武林の誉れに恋しなさい!   作:水華

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1話でまとめるつもりが、収まりきらず前半、後半の2話になってしまいました。
しかも思うがまま書き過ぎて無理矢理感が・・・

それと鉄心とヒュームは強化されています。
鉄心についてはどちらにするか悩みましたが、顕現シリーズ的にコレにしました。
ヒュームは権能を持たないですが、気の具現化と()()を徹底強化です。


大乱闘川神ブラザーズ①

神奈川県川神市に流れる多摩川(たまがわ)、そしてその多摩川に()かる変態が多いとして有名な変態橋の河川敷で強大な気を持つ者達が対峙(たいじ)していた。

 

♀一人は黒髪のロングに赤い目、前髪のバッテンがチャームポイントの女子高生、武神、川神百代。

 

♂一人は頭にサングラスを載せアロハシャツを着た全力で夏をアピールする金髪碧眼の青年で銀色に輝く魔剣と腕を持った(つるぎ)の王、サルバトーレ・ドニ。

 

♂一人は百代の祖父で川神学園の学園長及び武術の総本山、川神院で総代を(つと)める老人、川神鉄心。

 

♂一人は世界的な大財閥の九鬼、その従者部隊で永久欠番序列0位に居座る、不良執事の老人、ヒューム・ヘルシング。

 

♀二人はヒュームと同じ九鬼財閥の従者部隊で序列15位のステイシー・コナーと序列16位李 静初(リー・ジンチュー)のメイドさんコンビ。

 

武神、川神百代と剣の王、サルバトーレ・ドニの決闘から始まった闘争(とうそう)(うず)は川神鉄心の乱入、メイドコンビの強制参加、不良執事の乱入で大乱闘のバトルロイヤルへと突入した。

 

そして我慢出来なくなった百代が交叉(こうさ)した直後のドニとヒュームに突っ込む。

「おいおい、ドニだけ楽しんでずるいぞ私も()ぜろ♪」

「先ずは、川神流、無双正拳突き、乱れ撃ち!」

川神流の奥義、無双正拳突きの連打を二人に放つが当然のように回避する。

「ハハハ、じゃあ僕も」

緑に輝く魔剣を横薙ぎに振るう、その射線上には百代とメイドコンビが居たが一度見ている為、容易に(かわ)す。

 

「ファック!!こうなりゃ自棄(やけ)だ、()らいやがれ!」

金髪ポニテのメイド、ステイシーは2丁のサブマシンガン、UZIを取り出して9mm弾をばら()く。

 

「仕方ありませんね」

李もクナイを取出し気配を絶つ。

 

「赤子め、俺も狙うとはどういうつもりだ!」

怒気を込めた声がヒュームから響く、ステイシーの撒いた弾丸はドニと百代、ついでにヒュームを標的にしていた、ドサクサで日頃の鬱憤(うっぷん)を晴らす算段だ。

「チッ!あ~あ、すみません手元が狂いました~」

あまりにもわざとらし棒読み、意図(いと)を察せないヒュームでは無い。

「良い度胸だ赤子、再教育だ!!」

「楽しそうだねジイ様、僕も交ぜてよ」

「!?」

迫り来る銀閃(ぎんせん)をヒュームは剣の腹を蹴る事で(しの)ぐ。

「小僧が図に乗るな!」

「油断大敵ってね♪」「貴方もです。」

ドニの死角に現れた李が指の間に挟んだ三本のクナイで殴り掛かる。

しかし、ガッキーンと金属音が響き、クナイは剣の腹で防がれていた。

 

「残念、来ると思ってたよ」

「いいえ、(これ)で良いのです。」

「喰らいなクレイジー野郎!」「!?」

ステイシーがドニに向かって9mm弾を撃ち込む、体勢的に回避は不可、剣は李のクナイを防いで居て使えず防ぐ術が無くチェックメイトだった、相手がサルバトーレ・ドニでさえなければ。

「ファック!!なんだそりゃ!」

ドニの体の周りにはルーン文字が(おど)り、銃弾でアロハシャツはボロボロだがドニの肉体には傷一つ無かった。

 

鋼の加護(マン・オブ・スチール)、体を(はがね)の様にする権能の一つだ」

それに答えたのは苦々しい表情をしたヒュームだった。

「あぁ前にジイ様には見せこと有ったっけ?」

「フン、だがそれは鋼の強度と体重増加の権能だ、攻略法は幾らでもある!」

事実、ドニの権能鋼の加護(マン・オブ・スチール)は鋼の神格の不死性を再現するが、同時に弱点も再現し熱に弱い。

さらに付与された効果までは防げないのでヒュームのジェノサイド・チェーンソーを喰らえばダメージが無くても体力を十割(けず)られるのだ。

 

「川神流、致死蛍(ちしぼたる)!」

空中に跳んだ百代がドニ、ヒュームそしてメイドコンビに向って気弾を雨の様に降らす。

彼らも黙って喰らうハズも無く散会、ドニは剣技で気弾を切裂きつつ、メイドコンビは銃弾とクナイで弾幕を張りつつ逃げ回る、そしてヒュームは百代に高速で接近し

「邪魔だ赤子!」

回し蹴りを叩き込んだが、百代も目で追えていたので腕をクロスして防ぎ、蹴りの威力を利用して地面に戻った。

 

「ははは、(みなぎ)って来たー!」

スロースターターの百代だが、この面子に加え刹那(せつな)の攻防の連続にいつもより早くトップギアへと移行、此処(ここ)で剣の王と不良執事、同格となった武神の力が均衡(きんこう)する。

 

「ふん、やっと本気か川神百代!」

「おぉ!良いね楽しみだよ♪」

「ファック!!化物頂上決戦なら他所(よそ)でやってくれよ」

「ステイシーに同意です。」

 

各々が反応する中、終にこの老人が動いた。

「貴様ら良い加減にせい!顕現(けんげん)の参・毘沙門天(びしゃもんてん)!」

気で編まれた神仏像による踏み潰しが彼等に迫るもその足は斬撃と蹴り、そしてエネルギー砲によって迎撃された。

 

そして鉄心を含めた第2ラウンドが始まる。

 

◆◆◆◆◆◆

 

「凄い戦いなのじゃ...」

川神学園の屋上、此処(ここ)では現在進行形で行われている河川敷のバトルロイヤル、その様子が空中に投影されていた。

「あれがモモちゃんの本気モードかな?」

「東西交流戦で見たのと同じ、まず間違いないでしょう。」

屋上に居るのは九鬼紋白とアテナ、その護衛として羅翠蓮、とある計画の為に情報収集として松永燕の4人で他のクローン組には翠蓮と燕の事を教えていない為、この場には呼んで居ないが翠蓮の護衛対象には含まれて居るので学園内の位置は把握している。

 

そして4人が見ているのは翠蓮の遠見の方術で空間に気で投影された戦地の様子である。

「しかし良かったのか?あの者は(なんじ)に会いに来たのであろう?」

アテナが翠蓮に問い掛ける、智慧(ちえ)の女神としてはあの場に向わずに護衛に(てっ)している事に違和感を覚えていた。

「構いません、元より『剣の王』は私との再戦に(おとず)れたのでしょうが、あの様子では忘れているでしょう、ならば悪戯(いたずら)に戦火を広げる必要も有りません。」

【あの剣術バカと戦うのは色々と面倒ですしね。】

【フム、(うそ)を付いては居ないようだが・・・】

 

「だが羅濠(らごう)よ、貴女(あなた)は根源的に闘争を好む、切欠(きっかけ)さえあれば(すぐ)にでも戦場に向うであろう」

「「「・・・」」」

アテナは(いくさ)智慧(ちえ)の女神、その二つに関連した予言めいた提言(ていげん)に彼女達は押黙る。

しかし、沈黙は燕の一言で終りを迎える。

「あっ、学園長が動いた!」

『『『!』』』

 

「ほぉう、あれは仏門の毘沙門天の権能か」

「やはりですか、以前見た時よりそんな気がしておりました。」

「何じゃ、川神鉄心殿も権能を持って居ったのか?」

アテナの(つぶや)きに翠蓮は納得し、紋白は初耳だったようで聞き直す、燕も初耳でビックリしているが表情には出さない。

 

「えぇ以前、武神と決闘していた時に使いましたが一瞬の事で断定(だんてい)は出来ませんでした。」

「でも、2回目で()つ権能とぶつかった事で把握(はあく)出来たと?」

「えぇ燕、その通りです。それはアテナもでは?」

(しか)り」

 

そんな会話を聞いていた紋白は関心していた。

(みな)凄いのぉ、我には違いなどさっぱりじゃ」

 

◆◆◆◆◆◆

 

毘沙門天の足が迎撃されると同時に鉄心は百代へと向かう、孫の暴走を止めるのは祖父の役目との義務感からだ。

「!?」「あれ?避けられちゃったか~」

おどけた様子で言っているドニだが、その手には緑に輝く魔剣が有り、鉄心に斬撃を飛ばして出来た隙を当然周りは見逃さない。

此処(ここ)です!」「くたばれクレイジー野郎!」

李とステイシーのメイドコンビがドニに向かって飛針(とばり)と銃弾の弾幕(だんまく)を張る。

 

「ん~その程度なら、防ぐまでも無いかな?」

ドニの(はがね)の体に効かない事は承知している二人の狙いは別に有った。

 

「ナイスアシスト♪」「!?」

メイドコンビの狙いはドニに接近する百代に気付かせない様にドニの気を()らす事に有り、目的は達せられ百代はドニに抱き付いた。

「え~と、何のマネだい百代?」

抱き付かれて戸惑っているドニに百代はニヤリと口角を上げて()げる。

愛の抱擁(逃がさないように)さ、川神流、人間爆弾!」「!?」

百代を中心に大爆発が起き、その暴威(ぼうい)にドニを巻き込み煙が()がる。

 

「ロック!!、ありゃ流石に立てねぇだろ」

「どうでしょうか?」

 

しかし煙が晴れると其処には無傷のドニと傷や火傷だらけの百代が立っていた。

「いや~百代の愛は熱いね~こんな熱烈なの(自爆)は初めてだよ」

「...瞬間回復!、今ので無傷とか出鱈目(でたらめ)だな」

「いや、百代も大概(たいがい)だからね?」

大爆発で少し肌が赤くなる程度のドニ対して苦言を呈する百代だが、大火傷を瞬時に治す百代も人の事は言えないのと珍しく突込みに回るドニだった。

 

「...」「ファック、やっぱり化け物だろこいつら」

李とステイシーは無傷の二人に溜め息を()くのだった。

「フン、そう言えば赤子等の再教育がまだだったな」

「「!?」」

メイドコンビの背後にはいつの間にかヒューム・ヘルシングが立っていた。

「ツイン・チェーンソー!!」

二段蹴りをメイドコンビに向って放つヒューム、咄嗟に腕を交差して防御するが吹飛ばされてしまった。

「ファック、ヒュームのジジイめ!」「元はステイシーが原因では?」

意外と余裕の有るメイドコンビに追撃を仕掛けようとしたヒューム

「致死蛍、蛍光乱舞(けいこうらんぶ)!」

しかしそれはばら()いた大量の気弾によって(はば)まれる、百代が広範囲攻撃によりドニとその他への牽制(けんせい)を目的としたものだった。

「李!」「!受け取ってください」

呼掛けに即座に意図を察した李はステイシーに向って黒い何かを2つ飛ばす。

ステイシーは両手のサブマシンガンからマガジンをパージし一回転してグリップエンドを李に向けると飛来したマガジンが装填(そうてん)されリロードが完了する。

「いくぜ、ロックンロール!」

テンションMAXのステイシーが迫り来る気弾を9mm弾で次々に射ち落し、撃ち漏らしを李がクナイと飛針(とばり)で仕留めつつリロートのタイミングでステイシーにマガジンを飛ばす。

 

「ヒュー、やるね~」

その様子をドニは黄色に輝く魔剣で気弾を切裂きつつ眺める。

百代がメイドコンビを横目で見つつも意識の()れたドニに仕掛け様としたが

「川神流、濁流槍(だくりゅうそう)!」「!?」

気配を薄める事で皆の意識から外れていた鉄心がいつの間にか川に接しており、川の水を利用して水の槍を百代に飛ばす。

 

少し反応が遅れたが、百代も(ただ)技を喰らうハズも無く。

「川神流、畳返し!」

地面に(てのひら)を叩き付ける事で畳で壁を作る様に土の壁を作り水の槍が貫通する前にその場を離れる。

 

「危ない危ない、ジジイの影が薄いから忘れてた」

(やかま)しいわい!」

 

そしてこの男が仕掛ける。

「調子に乗るな赤子共、串刺しの林(カズィクル・ベイ)!」

ヒュームが地面を踏み付けて気を流し込み技名を告げると地面より無数の杭が飛び出し襲い来る。

 

ドニはその剣技で、百代は拳で避け切れない物を砕きながら避ける。

鉄心は、技の範囲外、つまり川の上に移動、水面に立っている事はこの際気にしない事にする。

だがメイドコンビは避け切れずに数本の杭に貫かれた。

 

「カハッ」「ぐっ」

ヒューム・ヘルシングの技、串刺しの林(カズィクル・ベイ)

ブラド・ツェペシュ公爵の逸話(いつわ)より再現、地面を踏み付けると同時に気を流し込み地面から大量の気で()まれた(くい)()やす。

その杭は1本で1割の体力を削り、刺さったままだと気を吸われる。

 

ヒュームは権能を持っていないが、体力や気を削るのを得意とし、その(さい)たるのがジェノサイド・チェーンソーの体力十割(けず)りなのだ。

 

話しが()れた為、軌道修正!

つまり複数の杭で二人は甚大(じんだい)なダメージを受けた事になる。

 

此処(ここ)までだな、ツイン・チェーンソー!」

杭を消し、二段蹴りでメイドコンビを九鬼の従者が(ひか)えている付近に吹き飛ばす。

此処にメイドコンビの脱落が決定した。

 

◆◆◆◆◆◆

 

―翠蓮side―

 

「あっ!メイドさんコンビが脱落か~」

「ふむ、あの者達を相手に良くもったものよ」

「そうじゃな、九鬼の者として我も誇らしく思うぞ」

川神学園の屋上ではメイドコンビが脱落するシーンが流れ、燕が現状をアテナと紋白が賞賛を述べる。

【あの(くい)は気で()まれてますね、基点は右足の下辺り、それと気の流れから察するに・・・】

(くちびる)付近に人差し指を付けてヒュームの技を観察する。

 

「どうしたの羅濠ちゃん?」

考え込んでいる翠蓮に気付いた燕が問い掛ける。

「いえ、何でも有りません。ん?どうやら来客の様ですね」

翠蓮が来客の(むね)を告げて数瞬(すうしゅん)の後、屋上のドアが開かれて一組の男女が入って来た。

 

「羅濠翠蓮様、覚えておいででしょうか?リリアナ・クラニチャールです。」

「えぇ、久しいですね」

男女はリリアナ・クラニチャールと直江大和だった、二人は生徒達の避難が(おわ)ると闘争を止められる可能性として翠蓮を(さが)す事になり、説得役として軍師の大和が同行する事となっていた。

まぁ(みやこ)が反対したり、リリィが警戒したり在ったが割愛(かつあい)する。

大和は意外な面子(めんつ)に驚きつつも情報を集める為に観察を開始する。

 

「今、河川敷で起こっている事はご存知(ぞんじ)ですか?」

「えぇ、把握(はあく)しています。」

投影された映像を指し示す、リリィも横目で見えていた為、続ける。

 

「ならば、率直(そっちょく)に申し上げます!この闘争を止めて頂けないでしょうか?」

リリィも壁を越えた力を有しては居るがあの面子(めんつ)には一歩劣(いっぽおと)る。

 

【言葉で、止まるとも思えませんね】

「ふむ、(これ)に参加しろと?」

 

「い、いえ、そうでは無く仲裁(ちゅうさい)を『同じ事です。』・・・」

 

「先程より観ておりますが、川神鉄心はともかく他の面々は言葉では止まらないでしょう、そもそも私の所に来た時点でお前も、それは分かっていますね」

「・・・・・・」

反論の余地(よち)は無い、事実その通りなのだから、だが分かっていても騎士として止めたいと思う心はどうしようもない。

 

◆◆◆◆◆◆

 

河川敷での闘争は激しさを増していた。

メイドコンビの脱落後、一時的に膠着(こうちゃく)するも我慢出来なくなった百代によって再開、ヒュームに突っ込み一合、二合と打撃の応酬(おうしゅう)を重ね地面をえぐり、ドニが斬り掛かる事で斬撃の(あと)(きざ)む。

三人が乱戦と()っている時。

「川神流、致死蛍!」

「「「!?」」」

近くにいきなり現れた気配の主、鉄心が放った無数の気弾に三人は飲み込まれた!

 

「いや~ビックリした!」「瞬間回復!」

ドニは鋼の加護(マン・オブ・スチール)で無傷、百代は何時(いつも)(ごと)く瞬間回復でドニによる治癒阻害(ちゆそがい)の傷以外を消す。

 

「チッ!、摩利支天(まりしてん)か」

ヒュームは鉄心の権能、顕現の(いち)摩利支天(まりしてん)の効果を知っており、ダメージを最小限に(おさ)えはしたが、無傷と(まで)はいかなかった。

 

「ドニとか言ったか、おぬしの魔剣と鎧の組合せは確かに脅威(きょうい)じゃが」

鉄心がドニに迫る、どんなに速くとも心眼(しんがん)会得(えとく)しているドニには反応出来る為、当然迎撃(げいげき)する。

だが百代と同じく絶対防御は心に(すき)を生む、その隙をついて鉄心は(こぶし)をドニに届かせて

「川神流、(あぶり)り肉!」

内に()めていた気をいっきに炎に変換して拳が接して居る部分に叩きつける。

「あちち!?」

バックステップで下がったドニのただでさえボロボロだったアロハシャツは今の攻防で完全に喪失(そうしつ)し、焼かれた体も赤く為っていた。

 

「やはり、鉄をも()かす熱が弱点か」

どうやら弱点を確認するための行動だった様だ。

 

「うん、僕の権能は身体を(はがね)の様にするだけで全てを弾く分けじゃ無いからね」

あっさりと自白するドニ、弱点が露見(ろけん)したところで構わないと言った風体(ふうてい)だ。

 

「コレ以上長引かせる分けにも行かんな」

持久力が落ちて来ている自覚があるヒュームは短期決戦の為にカードを一枚切ることにした。

 

貪る群狼(リージョン・オブ・ハングリーウルヴズ)!」

全身から気を放出し、その気が狼を形作る。

 

グルルルルッ

12体の狼が(うなり)り声を上げる、まさに()れる狼だ。

 

「おっ!、(なつ)かしい技だね」

「フン、小僧、ならばコレの能力も覚えてるな、行け!!」

アォーーン!

ヒュームの合図で郡狼(ぐんろう)遠吠(とおぼ)えで答え駆出(かけだ)し、ドニ、百代、鉄心に各4体ずつ向う。

 

「郡狼は厄介じゃのぉ」

「ハハハ、気の具現化か面白い!」

鉄心もライバルでも有るヒュームの技は知っており溜め息を吐くが唯一知らない百代は嬉々(きき)として(むか)え撃つ。

 

ドニは黄色に輝く魔剣で切裂き

百代は噛み付いて来る狼を拳で吹飛ばし、叩きつけ蹴り抜く。

鉄心は向かい来る狼を回避しつつ、最小限の接触で投げ飛ばした。

 

そして狼が形を維持出来ずに消えると新たな狼がヒュームの足元から出現し駆出して行く。

「・・・小僧、その剣は気の構成を斬ってるな?」

「ハハ、ばれちゃったか」

おどけた様に(した)を出しつつも剣の()えは微塵(みじん)(にぶ)らない、ドニの技量の高さが(うかが)い知れる。

 

「確かにそれなら防げるかもしれんな、ならば直接叩き込むまで!」

ヒュームはドニに向って駆出し、郡狼と連携して蹴りを繰出す。

最初は迎撃しようとしたドニだったが、何かを感じて直感を頼りに避ける。

するとヒュームの足から放たれた気が狼に変わって飛び掛り左腕に()み付いた。

「チッ!」

直に魔剣で切裂く、噛まれた左腕に傷は無いがドニは溜め息を()きつつも笑みを浮かべると言う可笑しな表情をした。

 

「相変らず厄介(やっかい)な能力だよね~」

「フン、どんどん行くぞ小僧!」

再度、ドニとヒュームは激突した。

 

◆◆◆◆◆◆

 

川神学園屋上では説得に難航(なんこう)していた。

リリィは騎士の礼を取りつつも助力をお願いしているが、助力相手の翠蓮は面倒臭い、もとい穏便(おんびん)な解決は不可能と切捨てる。

 

そんな中、大和が動いた。

 

「あの羅濠先輩、少し良いですか?」

「ん?、お前は何です?」

今気付いたと言わんばかりに眼中(がんちゅう)に無かったようで大和は自己紹介から入る事にした。

 

「2年F組み、直江大和です、少々(たず)ねたいのですが?」

「良いでしょう、申してみよ」

翠蓮の許可も出たので、大和は説得の糸口を探す為、言葉を重ねる。

 

「サルバトーレ・ドニさんは羅濠先輩に会いに来たと言っていました。」

「そのようですね」

 

「その道中に姉さん・・・川神百代と遭遇して今回の騒動に発展たんです。」

「二人とも戦闘狂と呼ばれる人種、良く有る事でしょう。」

 

「それで羅濠先輩は行かなくても良いのですか?」

「・・・何が言いたいのです?」

 

若干(じゃっかん)、声のトーンが落ちた翠蓮に冷汗を()きつつも続ける。

「いえ、恋人のに会いに行かなくて良いのかなって思いまして」

「「「「!?」」」」

 

「...えっ?聞き間違えですね」

『もう一度言いなさい!』

「は、はい、恋人に会わなくていいのですか!?」

【えっ何で?、口が勝手に】

翠蓮が言葉に言霊を乗せる事で強制的に言わされ、勝手に動く口に大和は驚愕する。

 

「は、はあああ!?、何故そんな事になっているのです?確かに剣術に関しては一目置きますが、それだけのアイツと!」

『納得の行く様に答えなさい!』

「ドニさんの言葉からそう判断しました。!?」

「・・・」

(しば)し考えるも(すぐ)に結論を出した翠蓮はリリィに()げた。

 

「リリアナと言いましたね?」

「は、はい!」

「少し此処(ここ)を離れます、その間そこに居る少女の護衛しなさい、出来ますね?」

此処を離れる、つまり行き先は河川敷だろうと考えたリリィはこれを了承するのだった。

 

「何じゃ、結局アテナの言うとおりになったな」

「そうだね~あっ羅濠ちゃん、程々(ほどほど)にね!」

「・・・」

 

燕の注意を聞き流しながら、気を高め始めたが、そこでアテナが声を掛ける。

「フム、羅濠よ(わらわ)も連れて行くがよい」

「?構いませんが、如何(どう)したのです?」

 

「なに、戦神としての血が(さわ)ぐのでな、それに面白そうだ。」

楽しそうに微笑(びしょう)するアテナ、所謂(いわゆる)アルカイックスマイルと呼ばれるものだ。

そしてアテナは翠蓮に抱き付く、井上が居たら(ねた)みつつもアテナの行動に昇天(しょうてん)しそうだが、(さいわ)いこの場には居ない。

 

縮地神功(しゅくちしんこう)神足通(しんそくつう)!」

翠蓮とアテナは闘争(とうそう)(うず)の中へと向って転移するのだった。

 




串刺しの林(カズィクル・ベイ)
ブラド・ツェペシュ公爵の逸話(いつわ)より再現、地面を踏み付けると同時に気を流し込み地面から大量の気で()まれた杭を()やす。
その杭は1本で1割の体力を削り、刺さったままだと気を吸われる。

貪る群狼(リージョン・オブ・ハングリーウルヴズ)
映画ヴァン・ヘルシングが(おおかみ)に化身する場面を参考に体の一部、足や腕に気の具現化で出来た狼を宿したり、気で編まれた狼を召喚する。
ぶっちゃけサーシャ・デヤンスタール・ヴォバン侯爵の権能を再現した技です、まぁ狼への化身は有りませんが、噛み付かれると気を削りとられる。

どちらもジェノサイド・チェーンソーの当れば体力を十割削るに比べれば効果は薄いですが、汎用性は有るかと...

そして鉄心さんは権能持ちにしちゃいました(テヘ)
だって技名が・・・ね?
顕現の壱・摩利支天(まりしてん)、顕現の弐・持国天(じこくてん)、顕現の参・毘沙門天(びしゃもんてん)、顕現の七・神須佐能袁命(かむすさのおのみこと) 八岐斬(やまたぎ)り、顕現の九・天津甕星(あまつみかぼし)そして顕現の(ゼロ)天之御中主(あめのみなかぬし)

ただ顕現の(ゼロ)天之御中主(あめのみなかぬし)がどんな技なのか作者が知らない為、出せないという・・・知っている方居ませんか?あと四から六と八

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