Re:俺⁉︎   作:かみかみん

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第九幕 出会いきたりて

――――関羽

 

私が旅をしている理由は二つある。

一つはこの戦乱の世を終わらせる事。もう一つはとある御方のお側に仕え、何時如何なるときもその御方と共にいるということ。

 

その御方は慈悲深く、この混沌とした世を糾すために立ち上がった御人…

皆から愛され、皆を愛する私が敬愛してやもない人である。

旅の仲間はその御方と私の義妹である少女。

コイツは破天荒で良くいえば場の空気を盛り上げ、悪くいえば厄介事を運んでくる少女だ。しかし、何だかんだ言いながら手に掛かる子ほど可愛らしいというように、ソレすらも私の日常になりつつある。

 

さて、話は変わるが私達は今かなりの規模をほこる賊共に取り囲まれている。

何ら不思議な出来事ではない。今の世、女三人で旅をしていて賊に絡まれないなんて甘い考えは生憎と持っていない。

 

何時もなら私と私の義理の妹が何とかするのだが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、愛紗ちゃん…何だか規模が大きすぎない?」

 

「心配ありません。桃香様は私と…」

 

「鈴々が護るから心配しなくていいのだ!」

 

いつ現われたのか?という程、突然こいつ等は現われた。

皆一様に頭部に黄巾を巻き、賊だというのに妙に統率された動きで数千人規模で…

 

恐らくこいつ等が今の世を乱している黄巾党…成る程、確かに一介の賊とは訳が違うな。

一人一人の武はなっておらず有象無象の集団のような奴らだが妙な統率が取れている。

そこら辺にいる盗賊はただ突撃する事しか能が無い連中だが、こいつ等は我等一人一人を分断させるように動いている。

だがしかし、幾ら統率が取れていようとも所詮は人の道から外れた外道共。陣形の形成は甘く、未だ我等三人をその場から動かせていないでいる。

 

その事に鈴々も気が付いているようだ。なるべく私と桃香様から離れないようにしている。桃香様を護りながら戦うという不利な状況下ではあるが、私と鈴々が居れば可能だと思っていた。

しかし、そんな慢心した私の心が何処かに隙を創ってしまったみたいだ。

 

「愛紗、不味いのだ! 何だか崖に追い込まれている!!」

 

…チッ!油断しすぎてしまったようだ。気が付いたら我等は桃香様を後ろに崖の下へと追い詰められてしまっていたのだ。前方には数千人規模の黄巾党の軍勢…背後には聳え立つ絶壁の崖…

恐らく、この状態で戦った場合数で押し切られてしまう。幾ら我等の武が奴等よりも高かろうがこの状態はいただけない。数で押し切られたら最後、青龍偃月刀も鈴々の丈八蛇矛も振るう事敵わないであろう。

 

この状況下で既に勝利を確信したのであろう。目の前の男共は下劣な笑みを浮かべながら一歩、また一歩と我らとの距離を縮めてきている。

この後に我等に降りかかるであろう事を思うと背筋が凍りつくような思いとなった。だが、しかし…

 

「だ、大丈夫だよ二人とも…コレだけの人なんだもん。きっと正規軍だって近くに来ている筈…」

 

そんな我等に桃香様は健気にも励まそうとしてくださっている。確かにコレだけの規模であるならば桃香様の言うとおり正規軍が動いていても可笑しくは無い筈だ。しかし、今すぐに我等が追い込まれているこの崖に駆け付けてくれるなどという都合の良い話は残念ながら皆無に等しい。

 

つまり、この場は我等でどうにかしなければいけないのだ。

 

―――――――――――ジャリ…

 

そんな折り、黄巾党の軍勢の中から三人の男が前に出てきた。

恐らく降伏勧告であろう。しかし、我等はそんな脅しに屈することは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――グシャリ…

 

 

『――――――――――ギャァァァァァァ!!!!』

 

その瞬間、私は自分の眼を疑った。隣にいた鈴々と桃香様の息を飲む音が聞こえた。

二人もまた、私と同じような心境に陥ったに違いない。

 

まさに一瞬の出来事であった。

我等の前に出てきた三人の男…しかし、私は奴らの声を聞くことはなかった。

何故なら………

 

 

 

 

 

 

 

 

奴らの頭は一瞬の内に吹き飛んだのだから…余波を食らったのだろう。三人の後ろにいた男共の汚い悲鳴が辺りに響き渡った。

 

――――――――――――――な、何が起こったというのだ!? 言い知れぬ不安と恐怖が私の動きを鈍くする。

決して自らの身に降り掛かろうとしている明確な『死』に恐怖しているのではない。

 

……横目で共に旅をしてきた義妹と主の姿を見た。

 

喩え私はどうなっても、この二人だけは…

 

堰月刀を握り締める力が無意識のうちに強くなっていた。

そして、始めに動いたのは………以外にも黄巾党の中の者だった。

 

「お、おい…この三節棍は……………まさか!!?」

 

「あ、あん時の化け物か!?」

 

「に、逃げろぉぉ!!喰われちまう!!!」

 

 

―――――――――――三節棍?化け物?

 

 

奴らは何を言っているのだろう?

何かを見て蜘蛛の巣状に撤退し始める一部の輩。ふと地面に目を向けると、私達の近くに真っ赤に濡れた棒に鎖が付いたナニカが地面に突き刺さっている。

 

そして、逃げ出す黄巾党の顔は悪鬼羅刹を見たような恐怖に支配されている。

いったい何が…………?

 

「あ、あああああ愛紗ちゃん!う、上〜〜〜〜!!」

 

そんな折り、私の背で身を隠していた桃香様が悲鳴とも取れる声で私に何かを訴えている。

 

―――――――――上?

 

私は反射的に頭上を見上げた。思えば、敵を目の前にして何たる無謀な行為だと思ったが、桃香様の尋常ではない御様子…確実に何かが…

 

そんな私の読みは良い意味で叶うこととなった。

始めは私の眼に何ら異変は映し出されなかった。しかし、直ぐに…

 

「…………鳥?…いや、あれは…―――――――――――ッ!!!? 人か!!?」

 

只何も無い状態でそびえ立っていると思えた断崖絶壁の崖…其処に突如として現れた黒い影を私は始め鳥かと思った。しかし、ソレは徐々に人の形を織り成していき…私に『人が飛び降りた』という事実をまごう事無き真実を伝えた。

 

「な、何を馬鹿な事を!!?この高さから飛び降りるなどと…自害するつもりか!?」

 

誰だかわからぬが崖から飛び降りるなどと愚の骨頂である。そんな事をしたらどうなるのか等は子供でも理解できる。

勿論、始めに発見した桃香様をはじめ、私と鈴々は既に飛び降りた人物は死んだものと思った。

 

…………しかし、この時私は確認するべきだったんだ。

黄巾党の極一部の者が私達と同じように崖上を見つめていた事を。そして………

 

―――――――――――その眼が先程、逃げ出した黄巾党と同じく恐怖に支配されていた事を…

 

次の瞬間…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――スガァァァァァァァァアアアアン!!!!!!

 

耳を貫かんばかりに響き渡る轟音と共に…

 

「―――――――――――――――― な、なぁ!!?」

 

「人が吹っ飛んだのだ!」

 

我等の前に対峙していた黄巾党のうち前衛にいた数十人が…紙屑のように……まるで投石器が放った岩が直撃したかのように…吹き飛んだのだから…辺りを砂塵が覆い隠して飛び降りた者の安否は確認出来ない

 

「ふ、二人とも!中に人影があるよ!?」

 

桃香様の悲鳴にも似た声によって現実に引き戻された私は慌てて砂塵の中心へと視線を移動させた。

 

砂塵により塞がれていた其処には私の常識を疑うような光景が………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………無事……か?」

 

広がっていた………これが私達と凌統との出会いであった。

 

 

――――凌統

 

走る~走る~ゆぅとぉ~くん♪

流れる汗もそのま~ま~に~

 

やぁ、爆風で不調に陥ってしまった方達の歌を脳内BGMに変換して久々に全力走者をしている凌統君だ。

またもや俺のポカにより三節棍の犠牲者を増やしてしまうという正に絶体絶命で崖っ淵に立たされている。

まぁ、自業自得と言われたらそれ迄なんですがね。

こんな事なら先に帰ってもらった副長さんに三節棍を預かって(以下ry

 

そんなこんなで俺は三節棍が直撃してしまったと思われる三人の人物を目指して全速で地を駆けている。

 

しかしあれだね。吹っ飛んでいった三節棍は相当の勢いがあったんだろうね。

悲鳴が聞こえたほうに向かっても未だに人の姿を確認できないんだよ。

 

もうマジでヤバいよね?最悪な状況になっていたら、入って早々ながら公そ…じゃなかった。白蓮さんの所から『あばよとっつぁん』みたく逃げ出さないといけない状況だよね?

 

…よし、鬱っちまうな話を変えよう。…しかしながら、凄いよな微妙にチート気味なこの身体。明らかに馬より速く走っているんだぜ?

前世の俺からしてみたら有り得なさすぎなスピードだぜ?

 

人間は追い詰められると火事場の馬鹿力が発揮されると聞いたことがあるけれど、今の俺は間違いなくそれだね。

べ、別に額に『肉』って書く気なんてないんだからね!! 牛丼,カルビ丼は好きだけれどⅢ世になる気なんて無いんだからね!!

……色々と変なテンパり具合な凌統君です。

 

さてさて、そんな事を言っている今現在でも俺はこの世界に生まれ落ちて今まで感じたことが無いような感覚を味わっているわけよ。

何ていうのかな…そう、まるで飛んでいるような感覚になるくらいだ。

凄いよな、脚に全く負担が掛かっていない感じなんだよ。『あ~い・きゃ~ん・ふら~い!』って言いたくなるもんな。……何でだろう? 誰かが『いぇ~す!ゆ~・きゃ~ん・ふら~い!!』って言った気がする。

 

……疲れているわけでも、頭がおかしくなった訳でもないから悪しからず。

しかしながら、必死になるとここ迄の力が出せるんだな俺の身体…

 

………………だけれど何でだろう? さっきから景色が殆ど変わっていないような…更には何だか、下から下から新しい世界が開拓されるかのような…簡単に言えばフリーフォールに乗っている感…か…く……が……………ん?フリー………って、俺の身体何か知らんが落ちてねぇか!!?

 

気付いたときには既に手遅れとはよく言ったものだと思う。

俺の身体は既にかなり落ちていたみたいで…ってか、崖から落ちたのね俺の身体?

 

崖っ淵に立たされている状況だとは思っていたけれど、まさか本当に崖からロープレスバンジーを決め込むとは………冷静に考えている場合じゃねぇぇぇぇぇ!!!!

ふと、俺は自分がこのまま落下した場合の着地地点を見てみた。

うわぁ~い。黄色い団体さんのお通りだぁ~…………………………え"!!?

アレってもしかしなくても黄巾党の軍勢だったりしちゃう感じですか!!?……ま、不味い…ひじょ~に不味い!!

何が不味いかを口で言えない位、不味い!!

更にはこのまま行くと俺の体は地面とごっつんこでぺちゃんこでもっと不味い!!!!

ど、どうすればいいの俺!!? ………いや、少し考えろ俺。仮にも見た目は無双さんの凌統と同じなんだ。だったら、空中↑+強攻撃で地面の敵をある程度一掃出来て、尚且つ自分にダメージを与えることなく着地が出来るんじゃないのでしょうか!!

 

良い感じでテンパっていて三節棍を持っていないとかそういう条件を全く無視していた俺は即座に行動に移した。

武器が無いので取りあえずは自分の足を武器代わりにして、踵落としの要領で地面へ向かうスピードをアップさせた俺。そこで、ふと黄色い布をかぶっていない3人組の女の子が視界に入ってきたんだ。

しかも、その傍にあるのって………………………俺の三節棍!!!?

って言う事は何かい? 三節棍ってあの3人に当たったの!!!? うわ、うわ~!!? 生きているから良いものの、よりにもよって女の子に当たるなんて最悪すぎやしませんかい!? しかも、黄巾党に囲まれている状況なんて……あれ?でも、聞こえてきたのは男の声だったような………いや、きっと俺の聞き間違いだろう!

取りあえず、あの女の子達の無事を確かめて、謝罪の意味を込めて黄巾党さん達にはご退場願いましょう。

そんでそんで……………………慰謝料とかって幾らくらいが相場なんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――ズガァァァァァァァァン!!!

 

特に黄巾党とは関係ない事を考えながら俺は地面に大穴をあけて着地した。

その時、砂塵が辺り一面に立ち視界が全く無くなってしまったのは予想外だったけれどね。

そして、徐々に砂塵が消えていき俺は…

 

「……………………無事……か?」

 

取りあえずは最優先事項である3人の女の子の安否確認をした。

 

『…………』

 

あ、あれ?何だか滑った感が否めないような…しかも、この子達ケガらしいケガはしていないし…

寧ろ、気になるのは………

 

この地面にめり込んでいる真っ赤なインクを塗り手繰ったような毒々しいながらも、どこか懐かしい武器と…

 

地面に倒れこんでいる頭の無い人の身体といいますか…簡単に言えば、何処の首無しライダーに襲われたのだろうか?と言うくらいグロ系満載の黄巾党の服を着ている胴体…

つまるところ……………俺の三節棍は敵サンセンサーを搭載しているハイテク型ということでいいのでしょうか?

 

―――――――― うん、現実逃避は良くないね。

取り敢えず今やらないといけないことは…

 

「この間の雪辱戦だ!野郎共やっちまえ!!」

 

一にも先にも変わらず黄巾党の殲滅だったりするんだよなぁ〜

 




ありがとうございました。

また次回もお楽しみに〜( ̄▽ ̄)ノシ
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