」
ライが自分を守るために使いたいという思いは嬉しかったが、ユーフェミアは先程までのライの様子を思い出していた……
自分より他人を優先する。
それは恐らく彼の美徳のひとつだが、今はそれを忘れて自分を大事にして欲しかった……
先程のように大怪我をするのではないかと不安になり、ユーフェミアはうつ向いてしまった……
そんなユーフェミアを見て、ライは周りの事などお構い無しにユーフェミアを抱き締め、優しく耳元で囁くように、彼女を安心させるように話しかけた。
「大丈夫だよ。ユフィ。絶対に君の元に帰ってくるよ」
彼の言葉をひとつで安心してしまう自分……
ユーフェミアはようやく気が付いた‥……
自分は彼に好意を抱いている……
友としてではなく……一人の女として……
ユーフェミアは彼に惚れている……
その思いを自覚した……
本当は彼を止めたいが、彼が自分に約束してくれた……
必ず帰ってくる……
それを信じて待つことにした……
「約束ですよ!ライ!!絶対に私の元に帰ってきなさい!」
「イエス・ユア・ハイネス!」
ライは彼女に誓った。
必ず彼女の隣に戻ってくると……
彼女と共に世界を見ていくために……
そう心に誓った……
ダールトンはその様子を見て微笑ましくなった
未熟な皇女を支える騎士……
いや白馬の王子さまという例えがあっていた……
互いに引かれ会う二人……
互いに支え、支えられ共に歩いていく……
そんな二人の未来の様子が見えていた……