龍己「どうも、稲荷龍己です。式神がいればだいぶ便利にはなるだろうけど、その分の責任は持つ必要はあるけどな」
政実「そうだね。だからこそ、しっかりとした知識や意識を持つ必要もあるけどね」
龍己「そうだな。さてと……それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・龍己「それでは、第12話をどうぞ」
5月半ばのある日の昼過ぎ、俺は友達である瓦版屋の
「さ~て、今回はどんな本に出会えるかな~?」
「……旦那は、本当に本が好きなんですねぇ……。気付いてるかは分かりやせんけど、旦那はこの『虫本堂』や貸本屋の『本角堂』にいる時は、心なしかいつもと話し方が変わっている上に声が明らかに弾んでやすよ?」
「……え、そうなのか?」
「……へい。何と言うか……いつもは語尾を伸ばしたり間延びした話し方をしたりしてやせんけど、その時だけはそのどちらもやってやすし、声もいつもの落ち着いた感じじゃなく、かなり明るい感じになってやすよ」
「へー……そうだったのか。けどそれは、もしかしたら
「……なるほど、確かにその可能性はありやすね。となると、これからも知らず知らずの内に、前の旦那の特徴がヒョコッと顔を出すかもしれやせんし、それはそれで楽しみな気はしやすね」
「ふふ、そうだな。もうあの頃には戻れないし戻るつもりも無いけど、そういった特徴も俺の一部ではあるし、それはちゃんと受け入れていかないとな」
そんな会話を交わしながら以前から愛読しているシリーズの本やタイトルから興味を惹かれた本などを手に取っていたその時、俺はある事を思い出し、それと同時に俺の手がピタリと止まった。
……そういえば、人間時代の俺がいなくなった後の事について、まだ何もしてなかったよな……。
人間時代の俺は、羅紗さんの手によって命を落とした後、そのままこの『妖世界』ヘと来たため、『人間世界』から見れば俺は一人の行方不明者となっている。そして、『妖世界』に来た日にそれについての話し合いは、俺がお世話になっている呉服問屋兼仕立屋の『狐雨福屋』の主――龍三郎さん達と一緒に一度しているのだが、結局は良い案が浮かばなかったため、とりあえず案が浮かぶまでは保留という事にしていたのだった。
俺がいなくなってから今日で約一ヶ月半、実の両親が捜索願を出していたとすれば、俺がいなくなった現場の状況的に警察はすぐに動いている気がする。つまり、何か手を打つなら早めにどうにかしないといけない事になるけど、下手を打ったらこの『妖世界』の存在や俺が半人半妖だという事が『人間世界』で広まり、場合によっては『
実の両親達への申し訳なさから小さく溜息をついていたその時、ふと隅っこに置かれた本棚が目に入り、それに引き寄せられるように俺はその本棚へと近付いた。そして、ある一冊の本を見つけた瞬間、思わず首を傾げてしまった。
「……何だろう、これ? 題名が掠れて見えなくなってるけど……」
「んー……見た所、ただの古そうな本みてぇですけど、この本が気になるんですかぃ?」
「うん、それもかなり気になる。古い本には、結構お宝が混じってる事があるし、ここまで興味を惹かれる本には中々出会えない気がするからさ」
「なるほど……そういう事なら、その本について親父に訊いてみるしかねぇですね」
「だな。とりあえず他の本と一緒にこれも持っていくか」
そして、件の本を手に取って持っていた本の上に置いた後、俺達は『虫本堂』の主である化け狸の
「藤五郎さん、お願いします」
「……おう、決まったかぃ、龍己の兄ちゃん」
「はい、えーと……今日はここからここまでです」
「どれどれ……へえ、今日も結構な量があんじゃねぇか。こりゃあ、普通の奴ならしばらくは楽しめるが、おめぇなら2日と経たずに読んじまうんじゃねぇのかぃ?」
「……あ、そうかもしれませんね」
少し考えてから答えると、藤五郎さんは「……やっぱりな」と言いながらニヤリと笑い、持ってきた本を次々と確認し始めた。藤五郎さんは、この不忍の街に昔から住んでいる化け狸で、あまり話し好きでは無いのだが、『狐雨福屋』の先々代店主とは仲が良かったらしい。因みに先々代店主とは、主に日常の何気ない話をしていたようだが、特に共通の趣味だった読書についてはとても盛り上がったらしく、本の話を肴に酒を飲み交わした事もあると前に話してくれた事があり、その時の藤五郎さんの表情はとても懐かしそうで嬉しそうな物だった。尚、俺が藤五郎さんから妖狐としての名前である
藤五郎さんは、少し気難しそうにみられがちだけど、本当はとても心優しい上、俺と同じく読書が好きな化け狸だ。当然だけど、この関係性は他の皆との関係性と同じように絶対に大事にしていかないといけないな。
藤五郎さんの事を見ながらそう感じていたその時、藤五郎さんがあの本を見つけ「……おっ」ととても楽しそうに声を上げた。
「……コイツを見つけるったぁ、やっぱりおめぇはただもんじゃねぇな」
「ただ者じゃないって……この本はそんなにスゴい物なんですか?」
「まあ……そんなところだな。こいつぁ何年も前にちっと遠くに行った時に見つけた代物なんだが、この題名が掠れちまってる感じと古びた感じからコイツには何かあると思って手に入れてきたんだ」
「そういや、龍己の旦那もこれを見つけた時に同じような事を言ってたような……けど、そんな珍品を売りもんにしちまっていいのかぃ? どんな内容なのかは知らねぇが、そういう代物なら手元に置いといた方が良いんじゃねぇのかぃ?」
「へっ……分かってねぇな。確かにそういう考え方もあるだろうが、こういう代物こそ持つべき奴に渡るように俺達みてぇな
「そういうもんかねぇ……」
「そういうもんだ。まあ、ここ何年もコイツを見つけたって言いに来た奴はいなかったから、少し諦め気味だったんだが、まさか龍己が見つけるったぁ思ってもみなかったぜ。流石は半人半妖様ってぇところか?」
「あはは……どうでしょうね。けど、この本にスゴく興味を惹かれたのは事実ですし、もしかしたらこの本とは『縁』があったのかもしれませんね」
「……まあ、そうかもしれねぇな。よし……せっかくだ、コイツはおまけって事にしてやるよ」
「え、良いんですか?」
「ああ、おめぇは俺が認めた本好きな上に数ある本の中でこれを見つけ出した。これはそんな奴に持っていて欲しい物だからな。そして何より――」
そして、藤五郎さんは本を指差し、ニヤリと笑いながら言葉を続けた。
「おめぇならこの本を
「上手く扱える……ですか?」
「ああ、コイツはただの本じゃねぇ。何せコイツは、世にも珍しい
「式神……」
式神とは、一般的に陰陽道を学びそれを操る術者――陰陽師が従えている鬼神として知られ、普段は『式札』と言われる和紙の状態だが、術者が術式を以て使用する際には、使用意図に適った能力を
式神か……もし、式神を従えられるなら
本――術書に対して疑問を抱いていたその時、肩に乗っている風之助が不思議そうに小首を傾げた。
「旦那……そもそも式神ってぇのは、一体何なんです?」
「えっと……式神っていうのは――」
風之助に対して軽く式神の事について教えると、風之助は少し驚いた表情を浮かべながら術書に視線を向けた。
「つまり……この本に式神を作る方法が書いてあれば、その式神ってぇ奴を従えられるかもしれねぇって事ですかぃ?」
「まあ、簡単に言えばそうなるな。式神がいれば、今まで数の問題で出来なかった事も出来るようになるし、それ以外の事でも手伝ってもらう事が出来る。つまり、式神の存在1つで結構状況は変わるわけだな」
「なるほど……そう考えると、式神ってぇのは結構便利なもんって事になりやすね」
「そうだな。ただ、元を辿れば陰陽道に関係する事ではあるから、それの修行をした事が無い俺がそう簡単に出来る事でも無いけどな」
苦笑いを浮かべながら答えた後、俺は再び藤五郎さんの方へ顔を向け、1つの疑問をぶつけた。
「それにしても……この術書はどういった経緯でこの『妖世界』に流れてきたんでしょうね? 『妖世界』が『人間世界』の裏側にあるとは言え、こういう本がそう簡単に外に出て来るとは思えませんし……」
「さてな……そこまでは俺も分からねぇが、もしかしたらコイツ自身が
「そして、こうして俺と巡り会った、と……」
「そうなるな。まあ、おめぇはこの俺が見込んだ本好きで、俺達妖とは少し違ぇ半人半妖だ。きっと、おめぇならコイツの事を上手く扱えると信じてるよ」
「……ありがとうございます、藤五郎さん」
「……へっ、礼なんざいらねぇよ。さて……んじゃあそろそろ他の分の会計と行くか」
「はい!」
そして、他の本の会計を済ませて本を風呂敷の中に入れてもらった後、俺達は藤五郎さんに別れを告げてそのまま『虫本堂』を後にし、不忍の街の中を歩き始めた。
「それにしても……とんだ掘り出し物に出会っちまいましたねぇ……」
「そうだな。とりあえず、この本については龍三郎さんと話をしてみる事にして、どうにか出来そうならこの本の通りに一度やってみる。難しそうなら
「あー……確かに涼風丸の旦那ならこういう事に詳しそうな感じがしやすねぇ。涼風丸の旦那も龍己の旦那と同じで『人間世界』からこっちに来たみたいですし、もしかしたら何か知ってそうですからね」
「そういう事。まあ……龍三郎さんとは、もう1つ話をしないといけない事があるんだけどさ」
「もう1つ……ですかぃ?」
「ああ、前の俺の事についてな」
「……あ、なるほど……。そういや、『人間世界』では旦那は行方不明という事になってるかもしれないんでしたね……」
「ああ。だから、実の両親に少しでも安心してもらうために何か行動を起こしたいんだけど、下手を打ったら最悪の場合向こうの警察にこの『妖世界』について話をしないといけなくなるからな。もしそうなれば、『福来和裁店』の皆にも迷惑が掛かるし、向こう側からどうにかこっち側に来ようとする奴だって出てきてしまう。だから、何かはしないといけないけど、結構慎重な行動が求められるんだ」
「ふむ……なるほど。確かに霊力や妖力を持っている善人が入ってくるなら問題はありやせんけど、悪人が入って来ようものならこの『妖世界』全体に関わる事になりやすからね」
「その通りだ。本当ならあの日の内にどうにかすべきだったけど、どうにも方法が浮かばなかったからな。だけど、ここに来てからもう一ヶ月半になるし、そろそろ何かしらの手は打つ必要はあると思う」
「そうですねぇ……まあ、もし何か手伝える事があったら、遠慮無く言ってくだせぇ。旦那方と違って考える事はあまり得意じゃねぇですけど、俺でも何か助けられる事はあると思いやすから」
「ああ、もちろんだよ、風之助。もし、何かあったらその時はよろしくな」
「へい!」
ニコリと笑い合いながら風之助と拳を軽くぶつけ合った後、俺達は他の話をしながら賑わう不忍の街の中を歩き続けた。
その日の夜、俺は龍三郎さんと一緒に術書の事や『人間世界』の事について話をするために件の術書を持って龍三郎さんの部屋へ向かって歩いていた。そして、部屋の前に着いた後に廊下に正座をしながら襖を軽く2回ノックすると、中から「どうぞ」という声が聞こえ、それに対して「失礼します」と答えてから静かに襖を開けた。龍三郎さんは、どうやら寝る前の読書をしていたようで、寝間着姿で座っているその手には一冊の本が握られていた。
「夜分にすみません、少しお話をしたい事がありまして……」
「いえいえ、構いませんよ。それで、そのお話というのは?」
「夕食時にもお話しした式神について書かれた本の事、そして
「……なるほど、分かりました。どうぞ、入って下さい」
「はい、失礼します」
そして、中に入って龍三郎さんが用意をしてくれた座布団に座った後、俺が龍三郎さんと向かい合うと、龍三郎さんは少し表情を曇らせながら静かに口を開いた。
「……さて、まずは以前の龍己君の事について話をした方が良いかもしれませんね」
「そうですね……俺がこの『妖世界』に来たあの日、羅紗さんも含めた3人で話をしましたけど、結局良案は浮かばなかったために一度この話は打ち切ったわけですが、ここに来てから約一ヶ月半になったからには、そろそろ何か行動を起こさないといけないと思うんです」
「……そうですね。未だに良案は浮かんでいませんが、龍己君の実のご両親の心労を考えるならそれが1番だと思います。ですが、問題はどうやってご両親にのみこの事を伝えるか、ですね」
「はい。実の両親は、たぶん捜索願を出していると思いますし、俺がいなくなった現場には持っていた荷物や心臓を射貫かれた事で流れた血が残っていたと思うので、警察も事件性を感じてすぐに捜査を行っているはずです。本当ならこれはとても心強い事ですが、今の俺が警察に見つかってしまった場合、この一ヶ月半の事を色々と訊かれ、場合によっては『妖世界』の事も話さないといけなくなります。もっとも、警察はその事を与太話や言い訳なんかと思うかもしれませんが、最悪の場合は気が触れたと思われてそれ専用の病院に入れられる事で、この『妖世界』に戻ってこられなくなる恐れもありますし、それを聞きつけた悪意を持った
「……確かにそうですね。龍己君も知っている通り、この『妖世界』と『人間世界』を繋ぐ『時空穴』がありますから、それを通って来ようとするモノがいる可能性は十分にありますね」
「はい……」
もしそうなれば、風之助が言っていたように『妖世界』全体に関わる事になる上、両親や友達にも迷惑が掛かってしまう。だからこそ、両親以外には会う事は出来ないし、会ってはいけない。けれど、そのためには警察に見つからないようにする手段を講じる必要があるのだ。
けど、本当にどうしたものかな……。
俺が黙り込みながら考え事を始めたその時、龍三郎さんは顎に手を当てながら少し考え込んだ後、静かに口を開いた。
「龍己君、この件については涼風丸さんに助けてもらう必要があると思います」
「涼風丸さんにですか……?」
「はい。涼風丸さんは私よりも遙かに多くの妖術をご存じなので、周囲の目を誤魔化しながら龍己君をご両親の元へ連れて行く事が可能だと思います。もちろん、その時は私も龍己君と共に『人間世界』へと参りますし、龍己君には姿を隠すための狐のお面もあります。ですが、警察犬の存在や警察の方に姿を隠した私達の事を視認できる方がいないとも限りませんからね。とても心苦しいですが、涼風丸さんにも手伝ってもらう事が出来れば、今回の行動の結果を私達が求める物にする事が出来ると思います」
「……確かにそうですね。となると、明日か明後日にでも涼風丸さんのお宅に伺って、この件についてお話をした方が良さそうですね」
「そうですね。涼風丸さんのお宅がある山は、ここから少し離れたところにありますが、朝早くに出発をすれば、夕暮れ時には戻って来る事が出来ると思います」
「となると……明日はその準備に費やして、明後日に出発をする方が良さそうなので、とりあえずはその予定で行こうと思います」
「分かりました。では、この件については涼風丸さんのお宅を訪ねた後にまた話をする事にしましょう」
「はい。では、次はこの本についてですね」
傍らに置いていた術書を目の前に出しながら言うと、龍三郎さんは物珍しそうに術書を観察したり軽くパラパラッと捲ったりし始め、それを終えると少しだけ目を輝かせながら話し始めた。
「夕食時にもお話は聞きましたが、これは本当に珍しい物のようですね。私もかれこれ様々な書物に出会ってきましたが、式神について書かれている本に出会ったのは、今日が初めてですよ」
「やはり、そうですよね。こういった書物はあまり外に出回る物では無いはずですし、そもそもこの『妖世界』に来そうな書物でも無いですから」
龍三郎さんの言葉に頷きながら答えた後、俺は術書に書かれていた内容を想起した。この術書は、どうやら『
たぶん、これは入門書みたいな物なんだろうけど、本当に何でこれがこっち側に流れてきたのかだけは本当に分からないよな……。
軽く腕を組みながらそんな事を考えていた時、龍三郎さんが「……そうだ」と何か思いついた様子で声を上げ、ニコリと笑いながら話し掛けてきた。
「龍己君、先程の涼風丸さんのお宅に伺う件ですが、この『式打始祖書』の件も一緒に解決してみませんか?」
「一緒にというと……式神を作ってみようという事ですか?」
「はい。幸い、この本は式神を作るための入門書のようですし、本当に特別な道具を必要とするわけでも無いようですから、これも良い機会だと思ってやってみるのも良いのではないかと思います」
「確かにそうですが、この『霊力が籠もった和紙』というのは、流石に手に入らない気がしますけど……」
『式打始祖書』のあるページを開きながら言うと、龍三郎さんは横に首を振りながらそれに答えた。
「いえ、それは恐らく大丈夫だと思います。何故なら、涼風丸さんのお宅があるのは、霊山として知られている山なので、和紙に霊力を移す手段については涼風丸さんがご存じだと思いますから」
「霊山……確かにそういう事なら大丈夫そうですね。それに、涼風丸さんには俺の事について助力を
「その通りです。ただ、涼風丸さんには本当に申し訳ないですけどね」
「そうですね……俺の事について助力を乞うばかりか式神を作る件についても関わってもらう事になりますから、後日お礼とお詫びを兼ねて菓子折かお酒を持って行かないといけませんね」
「そうですね。ですが、それは私がどうにかしますので、龍己君は明後日の出発に向けての準備に集中してもらって大丈夫ですよ。涼風丸さんのお宅がある山は、それ程険しい山では無かったと思いますが、先日の航海の時のような事もあり得ますからね」
「……それもそうですね。分かりました、それじゃあお言葉に甘えさせてもらいますね」
「はい、そうして下さい」
微笑みを浮かべながら言う俺の言葉に、龍三郎さんはクスリと笑いながら答えた後、不意に小さな欠伸をしたかと思うと、まるでそれが移ったかのように俺の口からも小さな欠伸が出てきた。
「……どうやら、少しだけ安心したせいか眠くなってきたようですね」
「そうですね。それじゃあキリも良いので、今夜はここで終わりにしましょうか」
「はい。それでは龍己君、お休みなさい」
「はい、お休みなさい、龍三郎さん」
挨拶をし合った後、俺はゆっくりと立ち上がってから『式打始祖書』を小脇に抱え、そのまま龍三郎さんの部屋を出た。そして、「失礼しました」と言った後に襖を静かに閉め、自室である離れへ向かって歩き出した。
……半人半妖への生まれ変わりから始まった俺の第二の人生だけど、その人生をしっかりと生きていくためにも俺がやり残してしまった事は、絶対にやり遂げないといけないな。それが
そう思いながらピタリと歩を止め、廊下から見える空に静かに佇む青白い月を見上げ、俺はその儚い光を浴びながら小さな声で独り言ちた。
「さて……今の俺にどこまでの事が出来るかは分からないけど、前の俺のためにも出来る限り頑張ってみるか」
その言葉は、たとえ近くに誰かがいても他の誰にも聞こえない程に小さな物だったが、『……そうだな』と答える声が聞こえたような気がして、俺は月を見上げたままで小さく微笑みながらコクンと一度だけ頷いた。
政実「第12話、いかがでしたでしょうか」
龍己「今回は式神の件に加えて、俺の過去に迫っていく形みたいだな」
政実「そうだね。当初は、もう少し後でやる予定だったけど、話の展開的に今やる方が良いかなと思ってね。そして、今回も大体3話完結くらいにするつもりだよ」
龍己「分かった。そして最後に、今作品やスピンオフに当たる作品『俺と機織り狐さん達との一ヶ月間』についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けるととても嬉しいです」
政実「さて……それじゃあそろそろ締めていこうか」
龍己「ああ」
政実・龍己「それでは、また次回」