You Only Live Twice の奇想曲 作:飛龍瑞鶴
彼は諜報員であり。かれらなりの流儀で行動する。
例え、それが犯罪行為であっても…良い言葉が存在する「ばれなきゃ犯罪じゃない」
さて、
遠山キンジの監視体制は既に構築してある。神崎・H・アリアが同居して以来、国家にも圧力をかけれる某家のご淑女から監視体制を作って報告せよとのご依頼があったので、菊代嬢を巻き込んで
ぶっちゃけると依頼主様は、星伽白雪嬢なのだが……彼女の執着には呆れる反面、前の自分も似たようなモノなので、ある意味では尊敬している。
それに、支払いが良いのも良い点である。私は友人割引などしないが、彼女は正規料金に諸経費及び一般管理費も支払ってくれる上客である。
監視網は現状維持で問題ないと思われるので、親友の普段の能力を試して見るか…正直、やりたくはないが。国家にいろんなモノを売った身なので、任務完遂の為にやる事は多い。
学園島内まで、
尾行確認を入念に行って、月極駐車場に入る。
一番端でカバーを被っている軽自動車に近寄り、車内に潜り込む。
この車を始め、学園島には複数の隠し武器庫を用意している。
隠し武器庫の中で、現ナマには手を触れず。フェルト製のトイレットケースに弾倉複数と消音器と共に入っている旧チェコスロバキア製
銃を吊り、隙間の空いたトイレットケースに有るだけの弾倉と32口径弾を詰め込む。この小脇に抱えるには少し小さいケースはベルト通しの穴があるので背中に回す様にして身に付ける。
少し不格好だが、相手が大型拳銃を隠していると誤解を招く様に身に付けた。
後は、この国では「ビン・ラディンモデル」と不名誉な名前で呼ばれ、西側では「クリンコフ」と呼ばれているAKS-74Uを取り出す。
マズルフラッシュが少しキツイのが欠点だが。この短さで5.45×39弾を使えるのは魅力的なので、持ち出すことにする。
この銃は複数のタイプがあり、今回は消音器と消音グレネードランチャーを装着できるタイプBを持ち出す。複数の弾倉を収められるベストとそれに合った数の弾倉それに、ランチャー用の催涙弾とゴム弾をスポーツバックにつめる。無論、5.45×39弾も複数の弾種の箱を詰め込む。
「しかし、ソビエト崩壊後、こういう装備が出来たのは良いなぁ」
アドオングレネードランチャーに使える弾の種類が増えるのは、此方が取れる戦術の幅が広がる。特に表の顔の武偵では殺人はご法度なので、その辺りは嬉しい。
(正当防衛も緊急避難でもダメで三倍刑……与えた怪我が原因で結果的に死なれた場合はどうなるんだか)
自分はその方面では捕まらない事を確信しているが要らない事に考えを回していた。
本来なら既に自分は刑事罰の累積でとっくに死刑か無期懲役だろう。それほどの数の人間を
存在しない人間が罪を犯す事は無い。故にそのような殺人事件は存在しない。
滅茶苦茶と言っても良い論理展開だが、この世がユートピアでもデストピアでもない以上―それらは紙の上にしか存在しない―、日本国と言う一種の共同幻想と、国益と言う実利を守る為には誰かがやらなければならない仕事であった。
それらは完全に闇に葬られ、二度と明るみに出ることはない。
公的機関である公安0課は、どんなに極秘裏に活動しても公開情報法を精査すればその活動内容を窺う事ができ、『存在すらしない事件』を扱っても何時かは明るみにでる。公務員として名簿に載る武装検事も同様であり。
故に存在すら認められていない
「それで、存在しない筈の報酬が存在しない筈の銀行口座に振り込まれる」
と、信也はどれだけ「存在しない」が付けば良いんだかと苦笑しながら装備一式を持ち出して、携帯に手をのばす。
「美香?もうすぐ帰れる。今日の夕食は?……そうか、悪いだけど…うん。それを弁当箱につめて外出の用意をしてくれると嬉しい。……ちょっと、腐れ縁の友人宅に押し掛ける事情が出来た……うん。ゴメン……ありがとう」
恋人にお願いをして。その後、数か所に電話とメールを送信し。この日、最後になるであろう電話をかける。
「もしもし、キンジ帰ってるか?……うん。こっちも絞られた……そう…うん……夕飯食ったか?……まだ、それは良かった。美香が夕飯作り過ぎてね……そう、今から押し掛ける」
さて、我が親友の危機意識と武偵意識を確認しに行きますか。
繰り返すようになるが、親友を調べるのは不本意である。だが、仕事は仕事なので完遂しなければならない。
まぁ、監視網を構築した時点で親友としては、ダメな気がするが。
今回はここまで…一応、護衛の準備です。
隠し武器庫モデルは攻殻機動隊1.5で登場したトグサの隠し武器庫です。