ハイスクールD×D  一誠の魔神伝説    作:新太朗

15 / 37
書き直して一年が経つのは早いものですね。

これからも頑張って更新するのでどうぞ、よろしくお願いします。

では、どうぞ。



報告と試練

駒王学園から少し離れた場所で一誠とコカビエルの戦闘を見ていた二人の青年が立っていた。一人は学生服に甲冑を着て、その手には黄金に輝く一本の槍を持っていた。

その槍こそが十三種の神滅具の一つ「黄昏の聖愴」だ。

 

「……まさか、コカビエルを無傷で圧倒するとはな。正直、驚きだよ。勝てる気がしないな」

 

「その割には楽しそうに見えるが?」

 

ローブを着た青年が訪ねると槍の青年が少し笑ったような顔をして答えた。

 

「そう見えるのならそうなのだろう。彼をこの槍で倒してみたいからな」

 

槍を掲げ青年は笑っていた。一誠の事を思って。

 

この槍で倒すべき強敵の力の一端を知れた事を。

 

自らを強くするための目標たるライバルに出会えた事を。

 

この槍を持って生まれた意味を見つけられた事を。

 

青年は嬉しそうに笑っていた。

 

「……一先ず、俺達も帰ろうか」

 

「ああ、その前に白龍皇を勧誘しよう」

 

「乗ってくるか?堕天使サイドなのだろ?彼は」

 

「乗ってくるさ。彼もまた俺と同じ部類だからね」

 

それは大変だと、もう一人の青年の顔がそう物語っていた。そして彼ら二人は突如出てきた霧によって姿がかき消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聖剣事件」から数日後、一誠は自宅で今回の騒動の事をオーディンに報告していた。

 

「……と、これが今回の騒動の顛末だぜ。オーディンの爺さん」

 

『ご苦労じゃたな、イッセーよ。これで一先ず三大勢力に貸しを作れたわい』

 

「まあ、爺さんがそれでいいなら俺は一行に構わないがな。ああ、それと俺以外にも監視役がいるなんて聞いていなかったが?」

 

『それに関してはワシは何も知らんかったんじゃ。ユグドラシルにはお前さんの事を良く思っていない神がおるからのぉ……」

 

(まったく、神って奴は面倒だな)

 

一誠は神の事が面倒だと思っているが、自分が魔神である事をすっかり忘れている。

 

「真神一誠。少しいいか……」

 

一誠がオーディンと話しているとゼノヴィアが声を掛けてきた。

 

「それじゃ、オーディンの爺さん。また何かあれば連絡する。あ、それと監視役なんだけど、そのままにしておいてくれ。どうにも俺には監視役は無理そうだからな」

 

『……分かったわい。何かあれば遠慮はいらんぞ。イッセー』

 

オーディンの声はまるで孫を心配している祖父のような優しい声をしていた。

 

「……言わなくても分かっている。いいぞ、ゼノヴィア」

 

「すまない。オーディン様への報告はいいのか?」

 

「ああ、丁度終わった所だ。そう言うお前はどうなんだ?」

 

「……ああ、報告をして私は教会を抜ける事をした……」

 

「マジか……」

 

一誠はゼノヴィアの教会を抜ける発言に驚いていた。ゼノヴィアは教会の使徒で神への奉仕こそが生き甲斐だと一誠は思っていたかだ。

 

「それにしても教会がお前のような天然物の聖剣使いをよく手放したな?」

 

「……主―――『聖書に記されし神』が死んでいる事を聞いたらあっさりと了承したよ。ヴァチカンの上層部は知っていたのだな……」

 

ゼノヴィアは思わず苦い顔をした。しかし顔を横に振り気持ちを変えた。

 

「それで、イリナの容態は……」

 

「とりあえず、様子を見に行くか」

 

「ああ……」

 

一誠はゼノヴィアと共に「聖剣事件」でコカビエルから「神の死」を聞いて精神が崩壊し掛けた。

それから事件後はずっと寝たきりになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真神家の部屋の一つにイリナが寝ている。一誠はそこにゼノヴィアと共に入っていた。

 

「イリナ!?何をしているんだ!」

 

ゼノヴィアはイリナがしている事に大声を上げてしまった。イリナは傍らにあった果物ナイフで自分の喉元に刃を向けていた。

 

「……止めないでゼノヴィア。主がいない世界なんて、生きていく価値なんてないわ」

 

「神が一柱いないだけで生きていけないなんて、情け無いなイリナ」

 

「……イッセー君には分からないわよ。私の気持ちは……」

 

「ああ、まったく分からないし分かりたくはない。それに簡単に命を粗末にする奴が信仰者だと知ったら神はさぞかし人間の事をバカにするだろうな」

 

「お、おい。真神一誠」

 

一誠の物言いにゼノヴィアは止めようとしたが、それよりも早くにイリナが険しい顔を一誠に向けた。

 

「……いくらイッセー君でも亡くなった主に対して暴言は許さないわよ!」

 

「漸く死にそうな顔から抜け出したな」

 

一誠はワザとイリナを怒らすような発言をしたのだ。イリナを怒らせて元気を取り戻させるために。

 

「……私が元気になったところで、主がいない事に変わりないわ」

 

「そうだな。だったら、魔神たる俺がお前に試練を与える!」

 

「い、イッセー君?!」

 

イリナは一誠がいきなりの発言に頭が追いついてきていなかった。

 

「魔神だろうと『神』だ。なら俺がお前に試練を与えたところで問題はないはずだ。違うか?」

 

「そ、それは……」

 

「紫藤イリナ!お前が証明してみせよ!神がいなくとも人は生きていける事を!所詮は神とは道標だ!人の人生を決めるのは神でも誰でない。自分自身が選択してこそ人生だ」

 

「―――ああぁぁ……」

 

イリナは一誠の言葉に衝撃を受けたようだった。先程の死に掛けていたイリナはもうどこにもいなかった。

そこには与えられた試練を全力でこなそうとしている教会の使徒の顔があった。

 

「まあ、こんな事しか俺には言えないからな。やるにしろやらないにしろ、それはお前が決めればいいさ。でもやる前にはしっかり休んでおけよ。身体を壊したら元も子もないからな」

 

「……それじゃお願いしてもいい?」

 

「俺に出来る事ならいいぞ」

 

「……胸を貸してくれない?」

 

「ああ、いいぞ」

 

イリナはそっと一誠の胸に顔を埋めた。その瞬間、イリナの中で溜め込んだ感情が決壊した。

 

「……ごめんなさいっ!私がイッセー君を守る事が出来ればっ……!!」

 

「いい、もう昔の事だしな。お前が気にする必要はないんだよ」

 

「でもっ!それでも私がイッセー君のご両親を説得出来ていれば……」

 

イリナは昔の事を謝っていた。無力な自分が助ける事が出来なかった事を。

それから暫くしてイリナは泣き疲れたようで眠った。一誠とゼノヴィアはそっと部屋から出て行った。

 

「真神一誠。少し話があるんだが、いいか?」

 

「一誠でいい。いつまでもフルネームで呼ぶ必要はない。それで話って何だ?」

 

一誠とゼノヴィアはイリナを寝かした別の部屋でお茶を飲みながら話し合っていた。最初に切り出したのはゼノヴィアだった。

 

「ああ、それではイッセー。私をここに置いては貰えないだろうか?」

 

「……ここに?でもどうして?」

 

「私は孤児だったんだ。教会を抜けた私にはもう戻る場所はない。そして行くアテもだ」

 

「リアス・グレモリーかソーナ・シトリーの所でも行けば悪魔に転生させてくれたかもしれないぞ?」

 

「元教会の使徒の私が悪魔に転生など、笑えない冗談だな」

 

(ゼノヴィアもしっかりとプライドはあるんだな)

 

抜けたといえ、ゼノヴィアもに己の生き方と言うものがある。一誠は初めて会った時のゼノヴィアより生き生きしているように見えた。

 

「だから北欧か?俺は別に構わないぞ。オーディンの爺さんも天然物の聖剣使いでデュランダル持ちが自分達の勢力に加わるとなれば喜ぶと思うぞ」

 

「そうか。すまないがよろしく頼む」

 

ゼノヴィアは一誠に頭を下げた。一誠はさっそく、オーディンに連絡した。

 

『まさか、デュランダル使いがユグドラシルにとな。それはこちらとしても歓迎する。まあ、イッセーの部下と言う事にしておくわい』

 

「すまない。『遠慮するな』と言ってすぐにこんな事を頼んで」

 

『構わんわい。戦力の増加はこちらとて望む所だからのぉ。それでは頼んだぞ、イッセー』

 

「了解だ。オーディンの爺さん」

 

一誠はオーディンとの連絡を終えてゼノヴィアと少し元気になったイリナと一緒に三人で夕食を摂った。

その時、ゼノヴィアから教会を抜けてユグドラシルに移籍したと聞いたイリナは色々な意味で驚愕していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聖剣事件」から約二週間が経った日、一誠はイリナと空港にいた。イリナがヴァチカンに帰る日がきたのだ。

ゼノヴィアは現在、ユグドラシルで駒王学園への編入手続き中でここにはいない。

 

「……そろそろ搭乗時間だから行くね」

 

「そうか。機会があれば、家に寄って来てくれ。何か手料理をご馳走するぞ」

 

「うん。機会があれば、絶対に。イッセー君が私に与えてくれた試練をどうやって行くかはまだ決めていないけど、もう簡単に命を粗末にしないから」

 

「そうか。またな、イリナ」

 

「うん。またねイッセー君」

 

「あ、そうだ。砕けた聖剣の欠片は俺の方で全部回収しておいた」

 

一誠はイリナにアタッシュケースを渡した。中には砕けた聖剣の欠片とゼノヴィアが使っていた「破壊の聖剣」が入っている。

 

「……ホント、色々とありがとね。イッセー君」

 

イリナは一誠からアタッシュケースを受け取ると搭乗口に向かって歩き出した。一誠はイリナを搭乗口まで見送った。暫くしてから一誠は家に帰ろうとした時だった。

 

「ま、間に合わなかったか!」

 

「ゼノヴィア。ああ、ついさっき行ったよ」

 

イリナを見送ろうとゼノヴィアは慌てて来たが、間に合わなかった。ゼノヴィアは悔しそうな顔をしていた。

 

「まあ、次会う機会がきっとあるだろうよ」

 

「……そうだな。それまで待つとしよう」

 

一誠とゼノヴィアは真神家に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッセー。頼みがあるのだが、いいか?」

 

「頼み?何だ」

 

家に帰り、夕食を食べているとゼノヴィアが一誠に頼みごとをして来た。一誠はゼノヴィアの態度から軽いお願いだろうと考えた。

 

「私にイッセーの子を産ませてくれないか?」

 

「―――ぶぅぅぅぅっ?!」

 

一誠は飲み掛けていたお茶を思いっきり吹き出してしまった。しかし無理もない。いきなり目の前の少女に「子を産ませてくれないか?」と言われた時には誰だって吹き出してしまう。

いくら一誠でも即座に対応は出来ない。

 

「ごほっ……どうしてそんな頼みをしてくるんだ?」

 

「ああ、私は今まで主への奉仕こそが生き甲斐だった。しかしそれを無くしてしまった以上、何か生きる目的を新たに見つけたいと思っていてな」

 

「……それが、子作りだと?」

 

「そうだ!生まれてくれる子供には強くあって欲しいと私は思うんだ。なら強い父親の血を引いていれば、強い子が生まれてくるのは間違いない。だが、私の知り合いで強い男と言えばイッセー!君だと思ってね」

 

「ああ、なるほどな。……頭が痛くなってきた」

 

一誠はゼノヴィアの理由に頭が痛くなっていた。そんな一誠を見て、ゼノヴィアはどこか間違っていたか?と言う具合に首を傾げていた。

 

(俺も一般常識がある方ではないが、こいつの頭はどうなっているんだ?)

 

ユグドラシルで神々に囲まれて暮らしてきた一誠に一般常識があるかないかと問われれば、無い!とユグドラシルの神々は口を揃えるだろう。

 

「だが、人間から魔神になった俺が子供を作る事が出来るのか興味はあるな」

 

「おお、そうか。では、さっそく……」

 

「ちょっと待て!」

 

いきなり服を脱ぎ出したゼノヴィアに一誠は待ったを掛けた。ゼノヴィアも止められて不満げな顔をしていた。

 

「どうしてだ、イッセー。君も同意なら……」

 

「お前は駒王学園に編入する事になっているだろ。妊娠したら流石に通えなくなる。せめて、高校を卒業するまで待て。いいな」

 

「……分かった。イッセーがそう言うなら」

 

ゼノヴィアは一誠の言う通りにした。そして夜が更けていった。




次回更新は3月7日です。

次回から三大勢力の会議に入ります。

では、次回に。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。