――――公孫贊
私が太守をしている幽州の啄郡内にて最近巷で話題の『黄巾党』が押し寄せてきたと報告が入ってきたのは日が明けてまだ間もない早朝の事であった。
斥候の話では進路上には小さな集落が存在しており、このまま行くと今晩には村に到着するというものだ。
幸い、報告に来た者の機転によりその村の者は退避させたようで最悪の自体は回避出来た。
さて、後はその賊の討伐なんだが…
「おや、向かわぬのですかな?」
私の隣に待機していた露出の多い白い着物を着た客将、趙雲……いや、星が話し掛けてきた。
「いや向かうさ。ただ…」
「ただ…どうされたと?」
軽く口調が皮肉めいた感じがして、少しカチンときたが私はそれをおくびに出さず、続けた。
「あぁ、何だかそれ程不安に思えない自分がいるんだよな…」
「おやおや、太守としては危うい発言ではござらんか?」
ム……確かに太守たるもの人がいないとはいえ、村が襲われるやもしれないという最中にこの発言は不味いものだが、何故か星に言われると腹がたつ。
「…ですが、何故でござろうな…私も白蓮殿の様に不安は感じぬ」
「散々人に言っといてソレかよ」
人には散々いっときながら星も同じ意見なのかよ。
そして星は「ハハハ!」大きく笑いながら続けた。
「それで?白蓮殿はどうされるおつもりかな?」
「んなもん、決まっているだろ?その賊って言うのはズバリ黄巾党、ならばさっさと倒さないと民が平和に暮らせないってな」
私は近兵に出撃の準備をするように申し付けた。
「ならば、私も向かうと致しましょう」
「お?私が頼むときは一蹴するお前が自分から動くなんて珍しいんじゃないか?」
「フフフ…何やら新しい臭いを感じたものですからな」
………相変わらず、何を言っているのか解らない奴だが、まぁ何はともあれ星が付いてきてくれるというのは心強いな。
そうして私は千ほどの兵を連れ、報告があった集落へと急ぐことにした。
そして、そこで私達は出会ってしまったんだ。
他に例を見ないほど型破りな親子を……ただ、その時の私はまだその事を知らなかった……
――――凌統
賊に対等して既に二刻程(約一時間)が経過しただろうか?
未だに賊共はワラワラと増殖中……きっと奴らは、一匹いたら無限に増殖するGの遠い親戚に違いない!
もとは農民が多いかもしれないがきっと家畜ではなくてGだ!
確信は無いが自信を持って言えるぜ!!
………現実逃避はこれ位にしておこう。正直言って、二刻も逃げてばっかというのは疲労が半端なく溜まってしまう。
いや、身体的には余裕なのだが、内部と言いますか…精神的に辛いです。
元一般人現小市民の俺からしてみたら、よく二刻もったと思う位疲れた。
「フハハハハハハハ~!我最強也!!」
…………まぁ、母については全力でスルーして頂けたら幸いかと存じますが何か?
しかし、いくら母のテンションがバーストストリーム状態とはいえ限界がある。
これは……俺も本格的に動かないとヤベェんでねぇかな?
いよいよ、俺も覚悟を決めていると…
「ん…何だこの感じ………………ッ!!!? 柚登!なんか大所帯が来るぜぇ!」
母が叫んだ。どうやら、まだまだ増えていくみたいだ。
う~む……流石にこれ以上長引かせると母の体力がリミットアウトになるやもしれないし…何より、俺の正常な精神発達の妨げになりまくりな感じだ!
俺は三節棍を持つ力を強めて何時でも本気モードになれる準備をした。
俺が放つ独特の空気に気付いたのか、賊共が俺を中心に少し距離をとり留まる。
本能のレベルで読み取ったのだろう。賊は皆が皆、俺から同じ距離を取っている。
某最強の弟子風に言うのであれば、制空権と言ったところであろうか?
そして、誰か一人でもこの中に人が入ってきたら最後……俺のやる気スイッチがオン状態になることは間違いない。
そのままの態勢で数十秒が経過した。
そろそろ、痺れをきたした賊が突っ込んでくるだろうと踏んでいた俺の期待は……
「柚登見ろ!正規軍がやっとこさ、お見えになったぜ!!」
見事に空気を読まなかった母にゆって銀河の遥か彼方へと吹き飛ばされてしまったのであった…
だけれど、正規軍って事は……良かった~本気出さずに済んだ。
「チッ…………野郎共!二手に分かれるぞ!!俺の隊はこのままコイツ等の相手を…」
あ、なんか指示だしている奴を発見!
つまりは、アレが司令塔って訳か? 以外と距離が近いみたいだし早くアレを潰せば戦いやすくなるかも!
直ぐ様そう言う結論に至った俺はリーダーと思われる奴に向かって突撃した。
しかし走りだした瞬間、思いもよらないことが起きてしまったのだ。
―――――――――――――――――ズルッ
つい先程まで身体全身に色々と力を籠め過ぎていたため、急に一歩踏み出すことにより足を滑らしてしまったんだ。
そのまま、重力によって傾き始める俺の身体…しか~し!伊達に身体能力が高いわけではないんだ!
俺は足を一歩踏みだして何とか転倒を防ごうとした。しかし、今回のバランスの崩し方は半端無かったらしい。今度は重心が右斜め前方に向かって傾き始めた。
フフフ…だが、このままでは終わらんよ!!
今度は右手を地面につけて転倒を防ぐ。
――――――――――――――シュン…
ん?なんか今耳元で風を斬るような音がした気が……きっと気のせいだろう。
何とか態勢を立て直した俺は再びリーダーと思われる賊に向かおうとしたんだが、何かが足りない。
具体的に言うのであれば、つい先程まで右手に握られていたそれなりに重量がある物体を感じないと言いますか…
俺は恐る恐る右手の方へと視線をずらした。
………その時に気付いたのだ。つい先ほどまで俺の右手にあった筈の物が無くなっているということに……
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…三節棍、どこいったーーーーーーーー!!?
いやそう言えば、今し方倒れそうになった時にライトな手を地面についたではないか。つまり、三節棍はそこに落ちている!!
自分自身でもウットリするような名推理だぜ…名探偵リョートー君!
やっべ、土曜の五時枠が狙えるんじゃね?
おとと…そんな事よりも三節棍、三節棍と~
俺は視線を右手から地面へとスライドさせた。
……………見事にナッスィングな状況に驚愕を感じえないよ…驚いたって事さ。
何故か俺の三節棍は姿を眩ましてしまったのでした。
も、もしかして何時まで経っても武器なのに武器として使わない俺に嫌気がさして無機物ながら一揆を起こしてしまったのかーーーーーー!!!
………………………ハッ!!!? そ、そう言えば、今俺って黄巾党の皆様方と絶賛死合っているところだったんだよな!!?
や、ヤバイ!武器を無くした俺ってば格好の獲物……
俺は慌てて体勢を立て直したのだが………………
「……………? (何故に皆さんそんなおびえた目で俺を見てるんだ?)」
そして、何となしに先程まで俺が立っていた場所をみると……
「……………? (なして、槍が地面ばささっとると!?)」
「柚登ーーーーーーーーーー!!!!スゲェなお前! 後ろから来る投槍を交わして三節棍ぶん投げて頭を仕留めるなんて!」
………何がどうなっているのですか!?
謎が謎を呼ぶ………真実は何時も一つ……なのかな?
以上、名探偵リョートー君レポートでした!
………ごめんなさい、少し現実からエスケープ気取ってました。
だけれど…本当に何が起きたんだろう?
誰が…誰が教えてください!!
ありがとうございました。
また次回もお楽しみに〜( ̄▽ ̄)ノシ