コードギアスlostcolors 優しさの色彩 作:オムロン
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ゲットーでの戦闘から1日たった
慣れないKMFでの戦闘に病院での精密検査で疲れきっていたため起きるのがお昼になってしまった
寝ていてもお腹はへる
ライは昼食を食べるため食堂に向かっていた
元々この学園の生徒ではないため周りから良く視線を感じるが今日は少し違う
視線を感じるが何時ものとは違う気がする
なんと言えばいいのか……なんか熱い
男子、女子問わず羨望の眼差しが飛んできている気がする……
頭の包帯に対してでは無さそうだ
まだ少し痛むな……
そんな事を考えていたら目の前に一人の女子が立ち塞がった
赤い髪におしとやかな物腰に少し虚ろな瞳の女子
自分のお世話をしてくれているカレン・シュタットフェルトだ
「ライ、おはよう」
「……おはよう」
「ちょっと後で、お話しできる?」
「?あぁ、いいよ」
そう言ってカレンはライを屋上に連れてきた
カレンのような美しい女性に誘われて屋上に連れてこられれば少しは期待してしまう
ライは内心ドキドキしていた
「質問があるわ」
ついに来た!
と思ったが飛んできた言葉はライが期待した物ではなかった
「昨日、ゲットーでテロリストから逃げるときKMFに乗ったて本当?」
「何でそれを!?」
昨日の事はダールトンによって箝口令がしかれていたはず、だが目の前にその事を知っているカレンがいる以上隠しきれていないのは明らかだ
「学園中で話題になってるわ。それより質問に答えて」
「確かにKMFに乗ったけど、それがどうしたの?」
「KMFって、車やバイクのように簡単に乗りこなせるものじゃないわよね?」
彼女が言いたいことは分かる……
普通の人間はKMFを『動かす』事は出来るかもしれないが、何の訓練も無しに『乗りこなす』事は出来るはずがない
彼女はそこに引っ掛かっているのだろう
「そうだね。でも何故だか分からないけど操縦方法を覚えてた」
「思い出した。ってこと?」
「多分。何時もと同じで他の知識みたいにただ知っていたんだ」
「そう……」
カレンはライの言葉に考え込んでしまった……
ライは素直にカレンに問い掛ける事にした
「君はどう思う?」
「KMFの訓練を受けてるって事は軍人か軍に関係のある家の人間かもしれないわね」
「でもそういう家なら捜索願いを出してないなんておかしいわ。他に考えられるのはテロリストやレジスタンスみたいな反政府組織の人間くらいね」
その言葉に昨日の目の前で自爆した日本開放戦線の事を思い出した
「テロリストかレジスタンス……そんな人間がこの学園にいるには危険すぎるね…」
自分も、もしかしたら彼らと同じように人々を傷つけ、現実から逃げるために自爆するような考えを持つ人間だったのかもしれないと考えると不安と憤りを感じていた
生きるより死を選ぶ人間だったのか……
そんな事ばかり考えていた
「あくまで仮説よ。気にする事はないわ」
「そうだね……」
カレンは気が付いてライに声をかけたがその返事に気持ちがこもっていない事にすぐ気がついた
余計な事を言ってしまった気がしたが聞かずにはいられなかった
彼が本当にKMFに乗れるなら彼をゼロに推薦したいと思っていたからだ
だが彼の顔を見たら少し揺らいでしまった……
それからライは食堂でリヴァルに声を掛けられたが、何の話をしていたか思い出せないほど自分の過去について考え込んでしまった……
「あなたは……」
クラブハウスに戻る途中でこの場に似つかわしくない服装の人物を見かけた
それは最近自分が会ったことのある人物
コーネリア総督の専任騎士。ギルバート・GP・ギルフォードだった
「君はこの前の……丁度良かった。実はある人物を探しているのだが、知らないか?」
「誰を探しているんですか?」
「『ライ』という青年なのだが……」
「自分が『ライ』です……何の用でしょうか……」
まさか目の前にいる人物から自分の名前が出てくるとは思わなかった
ライは動揺を隠せなかったが、ギルフォードは気にすることなくライを探していた理由を説明した
「我が姫様。コーネリア皇女殿下が君に御礼の言葉を伝えたいそうなのだ」
「僕にですか……」
「今から一緒に来てもらってもいいかな?」
「はい」
断る理由もない
ライは素直に車に乗った
ギルフォードと車内で二人っきり……
話すこともなくあっさりと政庁についてしまった
案内をされて総督の執務室に着いた時、ライは始めて自分が置かれている状況に気が付き柄にもなく緊張していた
そんなライをよそ目にギルフォードは執務室の扉をノックした
「コーネリア殿下。例の青年を連れて参りました」
「入れ」
「しッ失礼します!」
執務室に入るとまず最初にユーフェミアに眼がいった
彼女と目が合い、恥ずかしさに目をそらす
するとそこにはもう一人知り合いがいた
昨日、自分の作戦を信じてくれた人物ダールトンだ
そして二人に挟まれ中央の机に座る人物に眼がいった
何度もニュースで見た人物……
このエリア11の総督であり、ユーフェミアの姉であり、『ブリタニアの魔女』と呼ばれている人物
コーネリア・リ・ブリタニアだ
「貴公が『ライ』か……我が妹、ユーフェミアをゲットーから救いだしてくれたようだな」
「当たり前の事をしたまでです」
「その通りだ!」
同意されてしまった……
彼女なりのお礼の言葉なのだろうか……
そんな事を考えているとユーフェミアが代わりにコーネリアに意見してくれた
「御姉様。それではお礼になりませんよ」
「ユフィ。私の事は総督と呼ぶように言っているだろ!お前がそうでは下の者に示しが付かん!」
「申し訳在りません……」
「総督。ライが困っております。そろそろ本題に入られた方がよろしかと……」
「そうだな。我が妹ユーフェミアをよくぞ助け出した!エリア11総督として、ユーフェミアの姉として感謝の意をのべる!以上だ!」
以上だそうだ……
誉められている気がしないのだが……
まあ仕方ない……
それでも誉められないよりはマシだ
そんな中ユーフェミアが再びコーネリアに意見した
「おね……総督。それだけではありませんよね」
「私は認めてはおらん!私は自分の目で見たものしか評価しない!例え副総督と我が親衛隊将軍の推薦があってもだ!」
「だから僕が呼ばれたのではないですか~」
なぜかコーネリアの雰囲気が険悪になっている
そんな中相変わらずのロイドにライは思わず笑いそうになってしまった
こんな時に笑えるのはロイドだけだろう……
「特派は黙っていろ!……まったく……貴公はゲット―でKMFを操縦し戦闘に参加したそうだな」
「……はい」
「貴公が騎乗したKMFはブリタニア軍の最新技術で製造された物だ。軍事機密を知られた以上ただの学生としておくわけにはいかん……」
そう言ってコーネリアは此方を睨んできた
その視線にライは冷や汗が出てきた……
そしてコーネリアが何を言いたいか分かった
普通に考えれば当たり前だ
軍の機密を一般人が触れて、況してやそれを動かしたとなれば唯ではすまないだろう……
「つまり…僕を逮捕すると……」
重い罪には問われないだろうが、それなりにきつい処分になるだろう……
だが仕方ない……
自分はあの時なにもしないでいることも出来たのだから……
ライは覚悟を決めたがコーネリアからは以外な言葉が飛んできた
「本来ならな……しかし貴公のお陰でユーフェミアは無事に帰ってくる事が出来た……そこで選択肢を与える事にした」
以外な展開だ
コーネリア皇女殿下は規律にも厳しい人間だと聞いていた
そんな人間が自分に無罪か有罪かを選べと言っている
ユーフェミアは彼女にとって何よりも大切なのだろう
自分の友人にもそういう人間がいるからこそコーネリアの内心に気が付く事が出来た
コーネリアは固く口を結んだままだった
コーネリアの代わりにユーフェミアがもうひとつの選択肢の説明をしてくれた
「ライ。貴方ブリタニア軍に入る気はないでしょうか」
「僕がブリタニア軍にですか?」
「はい。貴方がブリタニア軍人なら問題は解決しますし、貴方の問題解決の力になると思うのです」
「僕の問題?」
何の事だろう?
軍事機密の罪は軍人になれば解決するはずだ
何の事か考えているとダールトンがこちらの考えに気が付き説明をしてきた
「貴公は記憶を無くしているようだな。ブリタニア軍に入ればブリタニア軍人として色々な施設で調査をすることが出来る。貴公の正体も分かるかも知れんぞ」
「しかし今総督が認めないと言っていませんでしたか……」
確かにそれは魅力的な話だがブリタニア軍のトップが認めない以上意味がない……
と言うことは結局、罪には問われるのでは……
「その通りだ!私の部隊に入るならちゃんとした手続きと手段を踏んでもらはなければならない」
「そこで特派をお呼びしたのです!」
コーネリアの言葉にユーフェミアは食いぎみで割って入った
「『特別派嚮導技術部』通称、『特派』。彼らはブリタニア第二皇子シュナイゼル兄上の部隊。彼らなら総督の許可が無くても入隊出来ます。」
ロイドさんの部隊に……
確かにそれなら問題は解決だが……
ロイドさんか……
地味に怖いな……
ロイドは人の身より、KMFを優先するほどのマッドサイエンティストだ
正直関わりたくはないが選択肢はない気がする……
そんな事を考えていたらロイドが目の前にたっていた
「僕は君に凄い興味があるんだ~良かったらウチで働いてみないかい?デヴァイサーとしてさ」
それはまさに新しい玩具を見つけた幼子のように目を輝かせていた
「……選択肢は他にありませんしね。よろしくお願いします」
「ヤッター!!」
銭腹は代えられない
とりあえずはここで頑張る事にした。
コーネリア殿下も別に部隊に入れないとは言っていない。
実績がないといっているだけだ
なら、実績を出せばいいだけ。
どうせ軍に入るなら行けるとこまで行きたい。
それにブリタニア軍に居ればユーフェミアに近づけるだろう……
そんなライの気持ちを知ってか知らずかユーフェミアがライに近づいてきた
「よろしくお願いしますね。ライ」
「此方こそよろしく。ユフィ」
ライの言葉にユーフェミアは顔を赤くして恥ずかしそうにライを見た
その仕草にライはときめいたが次に飛んできた言葉に全て吹き飛ばされてしまった
「『ユフィ』だと!貴様!皇族に対して愛称で呼ぶとは何事だ!この軟弱者が!!」
「申し訳在りませんでした!!」
「軍人になるなら礼儀作法くらいちゃんと勉強しろ!」
「分かりました!!」
ライはコーネリアにまさに手本のような敬礼をした
とりあえず今日は意思の確認だけだそうだ
明日、放課後に詳しい入隊の説明やテストがあるらしい
ライはそれを聞いた後、ギルフォードと共に執務室を出た
その後を追うようにユーフェミアが部屋を出ていき、執務室にはコーネリアと今回の入隊を強行した人物。ダールトンだけになった
「……まったく。ダールトン。少し強引ではなかったか?」
「ですが……」
ダールトンはそう言うとパソコンにゲットーでのライの戦闘データを表示した
「これ程の騎士の素質を持つ者ををそのままにしておくには勿体無いかと……」
ライの能力はまだ荒削りな状態だが、鍛えれば将軍級……いや、もしかしたら帝国最強の騎士。『ナイトオブラウンズ』と同等の騎士になれる程の能力を持つとダールトンは確信していた
「それに今までは枢木スザクがランスロットのパイロットだったため中々起用できなかったですが、彼がパイロットになれば周りも納得してくれるでしょう」
「ユフィの頼みでもあるからな……」
やはりコーネリア殿下にとって重要なのはそこなのだろう……だからダールトンは今回の事にユーフェミアを巻き込んだのだ。
自分が推薦しただけではライの無罪放免だけで終わってしまっただろう。
だが、ユーフェミアが推薦した事でライを無理矢理ブリタニア軍に入れる事が出来た
それほどコーネリアにとってユーフェミアは大切な人間だと分かっていた
「だが、例外は認められん!実績の無い者を私の部隊に入れるわけにはいかん!」
その考えはダールトンが同じ立場でも同じ考えに至っただろう。
だがダールトンは胸を張って答えた
「あの者なら必ず総督がお認められる程の結果を御見せできると思います」
「お前がそこまで言うとはな……少しは期待しておく事にしよう」
ダールトンの期待とコーネリアの期待はすぐに現実になることに、このとき誰も想像しては居なかっただろう。ただ一人、ライを想うユーフェミアを除いては……