「ハァハァ、クッ効いたわい!」
肩で息をする悟空、京極の戦士の化身により外傷は無いものの、黄金に輝く言霊の剣で神格を切裂かれ殆どの権能が封印されてしまった。
「ご、悟空さん!」
「姉上、ご無事ですか?」
『ん?今斬られた様に見えたが、アレを避けたのか?』
『いや、ちゃんと当たってたぞ、ただ
『実体が無い?』
『ん~うまく言えないが、何かを切ってはいるんだよな~、それに切られた時の反応から多分、気を使った技・・・能力だと思う』
『能力を切る・・・つまり能力殺しか!俺の場合は光竜覚醒を...なるほど厄介だな』
「あ、姉者...すまぬ!それがしが羅刹女に遅れをとったばっかりに、おのれ色香で惑わすとは卑怯な!」
「・・・・・・」イラッ
握り拳を作って悔しがる猪八戒に翠蓮は苛立ちを感じた。
「かくなる上はそれがしが姉者の仇を取ってあの三宝を、グフフフ、あ痛っ!?」
「勝手に殺すで無い!」
猪八戒の足を悟空が棍で叩く、15メートルの巨体の頭に届かない為、仕方なく
「い、痛いでござるよ~姉者、それがしは姉者の為に」
「嘘つけ!欲望が駄々漏れじゃ!!」
「な、何と!?、姉者にはそれがしの心の声が『
悟空の
「たく、あやつは...」
盛大な溜め息を吐く、一応顕現した義弟達との
「気を抜き過ぎですよ空」「?!」
殺気を感じ、咄嗟にその場を飛び退く悟空。
「?」
しかし、特に何も起きないので首を傾げる。
「弱っている処に奇襲を掛ける等と、この羅濠がすると思いますか?それは侮辱ですよ
「・・・カッカッそうじゃったのぉ許せ
「・・・ほぉう」
ニィッと笑う悟空に翠蓮は興味を
2人の間に張り詰めた空気が流れたが。
「おっと!そうじゃった翠、1つ提案なんじゃが...」
「...なんです?」
「フム、これより我らの一騎討ちとしたいんじゃが、ぱ~とな~を気に掛けずにのぉ」
「・・・・・・」
悟空の提案、その意味するところはタッグ戦での互いのペア、その
【また神格を切られたら堪らないしのぉ】
【まぁ何の問題もありませんね】
「良いでしょう、下がりなさい彦一」
「あぁ分かった」
「モロも下がってくれぬか?」
「うん、良いけど...その、ゴメンなさい」
「ん?何で謝るのじゃ?」
いきなり頭を下げたモロに悟空は警戒を解かずに視線を送る。
「その、僕が足手まといだから悟空さんは...」
「・・・プッ、アハハハ!」
「??えっ?え、あれ??」
笑いだした悟空に戸惑うモロ、
「モロが居たから此処まで来れたのじゃぞ?足手まといでは無いのぉ」
笑顔で何の含みも無く言い切る。
「悟空さん...」
「そうですよモロ様、それに姉上が斉天大聖へと至るには避けては通れぬ道、
「沙悟浄さん」
「ムッどういうことじゃ沙悟浄!」
「身共の口からは、いずれ分かる時が来ましょう」
逆に沙悟浄は陰険な感じに含ませる。追及を諦めた悟空は『まぁ
「まぁあれじゃ、どうしてもと申すなら、そうじゃのぉ今度川神の案内を頼む、それと
「ハ、ハハハ、うん任せてよ♪」
「デートかと思ったら、姉者は花より団子でござるか、もっとこう
悟空の
「だから痛いでござるよぉ、姉者ぁ」
「何と無くイラッとしたのじゃ、気にするな」
「気にするでござる!!」
「それより姉上、これ以上待たせても良いのですか?」
「おぉすまぬ
「...構いません」
「うぅ姉者も沙悟浄も酷いでござるよ~」
すすり泣く猪八戒を無視する面々、そして京極とモロが離れ、2人と2柱が残った。
「さて二弟に三弟、ぬしらの力を貸せい!」
「承知しました姉上」「ぬうぅ分かり申した」
「「「
「!」『『『!?』』』
最初に気付いたのは翠蓮、膨大な気力が渦巻く。そして全ての観客が変化に気付いた。
まず猪八戒がその巨体を圧縮しながら黒い猪へと変じ、悟空が背に
次に沙悟浄が姿を竜へと変じて悟空の背中に沿うように纏い三妖神一体となった。
「来い、
先程投げた棍が飛んで来て悟空の手に収まった、それを3メートル程に伸ばし感触を確めた
「
翠蓮の
ザッザッ、ズドンドドド!黒い猪がリングを踏みしめて突進する。その背には棍を右手に固定した悟空、その様はまさに槍を手に
「
棍に
ゴポッゴゴゴゴ
「なっ?!ゆ、
悟空の背中の竜が吐き出した水が竜を形作り、現れた翠蓮を襲う。しかし翠蓮の掌による突き上げ、所謂アッパーの衝撃で上に流した。
「そこじゃな!」「
ズドドド!悟空が針を飛ばすも、また翠蓮の姿が消え、少し離れた場所に現れた。
「縮地神功を破るとは、流石ですね空」
翠蓮が使ったのは移動チートの
「カッカ、それには苦労させられたからのぉ、それ!」
悟空の合図で黒い猪が駆ける。その疾駆はまさに疾風、目にも止まらぬスピードだった。
「覇っ!」
気合いと共に地面より黄金の右手が生えた、権能
「甘いのじゃ!」「なんと!?」
黄金の
「ぐふっ、何とも厄介な物ですね、ならば」
翠蓮は気を練り上げながら左腕を引き絞り右手を地面に向けて構え。
「
ドン、ビシィ、ビリビリと左の掌で打ち込んだ一撃がリングに伝わり一瞬の静寂の
『これは地震でしょうか?このタイミングで来るとは、しかも大きい!』
「うわ、とと」「これはまさか?」
司会の田尻はバランスを取りつつ意地の実況、モロと京極は立って居られない為、リングに伏せる。
『おいおい、マジか!地震を起こした?しかも私がやるのと同じ、いや大きいか♪』
『...もう俺は何も言わん!』
「なる程のぉ、我等の疾駆をおそれて足場を崩したのじゃな?じゃが」
裂け砕けたリングは海上に有るため徐々に沈んで行く、もはや3分ともつまい。黒い猪が乗って居た足場を粉々に砕いて跳躍し弾丸の様に翠蓮へと迫る。
「水は木を生み、木は土に
聖句を謡い気を振り絞ると、リングの各所から蔦が飛び出して猪を捕らえんと殺到する。
「無駄じゃ」
ルゥオオオオオオン!
悟空が気力を猪に送り込む事で蔦の拘束を引き千切った。
「!?なんじゃ!」
しかし、海中より飛び出した黄金の左手に捕まえられる。
「
すかさず気力を送り込んで
「哈ぁーーー!」
猪の背を足場に悟空が跳躍し翠蓮へ棍を振り下ろした。
それを翠蓮は
「なんと!?」
それは悟空の体に触れる前に絡み付いた蛇体の竜によって阻止される。
「
悟空の左回り蹴りが翠蓮の右脇腹にクリーンヒットして吹き飛ぶも、重なり合った蔦に受け止められる。
「これでどうじゃ!」
悟空の背に沿っていた竜の目が妖しく光る。海水が蠢き5つの水柱となって立ち上る。
「
翠蓮の周りで旋風が渦巻き同じく5つの竜巻となった。
「哈ぁーーーーーー!」
「覇ァアアアアアア!」
水柱と竜巻が互いを呑み込まんと荒れ狂う。その間、2人は気力を送り込んで強化するも力は互角、いや質量で若干悟空が有利だった。
「
ここで権能
「ぬぅお!?しもうた!」
水柱を呑み込み水の質量を持った竜巻となって悟空を襲う。
「回れ
リィイイイン! ルゥオオオン!
悟空の手を離れた棍、
「合わせろ二弟、一瞬で良い
悟空は猪の背に飛び乗り指示を出すと、黒い雲が発生しそれを足場に黒い猪が伏せて力を溜める。
「今じゃ!」
沙悟浄が竜巻に含まれる海水を制御して一時的に反らし猪八戒が力を解放して翠蓮に
「これで決着です」
翠蓮も最大の一撃を繰り出す為に
「
「
ドリルの様な回転と猪の
「
右手に圧縮された気が目眩ましとなって隠れていた気を解放し、左掌を重ねた。
「吹き飛びなさい!」
悟空達が競り負けて吹き飛び大きな
『これは、以前の様に両チーム失格か?』
『いいや違うな、アレを見ろ』『?』
百代の差し示す先には3つの影。
『『『!』』』
「空、私の勝ちです」
「羅濠・・・助けて貰って何なんだが、他に無かったのか?」
「悟空さん...あっ!僕まで助けて頂いてありがとうございます。羅濠先輩」
そこには海中から伸びる植物の
「有りません。それとついでです、気にする必要は有りません」
『アレって確か沈んだリングに生えてたよな?』
『成る程、つまり』
『リングアウトは悟空ちゃんだけ、よって
◆◆◆◆◆◆
決勝戦を
―翠蓮side―
【さて、時間は出来ましたが...気をどうにかしなければいけませんね】
準決勝の悟空との戦いで翠蓮は保有する気の殆どを失っていた。そして決勝はそれで勝てる程甘い相手では無い。
【仕方無いですね、久々に使いますか。でもその前に】
―燕side―
【アレが権能持ち同士の戦い・・・そして羅濠ちゃんの本気か、凄まじいよね~】
一方、決勝の対戦相手で有る松永燕は先程の準決勝を振り返る。
【でも私も負けられない!まずは情報の整理だね】
「ねぇアテナちゃん」
準決勝について問おうとした燕だが、それを遮ってアテナが語り始める。
「フム、大丈夫かと問われれば大丈夫で有ろう。翠蓮の気は残り少ない、それにあの神具には制限があるでな、多用は出来まい」
「あ、そうなんだ」
「しかし勝てるかと問われれば分からぬ!あやつがこの時間に何もせぬ
アテナから何をしようとも負ける筈が無い!との自信を感じて、なんとなく安心感を得る燕。
「そっか、じゃあ予定通り決勝はお願いね♪でも本当に良いの?」
一応問い掛ける燕にアテナは
「フン、問題ないな、それに切り札を早々に切るつもりだ」
◆◆◆◆◆◆
そしてリングの修復こ終わり決勝戦の開始時刻となった。
『皆様、大変長らくお待たせ致しました。それではこれより決勝戦を始めたいと思います!』
『『『オオオオオ!!!』』』
昼食を挟んでの決勝戦だったが、観客達の熱は未だ冷めやらぬ状態だった。
『それでは選手の入場です』
智性チームの松永燕とパラス・アテナが入場し続いて
ザワザワと会場にざわめきが起こる。
『なんだあの子?』
『さぁ、でも何となく見覚えが???』
百代が首を傾げる。入場してきたのは京極とチャイナドレスに黒髪で
「な、なんと美しい...ハッ!きっと迷ってあんな所に!!これは紳士としてお助けせねば!!!」
「落ち着きなさい準!」
今にも飛び出しそうな井上を葵冬馬がたしなめる。
「ん~なんか見たこと有るんだよね~」
「!?ユキはあの美少女を知っているのか!教えてくれ!!」
「ん~やっぱり知らないや」
「ちょっ!!ほら、良く思い出して!」
「だから落ち着きなさい!」
場面は再びリングへと戻る。
「え~と君は?それと
司会の田尻が謎の幼女に話し掛ける。迷子のハプニングだろうと思っている様だ。
「何を言っているのです?決勝戦の為に来たのに戻る必要など有りません!」
「お嬢ちゃん、此処は関係者以外は来ちゃダメな所なんだよ?」
「貴方は先程から何を言っているのです!この私を部外者等と『あ~羅濠?』何です彦一?」
この状況を観察していた京極だが、このままでは話が進まないので教える事にした。
「今の姿を見ても、羅濠とは分らないと思うが?」
「むっ!成る程そうですね」
幼女は
「私の姓は
宣言と共に幼女の肩から黄金の粒子が立上り、5メートル程に縮んでは居るが筋骨隆々な金剛力士が顕現した。
『『『・・・な、なにぃーーー!』』』
「メフィストフェレスと似ておるな、気が回復しておる。まぁ万全では無さそうだがな」
「はは、アテナちゃんの読み通りになったね」
メフィストフェレス、とある一族に伝わる若返りの奥義で肉体を活性化させる事で若返り、各種ステータスをアップさせる技。武士道プランの責任者が使う為、アテナはその存在を知っていた。
◆◆◆◆◆◆
『それでは若獅子タッグマッチ決勝戦、試合開始!』
田尻の開始の合図、最初に動いたのはアテナだった。髪が蛇になった女性の顔が描かれた黒曜石のメダルを
「妾は謡おう、三位一体を
言霊が
背が伸び、すっきりと手足も伸びきり、
「ほう、変わったのは姿だけではありませんね」
「
真なるアテナ、神具ゴルゴネイオンに封印されていたアテナの神格を開放した姿である。
「まだ制御が甘いが、じきに
全身から
「さぁ始めようか、翠蓮よ」
「ふふふ、えぇ始めましょう」
若獅子タッグマッチトーナメントの決勝戦、その幕が上がった。
神格を切られた悟空さんなので従属神的な物に限定してみました。
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そして気のせいかとあるハゲの悲鳴が聞えそう。
彼にとっては天啓(翠蓮)と悪夢(アテナ)?