Re:俺⁉︎   作:かみかみん

16 / 31
第十五幕 鍛えて

 やぁ、数日前に町に潜りこんでいた黄巾党の残党を副長との見事な連係プレーで捕えた凌統君だよ。 ……やっべ、『プレー』って発音が少しエロくね? 何だか俺と副長との間に薔薇の花が出現しそうな感じじゃね?

 ――――はいそこ、俺以上に危ない妄想は禁止だぜ! ……ごめんなさい、少し危ない妄想をしてしまいました。

 さてさて、あの後なんだが仕事の一環と言う事で白蓮さんから報奨等は頂く事は無かった。副長も『貰わなくて当然』みたいな態度を取っていたので何も渡していない。

 ただ、副長を含めて城の方から何やらキラキラした眼差しで見られたのが気になるんだけれど……まぁ、そんな細かい事は気にしない!

 

 そして、あれから数日が経過した。 あれからは黄巾党に会うことも無く、この数日は何時もの通り町に出て警邏の真似事をしたり、いつ起きるやもしれぬ戦(いくさ)に備えて凌統隊の隊列を揃えてみたり、隊内では戦いの錬度がバラバラなので個々の戦闘能力を上げて、なるべく一定のレベルにするべく模擬戦を行ったりしていた。

 心からスカ○ターが欲しいと思ってしまったのは決して俺だけでは無い筈だ。

 

 あ、そうそう黄巾党討伐の際に俺達に新しい仲間が出来たんだ。

 はい、見た目はロリっ子×2な女の子達です。 ……いや、驚き桃の木山椒の木は嫌いだけれどビックリじゃね?

 この時代って性別や年齢問わずに能力で働く事が出来たんだね。 因みに彼女らの名前は諸葛亮、鳳統って言うんだって~ ……えっ?

 ま、まぁ細かい事は気にしないほがいいかな。 そもそも劉備や関羽と言ったビッグネームが女の子になってしまっているんだ。 今更、孔明や鳳統がチミっ子だとしても気にしちゃいけないぜ!

 ただ、俺の顔を見た瞬間、すっごく怯えて泣きそうな顔になってしまったのを見て心の奥底がえぐられたような感覚に陥ったのは俺だけの秘密だ。

 

 そんなこんなで、今は早朝。 俺は一人調錬場で三節棍を振るって自主鍛練を行っている最中だったりする。

 早朝と言う事もあって、まだ気温は低く少し肌寒い。 しかし、俺は身体を動かして汗をかいているため肌着一枚と薄着だったりする。

 そして、鍛練でイメージするのは言うまでも無く無双さんの凌統をイメージする。 そういえば、この体になって無双のスキルとか使えるのかな~って思って試してみたんだけれど、中々成功しない。

 確か、凌統のスキルは移動スピードが格段に上がる『神速』ってスキルなんだけれど、常日頃神速並のスピードが出せる俺には使えないってことなんでしょうか?

 あと、ゲージを溜めて放つ無双乱舞もやってみようと思ったんだけれど……やり方ほとんど覚えてねぇんだよね。 まぁ、これについては後々オリジナルっぽく自分で作ってみようと一考してみたりした。

 

 そんな事を考えながらも俺は自分の体の一部のように三節棍を扱い続けた。 ガキの頃、武器は身体の一部として使えと母に口酸っぱく言われていたからね、それに前世で史上最強の弟子を作っちゃったぜてきな漫画の師匠の一人がそんな事を言っていたような気もする。

 とは言っても、特に特別な事をしている訳ではない。 調錬場に立っている木を軽く蹴って、落ちてくる葉っぱを一枚ずつ三節棍で弾き飛ばすといった地味な作業をするだけだ。

 しかし、これが一度やり始めると意外と面白いんだよね。 『あ、今当たった~』とか、『からぶった~』とか、色々と考えている内にのめり込んでしまうんだ。

 そんな状態が一刻程経ったであろうか、太陽は既に地平線から顔を出して早朝と呼べる時間ではなくなり、三節棍を振るいつづけた俺は少し疲労感を感じていた。

 次の後一枚葉っぱを弾いたら終わりにしよう。 俺は自分の中でフィニッシュのタイミングを決めて、最後の一振りに臨んだ。 自然と身体全身に込める力も強くなったように感じる。

 

 しかし、そんな時悲劇は起きた。 三節棍を少し振りかぶった瞬間、手についた汗で滑り、三節棍がすっぽ抜けてしまったんだ。 今まで何度も見た事がある様な光景であったが、慣性の法則にしたがって三節棍は俺の後方へと飛翔していった。

 ま、不味いぜこのパターンは……何時ものパターンだと、このまま三節棍が誰かしらにクリティカルヒットを決め込んでいる可能性が大な訳でして……

 

 俺はおそるおそる、三節棍が飛んで行った後方へを身体を捻った。 そして、そこで俺が見たのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石は柚登殿です、私が背後から近づいた事を気付いていたとは……」

 

 青龍偃月刀を手にした愛紗さんとその愛紗さんの傍にある柱へとめり込んでいる懐かしき俺の三節棍だった。

 いや、そんな事よりも当たっていなくて良かったぁ~ 下手すれば女性である愛紗さんに当たっているかもしれなかったという状況に肝を冷やしたが、ソレと同時に誰にもあたっていなかったという事実に俺は安堵の表情を浮かべた。

 

「いや……たまたま…だ」

 

「また御謙遜を。 ……そうだ柚登殿、折角ですから私と一手いかがですか?」

 

 謙遜してねぇし!ってか何が折角から一手に続くのか果てしなく疑問に感じちゃいけないのかな!?

 しかし、そんな俺の心の声を無視するかのように愛紗さんは柱に突き刺さった三節棍を引っこ抜き、俺の方へ投げよこした。 クルクルと回転しながら弧を描くように俺の方へと飛んでくるその様はさしずめ亀の怪獣が空を飛ぶような様だったと敢えて記しておこうと思う。

 そして、三節棍が俺の手に収まった瞬間、俺の返答を聞かずに愛紗さんは自分の武器を構えてこのように言った。

 

「では――――関 雲長……参ります!」

 

 ……これは、間違いなく逃れたら空気読めねぇパターンだよな? はぁ、俺ってば小し(ry

 仕方ない、気は進まないけれど頑張ってみよう。 そして、出来るならばある程度接戦にして負けないとね。

 だって、そうしないと手加減した~とかで、もう一度やらねばならないかもしれないからね。

 

「凌 公積……いく…ぞ」

 

 そうして、何が何だか分からないうちに俺は愛紗さんと手合わせをする事になってしまったのだった。

 あ、折角だしこれを期にオリジナル乱舞でも考えてみようかな?

 

―――― 関羽

 

 見事な武だ。 私は早朝、調錬場でとある御方の鍛錬の場を蔭ながら見学させて頂いている。 その方は扱う事すら難しいとされている三節棍をまるで自分の手足のように自由自在に扱っている。

 そして、空より舞い落ちる葉を器用にも一枚ずつ弾いている。

 三節棍を一振りすれば一枚、また一振りすれば一枚……それは簡単そうにやられているが、途轍もなく困難であるという事が同じく武を嗜んでいる私は理解している。

 

 空より舞い落ちる葉は一葉に非ず、その中から一枚だけを……恐らくあの御方は狙いを定めながら行っているのであろう。 流石は柚登殿だ。

 

 その光景を目の当たりにした私は自身の力が柚登殿とどれほどかけ離れているのかを確かめたいという衝動に駆られた。

 一介の武人ならば誰しも思う事であろう。 目の前のいる……自分と同じく武人である方とどれほど力の差があるのかと……

 そして、私は自身の気配を殺しながら柚登殿に近づいた。 残念ながら隠密術には長けていない為、全ての気配を殺す事は今の私には出来ぬことかもしれないが、死角から柚登殿に気付かれずに傍まで歩みよる事が出来ると私は思っていた。

 

 しかし、そんな私の慢心は一瞬後には崩れ去っていた。 突如として柚登殿が先程まで見られぬ行動を……柚登殿が愛用している三節棍を大きく振りかぶったのだった。

 その姿は先程まで感じられた繊細な動きではなく、まるで何かを暗示させるかのような……そう、まるで今から何か特別な事を行うと誰かに言い聞かせるようにも感じられた。

 そして、柚登殿はその三節棍を手放し、投擲した。 ――――私のいる死角へと。

 

 余りの突然の出来事で、私は一瞬身体を強張らせてしまった。 しかし、その一瞬が自分の首を絞める結果となってしまったのだ。

 柚登殿が投擲された三節棍は眼にもとまらぬ速さで私へと向かって来ている。 投擲した瞬間に青龍偃月刀を構えていれば事なきを得たであろう。

 しかし、私は前述の通り一瞬ではあるが、身体を硬直させてしまった。 結果的にその一瞬の遅れが私に回避も防ぐ事すら不可能にさせてしまったのだ。

 私は一瞬後に来るであろう痛みに備えるため、反射的に両眼を力強くつぶった。

 

 しかし、時が立っても私を襲う痛みは訪れる事は無かった。 恐る恐る両瞼を開いてみると、私のすぐわきにある柱へとたったいま凌統殿が投擲した三節棍が深々と突き刺さっているではないか。

 一拍置き、凌統殿がこちらを振り返った。 凌統殿は相変わらず表情は無いようにも見えたが、何処か安堵しているようにも見える。

 

 ……そうか! 柚登殿は近づいて来る者がいると気配を察知したんだ。 しかし、ソレが刺客であるにせよ、敵意がない事に気が付いていたに違いない! そして、わざと三節棍の軌道をずらして牽制したのだ。

 そして、振り返るとその場には刺客ではなくて私が立っていた。 それで安堵を浮かべていたに違いない!

 いやはや、まさかいとも簡単に私の気配を察するのは驚きを感じ得ぬが、流石は柚登殿と言ったところであろう。

 

 そして、その後は私の我儘を聞いてくださり、手合わせをして頂ける事となった。

 これ程の御人と手合せしていただけるのだ、私の体は自然と武者震いし始めている。

 しかし、そんな私とは裏腹に柚登殿は静かに動じず、何時もの平静を保ちながら音も無く三節棍を構えた。

 柚登殿の三節棍の構えは両手で三節棍の端通しを軽く握るものだ。 一見すると隙だらけで、どこからでも攻める事が出来るようにも見える。 しかし、この方に刃を届かせるのがどれほど困難なのかを私は知っている。

 私の眼の前で数百人の男を薙ぎ払うその姿を……だからこそ、私は一太刀目から全身全霊を込めて向かおう。 勝つか負けるかなんてのは二の次で、武人としての自分を柚登殿に見て頂く為に。

 

 始めに動いたのは私の方だった。 一回の跳躍で柚登殿との間合いを詰め、急所への突き、右肩からの袈裟斬へと続ける。

 しかし、ソレは柚登殿が身体を反らす事によって難なく避けられる。 そこに追撃をしようと仕掛けても今度は手にしている三節棍を振るう事により、意図も簡単に軌道を反らされてしまう。

 柄を遣い、更に体勢を崩そうともくろんでも、それすらも柚登殿には防がれてしまう。

 

 だが、今の柚登殿は防戦一方に近く、攻勢に出てくる事は無い。

 

「(私は試されているのか?)』

 

 そんな心情に駆られる程、柚登殿は攻勢に徹する事は一度も無く、私の斬激を避ける或いは三節棍で受け流すと言った戦法をとっている。 突きの連激でも全て自然な流れでいなされる。

 一瞬、もっと間合いを詰めて一気に畳み掛けるかとも考えはしたが、余りにも近づいてしまうと、今度は青龍偃月刀を振るい難くなり、逆に柚登殿の三節棍に最適な間合いへと入ってしまう。

 今ですら、三節棍の間合いにはなるべく入らないようにとしているのに、これ以上の接近は危険である。

 

 その様な煮え切らぬ状態のまま数合打ち合わせる。 しかし、それでも柚登殿には何ら変化は見られない。 もしや……いや、考えたくはないが……

 

 私は意を決め、刃の背に手を添え一気に間合いを詰めた。 柚登殿が少し顔をしかめたような気もしたが、そんな事はどうでもよかった。

 当然の如く、柚登殿は三節棍を遣い、青龍偃月刀の刃を眼前で止めた。 お互いの顔がグッと縮まり、我等の眼前では刃を三節棍から火花が散っている。

 その状態で私はこう切り出した。

 

「柚登殿、もしや手加減をされているのでは?」

 

 柚登殿がこれ程までに攻勢に徹さないところを見ているとどうにも私手を抜かれているのではないかと結論に達した。

 しかし、そんな私の問いに柚登殿は表情を崩すことはせずに、言葉を発した。

 

「……いや、そう…では」

 

「ならば! ……ならば、柚登殿も全力で来て頂きたい。 ――――武人ならばっ!」

 

 私は言いたいことだけを言い、次で決める為に足に力を込めて後方へと跳躍した。

 どうやら、柚登殿も次の打ち合いで終わる事に気が付いたのであろう。 先程よりも少しだけだが眼を細めた。

 何故柚登殿が今迄手加減をしていたのかは分からぬが、次は本気の柚登殿を見る事ができる。 ソレを考えただけでも私の頭の中は沸騰しそうな状態であった。

 

 私は軽く息を吐き、精神を統一させた。

 

「――――行きます。 ハアアァァァ!!」

 

「――――こ…い…」

 

 そして、次の瞬間……

 

 ……私の意識は一瞬で奪われていた。

 

 

――――一方その頃…

 

 おう、俺は柚登の母ちゃんだ! 曹操って奴の屋敷を出て気が付いたら何日か経っていた。

 あれから俺は馬騰の奴の所まで行こうとして見たんだが、如何やら今度も違うところに来ちまったらしいぜ。

 そして、俺の目の前には何だか肌の露出が極限まで高められている肌が褐色の女がいる。 場所は只の飲み屋なんだがよ。

 何かしんねぇが、街中を歩いていたらイキナリこの女に『ちょっと飲まない?』って言われたんだ。 要はおごってくれるっていうことだろう?だからこそ着いてきたんだが……コイツ、誰だろう?

 

「今、不名誉な紹介された気がするんだけど?」

 

「あん? 何か言ったかぁ?」

 

 女は何やら少し溜息をついている様にも見える。 なんだ知らねぇのか? 『溜息をつくと幸せが逃げる』んだぞ? 柚登の受け売りだけれどな~

 そういや、俺ってあんまり酒は飲めねぇんだよな……前に柚登が『あまり飲むな』っていた気がするしな。 勿論俺は柚登の言いつけをキチンと守って茶だけを飲んでいる。

 女はバカすか飲んでいるが……

 

「……まぁいっか。 さて、それじゃあ単刀直入に言うわね。 ――――貴方、私達の仲間にならない?」

 

 そして、唐突にこの女は俺を勧誘してきたんだ。 しかし仲間か……何の仲間だ?

 そういや、この露出具合……そして、胸がデカイ……

 

「……ワリィ、俺は自分の体は売らないって決め「――――何の話よ!?」……女として体を売る仕事?」

 

 だって、そんな露出だらけの服を着ているからよ……ソレに胸がありえねぇ位でかいし。

 

「違うわよ。 武官として貴方を雇いたいって話よ!」

 

 おぉ~そっちか。 俺はてっきり淫売をするもんだとばかり……って、武官だぁ?

 

「何で俺が武官だって分かったんだ?」

 

「何でって、貴女の腰についている物を見れば一発でわかるわよ」

 

 そう言って女は俺の腰を指差した。 しかし、俺の腰って言われても……

 

「――――こん中空っぽだぞ?」

 

 そう言って俺は腰についていた小物入れを取り出し、口を開いて女に見えるように向けた。 結構でかい袋状の物だから何でも入って便利なんだぜコレ。 因みに作ったのは柚登な。

 前はこの中に路銀とか食糧とか入っていたんだがよ~最近はその場その場でしのいでいたから気が付いたら中身が無くなっていたんだよな。

 

「そっちじゃないわよ! そっちの三節棍の事!」

 

「あぁ……これか」

 

 そう言いながら俺は袋をしまい、三節棍を手に取った。

 

「何でかしら……凄く疲れたわ」

 

「若いのに大変だな。 愚痴なら聞くぜ?」

 

 そう言いながら俺は女の杯に酒を注いだ。

 あれだな、最近の若い奴限定で疲れやすい病気でもはやってんのか? 前の曹操って屋敷にいたガキもグチグチ言っていたからよ。

 

「あら、悪いわね。 そうなのよ最近冥琳が『仕事しろ~』って口うるさく言うもんだから……って話それてるわよ! そうじゃなくて、私の仲間にならないかって話よ!」

 

「ん、淫売のか?」

 

「そっから離れろーー! 私の所で武官をしないかって話よ!!」

 

「……お~ そういうことなら始めから言えよな」

 

「始めから言ってるじゃない!! ……あぁ、何だか果てしなく疲れた感じがするわ」

 

 そう言いながら女は頭を軽く押さえながら首(こうべ)を垂れた。

 何だ、怒りっぽいのは身体によくないんだぞ? 柚登が『そんな時は魚の骨を食え』つってたぜ?

 

 しかし、武官にならないか……か。 俺にはやりたい事もあるしな。 何故なら俺は馬騰の奴のところに言って出世の仕方を教わって柚登を太守にするっていう野望があるんだ!

 俺はその旨を眼の前の女に伝えた。 ――――――――次の瞬間

 

「あら……私の誘いを断るの?」

 

 女は眼を細めると同時にかなり粘っこい殺気を噴き出しやがった。 一瞬、三節棍に手が向きそうになったが、俺はその衝動をとどめた。

 確かに殺気は確かに本物だけど、敵意らしいものがほとんど感じられねぇつーか、そもそもこんな飲み屋で人を殺すような真似は幾らなんでもしないだろ。

 因みに、周りの一般人は一瞬で俺達の周りから消え去っていき、店の中は俺と女しかいなくなった。

 

「まぁな、言ったろ? 俺にはやりたい事があるってな」

 

 女はまだ目を細めたままだ。 俺も負けじと女の目を凝視してやる。 そんな状態が続いたが、次の瞬間女はゆっくりと目を瞑り、放たれていた殺気が抑えられた。

 俺は軽く息をつくと、女をみた。 女は眼をつむったまま俺が注いだ杯を口元へ運ぶと一気にソレを飲みほした。

 

「――――ふぅ、なら仕方ないわね。 ……わかった、でも気が変わったなら私に言いなさい。 貴方……面白そうだから」

 

 そう言って、先程の冷たい目とは打って変わり女は無邪気に目を細めて邪気のない笑顔を俺に向けた。

 全く、さっきの冷たい印象はなんだったんだっての。

 

「それから、お詫びに貴方も飲みなさいよ~」

 

 ……何だか、話が変な方向に向いてきたじゃね~か。 女は悪びれた様子も無く俺に空いている杯を差し出した。

 俺って、始めに酒は飲まないって言ったよな? もう一度その事を確認したんだが、どうやら間違いなく俺は『酒は飲まない』と言っていたらしい。

 

「でも、一杯くらい良いじゃないのよ~ 何だか私一人で飲むってつまんな~い」

 

 こいつは…… 女は口を軽く尖らせてブーブー言って来ている。 はぁ、一杯くらいなら柚登も許してくれるよな?

 俺は心の奥で此処には居ない柚登に謝ると杯を受け取った。

 

「ほらほら、飲みなさいよ~」

 

「ったく、俺は一杯しか飲まねぇよ」

 

 そう軽口をたたきながら俺は杯を口に運び、中の酒をなめる程度飲んだ。

 

 

 そして次の瞬間、俺は―――――――― 意識を手放したのだった。

 




ありがとうございました。

また次回もお楽しみに〜( ̄▽ ̄)ノシ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。