妖世界の半人半妖   作:九戸政景

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政実「どうも、そろそろ恋愛小説にも手を出そうかなと思っている片倉政実です」
龍己「どうも、稲荷龍己です。恋愛小説か……他作品で登場人物間の恋愛を書いていたのに、今まで読んでなかったのは意外だったな」
政実「まあね。だから、機会を見つけてそういうのも読んでみて、これからの創作活動に活かしていこうと思っているよ」
龍己「分かった。さて……それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・龍己「それでは、第13話をどうぞ」


第13話 妖狐の決意と繋がり合う想い

「……よし、とりあえずこんな感じで良さそうだな」

式打始祖書(しきうちしそのしょ)』を手に入れた二日後の朝、昨日の内に文机の傍に準備し終えていた荷物を見ながら独り言ちた。昨日、俺は朝食後にいつも通り訪ねてきてくれた鎌鼬(かまいたち)風之助(かざのすけ)と俺と同じ呉服問屋兼仕立屋の『狐雨福屋(こうふくや)』の居候である火鼠(かそ)(かがり)の二人に龍三郎(りゅうざぶろう)さんと話し合った内容について話し、よければ一緒に来ないかと誘ってみた。すると、篝が二つ返事でついてきてくれる事になったのに対し、風之助は一度相方の草吉(そうきち)さんや風之助達が所属する瓦版屋組織の親方に相談してからじゃないと返事が出来ないという事だったので、風之助の件は一度保留する事になった。そして、風之助がその件についての相談と記事のネタ探しを兼ねて離れから飛んでいった後、俺は篝を連れてこの『不忍(しのばず)』の街中を巡りながら今回の遠出の準備を始め、それなりに準備が出来たと思った頃に風之助がとても嬉しそうな様子で飛んできたため、そのまま肩に乗せながら話を聞いた。すると、今回の遠出に同行できる事になったというので、俺達はそれに対して心から喜び、その後は風之助も交えて準備を再開したのだった。

 今回は前回に比べれば少なめではあるけど、今日中に戻ってくる予定って考えるならこのくらいが打倒かもしれないな。

 目の前にある荷物を見ながらうんうんと頷いていると、同じように荷物を見ていた篝が少し珍しそうな様子で話し掛けてきた。

「昨日の準備中も思ったんですけど……遠くに出掛けるには、思っていたよりも荷物が必要なんですね」

「んー……まあ、これは旅の用心帳を参考にした俺なりの準備だから、何とも言えないかな。火鼠の里があった島を訪れた時は、何があるか分からないからそれなりに用意はしたけど、今回は今日中には戻ってくる予定だから、あの日よりは荷物も少なめかな」

「あ、そうなんですね」

「ああ。旅をする時は、山道を歩く事が多いから、荷物は出来るだけ少ない方が良いんだよ。実際、あの日も森の中を歩いたり山道を歩いたりしたからな」

「そうでしたね。森の中でどうしようもなくなっていたボクを龍己さんが見つけてくれて……龍己さん、あの時は本当にありがとうございました」

「どういたしまして。でも、俺だってあの時に篝と出会えてなかったら、火鼠の里の存在も知らなかったし、火鼠の毛も手に入らなかったかもしれないから、結局お相子かもしれないな」

「ふふ……それじゃあそういう事にしましょうか」

「ああ、そうだな」

 そんな会話を交わしながら笑い合っていたその時、外の方から「旦那方ー! お待たせしやしたー!」というとても元気な声が聞こえ、そちらの方へ視線を向けた。すると、風之助がスーッと飛んでくるのが見え、その元気の良さにクスリと笑っていると、風之助は小さな風呂敷包みを背負ったまま縁側に静かに着地し、ニッと笑いながら離れの中へと入ってきた。

「旦那方、お待たせしてすみやせん。荷物の準備にちょいと手間取っちまいやした」

「ううん、気にしなくて良いぜ、風之助。俺達も荷物の最終チェックをしてたところだからさ」

「おや、そうだったんですかぃ。まあ、今回の遠出は今日中には戻るとはいえ、結構な道のりを歩く事になりそうですから、準備はしっかりとしておくのが一番ってぇところですかねぇ」

「そうだな。霊山でもそうだけど、その道中でも何があるかは分からないから、気を引き締めていかないとな」

「まあ、この辺りならあまり心配はいらねぇが、目的地の周辺には何があるかわかりやせんからねぇ。やり過ぎも良くはねぇが、注意はしておいて損はねぇかもしれやせんね」

「そうですね。目的の達成はもちろんしたいですけど、無事に帰ってくる事が一番ですからね」

「ああ、そうだな」

 篝の言葉に深く頷きながら答えていたその時、廊下の方から小さな足音が聞こえ、俺達は話すのを止めてそちらに視線を向けた。そして、程なくして足音の主──碧葉(あおば)さんが姿を現した後、俺はその人物の格好──小さな青い風呂敷包みを持った淡い緑色の旅装束姿に少し驚きながらもスッと立ち上がり、ニコリと笑いながら声を掛けた。

「碧葉さん、これからどこかへお出かけですか?」

「え、えっと……はい、そうです。ちょっと遠くへ行くので、今日はこの格好に……」

「なるほど、そうでしたか。とても良くお似合いですよ」

「あ……ありがとうございます」

 碧葉さんが少し頬を赤く染めながら言うと、それを見ていた風之助と篝が揃ってクスクスと笑い出したため、俺はこっそりと話し掛けた。

「どうしたんだ、二人とも?」

「……いや 、そういう台詞はやっぱり龍己の旦那や七之助(しちのすけ)の旦那みてぇな色男が言うに限んなぁと思っただけで。なっ、篝」

「はい。さっきのような言葉を龍己さんが碧葉さんに言うと、スゴく絵になるというか……恋物語の一場面みたいな感じに見えるんですよね」

「そうか? 俺はいたって普通に言ったつもりだけど……」

「ま、つまりは龍己の旦那も龍三郎の旦那や七之助の旦那みてぇに恋物語に出て来るような色男ってぇ事でさぁ」

「……まあ、一応褒められてるわけだから、悪い気はしないか。ありがとうな、二人とも」

「へへ、どういたしまして」

「どういたしまして」

 風之助達の返事に頷いた後、ゆっくりと碧葉さんの方へ向き直ってから再び話し掛けた。

「ところで、どちらへお出かけなさるんですか? 先程、遠くへ行くとは仰っていましたけど……」

「あ、はい……えっと、それなんですけど……」

「……あ、もし話せない事なら無理には訊きませんけど」

「いえ、話せない事というよりは、少なくとも()()()()()()話さないといけない事なので……」

「俺には話さないといけない事……分かりました、そういう事ならしっかりと聞きますので、どうぞ話してみて下さい」

「……分かりました、それではお話ししますね」

 碧葉さんは不安と心配が入り交じったような表情を浮かべながら答えた後、大きく深呼吸をしてから俺の目をジッと見ながら静かに口を開いた。

「……私も龍己さん達のご用事について行ってもよろしいですか?」

「……え? 俺達の用事に……ですか?」

「はい、そうですけど……ダメですか?」

「いや、ダメでは無いですけど……俺達が行こうとしてるのは──」

「分かっています。涼風丸さんのお住まいがある霊山で、山道はもちろんの事、そこへ行くまでにも長い道のりがある事も分かっています」

「……でも、それならどうして……?」

 小首を傾げながら問い掛けると、碧葉さんは真っ直ぐな目をしながらそれに答えた。

「私も……龍己さんのお力になりたいからです」

「俺の……力に……?」

「はい……人間時代の龍己さんに助けて頂いてから今日に至るまでの間、私だけがまだ龍己さんのお力になれていないのです。お父様や羅紗は何かしらの形で龍己さんのお力になれているのに、私だけはまだ……」

「そんな事は無いですよ、碧葉さん。あの日──龍三郎さんと碧葉さんと行ったお墓参りの日に俺は碧葉さんに助けてもらっています。あの日に碧葉さんから()()()()()()()()()()()じゃなく、()()()()()()()で良いと言ってもらった事で、これからの指針が固まりましたから」

「……そうだとしても、私はもっと龍己さんのお力になりたいんです。これは()()()()()()()()だからでも龍己さんに助けて頂いた()()()だからでも無い()()()()()()なんです」

「碧葉さん……」

 碧葉さんの目の奥には、決意と熱意の炎がメラメラと燃えており、碧葉さんの言葉と表情からその思いが本気なのがしっかりと感じ取れた。

 ……正直な事を言えば、この『妖世界』に来てから碧葉さんとしっかりと話す機会もあまり無かったし、碧葉さんには『人間』だった頃の俺もお世話になってるわけだし、碧葉さんが着いてきてくれるのはとても嬉しいし、本当なら碧葉さんの思いに応えたい。けれど、やっぱり涼風丸さんの所に行くのはそう簡単では無い気がする。それなのに、碧葉さんをこのまま連れて行って怪我でもさせてしまったら本当に龍三郎さん達に申し訳ないし……。

 頭の中で碧葉さんを同行者として加える事について悩んでいたその時、風之助は腕を組みながらいつになく真剣な様子で俺に話し掛けてきた。

「旦那、ここは碧葉のお嬢さんについてきてもらった方が良いかもしれやせんよ?」

「風之助……でも、もしも碧葉さんに何かあったら……」

「へへっ、そこは安心してもらって良いですぜ、旦那。俺や篝だって妖の端くれ、何かあったに時には全力で旦那や碧葉のお嬢さんの事を支えやすし、危険な目に遭わねぇように周囲への注意は払っていきやす。それに、旦那の力になりてぇっていう碧葉のお嬢さんの思いを俺は放ってはおけねぇんです」

「碧葉さんの思い……」

「へい、その通りで。それに……それは旦那だってそうでしょう? 碧葉のお嬢さんの目は明らかに本気で、言葉と表情からもそれは感じ取れる。だから、その思いにはどうにか応えてやりてぇっていう気持ちは、旦那だって同じのはずですぜ?」

「……まあな」

 風之助からの問い掛けに小さく息をつきながら答えた後、俺は自分の中にある思いを確認した。そして、すぐに一つの結論を出した後、碧葉さんに対してニコリと笑いながら声を掛けた。

「分かりました。お言葉に甘えて今回の用事は碧葉さんのお力をお借りする事にします」

「龍己さん……! 本当にありがとうございます……!」

「いえいえ、別にお礼を言われる程の事では無いですよ。ただ、辛くなったり疲れてきたりしたら遠慮無く言って下さいね?」

「はい、それはもちろんです。いつもお父様から『何かを頑張るのは良いけれど、一生懸命頑張るのと無理をし過ぎるのは違うから、そこは履き違えないようにね』と言われていますから──そこは大丈夫です」

「分かりました。あ、ところで……この事は龍三郎さんにお話しになっていましたか?」

「……いえ、話していません。お父様に話をしたらきっと反対されると思ったので、話すに話せなかったんです……」

「……そうでしたか」

 そっか……そうなると、先に龍三郎さんにこの事を話をしに行った方が良いよな。話さずにそのまま言った後、一人娘が旅装束で街を歩いていたなんて話を誰かから聞いたら、碧葉さんは絶対に叱られてしまうだろうしな。後は説得の手段だけど……まあ、これに関しては言ってからどうにかしてみるしかない。あくまでも大事なのは、碧葉さん自身の気持ちをしっかりと伝えられるかだからな。

 この後の事について考えをまとめ終え、気持ちをそれ用に作りながら軽く頷いた後、俺は皆の事を見回しながら声を掛けた。

「さて……それじゃあ出発をする前に一度龍三郎さんに挨拶をしていきたいから、風之助と篝はひとまずここに残っててくれ」

「へい!」

「はい」

「そして碧葉さんは、一度荷物を置いて俺と一緒に龍三郎さんに話をしに行きましょう。流石に話をせずに行くわけにはいきませんからね」

「は、はい……けど、大丈夫でしょうか?」

 碧葉さんはとても不安げな様子だったが、俺はそんな碧葉さんに対してニコリと笑いかけた。

「大丈夫かどうか、それは碧葉さん次第ですよ。碧葉さんがさっき話してくれた気持ちを同じように龍三郎さんに伝え、許しを得られるように頑張る事が大切ですからね」

「そう……ですよね」

「……安心して下さい。俺もついていますし、さっき俺達に対しても出来たように、碧葉さんなら龍三郎さんにも気持ちを伝えられる事が出来ると信じていますから」

「龍己さん……はい、ありがとうございます」

 碧葉さんの安心した笑みに俺が笑みを返し、碧葉さんが風呂敷包みを文机の傍に置いた後、離れに風之助達を残したままで碧葉さんと一緒に龍三郎さんの部屋へ向かって歩き始めた。龍三郎さんの部屋へ着くまでの間、俺達は一言も話さずにただ歩き、足音の他には店の方から聞こえてくる活気溢れる声ぐらいしか聞こえる音は無かった。別に話す事が無かったわけでも無いし、碧葉さんの緊張を解すために何か話題を振るという手もあった。けれど、碧葉さんの緊張気味だがどこか決意を秘めたその表情見て俺は碧葉さんの事を見守る道を選ぶ事にしたのだった。言ってみれば、何かをするという『直接的』な手助けではなく、ただ近くにいるという『間接的』な手助けという道を選んだのだ。

 正直、碧葉さんに何か話題を振れば答えてくれるだろうし、緊張だってすぐに解れるんだろう。けど、今の碧葉さんに必要なのはそれでは無く、その緊張状態の中でも父親の龍三郎さんに自分の思いを伝える事だ。そうしなければ、碧葉さんだって成長する事が出来ないからな。

 そしてそれから数分後、龍三郎さんの部屋の前に着くと、碧葉さんが声を軽く震わせながら話し掛けてきた。

「……何故でしょうか。いつもならなんて事無く来る事が出来るお父様のお部屋なのに、今日に限ってはとても怖い場所のように思えてきます……」

「それはやはり、今まで碧葉さんが今回のように緊張をした状態で龍三郎さんとお話をする事が無かったからだと思います。緊張をしながら自分の親と話をする事なんてあまり無い事ですしね」

「そう……ですよね」

「大丈夫ですよ、碧葉さん。さっきも言った通り、俺も傍に付いていますから、碧葉さんは安心して自分の思いを龍三郎さんにしっかりと伝えてください」

 碧葉さんの目を見ながらニコリと笑うと、碧葉さんは少しだけ緊張が解れた様子で静かに微笑んだ。

「……龍己さん、ありがとうございます。私、精一杯頑張ってみますね」

「はい」

 碧葉さんの言葉に頷いた後、俺は一度大きく深呼吸をしてから部屋の中へ向かって声を掛けた。

「龍三郎さん、今大丈夫でしたか?」

「はい、大丈夫ですよ。どうぞお入り下さい」

「分かりました」

 中から聞こえた龍三郎さんの穏やかな声に答えた後、俺は襖を静かに引き開けた。そして、碧葉さんと一緒に部屋の中に入ると、龍三郎さんは俺の隣に碧葉さんがいる事に驚いた様子を見せた。

「おや……龍己君だけかと思ったら碧葉まで一緒だったんだね」

「はい。お父様……実はお父様にお話ししたい事があるのです」

「碧葉が話したい事……か。その様子だといつものような話では無いようだね」

「……その通りです」

「……分かった。とりあえず二人揃ってそこに座ってくれ。そして自分が落ち着いたと思ったら話してごらん」

「……はい」

 碧葉さんが緊張気味に答え、龍三郎さんが静かに頷いてから部屋の隅に積まれた座布団の方へゆっくりと体を向けた時、俺は先にスッと動いて自分達の分の座布団を手に取った。

「龍三郎さんはそのまま座っていて下さい。座布団は自分で準備をしますから」

「あ……すみません、龍己君」

「いえ、このくらいはして当たり前なので気にしないで下さい」

 そんな事を言いながら自分達の分の座布団を龍三郎さんの目の前に丁寧に敷いた後、俺は碧葉さんの方へ顔を向けた。

「碧葉さん、どうぞ座って下さい」

「あ、はい……ありがとうございます」

 碧葉さんは少し申し訳なさそうにペコリと頭を下げた後、片方の座布団の上に静かに座り、その後に俺ももう片方の座布団の上に正座をした。そして座った後、碧葉さんは緊張を解すために大きく深呼吸をした後、真っ直ぐな目をしながら龍三郎さんに話を始めた。

「お父様、私に龍己さんのご用事に同行する許可を頂けませんか?」

「龍己君の用事……涼風丸さんのお宅に伺う件だね」

「はい、その通りです」

「やはりそうか……けど、どうして着いていこうなんて思ったんだい? 龍己君の用事は、碧葉に直接関係する事ではないし、涼風丸さんのお宅があるのは山の中なんだよ?」

「……それは分かっています。私自身の力なんてたかが知れていますし、涼風丸さんのお宅に着くまで龍己さんに色々ご迷惑を掛けるかもしれません。ですが、私は今までお世話になってきた分を少しでもお返ししたいんです。私は龍己さんのお力になりたいんです!」

「碧葉……」

 龍三郎さんは碧葉さんの様子に少し驚いたような表情を浮かべたが、すぐに表情を真剣な物へと変えると、ピッと背筋を正しながらいつもとは違う少し冷たい声で話し掛けた。

「碧葉、お前の気持ちは分かる。けれど、お前に本当に龍己君の用事に最後まで弱音を吐かずに付き合えるだけの覚悟はあるのかい?」

「……あります」

「……本当に、かい?」

「……はい!」

 龍三郎さんの研ぎ澄まされた真剣のような冷たくも鋭い雰囲気に碧葉さんが声を震わせながら大きな声で答えると、龍三郎さんは何かを見定めるようにジッと碧葉さんの顔を見つめた。そして、「……そうか」と雰囲気をいつものような柔らかく温かな物へしながらフッと笑うと、碧葉さんの頭にポンと右手を置き、それに対して碧葉さんが「あっ……」と驚きと安心が入り混じったような声を上げる中、碧葉さんの頭を静かに撫で始めた。

「お前の気持ちの中に少しでも迷いを見つけた時は、行く事を許可しないつもりでいたけれど、今のお前の言葉や目の中には一切の迷いは無かった。だったら、私はお前のやりたい事を応援するだけだよ。大切な一人娘が心からやりたいと思えた事なのだからね」

「お父様……本当にありがとうございます……!」

「どういたしまして。でも、ああ言った以上はしっかりと龍己君の助けになるんだよ?」

「はい! もちろんです!」

 満面の笑みを浮かべながら碧葉さんが答えると、龍三郎さんはそれに対して微笑みながら満足げに頷いた後、俺達二人の事を交互に見てから静かに口を開いた。

「碧葉、龍己君、式神の事や『人間世界』にいらっしゃる龍己君のご両親の事について涼風丸さんにご助力を願えるのが理想ではありますが、何よりも大事なのは二人が無事に戻ってきてくれる事です。ですから、絶対に無茶などはせずに無理だと思った時には引き返してきて下さい。方法などは幾らでも考えられますし、涼風丸さんにお話をする機会は幾らでもありますが、命は一つしかありませんからね」

「「はい!」」

 碧葉さんと一緒に声を揃えて答えた後、俺は離れで待たせている風之助達と合流するために龍三郎さんへ行ってきますと声を掛け、二人揃って龍三郎さんの部屋を出た。そして、そのまま離れへ向けて歩いている途中、緊張が解れた事で思わず小さく息をついていたその時、隣を歩く碧葉さんからも同じように息をつく声が聞こえ、俺はそれに対してクスリと笑った。

 まあ、あんなに真剣な雰囲気の龍三郎さんとの話を終えた後だもんな。俺はここに来た日にあの雰囲気の龍三郎さんと話をしたから、まだ少しだけは落ち着いていられたけど、碧葉さんにとっては恐らく初めての経験だったのかもしれないし、あそこまで言ってもらった分の労いと感謝はやっぱり必要だよな。

「碧葉さん、お疲れ様でした。そして、俺の用事の事なのに、あそこまで言って頂いて本当にありがとうございました」

「え……い、いえ……お礼なんて別に良いですよ。龍己さんのご用事に同行したいというのは、私の我が儘みたいな物なので、むしろ私の方がお礼を言うべきなのですから」

「いえ、そんな事はありませんよ。離れで碧葉さんに用事に付いて行っても良いかと訊かれた時、実は少し嬉しかったんです」

「嬉しかった……ですか?」

「はい。俺が羅紗(らしゃ)さんに矢で射抜かれて絶命していた時、碧葉さんが急いで龍三郎さんのところまで俺を連れて行くように羅紗さんに言ってくれたからこそ、今の俺がいます。だから、離れでお話を聞いた時に、今回のような小さな事でもそんな命の恩人とも言える碧葉さんの恩に報いる事が出来そうだと思って、とても嬉しかったんです。まあ……他にも碧葉さんとはこれまでしっかりと話す機会もあまり無かったので、その機会が出来たから嬉しかったのもあるんですけどね」

「龍己さん……」

「だから、今回の件に限らず何か頼み事などがあったら、遠慮無く言って下さい。俺に出来る事なんてたかが知れているかもしれませんが、出来る限り碧葉さんのご期待には添えるように頑張りますから」

 微笑みながら言ったその言葉に、碧葉さんは一瞬申し訳なさそうな表情を見せたものの、すぐに微笑みながらコクンと頷いた。

「……はい、分かりました。もしも困った事やお願いしたい事があったら、龍己さんに相談をするようにしますね」

「はい。さて……それじゃあそろそろ──」

「……あっ、あの……」

「はい、どうしました?」

「えっと……そのお願いって、今しても大丈夫ですか?」

「はい、それは構いませんけど……なんですか?」

 その問い掛けに碧葉さんは少しだけ迷ったような表情を浮かべたが、「……でも、この機会を逃したら……!」と小さな声で独り言ちたかと思うと、覚悟を決めたような様子で問い掛けに答えた。

「……私と二人きりの時だけでも良いので、私の事を『碧葉』と呼んで頂けませんか?」

「えっと……つまり、さん付けは無しで呼んで欲しいという事ですか?」

「は、はい……それと、出来るなら敬語も無しにしてほしいんですけど……ダメ、ですか……?」

「いえ、ダメという事は無いですけど……本当に良いんですか? 一応、俺の身分は奉公人兼客人という事になっているんですが……」

「……いえ、大丈夫です。さっきも言ったように、私と二人きりの時だけですし、もしもお父様に聞かれたとしても、その時はさっきのように私がしっかりと説明をしますから。それに……」

「……それに?」

「……貴方とは、龍己さんとはもっと近い距離で接したいんです。お店の娘と奉公人という距離では無く、歳の近い友人同士──いえ、出来るならもっと近い関係性でこれからは接して行きたいんです。こんな気持ちを抱いた男性は、今まで龍己さん以外には一人もいなかったですし、私にとって龍己さんはとても大切な存在ですから……」

「碧葉さん……」

「ダメならそれでも良いです。けど……もしも良いというなら、私のお願いを聞いて頂けませんか……?」

 そう不安げに俺を見ながら訊く碧葉さんの姿に、俺は一瞬ドキリとすると同時に今まで感じた事が無い感情が奥の方からわき上がってくるのを感じ、それに嬉しさと戸惑いを感じていた。

 ……恐らくだけど、この感情は碧葉さんが俺に対して感じているっていう物と同じ物だ。だけど、俺はいつかこの『狐雨福屋』の奉公人として働く事を考えてるのに、そんな感情をそのお店のお嬢さんに抱くのは果たして許される事なのか……?

 恐らく生まれて初めて抱いたであろう感情とそれを碧葉さんに対して抱いているという実状に、俺は戸惑いながらもどう答えを出したら良いか必死になって考え続けた。そして、考え続けた結果、俺はある一つの答えを出した後、不安そうな碧葉さんの手を取りながら微笑みを浮かべた。

「……お安い御用だよ、()()。と言っても、答えを出すまでに少し待たせてしまったけどな」

「り、龍己さん……本当に良いんですか……!」

「ああ、もちろん。……まあ、しばらくはさん付けとか敬語とかになっちゃう事もあると思うけど、いつかは自然に出来るようにしていくよ。せっかくこうしてお願いをしてくれたわけだしさ。それに……」

「……それに?」

「こう……面と向かって言うのはちょっと恥ずかしいんだけど、さっき碧葉が俺と歳の近い友人同士やそれよりも近い関係性で接していきたいって言ってくれた時、俺も碧葉とは出来るならそういう関係性で接していきたいって思ったんだ」

「そ、それって……」

「……ああ、俺と碧葉が感じている感情はたぶん同じ物なんだと思う。だけど、さっきも言ったように、俺はあくまでも今はこの『狐雨福屋』の奉公人兼客人であり、いつかはちゃんとした奉公人として働きたいと思ってる。だから、しばらくはこの感情を胸の内に秘め続ける必要があるんだ。本来、奉公人がお店のお嬢さんに抱いていいような感情では無い気がするからさ」

「そ、そんな事……!」

「でも、いつかはこの気持ちにもこの件についてもしっかりと決着をつけたいと思ってる。それがこの感情を抱いた俺が果たすべき責任だからな」

「果たすべき……責任……」

「そう。そして、いつかはこの気持ちを包み隠さずに碧葉に、そして龍三郎さんを始めとした『狐雨福屋』の人達全員に伝える。だから、ちょっと女々しい事を言うようだし、本当に勝手かもしれないけど、出来るなら碧葉にはそれまで待っていて欲しいんだ。少なくとも、今はその時では無いから」

 真剣な眼差しを向けながら碧葉にそう告げると、碧葉は俺の目を真っ直ぐに見つめ返し、優しい笑みを浮かべながら静かにコクリと頷いた。

「分かりました。それでは、その時を楽しみにしていますね」

「ああ、ありがとう。あ、でも……もしもその時までに良縁があったり、気持ちが離れるような事があったりしたらキチンと諦めるつもりだから、その時は遠慮無く言ってくれ。待っていて欲しいとは言ったけど、俺は碧葉の人生を縛り付けるような真似はしたくないからさ」

「ふふ、分かりました。けれど、龍己さん以上に好きになれる男性には、たぶんこれからも出会えるような気はしませんし、気持ちが離れるような事はまず無いと思います。気持ちを伝えた今だからこそハッキリと言いますが、それだけ私は龍己さんの事が恋い慕っていますから」

「碧葉……」

「それに、他所のお店から何かご縁を頂いても、お父様が全てお断りになると思うので、その心配もありませんよ」

「え、そうなのか……?」

「はい。以前、お父様から聞いた事があるのですが、お父様としては私には心から好きになった方と夫婦になって欲しいとの事で、そういったお話が舞い込んできても全て断るようにしているみたいなのです」

「なるほど……」

「なので、龍己さんは安心してご自身の気持ちと向き合って下さい。たとえ、それまでに何年経ったとしても貴方を待ち続けるだけの覚悟が私にはありますから」

 そう微笑みながら言う碧葉の姿に、愛おしさと嬉しさを感じた後、俺はスッと碧葉に近付き、静かに碧葉の体を抱きしめた。

「龍己さん……」

「……ありがとう、碧葉。君のような人に好きになってもらえて本当に良かったよ」

「……ふふっ、龍己さんにそう言ってもらえて本当に嬉しいです」

「ふふ……そっか。まあ、さっきも言ったようにこの事はまだ龍三郎さんや羅紗さん、それに風之助や篝にも言えないし、言った後も奉公人とお店のお嬢さんという関係から世間からあまり良い目で見られない可能性もある。だけど、たとえそんな事になっても俺はこの想いを貫き通してみせる」

「龍己さん……」

 碧葉は俺の名前を呟くと、俺の体を静かに抱きしめ返した。

「……私もたとえどんな事になろうともこの想いは絶対に貫き通してみせます。貴方を、龍己さんを好きだと気持ちに嘘はありませんから」

「……うん、ありがとう」

 碧葉の言葉から伝わってくる温かさと更に強くなる愛おしさに気持ちが満たされていくのを感じ、俺はずっとこうしていたいと思ったが、離れに風之助達を待たせている事ややらなければならない事がある事を思い出し、俺は碧葉に声を掛けた。

「……さて、そろそろ行こうか」

「……はい」

 名残惜しそうに答える碧葉の声が合図となり、俺達はどちらともなく体を離した。そして、碧葉が俺に少し寂しげな視線を向ける中、俺はふわりと笑いながら碧葉の頭を優しく撫でた。

「……あ」

「……今みたいに二人きりになれた時には、また抱きしめてあげられるから、今は我慢してくれ。もっとも、そうじゃなくても出来るようになるのが目標だけどな」

「……ふふ、そうですね。お父様や羅紗を始めとしたお店の皆さんやこの『不忍』の皆さんから認められ、祝福されるまでになれるように、お互いこれから頑張っていかないといけませんよね」

「ああ。そこに行き着くまではスゴく険しく長い道のりかもしれないけど、お互いに頑張っていこうな、碧葉」

「……はい」

 軽く頬を赤らめて俯く碧葉を可愛らしいと思いながら頭を優しく撫で終えた後、俺はスッと頭から手を離し、ニッと笑いながら碧葉に声を掛けた。

「それじゃあ行こうか、碧葉。これ以上、風之助達を待たせるわけにもいかないしさ」

「……はい」

 ニコリと笑いながら答える碧葉に対してコクリと頷いて答えた後、俺達は風之助達が待つ離れへ向かって歩き始めた。

 

 

 

 

 歩き始めてから数分後、離れに着いた俺は「お待たせ、お前達」と言いながら碧葉と一緒に離れへと入った。すると、目に入ってきたのは、離れの中心で小首を傾げながら不思議そうに文机を見つめる風之助と篝の姿だったため、俺は碧葉と一度顔を見合わせた後、その理由を訊くために風之助達に話し掛けた。

「風之助、篝、何かあったのか?」

「……ん、龍己の旦那に碧葉のお嬢さん。実は、龍己の旦那達の帰りを待ってる間、俺と篝で他愛のねぇ話をしてたんですが、その時にそこの庭から何やら物音のような物がしやしてね。それで、いってぇ何の音だと思ってちょいと篝と一緒に縁側まで見に行ったんですが、特に何も無かったんで不思議だなぁと思って戻ってきたら、まるで手妻のようにその文机にさっきまで無かった物が置かれていていたんでさぁ」

「えっと……因みに、その物というのは何なんですか?」

「えっと……私には文机の上の様子はよく見えないんですが、風之助さんが言うには例の()()さんからのお手紙と緑色の水晶のような物が置かれているみたいです」

「黒幻さんから……?」

 そう言いながら文机に近付いてみると、そこには篝の言う通り、俺の水晶の勾玉や少し前に貰ったスギライトなどと同じように麻紐が通された緑水晶の勾玉と綺麗な字で書かれた一枚の手紙が置かれていた。

「……ほんとだ。なあ、風之助。その物音の正体を見に行ってから、これらを見つけるまでどのくらいの時間があったか覚えてるか?」

「んー……正確には覚えてやせんが、でも本当にすぐだったはずですよ? だから、誰かが入ってきてそれを置こうとしたら簡単に気づけるはずなんですがねぇ……」

「そっか……」

 篝の歩く速さに風之助が合わせていたと考えると、風之助達が音で誘き寄せられてから文机の上に物が置かれているのを見つけるまでは恐らく二分程度の隙がある。でも、仮に庭に何か音を出す仕掛けを施していたとしても、そんな短時間で風之助達に気付かれずに緑水晶の勾玉と手紙を置ける物なのか?

「黒幻さん……相変わらず謎が多い人だな……」

 そんな事を独り言ちた後、俺は黒幻さんからの手紙を手に取り、それをゆっくりと読み始めた。

「えっと……

『人間と妖の架け橋となれる半人半妖、稲荷龍己殿。

 事後報告になってしまうが、先日同様、此度も龍己殿に宝石の贈り物をするべく、貴殿の部屋であるこの離れへとおじゃまさせてもらった。此度の贈り物も以前の贈り物同様、貴殿ならばこの宝石に込められた言葉を理解でき、この宝石に宿る力を保持できるだろうという信頼、そして貴殿を応援したいという気持ちを込めて贈らせてもらった。なので、この宝石も貴殿の好きなようにしてもらって構わない。貴殿が持つと聞く青き水晶と併せて力を高めるも、これを持つに相応しいと思う者に贈るも貴殿の自由だ。

 さて……それでは貴殿らの考えの成功と直面している問題の解決を願いながらそろそろ筆を置こうと思う。稲荷龍己殿、これからもその強き心と数多の者への思いやりを大切にしながら人間と妖の架け橋となれるように頑張ってくれ。

 黒幻』

 ……か。つまり、今回も贈り物をするためだけにこの離れまで来てくれたわけだけど、手紙に書かれている『貴殿らの考え』と『直面している問題』の部分を考えるに、黒幻さんは俺達が今から何をしに行くかや俺が実の両親に会いに行こうとしている事を知っているわけだよな……」

「そうですね……でも、黒幻さんはどうやってそれを知っているんでしょうか? それに、前はちょっと気づけませんでしたけど、龍己さんが半人半妖である事まで知っているみたいですし……」

「さてな。ただ、黒幻さんは前の手紙で自分は俺達の味方であると書いていたわけだし、その情報を悪用する気は無いと思うけど……風之助、黒幻さんについて何か調べてくれてるか?」

「へい、一応は調べてみやしたけど……この黒幻という御仁は本当に謎が多いみたいで、色々飛び回ってみてもあまり情報は集まりやせんでした……」

「……そっか。まあ、それに関しては涼風丸さんの所へ行くまでに聞くとして、次はこの緑水晶だな……」

 手紙を文机の上に置き、一緒に置かれていた緑水晶を手に取ると、碧葉は緑水晶を見ながら不思議そうに小首を傾げた。

「そういえば、そのお手紙には宝石に込められた言葉や宿る力といった事が書いていましたが、その緑色の水晶には一体どのような言葉や力があるのですか?」

「たしか……傷ついた心を癒したり、気持ちを落ちつけたりする効果、それと愛情運を高める効果もあったはずですね」

「愛情運……」

「はい。何でも好きな相手と強く結ばれたい時に使われるらしく、運命の相手と巡り合わせる力も含まれていると聞いた事があります。そして、別名を『愛の守護石』と言うそうです」

「へえ……この緑水晶にはそんな別名があるんですかぃ?」

「ああ。それと……この緑水晶の石言葉は『誠実』や『心の平和』だったかな。だから、宝石の中ではそういう癒しや恋愛関連に特化した物と言えるのかもしれないな」

「なるほど……」

 俺の説明に篝が納得顔で頷く中、俺は緑水晶の勾玉を持ちながら縁側にいる碧葉へと近づき、それを碧葉に差しだした。すると、碧葉は「え……?」と一瞬驚いた顔をした後、困惑した様子で俺と緑水晶の勾玉を交互に見始め、俺はその様子にクスリと笑ってから静かに口を開いた。

「碧葉さん、これを受け取って頂けますか?」

「え、でも……良いんですか?」

「はい。碧葉さんはお店のお嬢さんとして、色々と大変な事があると思います。だから、この緑水晶の癒しの効果で少しでもそれを癒してもらえればと思ったんです」

「なるほど……」

「それに、字やその色合いこそ違いますけど、緑水晶の『緑』と碧葉さんの『碧』は同じ『みどり』ですから、碧葉さんが持つのに相応しいと思います。それと──」

 そこで言葉を切った後、俺は碧葉の耳元に顔を近付け、こそっと碧葉に耳打ちをした。

「……俺達の関係も好きな相手と強く結ばれたい時に使われる宝石の力に肖れれば良いなと思うし、せっかくだから水晶と緑水晶で碧葉とお揃いにしたいからさ」

「龍己さん……」

 俺の耳打ちに碧葉は嬉しそうな声で呟いた後、少し頬を染めながら静かにコクンと頷いた。

「……はい、喜んでお受け取りします」

「……うん、ありがとう」

 そして、碧葉から顔を離した後、俺は緑水晶の勾玉の麻紐を両手で掴み、静かに碧葉の首に掛けた。その瞬間、陽の光に照らされた緑水晶がキラリと光り、その煌めきに碧葉は嬉しそうな笑みを浮かべると、やや上目づかいに俺の顔を見つめながら小さい声で問い掛けてきた。

「龍己さん……私に似合っていますか……?」

「……はい、もちろん似合ってますよ」

「そう……ですか。ふふ……それなら良かったです」

 俺の答えに碧葉は少し照れたような笑みを浮かべる中、それを見ていた風之助が不思議そうな声で話し掛けてきた。

「龍己の旦那……何やら碧葉のお嬢さんと前よりも仲良くなったみたいですけど、さっき行って帰ってくるまでの間に、もしかして碧葉のお嬢さんと何かありやしたかぃ?」

「……まあな。けど、今はちょっと話せないから、話せる時まで待っていてくれるか?」

「……へへ、もちろんでさぁ。俺は色々な事を調べたり探ったりする瓦版屋ですが、龍己の旦那のダチでもありやすからねぇ。龍己の旦那が話してくれるその時まで待たせてもらいやすよ」

「うん、ありがとう。篝もそれで良いかな?」

「はい、もちろんです」

「ありがとうな、篝」

 篝に対してニッと笑いながらお礼を言った後、俺は碧葉にアイコンタクトを送り、碧葉と一緒にそれぞれの荷物を手に取った。そして荷物を肩に掛け、全員の準備が出来た事を確認した後、やる気が奥の方から湧き上がってくるのを感じながら皆に声を掛けた。

「よし……それじゃあ行こうか、皆! 」

「へい!」

「「はい!」」

 風之助達が元気よく返事をした後、俺達は涼風丸さんの所へ行くべく、揃って離れを出発した。




政実「第13話、いかがでしたでしょうか」
龍己「前回の式神の件や前の俺の件に続いて、今回は俺と碧葉の恋愛にも触れてきたわけだけど、次の話では謎の人物である黒幻さんにも触れていくみたいだし、今回は色々と明かされる事が多そうだな」
政実「まあね。だから、前回3話程度にすると言っていたけど、たぶん4話くらいになるかな」
龍己「分かった。そして最後に、今作品についての感想や評価、意見などもお待ちしていますので、書いて頂けるととても嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さてと、それじゃあそろそろ締めていこうか」
龍己「ああ」
政実・龍己「それでは、また次回」
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