――――チャラララ~ン♪
――――凌統はレベルが上がった。
――――凌統はコミュニケーション能力が一ポイント上がった。
――――凌統は器用さが五ポイント上がった。
――――凌統はようじょの真名を手に入れた。
――――凌統はフードファイターの称号を得た。
……やぁ、ちょっといつもと趣向を変えてのオープニングをお送りした凌統だよ。
なお、今表示されているレベルアップ時のステータス上昇値は物語とは全く関係ないので、箱のなかに入れて焼却処分してくれると助かるぜ!
さて、気がついたらロリっ娘の軍師sとも真名を交換した凌統です。 なんだかんだで気がついたらこの国の将全員と真名を交換しているという事実に驚きを隠せない状況でもあります。
え、そんなことはどうでもいいって? ……まぁ、確かに私事(わたくしごと)だから報告とかしなくていいかな。
それじゃあ、今度は新しい報告をしよう。 ここで暮らし始めて早数ヶ月、つい先日の出来事なんだけれど――――
「おぉ柚登、半年ぶりではないか」
……何故だか、白蓮さんのところで客将をしているはずの星さんが俺たちを訪ねに来たことくらいであろうか。
なんでも、黄巾党の乱が収束に向かいだした時に白蓮さんから暇をもらって各地を放浪し始めていたらしい。 初めは愛紗さんがなんでそんな事をしているのか疑問に思ったみたいだが、さらに話を進めてみると、士官先を自分の眼で見て自分の耳で聞いて探していたみたいだ。
何ともまぁ、星さんらしい理由とだと思う。 白蓮さんには悪いけれど、あの場所には収まりきらなかったのだろう。 ってか、安易に言えば『伯珪殿は我が槍を預けるに相応しくない』って言っていないかこの人?
それで、候補としては三国志には有名な覇王である曹操。 だけれど、その人のところに漂う百合っぽい雰囲気が気に入らないみたいだ。 ……どちらかというとぴったりの印象だと思うんだが。
「柚登、今不吉なことを考えなかったか?」
「……気の所為…だ」
あ、あぶねぇなこの人……今俺が考えたことを読んだんじゃないのか?
「それにな、あそこには『天の御使い』と呼ばれる男がいたのだが……」
「えぇ!? 本当に天の御使いって人がいたの!?」
おぉ~前に愛紗さんから聞いたことがあるぞ。 確か、乱世を治めるがどうとかこうとか……
まぁ、特に興味がないから忘れまくっていたけれど。 でも、そんな人が曹操のところに居るなんて……少なくとも俺の知っているなんちゃって三国志にはそんな人はいなかったけれどな。
やっぱり、名だたる武将が女の子だったり、凌統である俺が劉備と一緒に行動しているっていう時点で色々と変わっているのかもしれないな。
でも、一度会ってみたいな天の御使いって人に。 男だっていうし、もしかしたら馬が合うかも――――
「うむ、そやつなのだが何やらこう……そう、将来的にあの国の種馬になっていそうな気がしてな」
――――なんだか、俺も変な目で見られそうだから会うのはよそうかな。
そして、他の五人も微妙な顔をしているようだし……たぶん、今皆が考えていることは同じことなんだろうな~
あえてそれを言わないのも優しさだと思うから何も言わないでおこう。
「そして、もう一つは孫策殿のところだ」
おぉ、正史で凌統が仕えている呉の人のことだな? これは凌統である以上俺も興味がわいてくるな。
俺は星さんの言葉を聞き洩らさないように耳を象のように大きくしたつもりで耳を傾けた。
「完璧な布陣過ぎてつまらんのですよ」
……ようは、自分が活躍したいってことか。
でも、将である以上は名を挙げたいってのもあるから星さんには向かないのかもしれないな。
「おぉそう言えば、孫策殿のところで雪花殿にお会いしたぞ」
――――ブッ!? はぁ? ちょ、まちんしゃいな! 母は確か村で静かに暮らすって言って俺を白蓮さんのところに置いて行ったんでしょうが! なんだって、孫策さんのところで母に会うんだよ!?
星さんの言葉に俺は内心で吹き出しまくった。 だって、ここ数カ月会っていない母に突然会ったと言われたのだ、誰だって驚く。
しかし、そんな星さんの言葉に桃香さんたちはピンときた様子はない。 っていうか、確か母の事は伝えていなかったから仕方ないかもしれない。
「それって真名だよね? 星ちゃんのお知り合い?」
「いやな、以前お会いしたことがあるのだが柚登の母君のことだ。 以前は二人で旅をしていたようだが……」
桃香さんの言葉に星さんは少し微笑みながら、そして俺には少し意地悪そうな目を向けながら話を続けた。
「なんでも、孫策殿のところで武官として働いているらしい。 理由はどうあれ、お前のことを心配していたぞ柚登?」
しかし、俺には武官はやめるとか何とか言っておきながら……でもまぁ、あの母が大人しく暮らすなんて想像できないし……まぁあの人は――――
「――――自由……な…人……だから…な」
「ふふ、違いない」
「柚登殿の母君か……きっと柚登殿と同じく聡明な方なのだろうな」
は、聡明? ってか愛紗さんの言葉に俺と星さんを除いたメンバーうんうんと頷いているけれど、あの母に一番似合わない言葉が聡明だと俺は思うんだけれど?
星さんは何も言わずに笑いをこらえている様子で肩をプルプルと震わせている。
「――――ククク…柚登、よかったな『あの母君』を皆が聡明と思っているようだが?」
「俺も…母も……程遠い…」
俺と星さんの言葉に再びキョトンとした顔をする皆さま。
「残念ながら柚登と雪花殿の性格は正反対だ。 あれは……そうだな、おそらく鈴々と似たり寄ったりなものだな」
軽く俺自身も聡明じゃないって言ったのにスルーされた。 それよりも鈴々ちゃんと同じか……寧ろ、うちの母の方が性格的には破綻していると思うな。 だって十歳の子供を死地に送り込むような母なんだぜ?
「にゃ? 鈴々、子供いないのだ」
「鈴々と同じとは……それはまた、違うというかなんというか」
皆さんが一斉に微妙そうな顔に早変わりしたのに驚いたよ。 おとと、そんな俺の母話はどうでもいいんだよ。
今はどちらかというと星さんがなんでここに来たのかを聞くときじゃないのか?
「……何故…来た?」
「ふむ、何故私がここに来たかということか?」
星さんの言葉に俺はゆっくりと首を縦に振った。
「それはだな――――やはり、抱かれるのなら見知った相手がいいと――――」
「何の話をしている!?」
「何って、ナニの話に決まっておろう愛紗」
……やっぱり、星さんは星さんだな。 シナを作りながら俺の頬をなぞってくるが星さんの性格上間違いなくからかってきている。 しかし、ここは敢えてこの冗談に便乗すると、俺のコミュニケーション能力がそれほど低いというわけではないというのを皆様方に証明するチャンスであるのかもしれないな。
よ、よ~し……なんで俺自身こんな考えに至ったのかが不明ではあるが、ちょっとばかり便乗してみようかな。
「そう…か、光…栄……だな」
『…………』
あ、あれ? なんだか星さん以外の皆さんが『あんた何言ってんの?』みたいな感じの視線を俺に投げかけている気がするのですが……
「柚登よ私が言うのもあれだが……自分らしくないことは言わぬが吉だぞ?」
「……了解…した」
再び空気が微妙な感じになってしまったのは決して自分の責任ではないと言い逃れをしたいところだが、間違いなく俺のせいなのでどうしようもできない状況で困り果てた凌統でした。
――――一方その頃……
「――――――だああああぁぁぁぁぁぁ!!」
「ふむどうした、もう音を上げるのか?」
よぉ、俺は雪花だ。 訳合って今俺は孫策のところで将として働いている。放浪時と比べると給料はそれなりにもらえるし、腕の良い将がいるから戦い足りネェ事は……たまに赤い水を見たくなるが事足りている。
だが、俺にはどうにも肌にあわねぇ仕事がある。 ……それが何かって? それはだな……
「音を上げるも何も――――な・ん・で! 俺がテメェの仕事の手伝いをせにゃならんのだ冥琳!」
なんでかしらねぇが、俺に対して必要以上に武官の仕事ではなくて文官の仕事をさせてくる褐色肌の眼鏡大軍師様の周瑜こと、冥琳が持ち込んでくる竹簡の山々だ。
ここで重要なのは、冥琳が持ち込んでくるって言うところだからな、注意しとけよ。 ……俺は誰に言ってんだよ。
兎に角、この冥林はなんでかしらねぇが必要以上に俺に対して文官の仕事を持ち込んでくる。 しかも内容に一貫性はなく、警邏の編成だったり、町の治安状態、はたまた民からの要望書なんかもあるもんだから半端ではない数になる。
ウゲェ、こっちなんかは経理の事についてじゃねぇかよ。 ってか、入って間もない俺にこんな重要そうな物を見せても大丈夫なのかよ?
「ふむ、至極簡単な理由だ。 お前の借金は全て雪蓮が立て替えている。 そのお前を雇い、お前の仕事を決めるのをすべて私に託した……以上だ」
な、納得いかねぇぇ!! ってか、雪蓮は何のために俺を雇ったんだ? 言っちゃあ悪いが第一印象は間違いなく武官だぞ俺!? なんだって文官をやらにゃならんのだ!?
しかし、ここでぶつくさ言っても仕方がない。 俺は渋々新たな竹簡へと手を伸ばした。 えっと何々……不作についての対策案って……本当に俺、これ見ても大丈夫なのか?
「しかし、お前はおかしな奴だな」
「あぁん? 喧嘩売ってんのか? だったら買うぜぇ~給料一年分くらいの賃金で買うぜぇ~」
「武官のように見えて文官の仕事もこなすとは……意外と教養は良いのだな? 喧嘩は買わんぞ」
「チッ……しゃあねぇだろ、柚登が少しは勉強しろって言うんだからよ」
二人で旅をしていたころのことだ。 その頃の俺は本当に武官気質で冥琳の言う教養のかけらも存在していなかった。
しかし、そんなあるとき柚登が俺の言うのだ『勉強……し…ろ』ってな。 流石に俺も柚登に言われちまったら抵抗できないからよ、仕方なしに色々と習ったもんだぜ。
いや、今思えば柚登は教えるのがうまかったなぁ~……あいつに教えたことなんてないけれど。
「ふむ、それは真名だな? なんだ、お前の好い人(いいひと)か?」
俺の言葉に何を勘違いしたのか冥琳ニヤニヤしながら俺に詰め寄ってきた。
ってか、柚登が良い人(いいひと)なのは間違いないな。 俺の子供とは思えないくらい良い奴だからなあいつは。
「そうだな、良い奴だぞ」
「……捉え方が違うようだな。 名は何と言うんだ?」
「んだよぉ~興味あんのか? つってもアイツは俺の倅だぜ」
俺の言葉を聞いた瞬間、冥琳はキョトンとした表情になった。 ……そう言えば、まだここで柚登の事を話したことは無かったな。 良い機会だし、話しておくかな。
「せが…れ…? お、お前、子供がいるのか!?」
「おうさ、性は凌、名は統、字は公積ってんだぜ!」
「一体お前の歳は幾つなのだ? しかし、凌統か……ん? 凌……統……凌統だと!?」
柚登の名前を何度か繰り返したのち、眼鏡の奥の眼を見開き、冥琳の表情が一変した。
そして、急に俺の両肩を乱暴につかんできたのだ。
「ちょ、なにすんだよ!」
「――――お前の…お前の息子は管路の占いの天の御使いの名とほぼ同時期に大陸中に広まっていた『戦乱を凌ぎ全てを統める者』であっているのか?」
冥琳はまるでそれが正解かのように確認の意を込めて俺に聞いているかのようだった。
そう言えば、柚登と旅をしている時や一人旅をしている時なんかはその名前をよく耳にした気がするぜ。
しかも、それが自分の息子を示しているんだから当初はなんでそんな噂が立ったのか不思議で仕方無かったなぁ~
「おう、そんな風に呼ばれていた時期もあったからな。 それであってる――――(バタン!)――――っていねぇしよ」
そして、冥林は俺の返答を聞くや否や、勢いよく部屋から飛び出していき、残ったのは、ドアが乱暴にしまる音のみだった。
なんだってあんなに慌てて出て行っちまったんだ? ……って、ちょっと待てよ……この竹簡の山、俺が一人で処理すんのか……?
そして、この部屋に残されたのは俺と机の上に残された山のような竹簡のみ……内容はさっき言った雑務的なものから経理に関わる物とさまざまであるが、明らかに俺一人では捌ききれないほどの量だ。
ってか、冥琳がいたとしても一日でできる仕事の量じゃねぇ。
その後、幾ら待っても冥琳は戻ってこず、その日俺は夜を徹して竹簡の処理に当たる羽目となったのであった。
しかし、その時の俺は気が付いていなかったのだ――――――
「へぇ~雪花の息子の凌統ね……うん、なんだか私のところに来る予感☆」
俺の何げない一言で柚登がとんでもない目に遭うことになろうとは……このときの俺は竹簡の処理で頭がいっぱいでそのことを考える余裕はなかったのだった。
ありがとうございました。
また次回もお楽しみに~(^o^)ノシ